
YouTube『JOE & EMMAのもっとエギング100%』のロケで九州方面へ早春の大型アオリイカを狙いにきた湯川さんと片原さん。しかし、まさかの寒波来襲! 冬の嵐のような海で二人は奮闘するが…湯川さんのエギングは結果だけでなく過程も重視。1杯と出会うためのプロセスも楽しめる春イカ攻略の基本中の基本を片原さんにレクチャーしてくれたので、その内容をダイジェストでお届け。春のでかイカの重量感のある引きを味わったことがない方は必見の動画です!
●文:ルアマガプラス編集部
大荒れの天候がJOE & EMMAを翻弄。早春のでかイカ第1陣を狙うはずが…
実釣は3月初旬。2月の寒波で水温が下がり、実釣直前の予報も寒の戻りの気温急低下と暴風の悪天候。取材陣は急遽、長崎県中西部エリアに集結。
JOE「ほんとは壱岐(長崎県)でアオリイカの禁漁期に入る前に早春のでかイカの第1陣を狙う予定やったんだけど…」
その壱岐島は暴風波浪警報が出るほどの荒天。そこで実釣場所を変更したが風は強く、寒い。
JOE「近隣で少しでも風が避けられそうな釣りが成立するエリアを選びました。早春の第1陣の可能性はないことはないんで(笑)」
そして“早春の第1陣”というワードに片原さんが反応。『春イカ攻略の基本中の基本』のレクチャーがスタート!
風裏エリアを選んでも冷たい雨風の中で実釣スタート。
今回紹介する動画はこちら!
水温15℃以上で早春のエギングシーズンが開幕! 第1陣は出ればでかい!
JOE「早春の第一陣というのは、春は産卵に絡んだアオリイカを狙うんやけど、早い時季はでかいイカが出る可能性が高い。今回はそれを狙いにきたわけやけど、ちょっと水温が低すぎますね。12、13℃しかない。しかも急に下がった水温で、けっこう絶望的(笑)」
実釣時の水温は13℃から12℃と低下傾向。通常ならサオを出す状況ではなく、ほかの釣り人の姿もなし。
潮通しの良い深場隣接の磯や漁港で第1陣の可能性を探る!
EMMA「水温が低いとアオリイカはどこに行くんですか?」
JOE「基本的には水温が15℃以上ないと死滅すると言われています。水温が安定した状態でベイトがさすなど条件がそろえば15℃以下でも釣れるところはあるけど」
EMMA「ということは水温が15℃以上あれば、第1陣の大きいイカが狙える。どんなところを狙えばいいんですか?
JOE「外海に面した潮通しの良い深場が隣接した磯のワンドや漁港。そこにエサを喰いに上がってきたがイカが狙いやすい。だからベイトが居て、イカがつくシモリもある方が良いね。今回もそういうところを中心に狙っていきます」
早春の第1陣狙いは潮通しの良い深場が隣接した磯のワンドや漁港が有望。
春はスローに! これが春イカの誘い方の基本中の基本だ!
『JOE & EMMAのもっとエギング100%』の過去回で夏の初めと秋のエギングを体験している片原さん。早春は攻め方に違いがあるか? も気になるところだ。
EMMA「早春もベーシックな釣り方でいいんですか?」
JOE「基本は一緒。ただ、春はよりスローに! を意識しながらというのが大事。シャクったあともよりスローに沈めて、じっくり止めて誘うとか。とくに早春は水温も低めだし、できるだけ動かずに効率良くエサを食べたいはずやからね。冬、こたつに入ったら、こたつの上のミカンには手を伸ばすやん、それと一緒」
EMMA「わかりやすい(笑)」
よりスローに! 5月、6月と続く春のハイシーズンもこの言葉がキーになる。
圧倒的な軽さ! 細いのに強い! 最高峰のエギングロッドの実力を肌で感じる!
今回、湯川さんは片原さんにサプライズを用意。それが2025年春にリリースされたシマノエギングロッドの最高峰、セフィアリミテッドの試用だ。
JOE「一回、使ってみてほしくて(笑)。いかがですか?」
EMMA「とにかく軽いです。どんなアタリが出るのか楽しみです。新しいセフィアリミテッドはなにが違うんですか?」
JOE「簡単にいうとブランクスが細くなって軽くなっているのに、より強くなってる。キャストはシャープに振り抜けて、バランスが良いから軽い力でシャクりやすい。ファイトもロッドを曲げて思い切り楽しめるのにしっかりパワーも感じられます。控えめにいっても過去最高のエギングロッドです(笑)」
湯川さんの使用タックルデータ
- ロッド:セフィアリミテッド S84L+(シマノ)
- リール:ステラ2500S(シマノ)
- ライン:セフィア8+ 0.5号(シマノ)
- リーダー:セフィア マスターフロロリーダー 3号(シマノ)
片原さんの使用タックルデータ
- ロッド:セフィアリミテッド S76ML+(シマノ)
- リール:ヴァンキッシュ C2500S(シマノ)
- ライン:ハードブル8+ 0.6号(シマノ)
- リーダー:セフィア マスターフロロリーダー 3号(シマノ)
春はゆっくり見せやすいエギが有利! 3.5号シャロータイプや3.8号を用意
湯川さんは春に使うエギについてもわかりやすく解説。
EMMA「使うエギは春も3.5号でいいんですか?」
片原さんはエギの基準=3.5号ノーマルタイプを頭の中にインプット。これは正解。
JOE「3.5号のノーマルタイプが基本やね。ただ春はスローに見せたいというのもある。ゆっくり沈む3.5号のシャロータイプを使うことも多くなるね」
シャロータイプはノーマルタイプより着底が感じとりにくくなる。それについても湯川さんは言及。
JOE「例えばクリンチシャロー3.5号の沈下速度は1m沈むのに6秒。水深10mだとしたら潮の流れなどにもよるけど70カウントくらいで底付近には到達。ゆっくり沈むエギほどしっかりカウントしてボトム付近に送り込んでいきます」
上からクリンチエクスカウンター3.8号。クリンチシャロー3.5号。そしてノーマルタイプのクリンチフラッシュブースト3.5号(すべてシマノ)。湯川さんはこれらのエギで春イカを攻略。
EMMA「春は3.5号のノーマルとシャローを使って、よりスローに誘いたいときはシャローが良い?」
JOE「そう。あとひとつ、春に良く使うのが3.5号よりひと回り大きい3.8号。自分は春になるとこのサイズをメインに使う」
それが2025年春に発売されたセフィア クリンチエクスカウンター3.8号(シマノ)だ。
クリンチエクスカウンター3.8号(シマノ)
●サイズ:3.8号●重量:24g●沈降速度(参考値):3.5秒/m●カラー:8色
JOE「ボディが大きいからまずアピール力がある。大きい分、潮の抵抗を受けやすいからゆっくり沈ませることができるし、フォール中の姿勢の安定感が高い。アクションに関しても、大きいほうがきれいにダートしてくれる。あと、カンナ見て」
EMMA「こんなに大きさが違う!」
3.8号(左)は3.5号よりカンナのサイズが大きい。横抱きされたときのバラシを軽減できる。
JOE「大きなカンナもすごいメリットで、でかいイカほどエギを横抱きしたときのグリップ力が強い。アワせてもエギがズレずにカンナが刺さらない。寄せてくる途中でパッと放されてバレるんやけど、大きいカンナは放された瞬間に刺さる可能性が上がる」
春に有効なスローな誘いができて、でかイカの横抱き対策にもなる。春のでかイカ狙いは、セフィア クリンチエクスカウンター3.8号(シマノ)がマストだ。
JOE「3.8号は潮を受けやすいからシャクった後、ラインをフリーにして潮の流れにのせて送り込むといった操作もしやすくなります」
セフィア クリンチエクスカウンター3.8号(シマノ)はシャクリ後、潮にのせてエギを送り込む釣りもしやすい。
春イカを制するならスラックジャークをマスターせよ!
EMMA「春のエギングはスローに! 具体的にはどんな方法がありますか?」
そう、読者、視聴者の皆さんが知りたいのはそこ。
JOE「秋のようにパンパンパンッと早いシャクリをたまには入れても良いんやけど、基本的には大きく、少ない回数でシャクる。やわらかい感じのシャクリやね」
前への移動距離を抑えて、高さを稼ぐようなシャクリだ。
春イカ狙いのシャクリは大きく、スローテンポでシャクリ回数は少なめが有効。
JOE「シャクった後はスローに沈めて、じーっと長い時間見せてあげる。だからシャロータイプが向く。あとは沖のほうでできるだけ手前に寄せないシャクリも春は効く。ラインスラック(糸フケ)を利用してシャクるんやけど」
春のエギングで実績抜群のシャクリ方、スラックジャークだ。
JOE「ラインスラックだけをパンッと張るイメージでシャクります。ラインスラックだけで動かしているから、同じところでエギを何度も跳ねさせることができる」
たるんだラインを瞬間的に張ってすぐに糸フケを出せば、エギの前進を抑えてキレ良く跳ねさせることができる。
EMMA「エギが目立って、アピールできるということですか?」
JOE「そう、それでイカがじわーっと寄ってきてというのがあるからね。早春のイカもそうやけど追いかけて喰うより、簡単に喰えるエサのほうがええやん。で、スラックを使ったシャクリをするならロッドが長めでしなやかなほうが有利」
動画では湯川さんが片原さんにスラックジャークのやり方をマンツーマンでレクチャー。春イカビギナーの方は見逃せない内容だ。
EMMA「というのは?」
JOE「長いほうがスラックを長く出してもシャクれるやん。張りが強すぎるサオだとエギを動かしすぎちゃうことがある。やり方は竿をぴょんぴょんって立てる」
EMMA「あっ、エギの重みを感じる!」
春のハイシーズンは藻場探し! 潮が緩やかに流れるワンドが有望
春のエギングは早春からはじまりハイシーズンへと移行。地域によっては7月頃まで続く。
EMMA「もっと暖かい季節になるとイカはどう動くんですか?」
JOE「本格的な春イカシーズンは水温18℃を超えてきてから。産卵をさらに意識して藻場周辺でペアリングする相手を探し出す。だから、まずは海藻が生えているところを探すことが大事。海藻が生えるところは毎年一緒とは限らないからね。海藻の種類も最初はホンダワラで、夏に向かってアマモに変わるけど、藻場がキーになるのは間違いない」
EMMA「藻場の攻め方は?」
JOE「スローに! という春の基本は変わらない。あとは海藻を引っ掛けないように藻場の際や切れ目、藻穴などを狙うこと。あと、藻場でプカーッと浮くイカが見えることもある。サイトでも狙えます。ただ、ペアリングして産卵行動に入ったイカは喰わない。喰うのはその前後のイカ」
EMMA「前後?」
JOE「産卵前は体力を蓄えたいからエサを喰う。産卵は何回かに分けて行うから、産卵後も喰う。要は藻場やその近くでうろちょろしてるイカを狙うパターンになる。釣り場は潮が緩やかにきくワンドというのが条件の一つになるね」
産卵で体力を使うとガンガン潮が流れるところで泳ぐのはきついということらしい。
春イカのハイシーズンに狙うべき場所の手がかりが緩やかに潮が流れるワンド。
JOE「地形的にもカケアガリが隣接するようなワンドにある藻場にはイカが寄ってきやすくなります」
動画の最後は湯川さんが実践している春イカ攻略を解説付きで模範演技! これをみれば釣れたも同然!?
寒の戻りの急激な水温低下と悪天候で、釣果を出すのは無理も承知の実釣。動画の最後に湯川さんは少しでも視聴者の皆さんの役に立つようにと、キャストからピックアップまで春イカ攻略のためのエギ操作の基本を解説つきでデモンストレーションしてくれた。春イカの誘い方のおさらいや釣行前のイメージトレーニングに必ず役立つはずだ。
湯川さんの解説付きデモンストレーションは必見!
EMMA「実釣は厳しかったですけど、今回、春のエギングのポイントの探し方や探り方、エギの使い方など色々教えてもらったので、春のハイシーズンが楽しみです!」
JOE「そうやね。これからはどんどん春イカシーズンの本番に入っていくんで、今度はええ時季にきっちり(でかイカが)狙えるとこに行きましょう!」
EMMA「よろしくお願いします!」
次回の2人の釣行に乞うご期待!
次回、動画ででかイカ捕獲のリベンジを狙う!
アングラー プロフィール
教える人 JOE(湯川マサタカ ゆかわ・まさたか)
和歌山県紀伊半島をホームに活躍するエギングのエキスパート。攻撃的なラン&ガンから丁寧なボトム攻略まで釣りの振り幅は広く、1杯を獲るまでの過程にもこだわる釣りを展開する。JOE STYLE EGING RUN&GUN ADVENTURE でガイドとしても活動し、一般アングラーへのエギングの手解きもお手のもの。
教わる人 EMMA(片原恵麻 かたはら・えま)
釣りは3、4年前に船釣り体験ツアーに一人で参加して以来、熱中。持ち前のアクティブさで細のタナゴ釣りからキハダマグロの泳がせ釣りまで幅広い釣種にチャレンジしているルアマガ女子部メンバーだ。今企画ではエギング歴約10分とほぼ初体験で湯川さんのレクチャーを受けつつ、でかイカ捕獲を目指す!