
リップレスジャークベイトを日頃使い、自らの手駒にしているアングラーはどれほどいるだろうか。バスフィッシングでは忘れられた存在でもあるリップレスジャークベイトだが、ハマるシチュエーションは存在する。このジャンルに今一度注目し、現代的にアップデートしたルアーがスミスから登場する。
●文:ルアマガプラス編集部
芸達者で使い所を選ばない今こそ注目のジャンル
池島さんは40年以上前からリップレスジャークベイトの威力を実感して愛用しており、それは現在
でも続いている。
池島竜一
いけじま・りゅういち/スミス企画開発課勤務。バスフィッシングに関する幅広い知識を持つベテランアングラーだ。ブログ『IKE-Pの釣れづれ日記』に釣行記やマニアックなルアーの話など、興味深い記事を高頻度でアップしている。
昨今は現行のリップレスジャークベイトがほぼなくなっており、中古のモデルをいろいろと買っては使用していた。そもそも、リップレスジャークベイトとはどういったルアーなのか?
池島「リップレスジャークベイトは、ミノーシェイプで、リップがなくシンキングタイプのルアー。その名の通りジャーキングで使うためのルアーです。いわゆる一般的なジャークベイトは、ルアーごとに
潜行レンジが決まっている。一方でリップレスジャークベイトはシンキングなのでレンジが自由に刻
めるんですね。浅いレンジもいけるし、バスが深いなと思ったら沈めてからジャークさせればいい。フローティング・サスペンドのリップ付きジャークベイトよりもジャーク幅が大きいのも特徴です。シンキングだからシャローで使えないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。以前は印旛沼の新川で、カナダ藻の傍に入れてジャークさせて釣ったりしていました。ワームでは食わないバスも、けっこう反応させることができたんです。浅場を泳ぐ見えバスに使っても釣れましたし、アシ際にピッチングで入れて使ってもいい。使いどころはけっこう多いんです。ですが、バス用としては根付くことなく、現在に至っています」
池島さんが愛用していたリップレスジャークベイトはどんなものがあるのだろうか?
池島「リップレスジャークベイトの原体験になるのが、リョービのバスクルーダー。あとはハンドメイドの鮎川ルアーのMr.プロンソン。これはウィンターバスフィッシングに革命を起こしたと言われている
ルアーです。当時は『お祓いメソッド』と言って、ロッドを縦に煽ってジャークするやり方が紹介さ
れていましたね。ただ、これを今使うと、レスポンスが悪く、軽いので飛ばない」。
池島「あとは、海外のパイク用グライドベイトの小さいものをいろいろ試しましたが、まともに使えるものはなかった。このジャンルは今でも絶対に効くし、満足がいくものがないんだったら自分で作ってしまえばいいということで、開発することにしました。流行りに乗ってもしょうがないし、一部の人でもいいからずっと愛用してもらえるようなものを作りたかったんですよね」。
作りたかったのは、流行り廃りがあるジャンルではなく、バス釣りをやり込んでいるコアなアングラーから強い要望があるジャンルのルアー。この手のルアーを欲している人は少なくないはずだ。
徹底的にこだわり抜いたダート性能と使用感
開発していくうえで、理想の形に辿り着くまでは時間がかかった。
当初は池島さんが個人で使うものをバルサで製作していた。なかにはボロボロになるまで釣れるものもあった。そこで、よりトラブルが少なくスマートに扱えるものを作るために開発が進んでいった。
池島「リップレスジャークベイトは、大きいものは比較的簡単に作れるんですが、小さいものはそうはいかない。海外でパイクを釣るルアーとして一般的なグライドベイトは、大きなモデルはちゃんと左右
にダートするんですが、小さくなると全然ダートしなくなる。その場で首を振るだけなんですよ。ル
アーは大きくて重いほうがダートの惰性が効くんですよね。私は80ミリクラスのサイズ感で、しっか
りダートするモデルが欲しかったんです」。
また、ダートしたときに生じるライン絡みも悩みの種だった。
池島「テストで一番難航したのが、アクション中に発生する糸絡みをどう解消するか。このタイプはジャークしたときに弛んだラインに自らルアーが突っ込んでいくので、ライン絡みがすごいんです。アシ
ストワイヤーをつけたり、ダブルフックにしたりといろいろ試したけど、いい解決策にはならなかっ
た。もう開発は無理かなと思ったくらいです。そこで、テールにフックがあるとライン絡みの原因に
なるので、リアフックも腹側に装着しました。その代わりにテールにはティンセルを装備。ティンセ
ルはアピールになるだけでなく、ラインを叩いてくれるのでライン絡みの防止にもなります。あとは、
フロロラインを使うことで、ライン絡みは大幅に解消できました」。
切り立ったヘッド形状にも理由がある。
池島「アイの位置を試行錯誤して、リップレスでもアングラーに使用感がちゃんと伝わるようにしたいということで、頭に水を受ける部分を作りました。引き抵抗がスカスカにならず、ジャークしたときにティップにしっかりと重さが伝わるくらいの抵抗感がありますよ。そして、ジャークを入れた瞬間に、即座に横に飛んでくれるキレある動きを出すことに成功しました」。
そして、長いテスト期間を経てようやくビンターン80Sが完成した。
池島「ロッドのアクションを入れる強弱を変えれば、ショートジャークもできるしロングジャークさせることもできる。ペンシルベイトをアクションさせるのと同じで、自分の動かしたいように調節することができます。カバー際などのピンスポットではショートジャークで誘って、バスがどこにいるかわからず探る段階ではロングジャークで誘う、ということができますよ。テストでは、キャストして2〜3秒沈めてからの動き出しで釣れるということが多かったです。フォールでバスに見つけさせて、次のアクションで食わせると。あとは、2〜3回ジャークさせてから数秒ポーズさせる。そのポーズ中にティンセルがなびいて、スローフォール中に食うことも多々ありました。スティックベイトのノーシンカーの要素も兼ね備えているんですよ」。
使うシチュエーションは特に限定せず、いろいろなフィールドで活躍する。
池島「バスがサスペンドしやすいリザーバーの岩盤、エビなどがいる霞ヶ浦水系の護岸など、そのほかにもいろいろな場所で使えます。ちなみに、スローシンキングなのでボトムでルアーが立つんですが、バスの管理釣り場ではボトムステイからのジャークでよく釣れましたね。名前の由来ですか? ビンタされてターンする様子を表したものです(笑)」
ビンターン80S(スミス)
●全長:80ミリ
●重量:11.8グラム
●タイプ:スローシンキング
●フック:6062-1X-NP #8(BKK)
●スプリットリング:#2
●カラー:8色
●価格:1980円(税込み)
使いやすさにこだわったバス専用リップレスジャークベイト
水面直下から中層まで、アングラーの好きなレンジでキレのあるダートアクションで誘うことができる、スローシンキングのジャークベイト。
ヘッドにフラット面を設けることで使用感を向上させ、高い操作性を実現している。
フロロライン10~14ポンドの使用を推奨。
いろいろな水質に対応する8色展開
クリアーワカサギ
BMホロワカサギ
BMコイカザコ(鯉科雑魚)
PKHパールチャート
LGHマットチャート
クラウン
クロキン
シュリンプ
リアルなベイトフィッシュ系やチャート系、クロキンやクラウン、エビ系など、ナチュラルからアピールまでいろいろなシチュエーションに対応できるカラーをラインナップ。「BM」がつくカラーにはヘッドにバイトマーカーが塗られている。
好きな場所、好きなレンジでリズミカルに連続ダート
ロッドアクションを入力した瞬間に横方向へとダート。
ピンポイントでスローに誘うショートから、広くサーチする広角のダートまで、幅広いアクションをこなす。数秒沈めてからの動き出しにバイトが出ることも多い。
リザーバーの岩盤やオーバーハング、マッディシャローの護岸などで威力を発揮する。
アクション動画も必見!!
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