【青木大介のチョウチン道場】吊るすべきカバーとポイントとは?

【青木大介のチョウチン道場】吊るすべきカバーとポイントとは?

オカッパリ、ボート問わず、ハイシーズンの大きな武器になる「チョウチン」は、ラインを枝などのカバーに引っ掛けてルアーを吊るし、水面で誘いをかける釣りだ。繊細な釣りだがバイトはエキサイティング。チョウチンの第一人者である青木大介さんに、そのテクニックを余すところなく教えてもらった。

●文:ルアマガプラス編集部

profile

青木大介(あおき・だいすけ)
国内トーナメントのビッグタイトルを総なめにして2019年からは米国トーナメントに参戦。2021年B.A.S.S.サザンオープンダグラスレイク戦優勝。2024年からはJBトップ50で活躍中。虫ルアーでのチョウチンを得意とする自称「チョウチニスト」。

高滝湖/たかたき・こ
千葉県房総半島を代表するリザーバーで、レンタルボートとオカッパリでバス釣りが楽しめる人気のフィールド。ボートのレンタルと遊魚券の購入は高滝湖観光企業組合で(オカッパリも遊魚券が必要です)。
〒290-0557 千葉県市原市養老字柏野1365-1番地
TEL:0436-98-1277

本日の目標 チョウチンの「心」「技」「体」を習得せよ!

師範代
日本チョウチニスト協会JCA会長(自称
)※
青木大介
※実在しません

青木大介のサイトを支える鉄板テク

青木大介さんにとって、チョウチンの釣りは長年のキャリアで体得したサイトフィッシングの常套手段。過去のJBトップ50では弥栄湖戦でウイニングパターンとなり、直近では2023年の艇王で見せたチョウチンの爆釣劇が記憶に新しい。そのとき青木さんが語っていた「チョウチニストのレベルにも1から10くらいまでありますから」という言葉が発端となり、今回、チョウチン道場を依頼し、快く引き受けていただいた。

「自分以外でチョウチンをやり込んでいるプロはあまり知らないかな。藤田京弥はけっこうやってるよね。チョウチンは強力なサイトの武器になるけど、どんな状況でも釣れるわけではない。まずは、シャローカバーにバスが差しているエリアを見極めることが大切。あとは、フィールドによってもチョウチンが効く場所と効かない場所がありますね」

そう言うと、青木さんはむやみに竿を振ることなく、じっと岸際の水面を見つめながら養老川を遡上していった。

「まだバスが岸際のカバーに浮いていない。チョウチンは朝イチよりも昼から午後にかけての方が効くイメージです。見えバスはいましたが沖を泳いでいますね」

稽古その①『心』 吊るし場の見極め方

サイトが基本。カバーや岸に寄っている方が食わせやすい
カバーの奥や岸際にバスが止まっていたり回遊していたりすればチャンス到来。写真上のように張り出したレイダウンのシェードにもバスが止まっていることがあるのでチェックすること。高滝湖の場合、写真下のような壁に生えた植物に吊るし、壁を伝うようにルアーを吊るせばバスをだましやすいが、高いキャスト精度が要求される。カバーから離れて沖を泳いでいるバスはチョウチンでは狙いにくい。

壁際の枝にキャストが決まり、バスもたまらずバイト! 残念ながらすっぽ抜けてしまったが、こんなエキサイティングな光景が見られるのがチョウチンの醍醐味だ。

吊るしの『具』

ムシエモン[ディスタイル]
エラストマー素材の浮くタイプの虫ルアー。チョウチンでの使用はもちろん、浮力を生かして、水面で放置したり、ドッグウォークさせたりできる。柔らかい素材と深いスリットでフッキング性能も抜群だ。

SVSB [ディスタイル]
虫ルアーの絶対的定番。こちらは沈むタイプ。フォールではそれぞれの触覚がピリピリと細かく振動してバスを誘う。水面チョウチンに反応しなかった場合、沈めるという次の一手を繰り出せるので、青木さんはまずはSVSBを使うことを勧めている。

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ディスタイル(DSTYLE)

ミミキング6.8in[ディスタイル
エラストマー素材のロングワーム。変化球として、ロングワームをチョウチンで使うこともある。ただし、虫ルアーよりはフッキングが悪いので、青木さんは虫ルアーをメインに使用していた。オープンウォーターのサイトではミミキングの出番が圧倒的に多い。

青木大介御用達のチョウチン対応PEライン

ザルツ ゼノス X8 BASS[ラインシステム]

フロロカーボンのような滑らかさのPEライン
ハイグレード原糸をINFINITY PITCHという精密なピッチで編み込んだザルツ史上最強の8ブレイドPEライン。直線強力、耐摩耗性、飛距離という相反する要素を高次元で融合した。
青木「触ればわかるんですが、フロロカーボンのような滑らかさで表面の凹凸をほぼ感じない。チョウチンの釣りでカバーに引っ掛けてもスルスルと落ちてくれるし、飛距離も出ます。直線強力が0.8号で16lbあって強い。PEっぽくないPEラインですね」

稽古その②『技』ルアーの動かし方

変幻自在の揺らしパターンを習得せよ!

①吊るせたら、まずは水面からあまり離れないようにピョンピョンと小刻みに虫ルアーで水面を叩く。

②①の動かし方でバスに気づいてもらえなかった場合は、上下動の幅を大きくして、より水しぶきが出るように激しく誘う。これでも気づいてもらえない場合は、吊るす位置が悪い

③バスが虫ルアーを発見して近づいてきたら、虫ルアーを水面から出して、空中で止め、バスを焦らす。空中でシェイクするのもあり。このあとに再度、ルアーを水面に落としてバイトに持ち込む。

④③までの誘いに反応しなかった場合は、沈む虫ならではの奥の手として、スッとルアーを沈めてみよう。水面には反応しなくてもこの誘いで口を使う場合も多い。

距離をとって仕掛けられる釣り

「チョウチンの最大の強みは、距離をとってアングラーから仕掛けられる釣りだということ」

通常のサイトでは、ルアーにアクションを加えるたびに、ルアーは手前に寄ってきて、バスからルアーは離れていってしまう。一方、チョウチンの釣りは同じ地点から全くルアーを移動させることなく垂直方向の距離を利用してバスを誘うことができる唯一無二のテクニックなのだ。

「うまく吊るせたらあとは魚との駆け引き。まずはSVSBでこの『揺らし』の4パターンを習得してください」

真夏のエリア選択は流れ(カレント)が肝!
今回は流れがヨレるカーブよりもそのあとのストレートなストレッチに見えバスが多かったね。

応用編 どのカバーに吊るせばよいのか?

オープンスペースではなくできるだけ濃いカバーに吊るす
例えば、下写真の場所で、AからBの方向に見えバスが泳いできたとしよう。その場合、①に吊るして食うバスはイージーなバス。気難しいバスを食わせるためには、バスの進行方向の先にある濃いカバーの②に吊るしておき、バスがカバーに近づいたときに気づかせて食わせる。また、Cのような沖側を泳いでいるバスはチョウチンの守備範囲外。青木さんは沖の見えバスはロングワームのジグヘッドワッキーで仕留めていた。

ミミキング6.8in[ディスタイル]+エグジグワッキーヘッド1.3g[ジャクソン]

稽古その③『体』チョウチンの命は正確なキャスト

養老川のバスは引きが強いため、青木さんは今回、M~MHクラスのロッドにPE1.5号というパワースピンをセレクト。基本はピッチングで、手首のスナップを効かせて鋭い直線的な弾道で虫ルアーをカバー奥に送り込む。

チョウチンはキャストが8割

あいにくこの日の養老川は流れが止まり、水が全く動いていないようだ。

「流れがビタ止まりの日でも、流れが効いている場所は必ずどこかにあります。今、上流に向かって見ていったかんじだと、川のカーブよりもそのあとの直線的なストレッチで流れが少しあり、バスも何匹か見えましたね」

沖を回遊していた見えバス2匹をミミキング6.8inのジグヘッドワッキーで難なく仕留めた青木さんは、岸のカバーでグッドサイズを目視。鋭いキャストでSVSBを送り込み、いとも簡単にバイトさせた! Mクラスロッドに1.5号のPEを巻いた3000番スピニングというパワータックルで強引にカバーから引き剥がす。見事な47cmの魚体だった。

「養老川のバスはめちゃくちゃ引くので、強めのタックルを用意しておいてよかった。チョウチンの成否はキャストで8割が決まる、といっても過言ではないくらい重要です。鋭く強めにキャストして、フェザリングで調整するとよいです。今のは角度が難しかったのでサイドキャストで送り込みました。あと、最近はPEラインにはフロロリーダーを組むようにしています。カラミ防止になるのと、結束強度も強いので」

その後も青木さんはチョウチンで次々とバスをキャッチ。この夏、あなたもチョウチニストになってみてはいかがだろうか。

チョウチンの全ては正確なキャストから始まる!

使用タックル
[ムシエモン用]
ロッド:ディハイロ DHRS-66ML マックスフィネス(ディスタイル)
リール:22イグジストLT2500S-XH(DAIWA)
ライン:ザルツ ゼノスX8 BASS 0.8号+ライトゲームリーダー FC 2号(ラインシステム)
フック:TNSオフセット #2(ハヤブサ)
[SVSB用]
ロッド:ディハイロ DHRS-68M プロト(ディスタイル)
リール:22イグジストPC LT3000-XH(DAIWA)
ライン:ザルツ ゼノスX8 BASS 1.5号(ラインシステム)+フロロ12lb
フック:TNSオフセット #3(ハヤブサ)
[ミミキング6.8in ジグヘッドワッキー用]
ロッド:ディハイロ DHRS-63L フィネスバーサタイル(ディスタイル)
リール:18イグジスト FC LT2500S-CXH(DAIWA)
ライン:ザルツ バスハードFC 4lb(ラインシステム)
フック:エグジグワッキーヘッド 1.3g(ジャクソン)

フロロカーボンラインは使い分けが大切

今回青木さんは、オープンエリアを回遊していたバスに対しては、ロングワームのサイトを展開。サイトではハリが強く感度重視のバスハードFCを使用。一方、ダウンショットリグや太番手のラインには、よりしなやかなザブラックFCを使用している。

ザルツ バスハード FC[ラインシステム]
【かため】【感度重視】【サイトで使用】

ザルツ ザブラック FC[ラインシステム]
【しなやか】【ダウンショットで使用】【太番手も扱いやすい】

これにてチョウチニスト道場、免許皆伝!