46歳でメディアデビュー⁉ バス釣り界にオールドルーキーの新星誕生⁉ O-31リアルトーナメント初代王者“課長”とは誰なのか

46歳でメディアデビュー⁉ バス釣り界にオールドルーキーの新星誕生⁉ O-31リアルトーナメント初代王者“課長”とは誰なのか

31歳以上が参加できるベテランアングラーのレンタルボート大会「OVER31リアルトーナメント(O-31)」。先日2025年度の初戦が開催されて話題になっていたが、昨年11月に亀山ダムで初開催されたさいの初代王者は周囲から“課長”と呼ばれる謎の人物。ベテランアングラーたちの頂点に立ったこの実力者は一体何者なのか。

●文:ルアマガプラス編集部

加藤雅史 a.k.a.課長

デビル会で密着取材

デビル会とは、相模湖のスーパーロコ「デビル平川」こと平川征利さんが主催する招待制の大会。房総リザーバーを中心に、毎年冬に2回ほど行われている。試合はもちろん真剣だが、ほかのトーナメントではNGな、釣り中の情報共有もアリというアングラー達の交流をメインとする楽しい大会だ。これまでにも川村光大郎さん、草深幸範さん、早野剛史さん、五十嵐誠さんなどそうそうたる顔ぶれが参加している。

猛者たちも絶賛する“課長”とは一体何者!?

31歳以上のみが参加できる「OVER31リアルトーナメント」が昨年11月に千葉県の亀山湖で初開催された。大人たちがリアルな戦いを繰り広げる中で、優勝したのは“課長”と呼ばれている人物だったが、ルアマガ編集部内では“課長と呼ばれていること”以外は謎に包まれた存在。そんな
“課長”が2月23日に豊英湖で行なわれるデビル会に参加するという情報を掴んだ我々は、早速突撃取材を敢行した。

「おはようございます!」と朝から元気はつらつの大柄な男性。周囲のほかのアングラーからは確かに「課長、課長」と呼ばれている。この人物こそが“課長”こと加藤雅史さんだ。

「ほかの釣り雑誌には載ったことがありますが、実釣取材は初めてです」

早速、“課長”の略歴からお聞きしてみた。

「バス釣りは子供のころが初めてでした。でも、スケボーとスノボにハマっちゃって(笑)。しっかりとバス釣りを始めたのは14年くらい前です」

スノボでの怪我をきっかけに、レンタルボートでの釣りを始めたんだそう。

「そのあとは、いろんなローカル大会に参加してきました。こう見えて結構成績残してるんですよ(笑)」

そして、一番気になる“課長”の由来を聞いてみた。

「課長っていうのは、本業の役職からです。誰が最初に呼び始めたかはわかりません(笑)」

課長がトーナメントに参加するワケ

釣っちゃいまっせ

一般企業に勤めながら家族を養い、さまざまな大会に参加するエクストリームな課長をさらに深堀りしていこう。

「レンタルボートでの釣りを始めた2年後くらいから釣具屋さんが主催してる大会などに参加してきました」

なぜ課長は大会に精力的に参加するのかを尋ねてみた。

「スノボをやっていたときもスノボの大会に参加していたくらい、結構のめり込むタイプなんです。それで、普段のバス釣りの延長線で参加し始めました。同じ趣味の仲間とワイワイやるのが好きっていうのもデカいですが(笑)」

大会中よりも大会後の交流が好きだという課長。

「もちろん勝ちたいっていうのもありますが、話すのが好きなので、大会のあとの交流が大好きです。どこで釣れたとか、何で釣れたとか…。いろんなアングラーさんと交流できて勉強になるし、仲良くなれるのもうれしい。ちなみに、O.S.Pの峯村さんとは釣りの話はしないで、“大人な話”しかしません(笑)。絶対書いちゃダメですよ!」

そんな課長は、デビル会に参加してきて今年で4年目。

「相模湖の日相カップで会った平川さんに誘ってもらってから参加しています。ほかの大会と違って、大会中の情報共有もO‌Kだったり少しユルいところが楽しいですね。もちろん勝ちたいので、全力を尽くして戦います!」

輝かしい成績を数多く残している課長は、腕利きひしめく冬の豊英湖でどんな釣りを見せてくれるのだろうか。

こっそり聞いてみた!課長はどんな人?

千田 隆喜


せんだ・たかき/U-30ドリームトーナメント、O-31リアルトーナメントの主催者。H-1GPXを最年少で優勝するなど新進気鋭の若手で、バス業界を盛り上げるために精力的に活動している。

課長はとにかく面白い人。場を和ませたり、常に人を笑わせてくれるような、みんなから愛されるキャラです。釣りのイメージはいい意味で展開が読めない人。セオリー通りの釣りをしてると思ったら奇想天外な釣り方をしてたり…。しかもそれで、釣るからスゴイ!

課長は一緒にいると一日がすぐ終わるくらい楽しい人です。親切で紳士的、かつ面白い。しかも釣りも上手い。とくにサイトフィッシングがズバ抜けていて、同船したときにバックシートで僕が見つけられなかった魚を釣ってますね。イケてる男です。

山口 敦史

やまぐち・あつし/ノリーズプロスタッフ。相模湖や津久井湖をホームとしており、H-1GPXをはじめとした大会で多数の優勝経験をもつ。課長とは週一で会うくらいの仲良し。

課長の履歴書

氏名:加藤雅史
性別:男
生年月日:1978年12月11日(満46歳)
ホームエリア:相模湖 津久井湖
ホームエリアは相模湖と津久井湖で、近年メキメキと実力を上げ、ホームの大会を中心に多くの優勝経験をもつ。家族サービスがない休日はほとんど湖上に浮いているという。
「デビル平川さんとは相模湖の日相カップで仲良くなりました」
趣味:釣り、神社仏閣巡り、旅行
元々スケボーとスノボが趣味だった課長は、バス釣りだけではなく、オフショアの海釣りや旅行も嗜む多趣味アングラー。
「40歳を超えている人には分かると思いますが、年を重ねると神社・仏閣巡りが好きになります。不思議ですね」

タイラバなどオフショアでの海釣りも楽しむ課長。友人に誘われれば、ふたつ返事で行ってしまうという。「美味しいお土産を持って帰れるので、バス釣りよりは家族の反応が良いですよ」

人はみな、年を重ねると神社・仏閣巡りが趣味になるという持論をもつ課長。
「有名なところに行くというよりは、ぶらぶらして気になったところに行くって感じですね。もちろん奥さんも一緒です。神社巡りを口実に釣具屋に寄るのは言うまでもなく…。神社・仏閣巡りのち、釣具屋です」

旅行も趣味な課長。画像はタイのプーケットにて奥様と。
「この写真の中で女性はうちの奥さんだけなんです。あとはみんな男性です(笑)」

主な大会成績
10年以上、関東圏の大会に参加している課長は実績も豊富。OVER31リアルトーナメントだけではなく、さまざまな大会で成績を残している。中でもタックルアイランド主催のバストーナメントでは、3度の優勝経験が。
「タックルアイランドさんのバストーナメントは出られなかった年があるのですが、自分の中で勝手に3連勝ということにしてます(笑)」

OVER31 リアルトーナメント 第1回・優勝
昨年11月、亀山ダムにて開催されたOVER31リアルトーナメントで初代王者に輝いた課長。
「朝イチに釣れた2kgフィッシュが優勝に導いてくれました。ヒットルアーはクジャラの直リグでした!」

2023年、サンラインバス:ファンカップをロクマルで優勝
課長のメモリアルフィッシュとなるロクマルは、2023年6月に津久井湖で行なわれたサンラインバスファンカップ中での釣果。
「今まで釣れた中で1番大きかったのは、この大会でのロクマル。ゾーイで釣れてくれました!」

課長の秘密道具

ルアー

カレン180(O.S.P)
「オリキンさんがやっているニジマスチューンをしています。自分は板オモリを3gくらい貼っていて、結構潜るようにしています。あとは、ニジマスっぽく見えるようにマジックで模様を描きました」

TGブロー3/8oz(エバーグリーンインターナショナル)+ベローズギル2.8in(ジークラック)
「相模湖で強いのがこのセッティングです。スカートがフレアするようにゴムワッシャーを装着して、ベローズギルをチョン掛け。スカートが水中で綺麗に舞いながら、ベローズギルが“チュるん”としたアクションをしてくれます。結び目は引っ掛かり防止で、シリコンチューブを付けています」

フックの根元にゴムワッシャーのようなものを装着。スカートが膨張するようなアクションを生み出すという。

スピンナッツ50(O.S.P)
「バスが冬に捕食していることが多いと言われる水生昆虫のヤゴをイミテートして、六本の足になるようラバーを刺しています。ジャーク時のキレを上げるためにフックアイのところにスプリットリング、沈みを早くするためにスイベルを入れています。シンカー的な役割です」

ラスターブレード115(ジャッカル)
「デビル会のルールはブレードアラバマOKなので用意しました。ジーニアスのプラスブレードスクールで小魚の群れ感をさらに強めて、センターにはスリークマイキー90を装着しています。前日のプラではこれにだけバイトがありました(笑)」

ブリッツマグナムEX-DR(O.S.P)
「これはとくにチューニングはしていませんが、思い入れのあるルアーです。タックルアイランドバストーナメントの津久井湖戦で、前日のプラでバラした魚を大会中に取り返してくれました。嬉しすぎて大会中に初めて写真を撮りました(笑)」

ヘアリースパイダー クジャラ(イマカツ)

「クジャラを使うときはフックにこだわっています。使うのはDAIWAのバザーズワームフックSS(エキストラワイドオフセット)の#3/0ですね。針先の形状が独特でボディにピタッとフィットして根掛かりしにくいし、ゲイプがすごく深いので魚をしっかりと掛けられます。OVER31優勝の魚はクジャラの直リグで釣りました」

カバークリーパー8.8g(エバーグリーンインターナショナル)+HPミノー3.1in(O.S.P)
「カバークリーパーは、アピール力がアップするようにノーマルよりもラバー量を増やしてラバーを巻き直してます。ラバーの色はスモークカラーだけ。トレーラーのHPミノーは小さくなるよう頭部分をカット。コンパクトだけどアピール力は高いっていうのがカバー撃ちだと使いやすいですね」

タックル

①ベイトフィネス用
●ロッド:フェンウィック エイシス66CMLJ(ティムコ)
●リール:アルファスAIR TW 8.6L(DAIWA)
●ライン:PE1.5号 ②スピンナッツ(ボトムジャーク)用
●ロッド:フェンウィック エイシス68CMJ(ティムコ)
●リール:ジリオン SV TW 1000XHL(DAIWA)
●ライン:フロロ16lb ③フットボール用
●ロッド:フェンウィック エイシス510CMHJ(ティムコ)
●リール:ジリオン SV TW 1000XHL(DAIWA)
●ライン:フロロ12lb ④クジャラ用
●ロッド:フェンウィック エイシス68CMHJ(ティムコ)
●リール:ジリオン SV TW 1000XHL(DAIWA)
●ライン:フロロ14lb ⑤ディープクランク用
●ロッド:タトゥーラ エリート701MHRB-G(DAIWA)
●リール:ジリオンTW HD 1000HL(DAIWA)
●ライン:フロロ16lb ⑥ビッグベイト用
●ロッド:フェンウィック エイシス65CHJ(ティムコ)
●ジリオンTW HD 1000XHL(DAIWA)
●ライン:ナイロン20lb ⑦アンブレラリグ用
●ロッド:旧ブラックレーベル701XXHRB(DAIWA)
●ジリオンTW HD 1000HL(DAIWA)
●ライン:フロロ20lb

ボート

●エレキ:ゴースト(ローランス)
●魚探1:GPSMAP 1223+LVS34振動子(共にガーミン)
●魚探2(マップ用):エリート FS9(ローランス)
※イーサネットでエレキと連動「ライブスコープを導入したのは2年くらい前ですね。地形が見えるっていうのが一番のメリット!デメリットは反応がなかったらすぐ諦めるようになったことでしょうか(笑)」

愛車

クルマも好きだという課長は、左ハンドルのタンドラ(トヨタ)を駆る。「昔から、バス釣りのクルマと言えばピックアップトラックのイメージがありました。実際に導入するとめっちゃ便利! パワーはあるし道具もたくさん載る。特にラゲッジと居室空間を分けられるのがいいですね。濡れたままの道具をそのまま載せても抵抗感がないです」

冬の豊英湖vs課長
デビル会優勝なるか!?

デビル会はほかのトーナメントがオフシーズンとなる冬に開催される。そのため、一匹の価値が非常に高く、小さくても一本釣れればお立ち台、なんてこともある時期的には厳しい大会だ。

「今日のプランですが、朝イチはベイトを追っているバスを狙って、日が出てきたらカバー撃ちをします。日向は釣れないとノリーズの山口さんが言っていたのでずっと日陰です(笑)」

課長は出船後、前日のプレでバイトがあったというエリアにエントリー。

「プラではここで1バイトのみ(笑)。チャンスは朝と午後イチだけだと思います。なのでそこのタイミングはしっかりと…、魚探に映るのはヘラばっかりだな~」

オープンエリアはラスターブレード、カバーなどのストラクチャーにはクジャラのテキサスリグを撃ちこんでいく課長。

「OVER31を勝ったときは、クジャラの直リグでした。やっぱりエラストマーは謎のルアーパワーがありますね。魚探にはバスっぽい魚がたまに映りますが、ルアーをちょっと見て終わりです」

その後、ディープエリアや岩盤エリアへ移動を繰り返す。

「う〜ん、なかなか厳しい…。もし撮れ高がなかったらパンを食べてトンビに襲われてネタ作りますね!(笑)」

そんなやり取りを交わしているうちに帰船時間に。

「釣れなかった…。誰か写真用のバスをお恵みください(笑)」

残念ながら課長はバスを釣ることができなかったが、デビル会全体でも釣れたバスはなんと4匹。プロアングラー含め25人ほど参加していてもこの結果。なんと厳しいコンディションであったか。

「悔しいけどこれが現実です。次のバサーさんの取材では絶対に釣ります!(笑)」

みんなから愛される気さくな人柄に、確かな釣りの腕。フィールドでもしも出会ったら、「課長!」と声をかけてみよう。その人柄にあなたも癒されるはず。

愛しのバナナです(笑)

デビル会優勝者は…
デビル会の優勝はノリーズプロスタッフの山口敦史さん!ルアーはドライブシャッド4.5inに5gフットボールヘッドの組み合わせ。沈み物などのカバーにコンタクトさせるクランクベイト的な使い方で40UP2本を釣り上げ、激タフ戦を制した。2位は斎藤光雄さん、3位は川村光大郎さん、4位は中谷直之さんでした。

大会終了後、千田さんと戯れる課長。千田さんが関東に来た5年ほど前からの付き合いだという二人は世代のギャップを感じさせないほど仲良し。

トラブルなどもなく、無事に終了したデビル会。表彰後にはヒットルアーやパターン、釣れたエリアなどの情報交換のほか、協賛品を奪い合うじゃんけん大会が行われた

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