80年代は南湖の水が汚かった!?バスもMAX50㎝クラス!?今とは違う琵琶湖ヒストリー

80年代は南湖の水が汚かった!?バスもMAX50㎝クラス!?今とは違う琵琶湖ヒストリー

琵琶湖でバスフィッシングが注目され始めたのは1980年代のこと。今や国内はもとより世界有数のでかバス聖地として知られる湖にまで成長したことは誰もが知る。ここではおよそ50年に渡るこれまでの琵琶湖史を振り返る。未来永劫に続く今後のバスフィッシングの礎となれば幸いだ。

●文:ルアマガプラス編集部

profile

綿井良隆(わたい・よしたか)
JBの前身・JBTA創設時から運営に関わり、およそ40年に渡り陰日向で奮闘してきた縁の下の力持ち的存在。現JB副会長。70年代は七色ダム、80年代前半からは琵琶湖北湖で釣り場の開拓を開始。当時の琵琶湖事情を誰よりも知るひとりだ。一般社団法人全日本釣り団体協議会専務理事、ヒューマンフィッシングカレッジ講師。1955年2月9日生、大阪府出身。

80年代、南湖はマッディ? 個体は最大級で50cm台

琵琶湖のバスフィッシングの始まりは、今から45年ほど前、1980年代に遡る。当時を知る綿井良隆さんはこう語り始める。

「琵琶湖は80年代前半から通い始めましたね。20代の頃は主に人造湖に通い詰めて年間60日、何度も忌引きにして休んでいたんで6回も転職しましたから(笑)。で、ある時何がきっかけだったのか北湖に通うようになったんですよ。ボートをカートップしてね。南湖? いや、当時は水が汚かった。透明度がなくてね。70年代にいろいろ環境問題も起きたりして、流入河川なんてかなりヒドかった。今の方が全然キレイですよ。でも、北湖は当時からウィードもあったし、水もキレイで釣りをしていても気持ち良かったですね」

話を聞きこむ限り、北湖は現在と大差はなく、一方の南湖はその後に水質が回復していったことが推測できる。

「THEフィッシング(DAIWA提供、1983年10月放送開始)ってテレビ番組あるでしょ。始まってすぐの頃、西山徹さんから南湖で釣りをしたいんだけどって相談を受けて一緒に出演させていただきましたね。カメラの前で50cmを釣ったのは良い思い出です。その頃、北湖は40cm台がほとんどで、稀に50アップという時代。南湖にも意外といいサイズがいるんだなって印象を受けましたね」

ロクマルはまだ夢物語の時代だった。

「80年代前半の南湖は今の霞ヶ浦水系みたいで」
今の南湖からは想像もつかないが、80年代初冬は透明度が低く、水質が良い時の霞ヶ浦水系に近いステイン〜マッディ系ウォーターだったという。
「90年代に向かってどんどん水質が良くなっていった印象がありますね」

バスボートほぼ皆無、和船やFRP、アルミが主流

綿井さんはもっぱらカートップ派だった。北湖西岸の比較的フラットな場所から、Vハル12Kを揚げ下ろしの日々。

「当時大阪にあったモンキーっていうショップで、大阪初のアルミボートを買ったんです。常連の子に『どこで釣りするんですか?』と聞かれ『琵琶湖だよ』と。その子は後々、菊元(俊文)くんだと判明するわけなんだけどね。バスボート? その頃はまだまだ珍しい時代。関西で乗っていたのは中央漁具の橋本さんと芦田釣具店の芦田さんくらいで、関東でもまだ少なくて10台もなかったんじゃないかな。そんな時代に、関東からバスボートを引張ってきてお客さんを乗せてガイドしていたのが徳永兼三さん。一度来たら2〜3週間は琵琶湖におったんちゃうかな」

徳永さんに当時の様子を語っていただいたのでご参照いただきたい。綿井さんは徳永さんと「同い年」で度々会ううち、いつしか懇意の仲へ。

「ダイワ精工(=現DAIWA)さんで打ち合わせの帰り、徳永さんのお店へ顔を出した時『琵琶湖でバストーナメントをやるのが夢や』って語ったことがあったんです。その翌年『関東で始める動きがあるよ』という電話があったんですよ。それがJBの始まり、山下会長のことだったんですね。で、東京のフィッシングショーへ行った際、翌年に琵琶湖でやるなら喜んでスポンサーになると東レさんからのオファーもあって、いよいよ実現することになったのが86年のことです。今では一冊の本になってますけど、当時はA3用紙1枚のルールブックを作ったり、手探りでいろんなことをやってましたね。何せ前例がないことでしたから。僕? いやいや、試合には一度も出たことないんですよ。ダイワ精工さんや東レさんにはスポンサードを受けていた時代もありますが、当初から裏方ひと筋です。だから、いつも自慢しているのは『今江(克隆)くんには一度も負けたことがない』ってね(笑)」

綿井良隆さん、琵琶湖人に歴史あり。

奥付には当時32歳の綿井さんや34歳の下野さんの姿も。マップの湖岸線にはかつて一大名所でもあった紅葉パラダイスなど、現在は存在しない場所の記載も。実に興味深い。

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