サクラマス中層攻略!プロトジグ&ジャイブチョッパーで釣る実践戦略in津軽海峡【清水一成】

近年人気を博しているサクラマスジギング。レンジコントロールやアクションの些細な違いで大きく釣果に左右される繊細なスロージギングの世界だ。ダイワフィールドテスター清水一成さんは今回で3度目の挑戦。ロジカルに水中を把握できるダイワの最新タックルに、定番の“ジャイブチョッパー”とプロトテスト中の”ナナサンチョッパー”を駆使して、気難しいサクラマスを攻略する。

●文:ルアマガプラス編集部(漆畑)/写真: ルアマガプラス編集部

清水一成(しみず・かずなり)

親の代からの釣り具屋稼業で反抗期?としてルアーを追求。伊勢湾で培ったスキルを日本のみならず世界で磨きをかけるエキスパートだ。愛知県蒲郡市「ポイント釣具」を営みながら伊勢湾ジギング船「39」を駆る。DAIWAフィールドテスター。

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サクラマスの攻略法が“見えて”きた

清水さんが釣行する舞台は前回同様、太平洋と日本海を繋ぐ津軽海峡。下北半島の北端は野牛漁港より、㐂久丸(きくまる)さんに乗船する。ポイントに着くや否や、サクラマスジギング攻略における重要な要素を語ってくれた。

清水「その日、その時に有効なアクションとピッチ、潮を感じながら釣ることで見えてくる食わせのレンジを見極めていきたい。」

この日のサクラマスはあいにくご機嫌斜め。戦略が難しい中層攻略のジギングにおいて、船中の情報量が少ない状況下で巡らせる清水さんのロジカルシンキングは非常に興味深いものであった。

釣りを構成する3要素

清水さんの思考するサクラマスジギングの3要素は「レンジ」「ピッチの速さ」「ジグのアクション」。

狙いのサクラマス以外にもホッケ等の魚影が濃く、ボトム(底)を取るとサクラマス以外の魚が釣れてしまう。その為、例えば水深60mであっても40mから釣りを始める。完全に“宙”の釣りだ。

フォールの入れ方や糸フケの出方、有効なアクションの情報を釣りの中で収集しつつ、潮の状況を見極めレンジを絞り込んでいく。

そんな中、まず初めに手に取ったジグはプロト段階の「ナナサンチョッパー(仮)」

フロント7:リア3のバランス。少しのラインスラッグで横に向くレスポンスの良さとアピール力を秘めている。今回メインで使用しているウエイトは150g。

ナナサンチョッパーで得た“ヒットレンジ”

ナナサンチョッパーは潮を受ける面が多く、リアバランスのジャイブチョッパーと比べてもロッドに伝わる潮の重さや、しゃくり(ピッチ)の変化などにアングラーが気付きやすい設定となっている。

清水さんはこの流しで、ナナサンチョッパーを駆使してピッチの変化が生じる水深18mの潮の変化を感じ取った。パイロットジグとしてのナナサンチョッパーの性能は、アピール度の強さだけにとどまらない。

清水「僕のしゃくりのピッチが急に変わるでしょ?あそこまで(がヒットレンジ)かな。」

潮が重くなる18mを壁とすると、深場からベイトを追ったサクラマスが潮の壁に追い込んで捕食するイメージができあがる。何も考えずにジグを操っていると、中層の釣りは全くの“ノー感じ”に陥りやすい。このイメージの構築は大きなアドバンテージとなる。

その予想を立ててすぐ、同船していたダイワフィールドテスターの佐藤博之(さとう・ひろゆき)さんの竿が曲がった。

サクラマスジギングの第一人者にしてAive(アイヴ)バーチカルの開発者、ダイワフィールドテスターの佐藤博之(さとう・ひろゆき)さん。M.S.T Handmade Lure’s主宰。

佐藤さんのヒットレンジは20m

佐藤さんのヒットレンジを聞いて、清水さんのレンジの予想は確信に変わる。さらに、佐藤さんが釣り上げたサクラマスをフックアップした位置にも注目。貴重な船上の情報は見逃さない。冷静にゲームを組み立てていく。

清水「フロントフックに掛かっているということは、フォールで食っていないということ。」

つまり、細かいワンピッチで巻き上げるアクションが今は有効だという。清水さんのロジカルな思考がパズルのピースのようにハマっていく。

ダイワのSWコネクテッドリールの新型機「ティエラIC300-C」。レンジの把握にかかるアングラーへの負荷を軽減し、レンジ以外の視野へ目を向けるきっかけを作る。中層の釣りを余儀なくされるサクラマスジギングでは必須のアイテムだ。

清水「狙って釣りますよ。」

サクラマスゲームを構築する3要素が出揃った。

  • ヒットレンジはナナサンチョッパーで把握が可能
  • ジグのアクションは巻き上げ
  • フォールを極力減らした細かいピッチ

内的、外的に様々な要素から絞り込んだ釣るための要素だ。

「今から、狙って釣りますよ。」

頼もしい一言が聞けたあとの勝負は早かった。ポイント移動後、水中「潮の壁」が15mに変化。レンジが絞れたタイミングでジグをチェンジ。

手にしたのは「ジャイブチョッパー/MLパープルグロー」150gだった。

リアバランスで沈下が早く、ジグが横に向く時間が短い。弱い波動で巻き上げる誘いには最適なジグだ。

アジャストさせたアクションと新カラー

リアバランスのジャイブチョッパーを使用し、横向き(フォール)のアクションを減らす。さらにしゃくってから竿を落とした時にジグが斜めに向く程度の早いピッチで巻き上げに近い誘いで狙っていく。

選んだカラーは新色のパープルグロー。ゼブラ状に配置されたグローは見たままの色の「紫」に光る。魚が見慣れていないカラーで勝負に出た。

“しゃくってからロッドをしっかりと返す”スロージギングの基本を実に丁寧に確実にこなしていく。ロッドが返ったタイミングが「喰わせの間」なのだ。

ポンポンとスローな誘いを入れてから、早いピッチでの巻き上げ。苦戦の最中、ついに清水さんの竿が曲がった。

安堵の表情。苦しい釣況だったが、清水さんの型にハマったサクラマスがこの通りである。見事というほかない。

見慣れないパープルグローで見切らせない。ジグのカラーも大切な要素。“マス族”なのだから、言われてみれば当たり前だ。

魅力的なサクラマスジギングゲーム

レンジを探り、釣り続けることで絞れてくるアクションへの反応や船上での釣果などから要素を突き詰めていき、最終的に巡り合うサクラマスは格別だ。そして、刻一刻と変化するとはいえ、例に漏れずマス族ならではの再現性も存在しており、その時に見つけたパターンを実践することで2本目、3本目の釣果にも結びつくゲーム性も魅力。

ジグの選定で釣果が大きく左右されるのはどのエリア、どの釣種でも同じであるが、その色はサクラマスジギングゲームにおいて顕著なのだろう。

清水さんの釣行を見て、オフショアアングラーなら一度は経験してみたいと思わせる魅力を秘めていると感じた。

プロトのナナサンチョッパーでもヒット。むやみにジグを飛ばさず、丁寧にフォールを調整してキャッチした。 [写真タップで拡大]

こまめにヤスリでジグを微調整していた。細やかな配慮 [写真タップで拡大]

タックルデータ

  • ロッド:ソルティガSJ 61B-2・W(DAIWA)
  • リール:ティエラIC 300-C(DAIWA)
  • ライン:UVF ソルティガセンサー 12ブレイドEX+Si1.2号(DAIWA)
  • リーダー:ソルティガ フロロリーダー X’LINK(クロスリンク)20lb(DAIWA)