
総合タックルメーカー「ピュアフィッシングジャパン」のJBへの協賛再開がSNSを中心に大きな話題を呼んだのは記憶に新しい。かつて同社の製品たちはJB年間優勝者を筆頭に多くのトーナメンターに愛用され、その実力が披露されていた。当時のピュアフィッシングジャパンにいったい何が起きたのか? そしてこれから何が始まるというのだろうか?
●文:ルアマガプラス編集部
度重なる方向転換
ピュアフィッシングジャパンが取り扱うアブガルシアのリールやロッド、そしてバークレイのソフトベイトはその実力を多くのアングラーが認知しており、国内最大規模のトーナメント「JB」シリーズで活躍していた。
にもかかわらず、2021年、突如ピュアフィッシングジャパンはJBへの協賛をストップ。
JBの細かいルールの説明は省略するがそれにより、トーナメントにてピュアフィッシングジャパンの製品は使用できない/使用を公開できない状態となったのだ。
当時のことをピュアフィッシングジャパンのマーケティングスーパーバイザー・川田氏はこう語る。
「私たちとしても急な事態で、当時のサポート選手を含め関係者の皆様には十分な説明ができないまま話が進んでしまったほどでした。そして実際に大きな話題となったのは認識しています」
その余波は決して小さくはなかったという。
「よくぞ決断した、という声をかけていただくこともありましたが、逆にJBへの協賛を辞めたことによって取り扱いがなくなってしまったショップさんがあったのも事実です。また、釣り場で弊社製品を使っているアングラーを見かける機会もグッと減ってしまいました」
それではなぜ、JBへの協賛を取りやめるという判断を下したのだろうか。
「弊社は外資系ということもあり、会社の方向性が変わることが少なくありません。協賛を取りやめたのもまさにそれ。それまでの主軸だったトーナメント志向から脱却、そしてライフスタイル志向へと方向転換したんです」
当時はコロナ禍から始まったアウトドアブーム真っ只中。もちろん、釣り人口も爆発的に増えていたころだ。そのころのピュアフィッシングがアパレルブランドとのコラボを行っていたのを覚えている方も少なくないだろう。
「モンベルやノースフェイスのように、登山系のブランドがアウトドア全般に浸透し、普段使い品としても愛用される。そういった形で認知度を高めるのが狙いでした。でもそれは上手くいかなかった。折角いいものが作れても、それを発信する人がいなかったんです」
数多くの人気トーナメンターをサポートしていた時代には考えられなかった壁にぶつかってしまったのだという。しかしそこからが泥沼だった。
「また方向転換があったんです。それは『釣りに力を入れよう。アパレルはやめよう』というものでしたが…」
時すでに遅し。ピュアフィッシングジャパンが行っていたのは、すぐに元に戻せるほど生半可な方向転換ではなかったのだ。
「やりたいことと直前までやってきたこと、そしてやらなければいけないことがちぐはぐで、かなり歪ができている印象でしたね。正直、その頃はいろいろきつかったです。ファンが離れていってるのは感じるし、イベントに出ても居場所がないというか、白い目で見られている、みたいな」
今後のピュアとJB
そして2025年。
ピュアフィッシングジャパンに新しい時代がやってきた。
「やっとというか、いよいよというか、『元に戻そう』となったんです。JBへの協賛再開もそのひとつだった。辞めた当時は協賛に関しての賛否は分かれていましたが、結局辞めてよくなったことはありませんでしたよね。やっぱりトップトーナメンターに使っていただくタックルは皆さん興味ありますし、マックスセントのようにトーナメントで使いたいという声の多い製品もありますから。そういった要素が、ピュアフィッシングジャパンが再び浮上するきっかけになればなと、JBへの協賛再開を決意したわけです」
そんな折にアブガルシアの大ファンであり元ピュアフィッシングジャパンサポートの今江克隆さんの熱い思いもきっかけとなり、異例のタイミングでのJB協賛再開へと繋がったのたった。
「今回も急な動きだったので、現時点ではJBアングラーをサポートする目途はたっておりません。でも当然、本国からもそういった要望はあるはずですから、このあと時間をかけて進めていきたいと思います」
それでもJBトーナメントに出ているアングラーからすれば、ありがたいことには変わりないはずだ。
「トーナメントで使うためにリールやロッドのシールを張ってロゴを隠していた人は結構多いと聞きましたし、トーナメントに出る際のタックルの選択肢を狭めてしまっていました。でももう、堂々と試合で使っていただけるんです」
ロッドのベルサートシリーズ(左)とリールのゼノンシリーズ(右)はそれぞれバス釣りで使えるフラッグシップ的な立ち位置のアイテム。はっきり言ってその値段からは想像できないほどのスペックを誇る。
アブガルシアのタックルには価格を抑えつつも優れたスペックのアイテムも多く、リールとロッドのセットをいくつも用意したいトーナメンターにとっては重宝される。
「今江さんはマックスセントが桧原湖戦で使えることを喜んでくれましたしね」
photo by JB
事実、先日開催されたJBトップ50第4戦におけるマックスセントの威力はすさまじいものがあったとか。
「JB協賛の再開は賛否両論あるところではあります。でもいずれにしても反応してもらえている。みなさんに興味は持ってもらえているのかなと。正直、協賛を辞めた後の方向性がぼんやりしていて具体的な動きがしづらかったのも事実です。結果、協賛を辞めたことは愚策だったと認めざるを得ません。取り返しのつかない状況に一度は陥ってしまった。これまで積み上げてきたものをぶち壊して、そしてそれを新しく立て直すこともできない状況だったと思います。でも今回、きっかけがあって戻ってくることができました。後退した分を取り戻していきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします」
現在、ピュアフィッシングジャパンのアイテムのうち、アブガルシアのロッドやリールは隠さず使用することが可能。また、バークレイのパワーベイトやマックスセント、ガルプ!シリーズはその多くが使用可能となっている。
トーナメントとの関りが増えることを受け、日本向け設計のリール開発も行われていくとのことなので、今後の益々の活躍に期待したいところだ。
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