
アウトドアアクティビティとしての釣りとキャンプの相性は果たしてどんなものなのか?同列に語られがちなこの二つをくっつけてルアマガスタッフが満喫してきたので、その様子をお届けしよう。
●文:ルアマガプラス編集部
(ほぼ)都内発2日間の釣りキャンプ満喫プラン
釣りとアウトドアスタイルマガジン「HEAT」をご存知だろうか?
オリジナルコンテンツはもちろん、様々な媒体とコラボし、そのコンセプトにある「釣り」と「アウトドア」の可能性をガンガン広げているウエブマガジンだ。
今回はそんな「HEAT」とルアマガがコラボした企画にて「釣りキャンプ」のリアルを紹介したい。
ルアマガ編集部は東京の上野にあるが、「釣りキャンプ」に挑む2名は埼玉県と神奈川県にそれぞれ住んでいるため、表現は難しいが、ほぼ都内発ということで、今回のプランを組むことにした。
行き先は静岡県は伊東市。
伊豆半島のなかでも最も東に出っ張ったエリアだ。
すぐ北には熱海市もあり、観光地ともいえるエリアかもしれない。
都内(上野)からは車で約2時間半。
一泊二日工程であれば、十分に楽しめる距離感ではなかろうか。
今回は、そんな伊東を舞台に釣り→キャンプ→釣りというなんとも贅沢な予定のもとで二日間を過ごしてみて、釣りとキャンプ、それぞれの満足度を考えてみたいと思う。
まずはお手軽ファミリーフィッシング!
薄暗いうちに都心部を離れ、最初の釣り場に到着したのは朝6時。
伊東市の中でも有名な釣り場「川奈港いるか浜堤防」だ。
高山「いやーつきましたね」
助手席で半分寝ていた高山はあくびをかみしめつつ、表に出る。
福重「もう少し早く着きたかったところですが…仕方がないですね」
高山に続いて車を降りた福重。
実は出発直後に虫エサを買いそびれていたことに気づき、24時間営業の上州屋戸塚原宿店に立ち寄り、青イソメ(と余計な釣具)を買っていたため、想定よりも遅くなってしまったのだ
高山「あ、もうあんなに人がいますよ。人気の釣り場なんですね」
堤防沿いにはすでに十数名の釣り人の姿が。
福重「そうこうしていると入る場所がなくなってしまいますから、急ぎますよ」
高山「ここでは何をするんですか?」
福重「青物が回ってくるかもしれないのでショアジギ、それからちょい投げ仕掛けでキスなんかが釣れたらいいなと思っています」
今回の企画は釣りとキャンプを組み合わせるということで、夕食に使う魚を何としても現地調達したいところなのだ。
準備を終えて堤防へと向かうと、幸いにも二人で入れるスペースを発見。
早速ジグを投げていく。
福重はジャックアイエース。
高山はジャックアイ豆マキマキからスタートだ。
福重「え、いきなり弱気じゃないですか。ちゃんと夕飯釣ってくださいね…」
ところが高山、さらに弱気になり、ものの数投でジギングサビキに変更。
高山「これなら釣れそうな気がしますよ。お、来た!なんか釣れましたよ!」
なんと速攻ヒット…!
が…あまりにも小さいカマス。
それもジグサビキに変えたのにヒットしたのはジグ本体というオチつきだ。
福重「それはさすがに食べられないのでリリースですね…。」
しかしながらとやかくいう福重にもヒットしたのはジャックアイ豆ヒラリンで小さなサバのみ。
現地のアングラーに話を聞いたところ、10時頃からソウダガツオが回ってくるという。
その時間までまだまだ時間があるが、ほかの魚の反応も悪いため、福重は「投げキスセット」をチョイス。
朝購入した青イソメをつけて投げてみる。
するといともアッサリとヒット!
福重「おお…メゴチが一瞬で釣れてしまった」
時合待ちと称して深い眠りにつく高山をしり目に、小物釣りに夢中になる福重
福重「今度はチャリコ。あ、キタマクラ!」
サイズや種類はともかく、魚が釣れている気配に気が付いた高山も目を覚ました。
高山「なんか騒がしいと思ったら釣ってるじゃないですか。でもちっさいですね。それは食えないですよね?」
寝て釣りをしていないのによくいうやつだ…
しかし休憩して集中力が回復したのか、しばらくするとまさかの釣果が高山に訪れる。
高山「海藻かと思ったらタコだったです。タコ。おいしそう。じゅるり」
福重「あー…期待しているところ申し訳ないんだけど、この辺りはタコを持って帰ったらダメなんですよ。逃がしましょう」
高山「ガーン…」
夕食のネタとしては最高級クラスのマダコではあったが、捕獲してはいけないルールがあるため即リリースすることに。
福重「しかしよく釣れましたね。どうやったんですか?」
高山「ライントラブルを直してたら重くなったんです。最初は根掛かりかなって思ったんですが、重いままあがってきて」
ライントラブル…ひと眠りして集中力を回復したわけではなかったようだ。
その後も福重は餌釣りでを釣り続け、高山もジギングサビキで小さなサバなどを釣っていく。
釣れた数ではなかなかのものだが、肝心のオカズが…
福重「残念ながら時間切れです。そろそろキャンプ場に移動して設営しましょうか」
高山「食べられる魚は釣れなかったですけど、色々な魚に出会えて楽しかったですね。家族や友達ときて、ワイワイやったら面白そうです!」
知る人ぞ知るキャンプ場‼絶景がまっている⁉
二人が向かったのは、いるか浜堤防から湖岸線を少し北へ走った場所にある汐吹キャンプ場。
1泊1000円 詳しくは電話にてお問い合わせを。汐吹キャンプ場(0557-37-2074)
小さなサイトが3つだけある、隠れ家的キャンプ場。サイトへは汐吹公園の駐車場に車を止めて、そこから荷物を運ぶ。
福重「雰囲気抜群ですね」
高山「海めっちゃ近いじゃないですか!!」
駐車場から1分ほど歩いた先にある小さな原っぱがキャンプ場だ。
この日は他の利用者もいない貸し切り状態。
目の前にゴロタ浜が広がっており、思わず足を運んでしまう。
福重「ここは…いいですね。おかずが確保できそうです」
高山「え?ここで何が釣れるんですか?」
福重「ふっふっふ…それは後のお楽しみです。まずは設営しましょうか」
今回のキャンプ道具は福重が用意したものだが、厳密には福重の親の私物。
そのため設営には少し戸惑ってしまい、完成したころには13時になっていた。
福重「やっと完成しましたね」
高山「お疲れ様でした。それにしても暑いですね。ちょっと休憩していいですか」
言うが早いか、日陰で昼寝を始める高山。
福重「…まあいっか」
同じく昼寝をはじめる福重。
この選択があとあと後悔を招くことになるとは知らず…
キャンプ場近くの磯でロックフィッシュ狙いへ!
ふと気が付くとすでに15時。
2人して眠りこけてしまったようだ。
福重「寝すぎましたね…」
高山「でも日陰で寝るの、気持ち良すぎでした(笑)」
キャンプ的には大満足な時間だったかもしれないが、釣りの時間を圧迫、しかも夕飯となる魚を釣る必要があることを考えると、残り時間はかなり限られてきた。
福重「いるか浜堤防に戻ることも考えていましたが、近場に行きましょう。このキャンプ場の反対側にちょっとした地磯があるので、そこからアカハタを狙います!」
ところがいざ釣り場に行ってみると、そこには沢山のアングラーの姿が。
高山「今日平日ですよね?人、多すぎですよ」
福重「みんなシャクってますね。エギングをやっているようです。邪魔にならないよう、手前でやってみましょう」
沖へは投げられないため、ワンドの中を狙って高山はジャックアイマキマキを。
福重は瞬貫トレブルにフックを換装したソルト用クランクベイトを投げていく。
福重「キタッ!これは…食べられるサイズ!!」
キーパーサイズの20㎝クラスのカサゴをクランクベイトでキャッチ成功。
福重「もっと沖側を攻められればアカハタも期待できたんですけどね。ひとまず一人分は確保です」
高山「こっちもなんか来ましたよ!…あれ?ちっちゃい…」
高山に釣れたのは同じくカサゴだが、15㎝弱とずいぶん小ぶり。残念ながらリリースサイズだ。
気が付くと17時。
夕飯を作ることを考えると、もうほとんど時間はない。
福重「じゃあ最後にゴロタ浜に行きましょうか」
不思議なスタイルでムラソイを狙う
高山「ここはキャンプ場から歩いて行けるエリアじゃないですか。すっかり潮も引いてますし、ここで何が釣れるんですか?」
福重「ムラソイです。竿先からほとんどラインを出さない状態でセットしたジグヘッド+ワームを浅場の岩回りでちょろちょろ動かしてみてください」
そういってエギングロッドを分割し、両手にロッドを持ったような構えをとる福重
高山「なんですかそれ。変な恰好」
福重「なんてことを!これはコンダクター釣法と呼ばれる由緒正しいムラソイ釣りのスタイルです。この釣りいおいてはこのスタイルがもっとも取り回しがよく、最適なメソッドなんです。このスタイルを極めることにより、サーチ効率は120%上昇、食わせの面では63%上昇。コンダクター釣法を極めたものは無敵になる!」
そんな福重の講釈を微塵も聞く気がない高山は、福重が目を離したすきにあっさりとムラソイを釣り上げた。
高山「福重さーん!釣れました!これですよね」
しかもいきなり立派なサイズ。
食材になる20㎝クラスのムラソイだ。
福重「おお。よかったこれで夕飯が作れます」
コンダクター釣法なるスタイルを披露していた福重が結局釣れていないのが気になるが、ひとまずは初日の釣りが終了。
あとはキャンプだ。
キャンプ×釣り魚なら一番お手軽⁉ アクアパッツァを作ろう!
釣具を片付け、二人は伊東市内のスーパーへとやってきた。
高山「俺料理とかできないから何も手伝えませんけど、何を作るんですか?」
福重「(手伝えない⁉)アクアパッツァですよ」
高山「え、なんか凄そうな料理ですね。」
福重「実はそんなに難しくないんですよ。具材をナベにいれて、たっぷりのオリーブオイルと一緒に蒸し焼きにするだけ。そんな感じです」
高山「へー…楽しみですね」
塩と砂糖程度の最低限の調味料しか用意していなかったが、アクアパッツァなら複雑な味付けの必要がないのがありがたい。
スーパーでブロッコリー、パプリカ、タコ、ベビーホタテ、ミニトマト、オリーブオイル、白ワイン、ガーリックチップ、胡椒を購入し、キャンプ場へと戻る。
すっかり日も落ち、街灯が近くにない汐吹キャンプ場はすっかり真っ暗だ。
小さなランタンと携帯の明かりを頼りに、野菜を切ってカサゴとムラソイを捌く福重。
鍋にはたっぷりのオリーブオイルとガーリックチップをいれて温め、頃合いを見計らって魚を投入し、ふたをする。
しばらくしたのち、残りの具材も鍋に投入してふたをしてさらに待つ。
具材が全体的にしんなりとしたら塩コショウで味を調えてアクアパッツアの完成だ!
高山「ウマっ!シンプルなのにこんなに美味いなんて驚きです!」
福重「そうでしょうそうでしょう。釣った魚を簡単にキャンプで食べるならアクアパッツァは間違いなくおススメです」
別で茹でたパスタを投入して食べるのもおススメだが、気が付くとすっかり遅い時間。
翌日に備えて早めに寝るに越したことはない。
福重「本当は伊東港でライトゲームもしたかったんですけどね」
高山「今日は暑いし疲れましたし、寝ましょうか」
福重「ちょっとまて。こっちは料理をしたんだから、片付けは頼みますよ」
高山「そ…そんな…」
働かざる者食うべからず?
先にテントの中へと消えていった福重をしり目に、高山は闇の中で片づけを続けるのであった…
高山「寝たい…」
しかし思い出してほしい。高山は朝も昼もよく寝ていたことを…
ブルーギルの聖地でカヤック&釣り
迎えた二日目。
素早くキャンプ用具を片付けて向かったのは同じく伊東市にある湖「一碧湖」。10万年ほど前に噴火でできた小さな火口湖で、「伊豆の瞳」とも呼ばれる観光地だ。
ここは日本で初めてブルーギルが放流された場所としても知られており、釣りも楽しめるのだ。
高山「いやーきれいなところですね」
行きがけに購入した朝マックをほうばりながら高山。
高山「しかし本当に釣りができるんですか?」
福重「さっき桟橋にカヤックがあったじゃないですか。あれに乗って今日は釣りをしますよ」
高山「マジっすか!めっちゃ楽しそうじゃないですか!」
大学生的な遊びを愛する高山も思わずニッコリ。
カヤックは一碧湖のほとりにある「テラスカフェ一碧湖」で手続きをすることで借りることができる。
しかもここにあるカヤックは手漕ぎではなく、足で漕げるタイプ。釣りとの相性はいい。
スタッフから簡単に操作方法のレクチャーをうけたら、いざ実釣スタート!
高山「意外に難しいですねこれ」
安定性こそ高いものの、座ったままの姿勢からの釣りは慣れないとなかなかに難しい。
ちなみにカヤックは体重100キロオーバーの福重が乗っても安心!
とはいえ、数十分もすればすぐにコツをつかみ、高山のキャストもどんどんと様になっていく。
しかし残念ながら魚からの反応はない
福重「昨日の夜冷たい雨がふったみたいだからそのせいですかね…」
まだTシャツ一枚では過ごしにくい涼しさの一碧湖。
魚の姿を拝めたのは、お昼前だった。
福重「ブルーギルです!」
小魚系ワームのダウンショットリグでキャッチ!フックはフィネスワッキーだ。
高山「一碧湖名物(?)ですね!」
本命のブラックバスは釣れなかったものの、風光明媚な湖にカヤックで浮かび、釣りをする。
アウトドアアクティビティとしてはかなり満足度が高い。
その後はテラスカフェでお昼ごはんを食べて、帰路へとついた。
キャンプと釣りの相性はどうなのか
福重「お疲れ様でした。二日間を終えてどうでしたか?」
高山「結構忙しかったですね」
福重「たっぷりと昼寝しちゃいましたけどね。でも確かに、もう少しキャンプの時間とかのんびりしたかったかもしれません」
高山「キャンプ場があんなに真っ暗になるとは思わなかったので、片付けにも手間取ってしまいました」
福重「ベストは明るいうちから夕飯の仕込みをして、暗くなるころには寝る、とかですかね。そうすればライトゲームもできたかも。あとせっかく泊りだし、ビールも飲みたかった…」
高山「2日目はスタート時間がゆっくりだったので朝は余裕をもって撤収できましたね」
福重「でもあそこも可能なら海を眺めながらコーヒーを飲む、くらいしたかったです(笑)」
高山「朝マックも悪くないですよ(笑)。実際、キャンプと釣りの相性ってどう思います?」
福重「そうですね。自分らはウエイト的にはかなり釣り人よりなので、どうしても釣りに時間を割きたくなってしまう。そういう意味ではキャンプって時間を多く使ったほうが楽しめるから、プランの立て方が重要ですね」
高山「自分もそう思います。今回でいうと、お昼にした設営以降は釣りをしないくらいの時間がよかったかもしれないですね。そのうえで、夜に港にいくくらいのバランスがよかったでしょね」
福重「たしかに。午前中でいい魚が釣れていれば…。そもそも釣った魚を夕飯にするというプランがなかなかハードル高かった…⁉」
高山「でもアクアパッツァはおいしかったので満足はできましたよ!」
今回の二人はそこそこ満足のいったキャンプ&フィッシング。チャレンジする際にはぜひとも余裕のある工程でプランを立ててみてほしい。
お世話になった施設
汐吹キャンプ場
1泊1000円 詳しくは電話にてお問い合わせを。汐吹キャンプ場(0557-37-2074)
汐吹公園の駐車場から左下へ降りる道があり、その先にあるスペース。
水道はすぐそばにある。トイレは駐車場脇の物を使用。
週末は人気のようなので、予約がおススメ。
テラスカフェ一碧湖
一碧湖の玄関口とも呼べる、東側に位置するカフェ。有料駐車場も完備しており、一碧湖で釣りをする際の遊漁券も購入可能。
釣りをするためのボートは今回お借りしたカヤックのほか、いわゆる手漕ぎボートも使用可能。
カフェメニューも豊富なので、一碧湖釣行時の休憩にはぜったいおススメだ。
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