
エギングエキスパートの湯川マサタカさんが東北・南三陸エリアのライトエギングを実釣検分! 現地入りした時点で釣果情報はなし。湯川さんはツツイカ類を見つけられるのか? そして釣果は? イカ探しのプロセスから楽しむ湯川さんの釣りに密着。実釣中には湯川さんのエギング史上初という珍現象も! 『湯川流ライトエギングの楽しみ方 in 南三陸』をお届けしよう!
●文:ルアマガプラス編集部
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アウェイの洗礼!? 吹き荒れる風と立ち並ぶ人、人、人…
湯川さんは近年、ツツイカ類を狙うライトエギングの釣り場の視察や開拓も精力的に取り組んでいる。その一環として今回訪れたのは、南三陸エリア(宮城県)。実釣は6月下旬だ。
湯川「南三陸エリアは、エギングで何度か来たことがあります。この時季はライトエギングでケンサキイカが釣れるらしいです」
らしい…釣況は推測の範囲で、まず湯川さんが向かったのは地元の釣り具店。ライトエギングで使う小型スナップを購入。そこで目に飛び込んできたのが“ムギイカ、釣れはじめました”をアナウンスする一週間ほど前の釣果写真のポップだ。
店員さんに聞くと、釣れているのは一つの港だけで、港内で主に釣れる場所は2ヶ所のみ。釣り人は多いとのこと。しかも天気予報は夜まで強風となかなか厳しい条件だ。しかも実釣は土、日の夜。まずは現場へ急ぐ。
釣り場に立つと強風が吹き、イカ狙いの先行者が多数。湯川「イカは居るということやね。ただ、この風、キビシイなぁ(笑)」。
ところでムギイカって?
ライトエギングのターゲットは、ケンサキイカやジンドウイカ、ヤリイカなどのツツイカ類。いずれも美味な人気の釣りものだ。今回の実釣でメインターゲットになりそうなムギイカとは?
湯川「小型のスルメイカです。スルメやから食べても美味しい」
美味しいから釣り人も多い。昨年の今頃はケンサキイカが釣れて、今年はムギイカ。アオリイカのように季節による動向が解明されていないのがツツイカ狙いのライトエギングの難しさであり、面白さでもある。
ムギイカはスルメイカの幼体のこと。夏前の麦の収穫時期に沿岸部に回遊してくることからムギイカと呼ばれる。
釣り場は南三陸エリア特有のリアス式海岸の入り江の奥にある大型港。護岸には常夜灯が複数あり、暗くなるまで3時間以上あるというのにイカ狙いの多くの釣り人が立ち並んでいる。
湯川「この風の中、ライトエギング、人気ですね(笑)。風が背にできる空いてるところに入りましょう。夜が深まれば風も落ち着く予報やし」
湯川さんと取材陣は、ほかの釣り人の邪魔にならない一角に立ち、日暮れを待つ。
実釣に新戦力のセフィア セッピー2.2号(シマノ)を動員。どのように使うのかも今回の釣行の見どころだ。
セッピー2.2号とセッピー1.5号を上下に並べたリグでイカの反応を探る
夕マヅメを迎えると湯川さんは下にセフィア セッピー2.2号(シマノ)、上に同1.5号(シマノ)をつけたリグをキャスト。
夕マヅメから実釣スタート。湯川「暗くなる前もワンチャンあるからね」。
下にセッピー2.2号(シマノ)。30~40cm上にオヤコスイベル+エダス約1.5~3cmでセッピー1.5号(シマノ)を装着。湯川「1.5号はスッテの代わりやね」。
セフィア セッピー2.2号(シマノ)
●サイズ:2.2号●重量:9g●沈降速度:2.2秒/m●カラー:8色●発売:2025年8月予定
セフィア セッピー1.5号(シマノ)
●サイズ:1.5号●重量:4.5g●沈降速度:3.7秒/m●カラー:6色
湯川「風が強いので、こうすると重量が稼げて風に対処しやすい。あと、どっちのサイズのエギを好むのか、どっちのレンジのエギにイカの反応が良いのかといった釣るための情報を集めやすい」
上下でエギの色を変えれば、反応の良いカラーも見えてくる。
使い方はボトムをとってチョンチョンッとソフトにシャクってステイ。だが暗くなってもイカのアタリはなく、立ち並ぶ釣り人のサオが曲がることもない。
上にセッピー1.5号、下に同2.2号をセットしたリグ。1投の中でエギのサイズ、レンジ、カラーを変えて誘うことができる。高活性時は一荷も期待できそうだ。
浮いてるイカがいない!? 地元アングラーが苦戦の中、セッピー2.2号のボトム攻略が炸裂!
日が暮れると周りの釣り人が海面に向かってライトを灯す。
湯川「南三陸は集魚灯が許可されていて、イカを寄せて釣るスタイルみたいですね」
南三陸エリアはライトでイカを足元に寄せて釣るアングラーが多い。
もちろん、湯川さんは集魚灯を持っていない。ただ、この夜は集魚灯の効果も現れていないようだ。灯りに集まるイカの姿がない。
湯川「もしかしたらイカは沖のボトムに居るんちゃうかな」
この夜、もう一つ異変が。予報では夜にはおさまるはずの風が逆に上がっている。
湯川「セッピー2.2号で沖のボトムを攻めてみます」
使用エギはセフィア セッピー2.2号(シマノ)。カラーはケイムラピンキー。湯川「イカメタルでも実績抜群のフラッシュブーストを搭載したカラーです」。
立ち位置はフォローの風。
湯川「エギはめっちゃくちゃ飛ぶけど、風が吹いてやりづらい。セッピー2.2号で底、わかりますね。ラインが真っ直ぐになるようにメンディング。チョンチョンッとソフトにシャクって、ああっ! アタった!!」
イカはのらずにステイを入れると、ついに!
湯川「すごい! 明確にアタるね(笑)。気持ちいい!」
ロッドティップをクンクンッと曲げるのは間違いなくイカの引き。釣り上げたのは情報どおりのムギイカだ。
地元アングラーが触っていない沖のボトムを探って待望の1杯。
湯川「かなり沖のボトムやね(笑)。一回アタって、エギの姿勢を真っ直ぐに立て直したら、バンッてアタってきた。あと底潮も効いてるんで喰ってくれたね」
さらに同じ攻め方でムギイカが連発! 立ち並ぶ釣り人の皆さんに、まだ釣れている様子はない。
立て続けの2杯で再現性も確認。イカの数が多く、無風で釣りやすい状況なら釣れ続くパターンだ。
爆風下のブラインドの釣りで釣果を出したセッピー2.2号とタックルセッティングの妙
爆風下のライトエギングで、ボトム付近を探るブラインドの釣り。感覚を頼りに釣りを組み立てるには、セフィア セッピー2.2号(シマノ)の存在が大きかったようだ。
湯川「セッピー2.2号は沈下スピードが1秒で2.2mと速い。潮をしっかり噛みやすい形状とバランスで操作感がつかみやすい。エギの姿勢を安定させやすいから、体感で風速10mもあるような状況でもボトムをとって釣ることができます」
セフィア セッピー2.2号(シマノ)の登場は、ライトエギングの可能性を広げることになりそうだ。
湯川さんがライトエギングで使うエギ。右上からセフィア セッピー2.2号。同1.5号。左上からセフィア クリンチフラッシュブースト3.0号。同2.5号。同1.8号(すべてシマノ)。湯川「使い分けは水深や潮の速さ、ほしい飛距離やフォールスピードなど状況に合わせて。基本的な考え方はアオリのエギングと一緒です」。
湯川「今日のように風の強い日もそうやし、セッピー1.5号では攻めきれない深場や速い潮の流れもセッピー2.2号なら攻められる。釣れるイカのサイズによって2.2号と1.5号を使い分けたりと、ライトエギングの手の内を増やせますよね」
小さいエギは水を抜けすぎて何をしてるかわからないという状況に陥りにくいのもセッピーシリーズの特長で、使い手にとってはありがたい。
風がますます強くなるとセフィア セッピー2.2号(シマノ)に2g強のシンカーを装着。
シンカープラスで1杯追加! アジングのようにリグの拡張性があるのもこの釣りの楽しさだ。
湯川「あとセッピー2.2号の単体なので、ロッドをセフィアXR S73SUL-Sからソアレエクスチューン S64UL+-Sに変えました。ソアレのほうが短くて、ブランクスが細いので空気抵抗を受けにくい。爆風の日は操作性や感度の面で有利です」
使用タックルデータ
左
- ロッド:セフィアXR S73SUL-S(シマノ)
- リール:ステラC2500S(シマノ)
- ライン:ピットブル4 0.4号(シマノ)
- リーダー:セフィアマスターフロロリーダー1.5号(シマノ)
右
- ロッド:ソアレエクスチューンS64UL+-S(シマノ)
- リール:ヴァンキッシュ1000SSSPG(シマノ)
- ライン:ピットブル4 0.4号(シマノ)
- リーダー:セフィアマスターフロロリーダー1.5号(シマノ)
実釣1夜目は、地元の釣り人が狙っていない沖のボトムで釣果を出した。
湯川「港に入っているイカの群れが小さいから集魚灯に寄るイカも少ないんかなぁ。そんな状況でも潮が効いてればボトムで喰うのがわかった! 風が強くて釣りづらいけど、エギをコントロールしてアタリを出すのが超楽しい(笑)」
難しい状況になるほど燃える湯川さん。初日は深夜まで南三陸のライトエギングを楽しんだ。
湯川「難しいけど超楽しい!」。爆風の中、ヒットパターンを見つけたのはさすが。湯川「イージーなときはエギを投げて落とすだけで釣れる。気軽にライトエギングを楽しんでほしいですね」。
常夜灯がなくても釣れるか? 実釣2夜目は水深があって潮通しの良い堤防で検証
実釣2夜目は日曜日。湯川さんはあることを検証するために新たな釣り場にエントリーした。そこは常夜灯のない漁港だ。
湯川「昨晩は沖のボトムで釣れた。だったら常夜灯のないところでも釣れるんじゃないかな、と」
常夜灯絡みはライトエギングの釣り場選びの基本だが、あえてそこを外す。
湯川「水深があって潮通しの良さそうな堤防にやってきました。ここなら人も少なそうやし」
それでも夕方近くになると、続々と釣り人が現れ、実釣2夜目は堤防先端で粘り倒す展開となった。
湯川「深そうやね」と実釣開始前にセフィア セッピー2.2号(シマノ)にシンカー(約2g)を追加して水深を測る。湯川「明るい時間にやっておけばラインの動きでボトムがきっちり把握できます」。
湯川「シンカーをプラスして74カウントで着底。エグない? 水深15、6mはある」
夕陽が山の向こうに隠れる頃から実釣スタート。海は前夜の爆風とは打って変わって静穏。釣りはしやすそうだ。
湯川「きれいやな」。美しい黄昏の海を借景に釣りが楽しめるのも南三陸エリアのライトエギングの魅力だ。
夕マヅメはチャンスタイム。まだ空に明るさが残る午後7時すぎに本日の1杯目がヒット。
実釣開始早々に! ライトエギングらしい連発劇の開幕か?
湯川「港内側の浅い方でボトムをとってちょっとシャクり上げて待ってたらきましたね。これはなんだ? ジンドウイカやね。今は産卵期で砂地で産卵。これはメスで胴の傷は交接で負ったものやね」
ジンドウイカはヤリイカ科の胴長12cm前後の小型イカ。北海道以南の全国各地の浅い海に生息する。地域によってはコイカ、ヒイカと呼ばれるライトエギングのターゲットだ。
ヒットエギはセフィア セッピー2.2号(シマノ)のチャートグロー。
イカがアミを捕食!? エギで釣るのは難しい夜! 南三陸エリアにみるアミパターンの必要性
夕マヅメにジンドウイカを釣って以降、辺りが真っ暗になってもイカの反応はなし。
湯川「昨晩のように底潮が効いてない。やっぱりイカ釣りは潮が動かないとキビシイなぁ…」
同じ堤防にのる釣り人の皆さんは集魚灯をオン! イカの姿は見えるようだが釣果はない。そんな中、カメラのライトが照らす水面にイカがフラフラと現れる。
湯川「イカや! よしっ!」
湯川さんはセフィア セッピー2.2号(シマノ)を使いサイトで狙うがイカはエギを素通り。
湯川「居てるから喰うっちゅーもんでもないね。普通、見えてたら巻いてるだけで喰う。アオリよりイージーやと思っていたけど」
再び現れたイカは足元付近で何かを捕食! セフィア セッピー1.5号(シマノ)にサイズを落としてもイカは無視。
湯川「ケンサキ(イカ)かな。食い気がないわけじゃない。わっ、なんかアミみたいなもん喰ってる(笑)。初めてのパターンやね。だからエギで釣るのは難しいんか?」
ライトエギングでアミパターンの必要性に気づく。
湯川「こんなときでも何かできることがあるかもしれへん。今後の宿題ですね」
実釣はアミを捕食するイカに翻弄されてそのまま終了。
湯川「常夜灯の有る無しより潮が動くか、が大切やね。今夜は終始、良い感じに潮が効かんかった」
2夜目のハイライトはジンドウイカに終わったが、今回の新たな発見がライトエギングをさらに進化させるに違いない。湯川さんが魅せるライトエギングの今後の動向にも注目だ。
「水深17m。はいどうぞ!」と船長のアナウンスが筒抜けの距離にイカ釣りの遊漁船が現れる場面も。湯川「サオは曲がっていませんね。潮が動かないから厳しいよね」。この夜のイカ釣りは陸も船も低調だったようだ。
「南三陸はエギングが好きな人にとってめちゃくちゃ魅力的なところやね」
実釣を終え、湯川さんに南三陸エリアのライトエギングの感想を聞いてみた。
今回のようの厳しい条件の中でアタリを出して獲る1杯は格別。エキスパートがテクニカルに楽しむのもよし! ファミリーで手軽に楽しむこともできる。この振り幅がライトエギングの魅力だ。
湯川「南三陸エリアは沿岸が入り組んだリアス式海岸で、足元から水深のあるところもあって地形的にも変化に富んでる。
今回釣れたムギイカとジンドウイカにケンサキイカもライトエギングで釣れる。今回も条件が良ければ、もっとイージーに釣れたはずなんですよ(笑)」
本来はもっと簡単に釣れるからこそ、多くの釣り人がサオを出していた?
湯川「そう。南三陸では手軽に楽しめる人気の釣りですよね。
あと、このへんはアオリイカも狙える。一年中、何かしらのイカが釣れる地域なので、エギングが好きな人にとってはめちゃくちゃ魅力的なフィールドだと改めて感じました。
ぜひ、また来たいし、皆さんにも南三陸のライトエギングを楽しんでほしいですね」
アングラー プロフィール
湯川マサタカ
ゆかわ・まさたか 和歌山県紀伊半島をホームに活躍するエギングのエキスパート。攻撃的なラン&ガンから丁寧なボトム攻略まで釣りの振り幅は広く、1杯を獲るまでの過程にもこだわる釣りを展開する。近年はツツイカ類を狙うライトエギングの釣り方やフィールドの開拓にも取り組み、その魅力を発信している。
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