
フェンウィック・リンクスはリーズナブルな価格ながら、モデルごとに最適化した製法が採用された高コスパシリーズ。2025年に山岡計文さんが監修したベイトロッド、スピニングロッドの2機種が発売されるということで…詳しくお話を伺った。
●文:ルアマガプラス編集部
山岡計文
やまおか・かずふみ/1981年、奈良県出身。七色ダム、池原ダムをホームとするリザーバーマスター。ミドスト、ホバストなどいわゆるスト系フィネスの使い手としても知られる。2024年JBトップ50弥栄湖戦では今回紹介するスピニングロッドのプロトを使用し、優勝を飾った。
山岡計文が欲しかった、剛柔バーサタイルロッド2本
フェンウィック リンクス67CMHJヘビーデューティーバーサタイル(ティムコ)
全長=6フィート7インチ、適合ルアーウェイト=MAX2.5オンス、適合ライン=10~30ポンド、アクション=ミディアムスロー、自重=115グラム、税込価格=3万800円(写真上)
フェンウィック リンクス65SMLJ(ティムコ)
全長=6フィート5インチ、適合ルアーウェイト=1/16~1/4オンス、適合ライン=3~8ポンド、アクション=ミディアムスロー、自重=96グラム、税込価格=3万1900円(写真下)
タックル増えすぎ問題を解決!1本でなんでもできるパワー系ロッド
フェンウィック・リンクスというと、各種テクニックやメソッドに対応する、専門性が高いロッド
シリーズという認識が一般的だと思う。
実際、現状でベイトロッドが22機種、スピニングロッドが25機種、合計47機種という恐ろしい数のラインナップなのだ。もはや専門性が高すぎるのでは…と僭越ながら思ったりもするが、今回紹介する2機種に関しては、いずれもバーサタイル性が高いロッドとのこと。監修した山岡計文さんに詳しいお話をお聞きしよう。
まずはベイトのリンクス67CMHJヘビーデューティーバーサタイルから。
山岡「これはサブネームの通り重い系ルアー全般に使えるサオですね。ビッグベイトもできるし、カバー撃ちもちょっと重めの巻きモノもできる」
山岡さんはトーナメンターなので、使うロッドは細分化しているイメージがあるが…。
山岡「そう、でもそれだとタックルがどんどん増えていくから(笑)。1本でなんでもできるサオがほしいな、と。特化型のサオももちろん必要なんだけど、いろいろなルアーやリグで使い回せるサオも欲し
かった。あと、特化型がトーナメント中に折れたら困るんでね」
長さは6フィート7インチ。現在主流のMHクラスのベイトロッドと比べると少し短めかもしれない。極端な調子ではなく、レギュラー寄りのファストアクションとのこと。
山岡「6フィート7インチという絶妙な長さにしたんですけど、飛距離はある程度出るし小技も利かせやすい。MHクラスの流行りは610だけど、バスボートならまだしもレンタルのローボートで目線が低いと長いロッドは使いにくい。使っているうちに67なら大体の釣りはカバーできるというのがわかっていただけると思います」
近年のロッドは場所やテーパーによって素材を使い分けることも多いが、当機種はブランクスのカーボンは30トンの中弾性のみを使用している。
山岡「テーパーデザインでアクションや硬さやしなりを出しているので、スムーズな曲がりとパワーを持ち合わせていますよ」
ヘビー系バーサタイルとのことだが、実際の使用に適したルアーはどのあたりまでが守備範囲なのだろうか?
「ビッグベイトならO.S.Pのカレン、ティムコのMB-1、イマカツのギルロイドとかそれくらいの重さ。あとは大きめのトップウォーター。アベンタクローラーなどの大型羽根モノ、ビッグバドみたいな抵抗の大きなルアー、プロップペッパーマグナムのような大きいダブルスイッシャーも。ほかには、3/8オンス以上のワイヤーベイトやブレーデッドジグ、ディープクランクもいけますね。ワームなら普通のテキサスやカバースキャット、バクソクシャッドのノーシンカージャークにも使える。幅が広すぎて、特にコレ…っていうのがない(笑)」
最近はフィネスか大型ルアーか…という二極化が進んでいるそうなので、その大型方面を一手に引き受けるポテンシャルを持つ、頼り甲斐のある1本だ。
i字系からパワーフィネスまで、PEライン最適化スピニング
2本目はスピニングのリンクス65SMLJ。
サブネームこそ付けられていないが、ベイトと同様に汎用性の高さが特徴のひとつになっている。
「これも1本で幅広く使える、硬めのバーサタイルスピニングみたいな感じ。去年はJBトップ50弥栄湖戦で優勝したときのメインパターンがこのサオだった。そのときに使っていた瀕死リグとかi字系にはピッタリだし、ネコリグにも使える。あとは、サカマタとかバクソクシャッドみたいなちょっとデカめのミドスト。カバーのパワーフィネスにも使えるし、虫系のチョウチンみたいな釣りにも使いやすいですね」
こちらも極端な調子ではなく、どちらかというと全体でしっかり曲がるレギュラー寄りのファストテーパー。最近は軽さを求めてカーボンを薄く巻いてブランクスを太くするハイテーパーのサオが多いが、この機種は細身だが肉厚なブランクスにしてパワーを出しているという。
山岡「ガイドも含めてうまいことバランスを出していったので、硬いんだけどシェイキングができるサオに仕上がっています。ティップがシェイクしやすくなっていて、大きめのワームのミドストにものすごく相性がいい」
リンクスの従来のミドストロッドは4インチくらいまでのワームを想定していたが、この65SMLJはそれよりも大きなワームに対応しているという。
山岡「だけど、ミドストに特化しているわけではなくて、なんでも使いやすい。表層のi字系もできるし、ボトムの釣りもカバーに絡める釣りもできる。とにかく投げやすい。ルアーの重みをサオ全体に乗せて反発力で投げるとめちゃくちゃ飛びます」
なお、このロッドの特徴で忘れてはいけないのが、PEラインに最適なセッティングが施されているところ。
山岡「最近はスピニングの釣りの大部分でPEラインを使う人が増えたと思うんですよ。なので、PEラ
インを前提にガイドセッティングしました。だからといってフロロが使えないわけではないけど、特
にPEを快適に使える設定にしているので、余計に飛距離が伸びましたよ」
話の最後に「スピニングの新しいジャンルを開拓する1本になる」と山岡さんは電話の向こうで自信たっぷりに語った。
2024年JBトップ50弥栄湖戦にてスーパーリビングフィッシュ4インチの瀕死リグが大活躍。ノーシンカーを水面に完全に放置させる、というメソッドだが、0.4号のPEラインセッティングだったこともありリンクス65SMLJ(プロト)を使用した。