松本幸雄のスプーン&クランク!マスをサーチするための最短戦術【ロデオクラフト】

ヒットまでの最短距離はどこにあるのか。今回は、魚を見つける「サーチ」の原点に立ち返り、その考えを松本幸雄さんに聞いた。
松本さんから飛び出す数々のキーワードには、釣り人の本能とも言える探求心を呼び覚ますヒントが隠されている。

●文・写真:岡田瑠衣

松本幸雄さんのプロフィール

松本幸雄(まつもと・さちお)

ホワイトウルフ開発者、ロデオクラフトスーパーバイザー。バリバスフィールドテスター。タレックスモニター。オプトさいとうフィールドテスター。伝説的エリアロッド『ホワイトウルフ』シリーズ開発者にして、ウッサ、BFの開発者。
誰からの影響も受けていない、超個性派理論は「独創性」に富んでいる。一見「奇想天外」に思える松本理論も、実は王道を直撃しているため、のちにエリアの常識として定着することが多い。エリア業界に数多くの「常識」と「定説」を築き上げた、影響力マックスのプロアングラー。

釣りの核心、サーチ術

今、どこに魚がいて、どんなルアーを好むのか。釣りにおける「サーチ」は、魚に出会うために必要不可欠。状況把握の末、イメージ通りに魚が釣れる瞬間!これこそが釣りの最大の楽しみと言えよう。
昨今のエリアトラウトでは、状況を把握する=サーチするための選択肢が多岐にわたる。ルアーやロッド、ライン、フック…さまざまな状況に対応する幅広さがあるものの、その選択肢の広さゆえに迷いが生じがちなのもまた事実。そこで、釣りの根幹ともなるサーチの考え方や着眼点を、松本幸雄さんに伺ってみたい。

自然のなかで起こる変化、人の気配を察知し、魚が感じているプレッシャー。これらの状況を加味しながらルアーにイメージを載せてサーチをする

「自分がサーチをするうえで気を付けていることは、いきなり釣りを弱くし過ぎないことですね。始めから喰わせ方向に振りすぎてしまうと、その先がなくなってしまいますから。自分はフィールドの状況が許してくれる範囲で、夢いっぱい派です(笑)。そして、最初はある程度大きく見ますね。大きいルアーが好きか? 小さいルアーが好きか? はたまた縦にレンジを切るか? 横に切るか? 大まかなところを見つけてから、細部を詰めていきます」
「あとは、どんなことをしたら魚の反応があったか、を覚えておきましょう。スプーンをボトムまで落として、巻き始めにアタリがあったら、魚はボトム付近にいるのかな? とかね。自分で仮説を立てて、1個ずつ消していく感じです。これはどう? これはどう? って、その繰り返し。アタリがあったらちょっとずつ変えていく。逆に、アタリや触りがなかったら大きく方向展開していく。自分はそんな感じでサーチしていますね」

トラウトはこんなときに変化する!

自然的条件
例えばこんなとき…
◎朝は涼しい気温で浮いていたトラウトが、 気温が上がって沈んだ
◎日陰で浮いていたトラウトが、日向になって沈んだ、別の日陰に移動した など

取材日の天候は快晴。朝は日陰が広がり魚も浮いていたが、だんだんと日が高くなり、それに伴って魚も深場に移動した

人的プレッシャー
例えばこんなとき…
◎いい魚がすでに釣られてしまい、比較的釣るのが難しい魚が残っている状態
◎ポンド面積に対して、人がずらりと入っている状態 など

人間の影が水面に入るだけで魚は逃げていきますよ、と松本さん。よりハイプレッシャーなときは、ロッドを振る際の影で魚が逃げていくことも。こちらが思っているより、アングラー側が気にかけないといけないのだ

変化し”がち”なキーワードを覚えておく

日陰やローライト、風の吹き始め
魚が浮きがち
日向や気温上昇、長く風が吹いている 
魚が沈みがち

自分の基準を持つことが安定したサーチに繋がる

フィールドに着いた松本さんは、1投目のサーチにノア1.5gをチョイス。タックルはホワイトウルフ62LSにナイロンラインを組んだものだ。

「入った場所が日陰だったので、魚が浮いているかな? と思ってノア1.5gを選びました。自分がジョイバレーで初めに投げるスプーンはノア1.5gが多いですね。また、使いたいラインでも変わりますね。エステルだったら1.5g、ナイロンだったら1.8gをよく使用します」

1投目は表層から巻き下げ、2投目はボトムから巻き上げ、3投目に触りのあったレンジを横に引く。4投目で、バイトが出た。わずか数投で魚のいるレンジ、喰うレンジを把握した。

「縦にレンジを切る方法が難しいのであれば、丁寧にカウントを取って探るのでも全然いいと思います。時間がかかったとしても、いろんな方法で探るのが大切です。何より、思考停止が一番ダメ。何も考えずに『当たんないかな~』ってやってる状態って、やっぱり魚は釣れないですからね。考えて実践したとして、その結果釣れなくてもいいんです。その結果でさえも、次につながる手掛かりとなりますから」

釣り座によっても魚の着き場が異なる。それぞれの場所にあったアプローチで、順調に数を伸ばしていく

松本さんのサーチのやり方は主に2とおり

・縦に切る場合
…巻き下げや巻き上げなど
・横に切る場合 
…リトリーブの始めから終わりまで、同レンジで巻く

松本幸雄セレクション!スプーン編

ノア1.8g
松本さんの基軸スプーンはノア1.8g。特に下目をサーチしたいときに使用する。サーチのときはフックやリングは純正セッティングのまま使用することが多いそう。

ノア1.5g
ノア1.8gのシルエットはそのままに、中層付近をサーチしたいときやもっと暴れさせたいときに出番が多いノア1.5g

ノア1.2g
ノア1.8g系統の動きを継承しつつ、シルエットを小さく見せたいときに使用する。

ノアS1.4g
シルエットを小さく見せたいけど、より暴れさせたいときに使用する
※すべてロデオクラフト  

狙う魚を見極める

ポンドには多様な状態のトラウトが存在する。大まかに、その場にいる時間のたった残存魚か、ポンドを回遊する比較的活性の残った魚に分けられる。自分がどの魚を狙うか、その魚はどんなものを好むかをサーチする必要があると松本さんは語る。

「例えば、目の前の魚を釣るか、回遊魚を当てるかでその狙い方は大きく変わってきます。回遊の群れを当てたいのに、弱いルアーを投げていたら、気づいてもらえる可能性が低くなって、結果的に釣果が伸びませんよね。逆にその場にいる魚=残存の古い魚を相手にする場合、強いルアーを投げていても釣れません。どっちの魚を狙うかは意識したほうがいいですね。傾向としては、加賀や東山のような大規模ポンドでは、トラウトは回遊していることが多くルアーパワーの強いものを投げるほうが釣りやすい。その場にいる残存の魚を釣るには弱く小さいルアーで、フィネスの釣りになりがちですね」

松本幸雄セレクション!クランク編

モカDR-SS
まず基軸クランクとして松本さんが選んだのはモカDR-SS。ゆっくりと沈んでいくスローシンキングで、深いレンジまで探ることだ可能。特に水深がある釣り場や、魚が沈んでいるときに使用する。

created by Rinker
Rodiocraft(ロデオクラフト)

モカDR-F
モカDR-FとSR-SSは、水深が浅い釣り場や、魚が浮いているときの基軸クランクとして活躍する。浮力でアピールさせたいときはモカDR-F、浮力とアピールを抑えたいときはモカSR-SSの出番だ。

created by Rinker
Rodiocraft(ロデオクラフト)

モカSR-SS

ファットモカJr
シルエットを小さくしたいときに使いたいのがファットモカJr。特に、モカくらいのパワー帯でシルエットだけを抑えたいときに活躍する。

RCミディアムクラピー
モカによるサーチで、パワーもシルエットももっと欲しいと感じたときは、フルサイズクランクにお任せあれ。主に表層付近を探れるRCミディアムクラピーと、ある程度のレンジをサーチできて、なおかつゆっくりなスピードで引いてもアピール力が落ちないRCパニクラMRを持っておくと不足はない。

RCパニクラMR

タックル&フィールド

Tackle DATA

001
●ロッド:フォーナインマイスターホワイトウルフ606L-e 25thアニバーサリーモデル(ロデオクラフト)
●リール:イグジストSF2000SS-P(DAIWA)
●※LEチューン(レビテーションエンジニアリング)
ライン:スーパートラウトエリア [スーパーエステル]0.25号(バリバス)
●リーダー:RCマイスターフロロリーダー0.5号(ロデオクラフト)
002
●ロッド:フォーナインマイスターホワイトウルフ62LS(ロデオクラフト)
●リール:18イグジストLT2000S-P(DAIWA)
●※センシティブチューン(SLPワークス)
●ライン:スーパートラウトエリア SVG [ナイロン]2.5lb(バリバス)
003
●ロッド:フォーナインマイスターホワイトウルフ62UL-e(ロデオクラフト)
●リール:22イグジストLT2000S-P(DAIWA)
●※センシティブチューン(SLPワークス)
●ライン:スーパートラウトエリア ES2 エステル0.3号(バリバス)
●リーダー:RCマイスターフロロリーダー0.5号(ロデオクラフト)

リールハンドルはRCカーボンハンドル40mmが装着されている

SPECIAL THANKS

◎取材協力◎
フィッシングクラブジョイバレー

千葉県山武郡に位置する、関東を代表するマッディエリア。レギュラートラウトをはじめ、季節によって大型のイワナやロックトラウト、アルビノトラウトが悠々とポンドを泳ぐ。また、日本三大怪魚であるイトウも狙うことができる。それぞれ特徴の異なるポンドが3つあり、多彩な釣りが満喫できる。捌き場が完備されており、手軽にキャッチ&イートが楽しめる。女性や小学生以下のお子さんの料金もリーズナブルに細かく設定されており、ファミリーやカップルも多く来場している。
■住所:〒289-1603 千葉県山武郡芝山町大里486-1
■営業時間:6:30~19:00(11~2月)、6:00~20:00(3~10月)※大晦日、元旦のみ7:00~16:00
■定休日:年中無休 ※悪天候で臨時休業の可能性あり
■料金:オールデーパス(開店~閉店まで)大人6,330円、女性4,580円、小学生以下3,630円/8時間券 大人5,330円、女性3,580円、小学生以下2,930円/そのほか時間券もあり
■アクセス:車の場合…東関東道自動車道 成田インターより10分、冨里インターより25分/電車の場合…芝山鉄道「芝山千代田」駅より徒歩15分

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※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。