
H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は超豪華メンバーで競う艇王グランドチャンピオンシップ2025の参戦レポ!優勝した大津さんは一体何を考えてバスを釣ったのか。バスアングラーなら必見の内容だ。
●文/写真:大津清彰
強者勢ぞろい!艇王グランドチャンピオンシップ2025に参戦!
今回は艇王グランドチャンピオンシップ2025のお話
艇王グランドチャンピオンシップ2025
まさかこのメンツに混じって戦えるなんて・・・。関係者の方々は、日程を合わせるだけでも大変だったと思います。正直、こんなことはこれが最初で最後になるかもしれない、そんな思いを胸にプラクティスの日を迎えました。プラクティスは2日間。
相模湖は実は2か月ぶり。冬の感触では「今年の相模湖はちょっと例年とは違うな」という感じ。実際湖に出てみるとその感覚は変わらず。昨年、この頃からハリネズミのテストをしていたのですが、今年はそんな感じで釣れるバスは皆無。なんか水もよどんでいて全体的にイマイチの感じでした。
2日間のプラクティスで分かったのは
・水の良いエリアはバスが浮く。しかし水が流動的。翌日もいるとは限らない。
・秋山川にギルネストがあってでかいのがついている。
・秋山川上流域は1300g前後のバスが多数。
・秋山川の一部は1300gクラスがボイルしている。
・一二三沖と柴田沖のブレイクには昨年同様バスが集結している。
・各所ボート下には50アップがポツポツ付いている
という事でした。艇王は基本的に対決モノ、そして今回も8名で優勝のみを競う大会です。そうなると、通常のトーナメントとは試合展開が全く異なります。しかもすべての選手の過去映像は公開されているので、どんな選手でどんな戦略を組んでくるのか?そして装備は何なのか?おおよその予想がつきます。
となれば、やるべきことは各選手の裏をかいて「自分だけが釣れる魚」を考えることになります。艇王グランドチャンピオンシップに出場するようなレベルのアングラーの得意分野で戦ってもまぁ絶対に勝てませんね・・・。例えば青木選手の虫系サイト、伊藤選手のパワーフィネス等です。そういう釣りは最初から切り捨てました。(そもそも私の虫は青木流ですし、パワーフィネスは伊藤巧直伝です。)
そんな中で優位性があるとすれば、まずは「ライブスコープを使った釣り」だろうと考えました。伊藤選手・木村選手の米国勢がライブスコープに長けているのはありますが、日本国内でのライブスコープの世界は別次元の感覚が必要。
選手の中で青木選手が優位と考えられますが、おそらくサイトをメインで組んでくるだろうと予想。しかもライブスコープを使っても、ライブサイトをしない、もしくは現在最先端の超高次元の「ライブサイト」で仕掛けないと今の一二三沖は食ってきません。
これを青木選手が身につけているかは未知数だったのですが、とにかく一二三沖戦略は今回の中核になると考えました。ただ、ここは平日でも良い場所は陣取られてしまう・・・。ピンを外すと食わないので、多くても一般の方を混ぜて4~5名でしょう。まぁこの部分は最初からギャンブル状態。
一二三沖の魚
もう一つは秋山川の一角に陣取って丸一日ボイル待ち。取れれば3本4kg越える。秋山川は浮いている魚は必ずいますし、普通に狙っても釣ることはできます。ただ、青木選手や金森選手とガチンコ対決しても敗北は目に見えていたので基本的にはやらない方向。
金森選手はネバリストの称号を持つほどの方です。丸一日粘ることもあり得ますが、可能性としては低そうだなと予想しました。プラの感触としては1300gクラスは浮いているし見える。何か食わせる方法見つければ2日間で6本8000gくらいはあり得そうだな・・・なんて考えながらプラクティスを終了しました。
初日朝
※釣りの内容詳細はYouTubeのアーカイブに残っていますので詳細はそちらを確認してください。
DAY1
DAY2
2日間のプラを終え、ついに開戦!果たして結果は・・・?
流れとしては朝から一二三沖にベストポジションではないものの入ることができました。ただ、2本釣った時点で1770g。そして同じ場所で釣っていた黒田選手の魚もそれほど大きくない。黒田選手が3本目を釣った時点で、この日の一二三沖では目標ウエイトの4000gには到底届かないと考え、秋山川へ向かいました。
ですが、予想以上にバスが浮いていない!プラクティス最終日に見つけていたギルネストパターンも崩壊。そしてボイルも起きていませんでした。ちょいちょいキロクラスのチャンスもあったので、秋山川に残ってもう一匹釣るか?一二三沖にもう一度戻るか?考えましたが後者を選択。何度かダズリングフラッシャーで食わせたものの掛けることはできずに初日は終了。
結果、2本1770gで3位。全員、私が予想していたウエイトには全く届いていませんでした。結果論からすると、一二三沖で粘り倒すのが正解でしたが、他者のウエイトがわからない以上あの時はこうするしかなかったと今でも思います。
この時点で2日目の戦略は決まりました。一二三沖できっちりそろえて、ビッグフィッシュのチャンスを同じく一二三沖で狙う方法です。一二三沖の魚は2種類存在します。ひとつは痩せ気味で小魚系を食べられない個体。こういうバスはワームでなんとか釣れる。
もう一つがブリブリの魚です。魚系を食っている超天才。これはジョイントゾーイの連鎖リグやダズリングフラッシャーといった「間違いが起こりやすい」「交通事故が起きやすい」ルアーでないとまず絶対に食ってこない。
実は初日も連鎖リグとダズリングフラッシャーでバイトはとっていました。しかしモノにすることができない・・・。ただ、2日目は土曜日です。これはローカル情報でほとんどの選手が把握していなかったと思うのですが、相模湖の土曜日は釣れるのです。
何故か?土曜日は午前中、放水して流れが起きるからです。そのため、私が入った一二三沖も、場所が多少ズレていても初日よりウエイトを伸ばせるだろうと考えていました。
釣り方はレインズスワンプミニ1.3gネコリグ・ヴィローラマイクロのホバスト0.9g・ジョイントゾーイの連鎖リグ・ダズリングフラッシャー、この4本を軸として、ズームカーリーのスプリットショット・ロボリーチのDS・スピンナッツ50・クリーピーエッグラバー34ハーフカットのジグヘッド等々、他にもいろいろローテーションで食わせていこうと考えました。(こちらもアーカイブをご覧ください。その方がわかりやすいと思います。)
結果、正直できすぎな展開で7本キャッチし入れ替え、3本4880g、トータル6650gで優勝することができました!
トロフィー
様々な人たちの協力があり、この艇王グランドチャンピオンシップ 2025を開催することができました。参加選手の皆様、内外出版社様・バスフィッシングライブ様、スタジオ出演の皆様、そして秋山川釣の家様、ありがとうございました!感謝をしたいと思います!私にとって史上最高の試合をすることができました。ありがとうございました!!
★メインタックル★
ロッド: フェンウィック ACES-SF60SULJ “Ultra Finesse Special”
リール: 23 AIRITY ST LT2500S-XH-QD
ライン: エックスブレイド リアルデシテックス0.4号+LDLフロロ1号
ルアー:ヴィローラマイクロ0.9g+リューギ ホバーショット#6 ホバスト
ロッド: フェンウィック GW60SLJ
リール: AIRITY LT2500S
ライン: エックスブレイド リアルデシテックス0.4号+LDLフロロ1号
ルアー:レインズスワンプミニ1.3gネコリグ+がまかつV2ヤマメ10号
ロッド: フェンウィック GW68CMP+J
リール:アルファスエアTW
ライン: アブソルートAAA 14lb.
ルアー:ジョイントゾーイの連鎖リグ(ナス型おもり10号)
ロッド: フェンウィック S-TAV610CMHP+J
リール:タトゥーラTW
ライン: アブソルートAAA 20lb.
ルアー:ダズリングフラッシャー
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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