釣れた魚が吐き出した“黒い塊”を達人が解析。「やっぱりこういう餌を食べてますね」

H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は、2月中旬に行った相模湖の釣りをレポート。魚の餌のパターンを解析しつつ、ルアーの新たなセッティングをテストした。

●文/写真:大津清彰

相変わらずワカサギ不在の相模湖

今回の舞台も相模湖です。

写真中央に見えるのが浚渫船

浚渫船は弁天橋上流右岸のフラットを掘っていました。この影響で、弁天橋から下流は濁り気味。
ただ、この濁りは良い方向にも、悪い方向にもなっている感じはしませんでした。

それよりもこの日は関東で被害が出るレベルの爆風日。相模湖も朝の段階は風が無かったのですが、9:00前には爆風に。水温も上昇しやすい日で、上流部は9℃以上になったタイミングもありましたが、思ったほど簡単な日ではありませんでした。時期的にゆっくり動かした方が良いタイミングなので、この風はちょっと厳しい。ルアーが風の影響で動き過ぎてしまうからです。そのため好調だったクリーピーエッグラバーのジグヘッドは不可能。

相変わらずワカサギはほとんど見ることができません。例年の1/10レベルの数しか存在しないでしょう。通常であれば2月中旬はバスは瀕死のワカサギを探し回る時期にあたり、朝は肉眼でもバスを見ることができるのですが今年はそういったバスを見かけません。しかし例年通り、桂川筋では2/15前後のタイミングで冬のエリアからバスが少し抜け始めています。これが一時的なものなのか?わからないのですが、前の週に比べ各所越冬場のバスの総量が減少したように感じます。それを証明するかのように、「なんとなく」流しながら釣っているアングラーの釣果が目立っていたように思います。

魚探ガチ勢は、どうしても越冬場のバスがたくさんいる場所を攻めたくなってしまうのですが、むしろそういった場所は活性の低いバスが残っているだけで、やる気のあるバスたちは春を意識し少し移動を開始したように感じました。ライブスコープで見る限り、土バンクやフラットを数匹で回遊するバスを見かけることができました。

今年のストロングパターンはなんだ?

今年が例年と違うのは「ワカサギがいない」という点です。

ワカサギをメインベイトとしていれば、ワカサギの産卵行動を予測することでバスの行動もおおよそ
見当がついてきます。しかし、ワカサギがいない今年の相模湖は、バスたちがどこを目指して行動しているのか、全くの謎です。瀕死のワカサギを探している感じを受けるのですが、結局ワカサギはいないので餌を探すバスの終着点はどこなのか。

そうは言っても、ワカサギがいないわけではないので産卵場所となる各所ワンドや流れ込み付近に、
もうひと月もすれば本格的にワカサギが接岸するとは思うのでそれにつくバスは必ずいると
予想はできます。ただ、例年通りのストロングパターンになるかというと別。

現在、相模湖の多くのバスは虫系を偏食しています。バスは偏食が始まると劇的な変化が起こらない限り同じ餌を探し食べ続ける傾向がありますので、他の食べやすい餌が現れない以上、虫系のルアーや虫系が多いエリアが今年の春の中心になりそうです。
この辺りは変化があり次第、報告したいと思います。

ポークは餌

この日は4バイト2匹キャッチ。

ハリネズミ+ワイルドダディで一本目 [写真タップで拡大]

ハリネズミ+ワイルドダディで2本目 [写真タップで拡大]

ハリネズミ+ワイルドダディという組み合わせを試してみました。
サイズは45cmと48cm。

ハリネズミ+ワイルドダディセッティング

こんな感じでワイルドダディを付けています。先日アップされた艇王2024 チャンピオンカーニバル in 亀山ダム(https://prime.luremaga.jp/set/3831/contents/4084?fcid=324)で松本幸雄さんがエラストマー系のキャンタ虫にポークを付けてロクマル釣っていたのを見て真似してみました。こうするとバイトが深くなるらしい。

まぁ、ポークは餌ですからね。

ルアーフィッシングの試合で何故許されているのかさっぱりわからないのですが、「パチンコは法律上、ギャンブルと認められていないみたい」という謎理論と同じようなものかと。
「パチンコは賭博ではなく違法性はない」⇒「ポークは餌ではなく違法性はない」的な?考え方なのでしょう。ともかく大抵の試合で許可されているので、深く考えるのはやめましょう(笑)
細かいことは割愛するのですが、マグロの延縄を使った実験で「マッコウクジラの切り身」と「魚油を入れたワーム」では釣果が100倍以上違うという研究結果があります。バスも全く同じとは考えにくいのですが、当然本物の餌は釣れる感覚が私にはあります。
ちなみにマッコウクジラの切り身とサンマでは、サンマはさらに4倍釣れる結果が出ています。

やはりメインは虫系ベイトなのか?

さて、話を戻しましょう。ハリネズミ+ワイルドダディですが、慣れていないせいか半分もフッキングミスをするという失態。ルアーがでかすぎるので少し食い込ませないといけませんね。釣ったのはガレ場に投げてひたすらボトムシェイクでした。

ミスしたのは土バンクとレイダウン。ミスの原因は早合わせであることは明確だったので、次回はもっと食い込ませよう(餌釣りのように)

食べていた餌

食べていたのはやはり虫系。ヘビトンボの幼虫?とヤゴ。ヤゴはいつものコオニヤンマのヤゴではなかったですね。とにかくボトムを意識したバスが多く、そういった餌を積極的に食べています。エリアによってはモツゴ?が群れているのでそれに突っ込んでいるバスもいるのですが、数としては少ないですね。

ではまた来週!

タックル

ロッド: フェンウィック S-TAV 610CMHP+J
リール:メタニウムDC
ライン: バリバス アブソルートAAA 16lb.
ルアー: ハリネズミ フットボールヘッド10g+リューギ インフィニ3/0+ワイルドダディ

ロッド:フェンウィック プロト 610CMHJ
リール:アルデバランMGL 31HG
ライン:バリバス アブソルートAAA 16lb.
ルアー:ハリネズミ 10g テキサスリグ+リューギ インフィニ3/0

大津清彰(おおつ・きよあき)

老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。

※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。