
全国の釣り場を渡り歩き、数々の魚と出会ってきたベテランアングラーかつユーチューバーの「たくわん」氏が、今回挑んだのは。地形変化に乏しく、魚の気配を読みずらい広大なサーフ。そのフィールドで狙うのは、かつて”幻の巨大魚”とも呼ばれたターゲット「オオニベ」だ。
●文:ルアマガプラス編集部
幻の魚「オオニベ」を追い、全国を旅する釣り人が語る「最も過酷な釣り」のリアル
全国各地の釣り場を旅し、多くの魚と出会ってきたベテランアングラー「たくわん」氏が、今回挑んだのは宮崎県の某砂浜。
たくわん「この釣りが確率論的に一番難しい」
砂浜というフィールドは、障害物などの変化に乏しく、魚影も読みにくいため、魚を釣り上げるまでの難易度が高い。
ベテランアングラーたくわん氏が語るこの釣りの難しさ。
特に狙っている「オオニベ」は、普段は深場にいるため、浅場に差してくるほんのわずかなタイミングを狙うしかない。
しかも、広大な砂浜のどこを回遊するか、どのタイミングでルアーを投げるべきか、この答えは一切ない。
サーフ一帯、数百メートルに及ぶ広さの中で、たった一瞬だけ差す奇跡の時。
そのタイミングを信じて、ひたすらキャストを繰り返す。
見えない魚を感じる釣り。メタルジグで底を刻む地味で忍耐の時間
使用するのはメタルジグ。
これを遠投し、底まで沈め、ゆっくりとリフト&フォールを繰り返す。
魚の気配は目に見えない。
唯一の手掛かりは、ラインに伝わるかすかな「違和感」。アタリは微細。集中力を切らせば一瞬で終わる。
たくわん「ベテランほど心が折れそうになる釣りですよ」
何もない時間が続く中で、ただひたすら水の中の変化を探す。
もはやこれは釣りではなく、修行に近い時間だ。
宮崎県サーフにてオオニベを狙う。
魚との出会いは、一瞬の「奇跡」だと改めて知る
オオニベ釣りにおいて、数秒のズレが命取りになる。
たくわん「例えば、前投でルアーが水草に引っかかっていたら」「次のキャストのタイミングがズレて、その一瞬の魚との出会いもなかったかもしれない」
オオニベとの出会いは、まさに奇跡の一瞬。その瞬間にルアーがそこにない限り、すべては空振りとなる。
一瞬を逃さないために、キャストを続ける。
この日もそうだった。魚が回遊するかわからない。ルアーがちょうど目の前に通るかも不明。それでもキャストを続ける。まるで、空を仰いで流れ星を待ち続けるような釣りだ。
今年は「オオニベ」が釣れないという地元アングラーの声
釣り場で出会った地元アングラーたちの話では、今年は例年に比べてオオニベがまったく釣れていないとのこと。
地元アングラー「小魚は入っているし、ヒラメなんかは釣れる。でもオオニベだけが出ない」
たくわんさんが同じエリアで釣ったヒラメ。
海の状況も荒れ気味で、例年とは違う様子。魚の気配が読みづらい中、それでも砂浜に立ち続ける姿は、まさに釣り人の執念そのものだ。
荒れる砂浜を見切り、別ポイントへ。釣り場の選択も勝負の分かれ目
その日は波が高く、砂浜での釣りが困難な状況。そこで思い切ってポイントを変更し、河口エリアへと移動。ここでも慎重に状況を観察しながらキャストを続けていると、まさかのキビレがヒット。
この予想外の釣果から
たくわん「もしかするとベイトが入り始めているのでは」
この日の夜は、温暖な気候の宮崎県とはいえ気温はわずか2℃。完全防寒の装備で寝袋に包まリ、車中泊をしながら釣行に備える。
快適さとは無縁の過酷な環境。だが、どんなに寒くてももしかしたらがある限り、釣り人は再び竿を手に取る。
そして訪れたその時。カラー変更で引き出した強烈なバイト
手前にベイトが入り始め、オオニベの大好物である「グチ」の群れも入り始めた。
たくわん「魚が寄っているかもしれない」と直感。
そこでルアーのカラーを派手な色へと変更する。
直後にそれは来た。凄まじい引き。ドラグが止まらない。
たくわん「食った!? キタ!キタ!」
リールから糸がうなりをあげて放出されていく。
たくわん「これはオオニベじゃないか?」「いや、ブリか?サメかもしれない・・・」
正体不明の大物とのファイトが始まった。
スピードと重量感。正体は「オオニベ」!?それとも・・・
100m以上ラインを出されたが、ゆっくりファイトし徐々に寄せていく。
浮いてきた魚体をみて
たくわん「ニベ・・・かな?でもこのスピード、ブリみたいだった」
ルアーは口ではなく身体にかかっていた。つまりスレ掛かりだった可能性もあるが、それでもこの重さと引きの強さは尋常ではなかった。
フックが外れるギリギリのところで数人がかりで何とかキャッチ。正真正銘のオオニベだ。
上がってきたもは18kgの大型サイズ。狙っていたオオニベを釣り上げたたくわんさんは感無量。
身長182センチのたくわんさんと比較しても相当な大きさ。
しかし、フックの掛かり所に納得がいかないたくわんさん。
たくわん「ルアーマンとしては口に針を掛けて釣りたかった」「素直に喜べないところもあるけどラッキーです」
正真正銘、針が口にかかった状態でオオニベを釣り上げるべく、再び竿を振るう。
オオニベに再度挑む!
フック、ラインも交換し準備万端で臨む。予報的にも今回がラスト勝負。
一投目、なんとシラウオがジグにヒット。
たくわん「今日も期待できるかもしれませんね」
ベイトの群れも確認し、メタルジグからシンキングペンシルにルアーをチェンジ。
そしてその時は来た。
たくわん「きた・・・ニベじゃないか」
死闘の末キャッチしたのは、117cmのオオニベ。
2匹目となるオオニベ。
今回は口にしっかりフッキング。文句なしの1匹だ。
空っぽの海が、奇跡の舞台へと変わる瞬間。
数十秒前まで、何の反応もなかったフィールド。
ただ、たった1匹の魚がその場所を、最大の舞台に変えてしまう。
潮の満ち引き、風向き、ベイトの動き、天候の変化。
その全てが重なった時、その一投が奇跡を呼ぶ。
この日の釣りは、釣果だけでなく、釣り人の心に深く刻まれた体験となった。
そして彼は、また次の奇跡を求めて、砂浜に立ち続ける。
この動画の詳細はYoutubeチャンネル「たくわんのフィッシングライフ」を要チェック!
たくわん
釣りが好きすぎて31歳で会社を辞めて釣り旅を開始。車で生活しながら、日本全国を駆け巡る男の物語をYouTubeで配信している。好きなことを全力でやったらその先に何があるのか? を確かめるために旅を続ける釣り人の目は世界に向けられている。
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