
2025年に各地で開催されたフィッシングショーでは新テクノロジーや新機構が搭載されたニューモデルの数々が公開されたが、海の環境に配慮した注目すべき新製品もある。パーツケースなどで人気のリングスターが海洋プラスチックごみを配合した釣具をリリース。釣り人として知っておきたい同社の取り組みを紹介しよう。
●文:ルアマガプラス編集部
対馬に漂着する大量のオーシャンプラスチックとは?
長崎県対馬市。ルアマガプラス編集部スタッフもエギングやヒラスズキなどの実釣取材で何度も訪れたことがあるソルトルアーの好フィールドだ。
ただ、海岸線を見るとおびただしい数のゴミ。対馬は地形や潮流の影響で大量の漂着物が打ち寄せられ『海ごみの防波堤』と呼ばれるほど。その中に大量のオーシャンプラスチックが含まれているのだ。
対馬に漂着するごみの約50%がプラスチックごみだという。
オーシャンプラスチックとは長期間海を漂い、紫外線を浴び、汚れや破損がひどい状態のプラスチックでリサイクルが難しい。リサイクルしたとしても強度面で不安が残るというのが現状だ。
このオーシャンプラスチックという海洋ごみを少しでも減らそうとリングスターが起こしたアクションが、対馬市のオーシャンプラスチックを10%配合した対馬オーシャンプラスチックシリーズの製品だ。
紹介してくれたのはリングスター広報担当の篠田さん。
リングスターだからできたオーシャンプラスチック配合でも高強度!
篠田「対馬オーシャンプラスチックシリーズは、ボックス、バスケット、パーツケース8種類の全10アイテムをラインナップしています」
対馬オーシャンプラスチックシリーズのパーツケース
対馬オーシャンプラスチックシリーズのバスケットとボックス
篠田「対馬オーシャンプラスチックシリーズは、対馬市のオーシャンプラスチックの中から青いポリタンクをリサイクルして10%配合しています」
対馬オーシャンプラスチックシリーズに配合されているオーシャンプラスチックごみのポリタンク。バスケットは10個、ボックスなら5個でポリタンク約1個分のごみが削減できる。
なぜ10%なのか? 聞けば、プラスチックにも種類があり、PP(ポロプロピレン)やPE(ポリエチレン)など異なる素材を混ぜ合わせると、成形不良や製品の耐久力の低下、製造機械の故障などにつながり、それらの不具合が避けられる最大限の配合率が10%ということだ。
たった10%と思われるかもしれないが、これはリングスターが長年培ってきた構造上の強度を追求した製品づくりの実績があるからこそ、10%も配合できたと言い換えることができる。
対馬オーシャンプラスチックバスケットと対馬オーシャンプラスチックボックスは、奈良工業試験センターで耐久力試験を行い、従来製品とまったく変わらない耐荷重数値を記録。強度面で不安があるとされてきたオーシャンプラスチック配合でも安心して長く使える製品に仕上げられている。
対馬オーシャンプラスチックバスケットは従来品と変わらない強度を実現。
釣り人が対馬のごみ削減をサポート! リングスターの思いも共有しよう!
たかが10%。されどこの10%が対馬に漂着する膨大なオーシャンプラスチックごみを少しでも減らし、処理費用の削減にも寄与している。
さらにリングスターではこんな取り組みも。
篠田「奈良県生駒市や長崎県対馬市の小中学校を対象に対馬オーシャンプラスチックシリーズを使ったプラスチックの向き合い方についての授業やワークショップを行っています。環境省が推進する海ごみを減らしていこうという活動に協力しています」
リングスターは小•中学生を対象に海ごみを減らすためのワークショップも開催している。
釣り人が対馬オーシャンプラスチックシリーズの製品を使うことで、対馬のオーシャンプラスチックを減らすことにつながる。また対馬オーシャンプラスチックバスケットを購入すると1個につき100円、対馬オーシャンプラスチックボックスは1個につき200円が対馬市に寄付される。
さらにオーシャンプラスチックを減らすには、釣り人もプラスチック製品に対して“正しく選ぶ”“正しく捨てる”“正しく向き合う”ことが重要。
釣り糸やルアーのパッケージなど釣り場の釣りゴミはゼロに! ごみは捨てない、ごみは持ち帰る! 対馬オーシャンプラスチックシリーズは、当たり前のことを改めて気づかせてくれる製品だ。
リングスターではこのほかにもオーシャンプラスチックを配合した製品を展開予定。今後の動向にも注目だ。