
現在、奄美大島で遊漁船業を営む長尾康平さん。Youtubeチャンネルの運営や、オリジナルジグの販売など精力的に活動をしている長尾さんだが、なぜ安定した都会での暮らしを捨ててまで離島に住むのか。その半生を語ってもらった。
●文/写真:長尾康平
11年前に奄美へ
始めまして。11年前に釣り好きが昂じて東京から奄美大島に移住した長尾康平と申します。現在は孤高のスロージギングというyoutubeチャンネルを運営したり、カンパチジギングをメインとした遊漁船業を営んだり、オリジナルジグの販売も行っております。
奄美大島に移住した当初はカヤックフィッシングにハマっておりましてこんな魚を釣っておりました。
カヤックで釣ったレディフィッシュ
カヤックフィッシングをやり切って卒業するきっかけとなったチャイロマルハタ33キロ。
もうこれ以上の魚はカヤックで釣る自信はありません。この一匹に出会うまで3年ぐらい研究してます。その後はマイボートを手に入れオフショアカンパチジギングにのめり込んでいきます。
GT 33キロ
こんな感じで奄美大島に移住してからは主にマイボートでスロー系ジギング主体に色々な魚を狙っています。今回は自己紹介も兼ねてなぜ私が東京から奄美大島に移住することになったのか生い立ちを語っていきます。
どうしてこの生活をはじめたのか…?
幸福だった少年時代
幼少期は自然大好きな少年で、川と山を駆け巡る生活を満喫。近くの小川で、パンやミミズでオイカワ、ウグイ、ブルーキル等を釣ったり、ザリガニやモクズガニを獲ったりして遊んでいました。私が小学生くらいの頃までは自然もまだ残っており、家の隣の小川で毎年蛍を鑑賞したりできたのですが、田舎特有の公共事業により川はどんどん三面護岸のコンクリートで固められていき、蛍も魚もいなくなって…。外で遊ぶことがだんだん楽しくなくなっていきました。
その後は、中学、高校と地元の普通の公立高校に通い、大学も地元の大学に進学。大学に入ってからはあまり勉強もしなくなり、合コン三昧なチャラい日々を送ります。就職氷河期なのに真面目に就職活動もしなかったので、結局、最初に内定のでた地元の企業に就職しました。
ブラック企業に就職
これが大失敗で、典型的なブラック企業でした…。繁忙期は徹夜当たり前のくせに、残業、休日出勤代など一切でません。2年ほど我慢しましたが、このブラックな状況で一生は過ごせないなと退職を決意。今でも、この会社はありますが、未だにブラックなんでしょうかねー?
裸一貫で上京へ
何の当てもなく会社をやめたものの、当時の広島ではなかなかいい転職先も見つからず、裸一貫、上京を決意。渋谷からほど近い三軒茶屋に引っ越し、全く未経験の不動産業界に転職しました。典型的な街の不動産屋で、前職ほどブラックではないものの、給料は歩合制。
稼げるときは月50万くらい稼げましたが、なにかとごりごりの営業も必要であり若いうちしかできない仕事であることを痛感。2年ほど、この不動産屋で働きながら、不動産関係の各種資格を取得し、キャリアアップ転職を目指しました。
運よく一流企業へ!?
そして、運よく26歳で東証一部上場の財閥系不動産会社に転職。この会社はさすが財閥系といった感じで、コンプライアンスには厳しく、初めての残業手当、休日出勤手当、有休取得等、当たり前の福利厚生に感動したのを今でも覚えています。
仕事も充実し、夜はクラブ、ナンパ三昧のチャラい日々を過ごし…。29歳で結婚! 結婚したことで、女遊びもすっぱりやめ、子供の頃大好きだった釣りを再開します。
主に東京湾でアジや鯛をエサで釣ったり、ジギングでシーバスや太刀魚といった釣りから再開し、奥多摩や神奈川の渓流でフライフィッシングを始めたのもこの頃でした。釣りを再開して、自然に触れる機会が増え、30代半ばごろから会社の里山再生ボランティアに参加するなど、田舎暮らしに興味を持ち始めました。当時は今ほど一般的に知られていなかったですが、セミリタイヤってやつですね。
課長に昇進するもうつ病に。田舎暮らしを考える
37歳で課長に昇格するも、上司と部下、クライアントと社内、そういった典型的な中間管理職の板挟みに精神を蝕まれ、うつ病発症。降格し、営業最前線から社内の間接部署へ異動したあと、なんとかうつ病からは回復するものの、仕事への情熱がさっぱりと消えてしまいました。
セミリタイヤというよりは今でいうダウンシフトな生活を求め、田舎への移住を本格的に考え始めました。2年くらい、日本各地の田舎や離島を旅行がてら見て回り、奄美大島南部に移住することを決意!
2014年、39歳で奄美大島に移住
住んでいた集落の知人の紹介で、林業団体に就職。平日は山、休日は海と奄美大島の大自然を満喫し、釣りに一層のめり込む日々を送っております。
そして2020年、この5年間で開拓した釣りのポイントを元に、副業で週末遊漁船を開業しまして、今に至ります。
今後も大物釣りのハウツーや、もう一つの趣味である狩猟について書いていければなと思っています。もし、奄美に来る機会がありましたらお声がけください! どうぞよろしくお願いいたします!
長尾康平(ながお・こうへい)
都会暮らしを捨てて、奄美大島で遊漁船を営む孤高のジギンガー。他にもYoutubeチャンネルの運営やオリジナルジグの販売など精力的に活動する。