失敗しない!初めてのエリアトラウト攻略…スプーン・クランク、メタルバイブ&ボトムスプーンの教科書【山口昌裕・オフィスユーカリ】

どんな釣り場でもただ闇雲にルアーを投げていてはなかなかよい釣果は望めない。特に初めて訪れるエリアではどう釣るかを間違えると1日厳しい結果にもなりかねない。ここではそんな初エリアでも失敗しない攻略法と、各ルアーの使い方を経験豊富なエキスパートが伝授してくれた。

●文・写真:笠川道夫

profile

山口昌裕(やまぐち・まさひろ)
トラウトキング選手権エキスパートシリーズへの出場など、各地のトーナメントで多くの実績を残すスーパーエキスパート。

速めにカウントしてレンジを細かく探る

静岡の海を中心にルアー釣りを楽しんでいるという鈴木陸さん。エリアフィッシングも経験はあるというものの、まだ分からないことが多いという。そこで、今回は数々のトーナメントで実績を残し、オフィスユーカリのフィールドテスターも務める山口昌裕さんに教えを乞うことに。

鈴木「実は、ここ須川フィッシングパークさんは初めてなのですが、そんな初めてのエリアではまずどんなルアーを使ってどう釣りをすればよいのでしょうか?」
山口「まずは自分の中で基準となるスプーンを見つけることが先決だね。ここだとあまり水深がないから重めのスプーンを使うとすぐボトムについちゃう。だから1gくらいがちょうどいい。例えばうちのルアーでいうとココロの1.2gとかだろうね」
鈴木「日によってヒットするレンジも変わったりすると思うんですが、そのレンジはどうやって探すのでしょうか?」
山口「使うスプーンを決めたら、着水してからボトムに着くまでどれだけかかるかカウントダウンをする。数えるスピードは時計の秒刻みよりももっと速く。ゆっくり数えてカウント5で着底するよりも、速く数えてカウント10の方が細かくレンジを刻めるでしょ。それで、自分が今釣っている場所がどのかくらいの深さで、どのレンジで反応があるかを把握していくことが大事。あとここのようなクリアポンドでは、目視でどの辺りをルアーが泳いでいるか確認することも大切になるかな」

カラーローテの例

山口さんが選んだカラーローテの一例。
ルアーはココロ。

①オレ金
②縁黒裏ブチ
③ライムフィズ
④ガンメタ茶オレ
⑤蛍光ピンク
⑥チャート黒
⑦カラシ
⑧茶点
⑨朱点
⑩茶

カラーをひと通りローテしたらタイプを変える

鈴木さんはスプーンはココロの1.2gから使ったが、そこからのカラー選びはどのように?

鈴木「派手目のものから徐々に地味目のものにチェンジしていきました。そこでちょっと分からないのが、地味なカラーでアタリが遠のいた後はどんなカラーを選んだらよいですか? 再度派手なカラーに戻したりするのでしょうか?」
山口「派手から地味へ、というのは正解だね。ただ、ひと通りカラーをローテーションしたらまた派手なカラーに戻すということはしないかな。もちろん遊びで試してみるというならそれでも構わないけど、もし試合ならそれはナシだね。なので、ひと通りカラーをローテーションしたらルアーを別のタイプにチェンジした方がいいよ」

ということで、2人のルアーローテーションは下のようになった。

山口さんのスプーンタイプローテ

トリガー1.6g
強目のウォブリング+ローリングアクションで浮き上がりにくいのが特徴。1.6gはちょっと重いということで早めにチェンジ。

トリガーマイクロ1g
トリガー1.6gよりもよりスローに誘える。ゆっくり巻くことで、自動的に左右にスライドし、食わせの間を与えることも可能。

タクト1.2g
ウォブリング系のスプーンだが、スローに引くとアクションはやや控えめに。強目のアクションを嫌がるマスにアピールする。

ウィス0.45g
表層直下をヒラヒラと漂わせるように引くことで追い食いを誘発させる0.45gの軽量スプーン。カラーはカラシに好反応。

クランクは色にこだわりすぎなくてもOK

F、HFなどタイプを使い分ける

鈴木さんがスプーンに続いてセットしたのは小型のクランク「ミニクラ」のフローティングタイプだ。

山口「今日のヒットレンジは表層よりちょっと下だけど、中層よりは上だったので、フローティングという選択はいいと思うよ」

山口さんもクランクにチェンジしているが、タイプは?

山口「使っているのはHF(ハイフロート)で、グリグリっとハンドルを3回くらい巻いて止める。そうすることで、ルアーは10cmくらい潜ってフワっと浮く。これが結構効くんだよね」
鈴木「クランクの場合、カラー選びはやっぱり派手から地味へ、ですか?」
山口「クランクってあまり派手な光り物ってなくて、食わせに寄せた地味系が多い。だから、あまりこだわり過ぎずに食わせ系を使えばいいと思うよ。あと、クランクの場合フックポイントの向きにも気をつけるとフッキングが変わるから、状況によって変えるといいね」

フックポイントの向きも変えてみる
「クランクのフックポイントの向きって普通、前×後ろになっているけどトップ的に使うなら前×前にした方が、フッキングがよくなるよ(山口)」

ミニクラ

しっかりとしたウォブリングでターゲットを誘う小型クランクベイト。ハイフロートタイプは2025年の釣りフェスイン横浜でデビュー予定

UVが強すぎる時は地味系を選ぶ
「夜光やUVはクリアポンドだと魚が嫌がることもあるのでそういう時は茶系などを選んでおくのが無難。ちなみに赤は派手なようだけど水中では黒っぽく見えるのではないかと。そういう意味では地味かな(山口)」

ボトムに魚がいればメタルバイブが効果的

リフト&フォールが基本のボトムルアー

鈴木「今日はBスパークはまだ使ってないのですが、使いどころはどんな時でしょうか?」
山口「ぶっちゃけ言えばボトムに魚がいれば、どんな時でもいいと思うよ。ボトムルアーでメタルバイブほど集魚力のあるルアーはほかになかなかないからね。コツは、反応がいいときは速めにテンポよくリフト&フォール、渋目の時は着底した時のポーズを長めにとるといいよ」
鈴木「今ひとつよくわからないのが、フォールをさせる時に、ロッドを送って垂直に落とすのか、テンションをかけてカーブフォールさせるのか、ラインをたるませて完全にフリーで落とすのか、どれがよいのでしょう?」
山口「正直、どれでもいいというか、それほど気にしなくていいと思うよ。リフトで跳ね上げる幅ってせいぜい15cmくらいまでだからそんなに影響はないだろうね。あとはずる引きとかじゃなく、リフト&フォールで食わせるなら、前後にフックは付けた方がいいかな」

ブルブルを感じながらリフト
メタルバイブは、リフト時のバイブレーションがキモ。ロッドで跳ね上げながらしっかりとブルブルを感じ取るようにしよう。

Bスパーク

レスポンスのいいバイブアクションにこだわった人気のメタルバイブ。大中小3つのウエイトを使い分けることで効果的なボトム攻略が可能。

苦手を克服
「実はメタルバイブは苦手だった」という鈴木さん。山口さんのアドバイスで苦手克服

サイズが大きくなるほどアピール力大
Bスパークは、2g、2.5g、2.9gの3ウエイト展開。サイズが大きくなるほどアピール力も大きくなる。「2gは2.9gよりもそっとリフトしてあげた方がうまく操作できるよ(山口)」

アイの位置は中央が基本
Bスパークのラインアイは前、中、後ろの3つ。使い分けは、通常のリフト&フォールが真ん中、前はずる引きやシェイク、後ろは移動距離を少なくリフト&フォオールさせたい時というが、基本真ん中でいいという。

ズル引きするだけ。初心者でも簡単に釣れるボトムスプーン

泳いだら浮いてしまう…だから浮きにくくした

山口さんが開発に携わったというボトムスプーンのBクラッシュ。スプーンとはいうが、このルアーはリトリーブしても浮きにくくなるようにしたという。

山口「ボトムスプーンと言われるものの中には泳ぐのもあるけど、泳ぐということはルアーに浮力が加わるということなので、浮いてしまうよね。ボトムスプーンは本来、ボトムを引きずっていて障害物に当たったときのイレギュラーな動きとかで食わせるもの。初心者でもボトムをずる引きしているだけで釣れると謳っているのに、ボトムから離れて泳いでしまっては話が違うってことになっちゃうよね(笑)」

Bクラッシュ

おもに須川フィッシングパークとフィッシングフィールド中津川でテストしたという、ボトム専用スプーン。ウエイトは、2gと2.3gの2種類の展開。

ボトムスプーンで釣果アップ!
スプーン、クランク、そしてボトムスプーンのずる引きでヒットを続ける鈴木さん。
「カラーをブルー系からピンク系に変えたらアタリが増えました」
ボトムスプーンでもカラーローテは有効だ。

ズル引きまたはシェイクを入れる
ボトムスプーンの使い方は、キャストして着底したらズルズルとスローにボトムを引きずるだけ。あとは、引きずりながら細かくシェイクを入れるのも効果的だ。

「桃色監督」カラーでヒット
須川フィッシングパークで実績のあるというピンク系の桃色監督。「監督」とは建築関係が本業の、山口さんの愛称。

スゴ腕トーナメンターも認めるオフィスユーカリのリリーサー

フィッシュリリーサー

外しやすくフックを傷めない
「こだわりは先端の形状で、ラウンド型になっているから、クランクなど2フックのルアーも滑らずに力がかかりやすい。また、エッジが外側を向いているのでフックを傷めない。素材も硬いので、力を入れやすいのも特長(山口)」

握っただけで向きがわかる
グリップは握りやすいだけではなく、内側が膨らんでいるので、握っただけで向きが分かる。グリップ先端はカーボン調のリング、アルミパーツは5つのカラーから選べるなどコスメにもこだわっている。

フックを狙って引っ掛ける
「リリースをよりスムースに行うには、リリーサーをラインの上のほうに引っ掛けて長い距離を滑らせていくのではなく、なるべくフックに近いところを狙って引っ掛けて外すのがコツ(山口)」

適度な張りで使いやすいリーダーレスのナイロンライン

使いやすさと感度を両立
「ナイロンというと伸びが強くて、アタリが取りづらいというイメージがあるけど、このインターセプトジョーカーは、適度な張りがあるので、操作性も良くアタリも取りやすい。リーダーも必要ないので、初心者にもオススメだね(山口)」

山口昌裕TACKLE


●ロッド:ジョーカーロイヤルレリオン61SL(オフィスユーカリ)
●リール:18イグジストFC LT2000S-P(DAIWA)
●ハンドル:ファンネル40mm(リヴァイブ)
●ライン:インターセプトジョーカー1.5lb(オフィスユーカリ)

●ロッド:ジョーカーロイヤルレリオン61TL(オフィスユーカリ)
●リール:22イグジストLT2000S-P(DAIWA)
●ハンドル:ファンネル40mm(リヴァイブ)
●ライン:強靭エステル1.8lb(ユニチカ)
●リーダー:トラウトリーダー2lb(ユニチカ)

●ロッド:ジョーカーロイヤルレリオン61TL(オフィスユーカリ)
●リール:18イグジストFC LT2000S-P(DAIWA)
●ハンドル:ファンネル40mm(リヴァイブ)
●ライン:強靭エステル2.2lb(ユニチカ)
●リーダー:トラウトリーダー2.5lb(ユニチカ)

●ロッド:ジョーカーロイヤルレリオン61SL(オフィスユーカリ)
●リール:14ステラ2000SHG(シマノ)
●ハンドル:エアーステア(ドライブ)
●ライン:PE0.2号
●リーダー:トラウトリーダー3lb(ユニチカ)

●ロッド:ジョーカーロイヤルレリオン58SL(オフィスユーカリ)
●リール:18イグジストFC LT2000S-P(DAIWA)
●ハンドル:ファンネル40mm(リヴァイブ)
●ライン:強靭エステル2lb(ユニチカ)
●リーダー:トラウトリーダー2.5lb(ユニチカ)

須川フィッシングパーク

静岡県の北東部、須川の畔にある管理釣り場。富士の湧水を利用しているので、水質はクリア。ルアー釣り以外に餌釣りポンドもあるので、家族連れなどでも楽しむことができる。東名・御殿場IC、新東名・新御殿場ICからほど近くアクセスも抜群。木曜、金曜が定休。

●住所:静岡県駿東郡小山町藤曲1026-1

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※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。