
小学生から釣りに親しみ、中学時代のバイブルはルアーマガジン。現在はカジキ釣りに精通するマルチアングラーの“Alex”さんがパラオでの釣りをレポート。パラオの釣りを知り尽くしたガイドとともにGTことロウニンアジを狙う。
●文/写真:Alex
パラオの釣りを知り尽くした二人とともに
南国の柔らかな日差しが差し込む午前10時、港に静かに浮かぶ「HAYATE」号が、これから始まる冒険の舞台となった──。
今回の釣行をサポートしてくれたのは、現地でフィッシングツアーやロックアイランドツアーを手がける「アイランドトレジャー」のツトムさんと、熟練の船長ライアンさん。
ツトムさん率いるアイランドトレジャーでは、「Intrepid(イントレピッド)37.5フィート」を有し、800馬力の高出力エンジンで遠方のポイントへも素早くアクセス可能。さらに、パラオ特有のうねりにも強い抜群の安定性と快適性を兼ね備えた一艇で、釣り旅をストレスなくサポートしてくれる。
アイランドトレジャーの「HAYATE」。カジキトローリングもできるパラオ最速の一艇だ。
どちらも生粋のパラオ人で、釣りが大好きかつ得意な名コンビ。海況や魚の動きに対する勘の鋭さは、まさに“現地の達人”と呼ぶにふさわしい。
今回、船長を務めてくださったライアンさん。視力はなんと8.0で我々が見つけられない鳥山もさきに見つけてしまうほど。
港を離れ、エメラルドグリーンの海を滑るボート。穏やかな波に包まれながら、南国の海を進んでいく。釣り人にとって、まさに夢のような景色が広がっている。
初日、波間の静けさがもたらした価値ある一本
初日はなかなかヒットが出ない。太陽がじりじりと照りつけ、海の色が変わるほどに透明度が増す中で、私たちは何度も場所を変え、キャスティングを繰り返す。しかし、魚の気配が薄い。水面は平穏を保っており、海の中で何かが動いている気配が感じられない。
それでもツトムさんとライアン船長は焦ることなく、冷静に状況を判断して次々とポイントを試していく。その努力が実を結んだのは午後に差し掛かる頃、波が比較的穏やかなエリアに差し掛かったときだ。 まさに圧巻の一瞬。ロッドが一気にしなり、重い引きが腕を伝わる。
「よし!食った!」の声と共に、全員がロッドに集中した。
ドラグがジジジッと鳴り、ラインが引き出されるスピードに心拍数が上がる。水深は7m前後と非常に浅く、根にまかれる可能性を警戒して丁寧ではあるがスピーディに巻き上げてゆく。引きは強烈で、決して油断できない。数分のファイトの後、ようやく魚が浮上してきた。
今回の大本命のGT。その姿に、船上の全員が歓喜した。
大本命のGT。それほど大きくないが引きは強烈で十分なファイトを楽しませてくれた。
GT釣りと言えば、トップウォーターでの釣りが定番だが、この日は反応が渋く、数回のアタリに留まった。そこで思い切って、中層を泳ぐミノーに変更。ミノーへの反応はよく、船ギリギリまで追ってくる魚影を何度も目撃した。判断は大正解で、ミノーに変更して数回のキャストで1匹目をキャッチすることができた。そのサイズはそれほど大きくなかったものの、強烈な引きには舌を巻いた。ファイトの後の充実感と達成感は、大型を釣ったときと変わらぬ喜びをもたらした。
美しいゲストフィッシュ。ナンヨウカイワリがヒット
その後、同じエリアで再びキャストを繰り返す。すると今度はナンヨウカイワリがヒット。
ぎらりと銀色に輝く魚体が水中で翻り、そのまま一気にラインを引き出す。重心の低い力強い引きに、竿は再び大きくしなった。細かく首を振るような独特のファイトに翻弄されつつも、集中してリールを巻き続ける。
やがて浮上してきたのは、堂々とした体躯を持つナンヨウカイワリ。その姿はどこか気品すら漂わせており、強い魚と真剣に向き合った証として、心に残る一尾となった。
ナンヨウカイワリは、刺身でも非常に美味しく、釣り人の舌と心を同時に満たしてくれる存在でもある。
ナンヨウカイワリ。GTに引けをとらないファイトを楽しませてくれた。
二日目、苦戦のなかで出会ったブルーファイター
二日目、海の状況は依然として厳しい。波は穏やかだが、魚の反応が乏しく、何度もポイントを移動しながらキャスティングを続ける。
昨日の釣果を信じ、トップは使わずにミノーを投入。時折、遠くで魚の跳ねる音が聞こえるものの、それがどんな魚かは分からない。私たちの心には少しずつ焦りが生じる。
その時、ついに再び反応があった。
「食った!」の声と共に、船中の視線がロッドに集まる。
ラインが引き出される音、糸を巻く感覚が手に伝わる中、ついに水面に姿を現したのは、鮮やかな青色が特徴的なカスミアジ。その鋭い顔つきと強烈な引きは、まさに海のブルーファイターの名にふさわしい。 ファイトの途中で何度も走られ、船内は再び緊迫感に包まれたが、最後には無事にネットに収めることができた。
このカスミアジも、刺身として非常に美味で、釣り人にとっては釣って楽しく、食べても満足感の高いターゲットだ。
アタリも少なく苦戦してる中でキャッチしたカスミアジ。美しい魚体だ。
振り返る。2日間の釣果と学び
今回の釣果は以下の通り。
- 【1日目】GT×1、ナンヨウカイワリ×1
- 【2日目】カスミアジ×1
決して数は多くなかったが、一尾一尾が簡単には得られない手応えある魚だった。両日を通じて印象的だったのは、ヒットが集中したのが波の落ち着いたエリアだったこと。リーフ近くで水深が浅いとどうしても波が立ちやすくなるが、魚のつきやすい場所を冷静に見極める重要性を現地ガイドたちが体現してくれた。
使用タックル
・ロッド:グラップラー TYPE-C 82MH(シマノ)
・リール:21ツインパワーSW14000XG(シマノ)
・ライン:UVF ソルティガデュラセンサー8+Si2(DAIWA)
・リーダー:オーシャンレコードショックリーダー 120ポンド(バリバス)
・ルアー:200mm前後のミノー(最終日でロストしたため、詳細不明)
パラオでの釣行は「アイランドトレジャー」で
今回の釣行を支えてくれた「アイランドトレジャー」は、パラオの海を知り尽くした現地スタッフと、高性能なボート「HAYATE号」で快適なフィッシングをサポートしてくれる信頼のツアー会社だ。GTをはじめとした大物狙いのキャスティングゲームはもちろん、ロックアイランド観光など幅広い海のアクティビティも手掛けている。
パラオの釣りを本気で楽しみたい方は、ぜひ一度公式サイトをチェックしてみてほしい。
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。