ウーバーイーツをしながら釣りのプロを目指す若者。どうしてその道を歩むのか、きっかけと半生とは?

ウーバーイーツをしながらシーバスのプロという夢を追っている稲垣佑輔(いながきゆうすけ)さん。釣りを始めたきっかけとなぜその生活をしているのか。夢を追う若者の半生を語ってもらった。

●文/写真:稲垣佑輔

僕の夢はプロアングラーになること。

はじめまして、ゆーすけこと稲垣佑輔と申します!突然ですが僕の夢はプロアングラーになることです。その夢に向かって、今は“釣りとフードデリバリー”というスタイルで日々の生活を送っています。

仕事はウーバーイーツなどのフードデリバリー。自由な時間に働けるという特徴を活かし、シーバス釣りに欠かせない「時合(魚が釣れやすいタイミング)」を逃さず、東京湾で竿を振り続けています。

時間の決まっている会社員のように平日朝から夕方まで働くと、どうしても釣れる時間と重ならず、満足な釣りができません。

特に平日の昼間や夕まずめはタイミングが合わず、土日は人も多く選択肢も限られる。それならいっそのこと釣りを中心にした生活を選ぼうと思いました。社会的信用は高くないかもしれませんが、僕にとっては「魚を釣ること」が人生の最優先。そう胸を張って言えます。

釣りとの出会い

釣りとの出会いは幼少期、祖父に連れて行ってもらったサビキ釣りでした。堤防から鯵を狙う釣りで、初めて魚を釣った時の喜びと感動は、今でも鮮明に覚えています。

そして祖父が狙っていた「鱸(シーバス)」という魚の存在に強く惹かれました。祖父の家には立派な魚拓が飾られていて、見るたびに心が踊り、「いつか自分もこんな魚を釣りたい」と憧れを抱くようになったのです。

幼少期の稲垣さん

中学生になって、1人でも釣りに行く友人と出会い、「釣りって1人で行けるんだ」と衝撃を受けました。その友人に誘われて、近所の河川でのシーバス釣りに挑戦。

初めてのルアーフィッシングでは『本当にこんな偽物で釣れるのか!?』という疑問もあり何が正解かも分からず、ひたすら投げて巻いての繰り返し。でも、3回目の釣行でついに人生初のルアーでのシーバスを釣り上げました。サイズは28cmと小ぶりでしたが、その感動は計り知れず、一気にルアー釣りの魅力に取り憑かれました。

シーバス釣りが人生の中心に

地元・石川県で何年も釣りを続け、20歳で東京へ上京。当時は釣りのプロの夢を一度諦め、役者の道を目指していた時期もありましたが、どうしても「東京湾で釣りがしたい」「もう一度夢を追いかけたい」という気持ちが抑えきれず、再び竿を握る決意をします。

東京湾は日本一シーバスの個体数が多いと言われ、様々なスタイルで釣りが楽しめる夢のフィールド。しかし、最初は全く通用しませんでした。日本海側と太平洋側の干満差や流れの違いに圧倒され、これまでの釣り方が通用しない現実に絶望。

シーバスの数が一番多いと言われる東京湾だが、一筋縄では釣ることができないのも現実。

それでも諦めずSNS、YouTube、ネット記事、現場での出会いを通して知識を深め、釣れるタイミングやパターンを分析し、自分なりのスタイルを磨いていきました。苦労の末、ようやく東京湾でもコンスタントにシーバスを釣れるようになり、東京湾のポテンシャルと奥深さに完全に魅了されていきました。

僕が最も好きな釣り方は、橋の明暗部を狙うスタイルです。これは、いわば僕を育ててくれた釣法といっても過言ではありません!魚が付いている確率が高く、シーバスの存在を具体的にイメージしながら攻めることができるため、アプローチを考えるのがとにかく楽しいんです。

ルアーのサイズやレンジ設定、どうやって暗部にルアー流し込むか、どのポイントに魚が着いているか…。その時その時で状況は違うが魚は居るとイメージしやすいからこそ引き出しの幅を広げる良いトレーニングにもなります。イメージ通りにバイトが出た時の“答え合わせ”のような瞬間は、何匹釣っても痺れる感動があります。狙って釣れるを身近に体験できる釣り方です!

東京湾の中でも僕が特に通い込んでいるのが荒川。江北橋から清砂大橋まで、ほぼすべての橋の明暗部を攻めてきました。このエリアをメインに、毎年シーバスと本気で向き合っています。

そして、気がつけば「やっぱりプロアングラーになりたい」という思いが再燃。人生で初めて描いた夢を、今度こそ実現させたい。釣りが心から楽しいと思える今の自分だからこそ、釣果や技術だけでなく、釣りの魅力、自然と向き合う喜び、魚との駆け引きの楽しさ。

そんな“釣りでしか感じられない感情”を伝えられるプロになりたいと思うのです。

釣りに人生を捧げてもいい、そう思えるほどにシーバス釣りに魅了されました。僕の生き方は、もしかすると「変わってる」「変態」なんて言われるかもしれません。

でも、夢の実現に向けて日々全力で竿を振り続けています。これからも、フードデリバリーや自分に合った働き方を模索して生計を立てながら、釣りの道を真っすぐ突き進みます。そしていつか、“東京湾のシーバスアングラー”として、釣りの魅力を多くの人に伝えられるプロになります。

稲垣佑輔(いながき・ゆうすけ)

石川県出身。シーバス釣りに魅了されて上京し、シーバスのプロを目指す。時合を捉えるために自由な時間で働けるウーバーイーツをしながら竿を振る。夢を目指す28歳。

※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

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