
「コスパがいい」なんて今更ありふれた表現のように思えるが、それを本当に体現しているアイテムと出逢った時は改めて心が躍るものだ。非常に動きやすく蒸れづらい上に、丈夫で価格が優しい夢のようなウェーダー。今回はルアマガ編集部(つり隊)が実際に着用して釣りをしてみたので、その感動を読者の皆様と共有したい。陸っぱりアングラーは必見だぞ!
●写真/文:ルアマガプラス編集部 漆畑友太(つり隊)
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ナイロン生地のウェーダーが無理な季節になってきた
こんにちは。つり隊のうるしーです。
三寒四温を感じなくなってくればすっかり春も後半。人間が暖かい陽気を感じる頃、海ではフィッシュイーターの餌となる魚が浅瀬に近付いてくる季節となり、陸っぱりアングラーの射程圏内にターゲットが入りやすいシーズンとなる。馴染みの静岡〜愛知に続く遠州サーフでは連日ヒラメや季節外れのワラサなどが釣れている模様。
サーフがつり隊を呼んでますな。
さて、そんなサーフに必須のアイテムといえば”ウェーダー”である。とはいえ今は春。最高気温が20度中盤に差し掛かる絶妙なタイミングでのウェーディングは「蒸れ」との戦いでもある。特に安価なナイロン生地のウェーダーになるとウェーダーの内側が蒸れたら蒸れっぱなし。自分の汗でビショビショになり、ウェーダーの穴空きを疑うほど。そうなれば快適な釣りとは程遠く、帰りの車のシートを自らの汗で濡らさない方法を考えながら釣りをすることになれば釣果も見込めないだろう。マジ勘弁である。
そんな悩めるサーフアングラーに向けて、蒸れにくい高機能ウェーダーがDRESSから発売されるそうだ。しかもコスパも抜群とのこと。そんなの検証するしかないじゃないか!ということで今回はDRESSさんにお願いしてサンプルを借りてみたぞ。
快く貸してくれたぞ!
DRESSな見た目と確かな機能
件のウェーダーの商品名は【チェストハイシールドウェーダー AIRBORNE】だ。DRESSブランドのウェーダーの中では現時点でハイエンドの位置付け。生地は防水”吸湿速乾”素材で破れにくく蒸れにくい、非常に高機能な素材だとか。それを踏まえてハイエンドと聞くとどうしても身構えてしまうが、定価で2万円を切っているということに驚きを隠せない。本当にいいの?
戦闘機チックなデザイン
DRESSさんは釣りとは別にLayLax(ライラクス)ブランドとしてサバゲーの用品を取り扱う事業を展開している。その兼ね合いなのか、デザインはかなりアーミーな印象。
正直、やや好みが分かれるデザインかもしれない。ただ、単品で見ると確かに派手だが、ゴテゴテしたポケットの多いゲームベストを着用すると不思議と馴染んでかっこよく見えるぞ。ちなみにつり隊2名の感想は「かっこいい(喜)」だった。こういうのめっちゃ好き。
互いの弱点を補う3層構造
さて、先ほどウェーダーの生地が防水吸湿速乾素材とお伝えしたが、本品の生地が3層構造であることも特筆すべき点だ。どんな構造なのかを簡単に表現すると【外側(表地)=高耐久撥水素材、中間=防水素材、内側(裏地)=吸湿速乾素材】である。つまり、めっちゃ丈夫で防水。そして汗を吸ってすぐ乾くウェーダーなのだ。
ちなみに中間の防水素材は漁師の胴長にも使われているPVC(ビニール系)素材。その弱点である擦れに対する強度と蒸れをカバーするように表地と裏地でそれぞれ特性の尖った素材を配置している。そもそも3層構造の生地でアンダー2万円は異様である。にも関わらず長く使えそう、というのがスペックから読み取れた筆者の感想である。
サンプルが手元に届き、実際にアイテムをどれどれと見ていくとDRESSからの嬉しい心遣いも垣間見えたぞ。
神は細部に宿る
裏地の継ぎ目のシーリングがしっかりと施されている
どれだけ生地が良かろうと継ぎ目は弱いもの。裏地のシーリングに至るまできっちり心遣いをしてくれていることに質の良さを感じる。また、釣人にとって嬉しい機能はこんなところにも。
歩くことを前提にしているウェーディングゲームにおいて、このDカンの豊富さは嬉しい。特に腰周りに3つ配置されたDカンはフィッシュグリップの脱落防止コードを繋げておいたり、ドリンクホルダーなどをぶら下げるには最適だ。ゲームベストにプラスして更にウェーディングゲームの快適性を高められる。なるほど、釣り人が考えた「こんなウェーダーがあったらいいな」が詰まっている。
蒸れづらさより気に入ったポイント
本品において、最もつり隊の2人が気に入ったポイントは意外にも...
ウェーダーの可動域
であった。というのもこのウェーダー、驚くことに立体縫製で作られている。つまり、ズボンの形に切った生地をただ組み合わせただけでなく、人の体の膨らみや可動域に合わせてウェーダーの生地を設計している。何が起こるかというとウェーダー特有の”つっぱり感”が無いのだ。
この動きやすさには驚いた。
ウェーディングの釣りにおいて、釣りをしている最中に動き回る事はほぼないのだが、陸っぱりであるが故にポイントまでの移動時に「歩く」「障害物を超える」「坂を登る」ことは茶飯事である。今まで着用してきたウェーダーは価格を問わず、すべからく突っ張るものだったため”ポイント移動”がストレスだったのだが、チェストハイシールドウェーダーAIRBORNEにはそのストレスはほぼ無い。
可動域の広さは疲れづらさにも当然繋がるのだ。歩くことが億劫で無くなるのであれば、ラン&ガンの効率も良くなる。つまり魚に出逢いに行く力が増すということだ。「釣れるウェーダー」なのかもしれない。正直、筆者は着心地よりもこちらに感動した。ところで立体縫製も本来はえらくコストのかかる技術というイメージなのだが、本当にこの価格でいいの?
おおはしゃぎだ。
着て釣りしてみた
玉砂利が転がる水深のあるサーフに行ってみた。今回のウェーダーはソール(靴底)の種類が2種類あり、ラジアルソールとフェルトピンソールとなっている。フェルトピンソールは苔などが生えている岩場や都市型河川などでウェーディングをする際、滑り止めとなって安全に立ち回れる仕様。対してラジアルソールはゴム底なので、滑る場所では使いにくいがブーツ自体がよく曲がるようになっているためスニーカーライクな履き心地で歩きやすい。つまりサーフ向き。ということでラジアルソールを履いて釣行してみたぞ。
DRESSアイテムでコーディネートすると一体感があってかっこいい。
みっちり2時間、ショアジギングの釣行をしてみた感想を語っていこう。気になる蒸れづらさは吸湿速乾素材によるものだろうか、ウェーダーの下に着ていたズボンの汗染みが明らかに少なかった。この日は最高気温22度の快晴。経験者ならこの時点で顔をしかめるだろう。2時間も釣りをすれば本来は汗でビッショビショであるところ、確かに蒸れは軽減していると感じた。
対してしっかり実感したのはやはり可動域の広さ。足を取られやすく起伏に富んだ玉砂利サーフで歩き回った疲労感が明らかにいつもと違う。足の可動域が広がるだけでよろけた時の踏ん張りや、そもそも歩く歩幅が変わるのだ。忖度無しでこれは良ウェーダーに認定。
速乾だからウェーダーの中の匂いがつきにくいのも嬉しい。逆さまに吊るして干すアイテムも展開している。
思ってたんと違った(いい意味で)
このウェーダーで記事を書こうと思い、性能を下調べした段階では吸湿速乾素材の着心地をメインで執筆することになるのだろうと思っていたのだが、いい意味で裏切られた。
もちろん着心地も良い。それは体感できるレベルで良いものなのだが、兎にも角にも動きやすさの恩恵が大きかった。これは現場で着用して感じたリアルである。
正直、HPに記載してあるような生地の丈夫さや、撥水性、日本人の足型に合わせたブーツ形状などは人による部分や使い込んでみなければわからないという要素が大きいので、良いのかどうか現時点ではわからないのだが蒸れにくさと動きやすさは人を選ばず自信を持っておすすめできる。あと忘れてはいけない、販売価格についてだ。本当に本当にこの価格で大丈夫なのだろうか。
最後に
ウェーダーの胸についているポケットは、「透明」で外側からスマホをタッチができるのだそう。とはいえゲームベストが必須のウェーディングにおいて、隠れてしまう部分が透明な事に関してはちょっと残念。ただ、ポケットがあることについては非常に便利で嬉しいぞ!
一応、同行したつり隊のヤマショーは毎年欠かさずに潮干狩りをする、自称「潮干狩ラー」なのだが手が常に濡れている潮干狩りでスマホを触る際には重宝する機能なのだそうだ。確かにしゃがみやすく蒸れにくいという点も含めると潮干狩りには至高のアイテム、なのかもしれないがなんとも贅沢である。
あ、あと勘違いされないように書き記しておくが、「着ていて涼しい」代物ではない。ウェーダーなので、暑いものは暑いぞ。あくまで、「蒸れにくい」という点を強調しておきたい。
DRESSさんから辛口で、と言われているので首を捻りながら探してみたが、ゲームベストを着ると透明ポケットが隠れてしまう以外は、サムネイルの通り「コスパやべえ」最高のウェーダーだった。
発売は2025年5月予定。現在、DRESS オフィシャルショップ上で事前受注割引きキャンペーンも開催中だ。(開催期間は不明)気になった方は是非とも手にしてみてほしい。