【死の危険も⁉マダニに噛まれた!】初めての長良川で無慈悲な洗礼…「状況が悪すぎました…」それでも狙った『50アップ』という目標

【死の危険も⁉マダニに噛まれた!】初めての長良川で無慈悲な洗礼…「状況が悪すぎました…」それでも狙った『50アップ』という目標

これまで霞ヶ浦水系を舞台にお届けしてきたササカツ無双が新たなステージに突入する。アングラーがこれまで釣りをしたことがないアウェイ(初場所)の地で、事前情報がない状況からプラクティスを行い、そのフィールド・状況のマックスクオリティの魚を狙う企画『アウェイの洗礼』にチャレンジ。しかし今回、目まぐるしく変わる天候から思わぬトラブルまで、予測不能の展開が佐々木勝也を待ち受けていた。

●文:ルアマガプラス編集部

佐々木勝也
ささき・かつや/ 1988年生まれ。茨城県在住。類稀なるフィッシングセンスを持ち合わせ、フィネスとパワーフィッシングを駆使してビッグバスを狙い撃つ。『カスミ水系オカッパリでもっとも釣る男』との呼び声も高い。DAIWAバスプロスタッフ。

アウェイの洗礼とは

アウェイの洗礼は、初場所を舞台とする釣り人の「己との戦い」である。初日のプラクティスおよび現地での情報収集を通して、そのフィールドおよびタイミングでのマックスポテンシャルを自身で設定、その目標をクリアできるよう2日目に挑む。

● 釣行場所はアングラーが決定。ただし、  過去に釣りをしたことがない場所に限る。
● 釣行は2日間。初日はプラクティス、2日目が本番。
● 現地で案内人を帯同することは不可。
● 他人から電話やメールで事前に情報を得ることは禁止。 ただし、ロケ中に現地の釣り人や釣具店などから話を聞くことは可能。
● 実釣可能時間は両日とも6:00 ~ 18:00とする。
● 1日、20分の小休憩2回と1時間の昼休憩を取ること。 休憩の間隔は最低2時間以上取ること。

DAY1:プラクティス
前日に降った100ミリの大雨。いきなりアウェイの先制パンチ

逆ワンド地形に魚がいれば食わせる自信はある

アウェイの洗礼の地として佐々木さんが選んだのは、中部エリアの大規模河川、長良川だ。この長良川というフィールドにはどのような印象をもっているのか。

「バスの数は少ないものの、魚のコンディションはすごく良いし、アグレッシブで野生的なバスがいる印象。60センチクラスの魚が過去に釣れているし、魅力的なフィールドなのでいつかやりたいと思っていたんです」。

初日はプラクティスデイ。釣りの準備段階として、佐々木さんは事前にフィールド全体を衛星地図でチェックしていた。

「長良川は広大で、1日ではとてもじゃないけどすべてのポイントを見て回ることはできない。ですので、まずは航空写真で流れの当たりそうな地形、流れのヨレる地形などをチェックしていきました。一番意識したのは逆ワンドなど本流から入り込んだ地形。時期的にはインサイドに魚が入ってくるので絞り込みやすいとは思います。淀川などでも思ったことですが、川は難しい反面、ハマったときはびっくりするくらい釣れるので、それに期待したいですね」。

しかしながら、ロケ前日は大雨&強風。まさに春の嵐で、傘をさす意味をなさないほどの悪天候。夜間には100ミリ近い雨が降った。釣りに与える影響も小さくないはずだ。

「春のメスバスを狙う上では一番やりにくい状況になっちゃいましたね。時期的に一度産卵したバスがサスペンドして休んでいるタイミングなのですが、この悪天候だと一気に沈んでしまう。プラ、本番とも風が強く寒い天候なので、かなり厳しい戦いになると思います。ただ、天候はどうであれ、バスがインサイドに入ってきてくれれば、ある程度食わせる自信はありますよ。季節感次第では、本流でフィーディング系の魚も狙っていきたいですね」

最下流のアシ島が点在するスポット。シャローが広がっており、まさに春の定番となり得るポイントだが、バスの姿は確認できなかった。

船頭平エリアから本流へ繋がるポイントもチェック。前日の大雨の影響で増水しており、冠水ブッシュ
が点在。雰囲気は良かったが魚の反応はない。

現地で会ったアングラーと情報交換をする。昨年の同時期に、この船頭平(せんどうひら)エリアでロクマルクラスをバラしているらしい。また、先週55センチのバスが上がったとの情報も。

DAY1:プラクティス
ビッグバスのショートバイト。これをヒントに目標サイズは50センチに設定

春バスに絶大効果のスティーズフィネスストレート

長良川のもっともポピュラーなエリアである船頭平からスタートし、最初に大きなヒントを得たのが4ヶ所目のコの字型の水門エリア。ジグストで50センチクラスがバイトしてきた。

本流からコの字にえぐれているポイントで、ジグストで50アップのバスがバイト。これが今回のバスのコンディションを測る大きなヒントになった。

「しっかり口の中に入ったのに、まったく乗らなかったですね。ジグのガードを間引いているのにフッキングしなかったのは、フィーディングというよりはスポーンを意識した状態だから。本来はストレートワームとかじゃないと食わない魚だったんでしょうね。ただ、これで決まりました。今回の目標は50センチにします」。

午後になると暖かさが増し、見える魚の量が増えてきた。この日一番反応を得たのは夕方前。スティーズフィネスストレートでキャッチした45アップだ。

「このワームに変えたら反応が一気に変わりました。この細身ボディとテールの形状で、ナーバスで食い気がない魚にもちゃんとアピールできているなと。こういった魚も食わせられるんだって、新たな引き出しが増えた感じですね」。

2日目が本番。目標の50 アップを目指して釣りを展開していくことになる。

「今日いろいろ回ってみて思ったのですが、いる場所にしか魚はいないなと。いくら春はインサイドに寄りやすいとはいえ、しっかり環境が整った場所にしかバスはいない。そして、バスの数はお世辞にも多いとは言えない。川の規模に対してバスの密度は薄い印象。そして、オカッパリが成立する場所も少ない。ただ、ツボを押さえればしっかりバスは釣れるし、予想通りバスのクオリティは高いですね。中川雅偉くんなどが通っている理由もわかります。明日はもっと天候が悪くなる予報ですが、全力で狙っていきます」。

夕方間近、ようやく掴んだ長良川の初バス

午後になると暖かさが増してきて、バスも浮いてきたのか見えバスが確認できるように。桟橋の下にネコストレート5.8インチのノーシンカーワッキーをアプローチして食わせたのは、30センチほどのレギュラーサイズ。

STEEZネコストレート5.8インチ[DAIWA]ノーシンカーワッキー
船頭平エリアではネコストレート5.8インチを多用し、5インチも併用。ネコリグやジグヘッドワッキー、ノーシンカーワッキーなどを状況により使い分けた。「ストレートワームは春の定番ですからやはり欠かせませんね」。

浮き桟橋の下には55センチほどのビッグバスの姿が。しかし、強風によりアプローチがしにくく、この時期のバスが好むフィネスなライトリグを入れ込みにくい状況に。

確信に近付く46.5センチ

ネコストレートからフィネスストレートに変えると魚の反応が一変。この日にマッチするルアーが見つかったようだ。「周囲のアングラーが同じようなストレートワームばかり投げていたので、この細身のストレートが良かったんでしょうね」

STEEZフィネスストレート4.3インチ[DAIWA]ノーシンカーワッキー
バスがいるけど食わない、そんな状況を打破するために作り出された、細身デザインのストレートワーム。佐々木さんも今回の釣行で一気にこのルアーのコンフィデンスがアップした。

「バスの魚影は薄い、しかしクオリティは高い」
初日は大きくエリアを回り、機能する場所をいくつか絞り込んだ。さらに2日目本番の目標サイズを50センチに設定。しかしながら2日目はこの日以上に天候が崩れる予報だ。そして、このとき佐々木さんの体をまた別の洗礼が襲っていた…!

DAY2:本番
天候不良程度では終わらない、長良川の無慈悲な洗礼

度重なるタフな逆境だからこそ乗り越える価値がある

初日の夜21時過ぎ、佐々木さんから取材スタッフに連絡が入った。内容は、左足の内腿をマダニに刺されているとのこと。そして、やや熱っぽい症状も出ているという。マダニは刺されると危険な感染症を引き起こすこともある。大事になる前に、医師の診断を受けることにした佐々木さんは、夜間の緊急外来を利用した。

「ちゃんと処置してもらって、とりあえず問題はなさそうです。ただ、2日目も病院に行って、ちゃんと診てもらわないといけなくなりました。長良川近くの病院を教えてもらったので、休憩時間を利用して行きますね」。

最悪の場合、死に至る危険性もあるマダニ
初日終了後、ホテルに戻ってから、左の内腿をマダニに噛まれていたことに気付いた佐々木さん。マダニは危険な感染症を引き起こすこともあるので、夜間外来に行き、適切な処置をしてもらった。「まだ寒かったので虫除けをしなかったのが良くなかったですね。みなさんもマダニに刺されたらすぐに皮膚科に行ってください」。

朝イチに船頭平エリアで釣りをしたあと、佐々木さんは後ろ髪を引かれながら病院へ。

2日目にまずエントリーしたのが、初日に50アップのバイトがあったコの字の水門。アンブレラリグやスティーズスピナーベイト&スターリングシャッドの組み合わせなどで探っていくが反応はない。

麻酔をして傷口を切開してもらい、患部を治療してもらった。本人的には問題なく釣りができるということで、取材は続行することにした。

「熱っぽさとかはもうないですが、やはり傷口は痛みますね。何より、釣りができる時間が一気に減ってしまったのが残念。ロケで悪天候なのは慣れっこですが、さすがにこの洗礼は厳しすぎますね笑)」。

佐々木さんの武器であるオカッパリでの機動力が失われてしまったが、何はともあれ釣りを再開。移動中に発見した水の動きがある水門にエントリーした。

「この水門が常に動いているのかどうかはわかりませんが、雨で濁った水が出ているし、水門の角にヨレで発生したゴミ溜まりがあって、ここしかないだろうという一級スポットになっていますね。きっと活性が高い本流のバスが入ってきていると思いますよ」。

佐々木さんの期待通り、ジグ&ポークを入れるとすぐに答えは返ってきた。目標の50センチには届かなかったが、逆境を跳ね返す渾身の1本。狙い通りの展開と美しい魚体に笑顔がこぼれる。

このまま一気に流れを引き寄せたいところだ。

この日は7 ~ 8メートルの風が吹き、季節感は早春に逆戻り。バスのレンジは沈んでしまい、ライトリグはとてもやりにくい状況になった。

移動中に水が出ている水門を発見。直感で入ってみると、これが当たり。流れのヨレにゴミ溜まりができる一級スポットを発見することができた。

逆境を跳ね返す会心の一撃

50センチには満たないものの、大河川本流で生きる筋肉質なグッドコンディションをキャッチ。満足度の高い1本だ。

BHカバージグ8グラム[DAIWA]+ピッグダディー[釣り吉ホルモン] [写真タップで拡大]

濁流のヨレでキャッチした値千金の40アップ
水門から発生する濁流と、そのヨレに溜まった浮きゴミ。ひと目でわかる一級スポットだ。そこにジグ&ポークを入れるとラインが走った。「ジグストでは食わず、ボトムまでフォールさせたら食いましたね」。 [写真タップで拡大]

DAY2:本番
普通ならボウズもあり得る状況。全力でやり切った自負はある

やれるだけのことはやった良くも悪くも予想通りの結果

午後からは初日に45アップをキャッチした船頭平エリアをじっくり攻めることに。ここなら足場も良、マダニによる傷口にも大きなダメージを与えないだろう。しかし、ライトリグがやりにくい強風に、断続的に降ったり止んだりを繰り返す雨。一時は雹(ひょう)が降り撮影を中断する場面もあった。寒さは冬レベルで、さすがにバスの反応は悪い。

吹き荒れる強風、大粒の雨が降ったかと思えば晴れ間が覗き、ときおり雹が降る一面もあった。寒さは冬レベルだ。「さすがに春の寒さじゃないですね。ちょっとグローブとネックウォーマーを取ってきます…」。これがアウェイの洗礼か。

「初日に見つけた釣りもこの天候でやりにくいし、それにバスがこの状況変化について来れていない感じがしますね」。

スティーズフィネスストレートのジグヘッドワッキーでレギュラーサイズを追加してから、それを皮切りにバイトラッシュ。しかし、痛恨のバラシがあったりとどれもキャッチには至らない。

バスの活性は低く、明らかにサイズも落ちている
天候が落ち着いたタイミングで、スティーズフィネスストレートの0.9グラムジグヘッドワッキーでキャッチ。バスは沈んでおり、ボトムをスローにシェイクしながらズル引きさせるとバイトが出た。

夕マズメのラストは40アップをキャッチした水門にエントリーするも、水の動きが弱まっておりポイントのパワーは完全にダウン。目標をクリアすることはできずにタイムアップを迎えた。

スティーズフィネスストレートでいくつかバイトを得ることができたが、バラシを連発。ラストは40アップをキャッチした水門を再訪するが、流れが弱まっており、エリアのパワーはなくなっていた。

「悔しいですね。これだけ広いフィールドの中から、短い時間でちゃんと機能する場所を見つけなくてはならない。ある程度スピード感のある釣りで見つけないといけないんだけど、季節的にそうもいかない。そしてこの天候不順ということで、なかなか難しかったです。初日の夕方は気温が上がって、バスもそれなりに浮いてフィネスなアプローチで釣れたんですが、2日目は強風でそれもできなくなるっていう、想像していた通りの展開になりました」。

しかしながら、これだけの困難な状況を考慮すれば、プロアングラーとしてさすがの内容だと言えるだろう。

「長良川を選んだ理由は、クオリティの高い河川のデカバスが釣りたかったから。2日間でたとえ1バイトだけだとしても、それが50アップだったら満足度は高い。その1匹が釣れなかったのは悔しいですね。今回は点数をつけるなら30点。次回はもっと内容の濃いゲームを見せられるようにがんばりたいと思います!」。

アウェイの鮮烈なる洗礼を受けてしまった今回の釣行、しかしながらまだ彼の挑戦は続いていく。

タックル

❶パワーフィネス用 ●ロッド:リベリオン671ML/MHFS ●リール:エアリティLT2500S-XH ●ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si3 1.5号+スティーズフロロ クロスリンク 14ポンド
❷ノーシンカーワッキー、ジグヘッドワッキー、ネコリグ用 ●ロッド:25ブラックレーベルS69ML-ST●リール:エアリティLT2500S-XH ●ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si3 0.6号+フロロリーダー1.5号
❸ダウンショットリグ、ジグヘッドワッキー、ノーシンカーワッキー用 ●ロッド:25ブラックレーベル SC S64L-ST ●リール:エアリティLT2500S-XH ●ライン:PE デュラセンサー×12EX+Si30.6号+フロロリーダー1.5号
❹ジグスト用 ●ロッド:25ブラックレーベル SC C69M+-ST ●リール:ジリオンSV TW 100HL●ライン:スティーズフロロ クロスリンク 12ポンド
❺アラバマ用 ●ロッド:スティーズSC C68H-ST・SBストラトフォートレス68 ●リール:ジリオンTWHD 1000XHL ●ライン:モンスターブレイブZ 20ポンド ※すべてDAIWA

佐々木勝也さんの奮闘は動画でも見られるぞ!

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