持続的に釣りを楽しむための、命を繋ぐ活動。釣り人に知ってほしい水の中の真実【YAMARIA/アオリイカ産卵床設置支援プロジェクト】

アオリイカの産卵床である藻場が減少していっている。ヤマリアでは産卵床を人工的に設置する活動を長年支援してきている。産卵床を作る様子や、実際に海中ではどのように機能しているのかを、ここで少しだけ紹介する。

●文:ルアマガプラス編集部

アオリイカの産卵床の藻場を人工的に設置

エギング界のマーケットリーダー的存在の「YAMASHITA」ブランドを擁するルアーメーカー『ヤマリア』。ヤマリアでは、エギングを末長く楽しんでいけるように、アオリイカ産卵床設置支援プロジェクトを2006年から継続している。これは、アオリイカ産卵床の設置を行う団体への支援活動と寄付、自社産卵床設置などを行う活動だ。

この活動の趣旨は以下のとおり。

【アオリイカ産卵床設置支援プロジェクト】 

  • 1.アオリイカの資源を増やす
  • 2.活動ノウハウを各地に広め、アオリイカ釣りを継続できる環境づくりを行う
  • 3.漁業者と協力することで、釣りに対する理解度をふやしていただく
  • 4.活動を釣り人に広く伝え、資源を大切にする心とマナーの向上を図る

この活動のメインになっているのが、アオリイカの産卵床の設置である。アオリイカは春に水深8〜12mほどにある藻場に卵を産む性質がある。しかしながら、日本の沿岸部の藻場が減ってきている現状があり、それがアオリイカの現象にも繋がっていると言われている。そこで、ヤマリアでは藻場の代わりに人の手で作った産卵床を海に設置しているのだ。アオリイカの産卵の役に少しでも役に立てればという、ヤマリアの人たちの思いから、この活動が始まった。

産卵床には適した木がちゃんとある

この活動は、ヤマリア本社がある神奈川県の三浦半島や、静岡県伊東、兵庫県神戸などで実施。各地元の自治体やダイバーショップ、小学校などと協力し、この活動を続けている。

産卵床は、実際に山に入り木を切って、それを縄で編み込んで作っていく。産卵床には、葉が広がって生えていて、海中に入れても葉が落ちにくい木が適している。いろいろと試した結果、マキの木やカシの木などが適していることがわかった。

組み上げた木の枝をアオリイカの産卵エリアまで船で運び、ダイバーさんの協力を経て、土嚢と一緒に沈めていく。産卵時期が終われば、この産卵床は回収される。また、シーズン中も必要であればメンテナンスも行っていく。入れてただ放置しておくというわけではないのだ。

海中での産卵床設置の様子

沈めた産卵床にはアオリイカがしっかり卵を産みつけている

この産卵床はしっかりと機能しており、アオリイカがちゃんと卵を産んでいる様子が確認されている。また、イカが卵からハッチする様子も確認できている。

ダイバーが撮影をしていると、生まれたばかりのイカが墨を吐いて逃げるシーンが動画には収められている。小さいながらもアオリイカらしい生命力を見せてくれるのは、何度も感動的ではないだろうか。普段地上からではみることができない海中では、イカが生命を紡いでいっていることがわかる。

ヤマリアでは今後もこの活動を定期的に続けていく。釣り人である私たちも、ルアーメーカーがこういった活動を支援していることを知ることには意味があるはずだ。大切な釣り場やフィールドの資源を守り、保護していくために意識を高めていくことはとても大切である。

※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。