ティムコの名作ルアー『ステルスペッパー』をメーカー社員が解説。釣れる秘訣と使い方とは?

H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回はH-1GPX、芦ノ湖戦に参戦!超クリアウォーターで強い「あのルアー」について、3つのキモを伝授します!突然のトラブルにも見舞われたようですが、果たして試合の結果は・・・?

●文/写真:大津清彰

今回はH-1GPX、芦ノ湖戦!

さて、今回は芦ノ湖へ!

芦ノ湖

来るたびに思いますが、景色も良くて、釣り場に理解のある漁協がしっかりと魚を管理しているので釣り場としてのポテンシャルが半端ない。最高のフィールドです。ただ、私の自宅からは遠いので、来るときは毎回泊りです。テストを絡めてくる感じになります。

さて、今回は天気が目まぐるしく変わりました。雨の日、豪雨の日、晴れの日など。開発側の考えだと色々な状況下で超クリアウォーターを研究できるのでありがたいのですが、H-1GPXのプラクティスと考えると何とも言えない状態・・・。先月、バスも放流されたのですが・・・。晴れて風がない日でもほとんど見かけず、まぁ今回は放流戦にはならない感じを受けました。ただし、ネイティブサイトでは数は少ないものの狙うと釣れる感じを受けました。

ライオットブレードで52cm

これはレイダウンの中にいたバスでした。ライオットブレードは結構カバーぶち込みで食ってくることが多く、この方法はおススメ。ガードのおかげで根掛りもしにくいですし。そしてこの芦ノ湖は50アップが平気で混ざってくるのが恐ろしいところ。(結局毎日50アップは釣れた。)ただ、今回に関してはステルスペッパー70Fが圧倒的に反応が良かったです。

ステルスペッパー70F

このルアー・・・表層ただ巻きからキャロライナリグまでもうなんでも釣れました。また、サイズ・魚種、問わずバイトが出る。ステキャロはもともと河口湖や野尻湖で生まれたテクニック。どこでも釣れるのですが、クリアウォーターにはめっぽう強い!西湖等でもめちゃ釣れスーパーテクニックです。

ステルスペッパーのキャロライナリグはライブスコープが生まれるはるか以前より存在するテクニックですが、最近になってこのルアーの凄さが際立ってきました。「ライブスコープで見ている」と、基本的にどのフィールドでも反応の良さが一目瞭然だからです。

当然、ライブスコープは本年度のH-1GPXでは使用禁止なので、直接的に関係は無いのですが、あの反応の良さが毎回、どの湖でも水中で起こってる可能性が高いと考えると、ますますこのステルスペッパー70Fに頼るしか無くなります。

他のルアーを投げても反応のムラに強弱がありすぎて、結果として釣れる確率が下がるためです。ライブスコープが使えないとなると、目に見えない水中戦は保守的になってしまいますし、ますます投げる頻度が向上しています。

さて、そんなステルスペッパーのキャロライナリグですが超クリアウォーターならではのキモが存在します。今回はそんな3つのキモに関して書いてみたいと思います。

ステルスペッパーのキャロライナリグ、3つのキモとは

①距離

ステルスペッパー70Fのキャロライナリグは基本的にはどのフィールドでも効果があります。
ただ、使い方が大きく異なってきます。

そのひとつに距離の考え方があります。

芦ノ湖のような超クリアウォーターでは、とにかく距離をとることが最大のキモになってきます。
キャスティングでは30m以上、ドラッギングでは40m以上(60mくらいでもOK)ラインを出すのが重要です。

距離をとることによって、人間の存在感を消し、バイトしやすくするのです。距離がないと、基本的には食わないと考えましょう。

②ド中層

超クリアウォーターのバスは目がとてもよく発達しています。表層i字の釣りをしていてもいったいどこから現れたのか・・・疑問に思うほど遠く・深くからルアーを発見してバイトしてきます。

実はこれ、水中でも同じことが起きています。

相模湖・津久井湖のようなフィールドでは、ボトムすれすれを引いてくるのがキモなのですが、芦ノ湖では逆。ボトムすれすれを引く必要はほとんどなく、むしろバスに対し上目線で引くことが大切です。そのため、ボトムを取る理由がないのです。

③太めのPE

芦ノ湖にくると、結構細いPE、0.3~0.4号あたりを使っている方が多くいます。以前、私もそうでした。
しかし今、私は0.6号以上のPEしか使いません(0.4号を使うときもありますが、この場合はシャッドを深く入れていきたいときだけです)。

理由としては、芦ノ湖のバスはワカサギ食いで、しかもバス自体が巨大だからです。その結果、口の周りが異常に硬く発達しています。

この口の硬さは房総や霞ヶ浦のバスとは比較にならないレベルで、自分でフックを刺そうとしてもほとんど刺さらないレベルなのです。PEを太くするのは、芦ノ湖の口の堅いビッグバスにフックを貫通させるため。

表層i字等では、0.6号を使いドラグを調整してゴリ巻きフッキングでフックを貫通させる必要があると私は考えます。表層i字の釣りをしていて、途中でバレる、もしくはネットインでフックが外れるのは「フックが唇に乗っているだけ」だからです。

もはやこれではフックが錆びていようが太軸だろうが同じです。

そしてもう一つ、ステルスペッパー70Fのキャロライナリグでは基本的にはもうひとつ太めのPE0.8号を使用します。

これには理由があって、上記の「ド中層を引く」という点に繋がってきます。ラインの水流抵抗はとんでもなく大きく、そのラインが多く引き出されるほど影響を受けてきます。これが細いPEだとどんどん沈んで行ってしまうのです。

これを防ぐために、より水流抵抗の大きい太めのPEを使用します。0.6号で軽めのキャロシンカーを使用するという方法もありますが、シンカーは5g程度はあった方がロングキャスト性能とコントロール性能が上がるのでこういった選択となってきます。

もちろんこれも程度問題ですので、中層をより速く引きたいといった選択の場合、0.6号を使うという選択もあります。(今回ドラッギングは時速2.5km程度だった)

試合中の魚

試合としては2本キャッチして4位という成績でした。なんとポイント到着直後にエレキトラブルに見舞われてしまいました・・・。浸水でした。水を抜くためさかさまにしてみたりしたのですが、水は出てきたものの改善せず。

最初は時速3kmくらいではエレキが回り続けていたのでステキャロのドラッギングで2本掛けて1本キャッチ。その後どうにもコントロールが効かなくなり、オールでポイントに移動しアンカー投入、ステルスのキャスティングでもう一本キャッチ。

エレキは動いたり動かなかったり、スイッチ類がでたらめな動きをしていたのですが何とか帰着できたため4位という成績に。トラブルの中で最大限尽くしたと思っているのですが、何もなければもっと釣れたのは間違いないのでちょっと悔しいですね。もっと釣りたかったです・・・。

★タックル★

ロッド:フェンウィックプロト 65SMLJ
リール:エアリティ2500
ライン:エックスブレイド フィネスシャングリラ0.8号+LDLフロロ2.5号
ルアー:ステルスペッパー70Fキャロライナリグ リーダーは40cm

ロッド:フェンウィックACES64SULJ Ver.ZERO 70TH
リール:ヴァンキッシュ2500S
ライン:エックスブレイド ゾーンフィネス0.6号+LDLフロロ2号
ルアー:デルゼ70F

大津清彰(おおつ・きよあき)

老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。

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