
2023年に40周年を迎えた、JB日本バスプロ協会。記念式典の際に発表された新たな自然環境への試みが、今年いよいよ大会として開催される。選手としての活躍はもちろん、本部サイドの要職を任され、現在はJB霞ヶ浦シリーズを運営するお二人に、歴史を振り返りながら、これからのトーナメントの展望などをお話しいただいた。
●文:ルアマガプラス編集部
髙野芳彦さん
たかの・よしひこ/チームウエダプロ4メンバーとしてJBの前身の時代から選手として参戦。1998年を最後に選手としては引退。選手として出場していた当時から、JB日本バスプロトーナメント協会の教育指導委員や情報委員会の副委員長など、トーナメント運営の要職を担う。また、認定NPO法人日本釣り環境保全連盟の理事としても従事。1956年生まれ。 [写真タップで拡大]
星野和正さん
ほしの・かずまさ/ 10代の頃からジュニアトーナメントに参戦、JBワールドカテゴリーのときに霞ヶ浦の規則委員に就任。現在は選手としてJB霞ヶ浦に出場しつつ同委員を務め、またNBCチャプター千葉の副会長も任されている。霞ヶ浦・北浦資源保護協議会のJB代表として会合に出席している。1974年生まれ。 [写真タップで拡大]
選手目線を反映したルール作りやトーナメント運営
髙野「日本バスプロ協会は1983年にスタートし、1987年から名称をJBTAとして全国展開、1994年に現在の名称となりました。私は1998年を最後に選手を引退しましたが、選手であった1990年に教育委員会の一員となり、それから現在まで情報委員会やJB霞ヶ浦シリーズの大会運営責任者を任されています。星野さんとはJB霞ヶ浦で規則委員として一緒に運営を行っています。今のルールブックでも採用されている霞ヶ浦の図は星野さんが作ったものです」。
星野「規則委員になったのは2000年から。禁止エリアの図は2003年に作ったのですが、作り手として選手目線で見られたというのが大きいと思うんですよね」
髙野「星野さんが霞ヶ浦の規則委員になってから、本当に大きく変わりました。トーナメントは毎日状況が違います。運営は、一番安全な方法は何かということを、常に決断しなければならない。霞ヶ浦の場合は、選手としてフィールドに出て、現状をよく知っている星野さんの情報を尊重しています。最終判断は大会委員長の私がしますけれど、フィールドの状況がより分かる人に確認したほうが良いといつも思っています」
北関東チャプター(左2枚/写真提供:髙野芳彦さん)とNBCチャプター千葉(右/写真提供:星野和正さん)の写真。「当時のチャプターでは怖くて髙野さんに近寄りにくかった(星野)」「当時はバネ秤を使っていて、検量で重量を確定する際も風などの影響を受けてね。『文句があるなら言ってみな』っていうぐらいの気迫で数字を特定しました。あとは事故を起こしちゃいけないということから、ミーティングのときなどは、たぶん怖い顔をしていたのかもしれませんね」
エコに関する転換点はNPO法人の設立と節目ごとのビジョン
髙野「JBTAとなった当時に大会委員長の山下会長により提示された方針の中には、すでに自然保護対策と環境美化推進運動が掲げられています。そのときにすでに具体的な方向性は決まっていて、実際に動いてきた流れの中で、いろいろなものがスタートしたと捉えたほうが私はいいと思いますね。2001年のNPO法人日本釣り環境保全連盟の設立が新たな転換点だと言えます。同時に、現在選手登録をする際に受験が義務づけられているフィッシング・エコリーダー資格試験もスタート。毎年の湖底清掃と全国釣り場クリーンアップもこの年から始まりました。翌2002年にエコタックル普及協議会が開催されて、eco認定制度が開始。また10周年では琵琶湖からスタートした『水鳥を守ろうキャンペーン』、シンポジウムやジュニアを対象にしたルアー作り教室など、イベントの開始もこのタイミングでした。20周年では『エコタックル元年』を宣言。そして40周年では『STOP !マイクロプラスチック』と『バイオマス含有ルアー』が実行に移されました」。
星野「80年代から、ゴミ拾いというのは必ず大会に付随していたんですよ。89年から大会に出ています
けれど、その年から大会が終わったあとのゴミ拾いはセットでした」。
チャプターが中心となって進められているSTOP!マイクロプラスチック
JBと同様に全国各地で展開されているのが、NBC日本バスクラブだ。
髙野「NBCチャプターの大会は1989年に7ヶ所でスタートしました。2025年現在、40チャプターが各地で展開されています。毎年山下会長が『チャプターがあるからJBがあるんだ』とおっしゃっていますが、地元密着じゃないと絶対にできない。漁協や観光関係の人たちなどを含めて、チャプターが地元と良い関係にないと、そこにJBが大会を開催しに行けないですよね」
星野「2007年ぐらいにNBCチャプター千葉の相談役になりました。会長の打診もありましたが、若者にやらせたほうがいいと思い、そのかわりに相談役としてサポートしました。その後、2018年から副会長になりました。現在は、だいたい毎回40〜50人が参加しています。地域や環境などのことについては、意識を持つことが大事だと思います。ひとりではできないことが多いけれど、みんなが集まれば大きな力になりますので、意識を持ってもらうという話をチャプターで毎回するようにしています」。
髙野「2021年に設立された『STOP! マイクロプラスチック』の実行委員会は全国のチャプターなどが中心となった組織です。清掃活動に加えて2022年からは淡水・海水の両方で、バイオマス含有ルアーやレジ袋など他の製品や素材がどのように分解されるかの試験を実施しています。2ヵ月ごとにサンプルを送ってもらい経過観察をおこなっています」
JB日本バスプロ協会40周年式典で紹介された、NBCの各チャプタースタッフなどが中心となる『STOP!マイクロプラスチック』実行委員会のメンバー。髙野さんは右手奥、星野さんは左手前で壇上に上がった。
スタートアップトーナメントがバス釣りを未来へ繋ぐ
髙野「Fecoプラスのルアーを使った大きなイベント『スタートアップトーナメント』を、6月と7月に計画しています。『海水・淡水中での生分解性を有するバイオマス複合プラスチック製ルアー』の普及促進事業として、この大会が新たな入口になればと考えています。 釣りの環境負荷という点で見ると、釣りとは全然関係ない人からすれば、『釣りを止めれば?』っていうひと言で終わってしまう可能性だってあります。このイベントは、我々が取り組んでいることをアピールできる機会かもしれません。認定NPO法人日本釣り環境保全連盟の中で、山下会長は奉仕、つまり一般の方々に還元するという部分を大事にしています。現在の事業は、JBとかバス釣りに関係する組織に留まるわけではありません。社会の中でプラスになるようなもの、プラスチック全てを環境にやさしい素材に変えていこうと考えた中での開発です。携わっている若い人たちが『自分たちが関わってきたものが、今世界を変えていく素材になっているんだ』と思えるような未来を見据えているはずです」
星野「会長はそうおっしゃっていましたね。バイオマス含有ルアーを実用レベルに持っていく研究開発が、プラスチックによる環境負荷をゼロに近づけることに繫がればいいですね」
髙野「釣具以外のものも含めて改善されなければ、『STOP !マイクロプラスチック』にはいたらないわけですから。プラスチックをすべて変えていくというのが、一番の到達目標だと思います。そのような奉仕と還元が、いつまでもバス釣りを楽しませてもらえることに繫がるのだと思います」。
STARTUP TOURNAMENTを開催!
2025年6月29日(日)/7月27日(日)
会場:河口湖大池公園(山梨県)
参加料は無料! 誰でも楽しめるバイオマス含有ルアーの釣り大会を開催! 岸釣りでもボートでもOK。魚種問わず1番重い魚を釣り上げた方にはなんと50万円分のJCB商品券をプレゼント。特別賞として、大きさ問わず釣り上げた魚1匹ごとに1000円分のJCB商品券がもらえるぞ。
※Feco+製品のみ使用可能。
前回の連載
JB40周年記念パーティにおいて、山下茂会長から取り組みのスタートが発表され、招待客に記念として配布された生分解性素材でできたJBルアー。そのときにお披露目され、2024年3月22日にSDGsまなび館[…]
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