
遊漁船「ノーザンポセイドン」の船長・中乗りとして活躍する「みくみく」こと高橋美来さん。なぜ女性では珍しい船長という職業に就いたのか。きっかけなどを話していただきました。
●文/写真:高橋美来
飲食店の料理人から、釣りの世界へ
はじめまして!「みくみく」こと高橋美来です。
宮城県・仙台湾を拠点に、SNSで釣りの魅力を発信しながら、遊漁船「ノーザンポセイドン」(閖上港出港)の中乗り兼、船長として活動しています。
もともとは3年前まで料理人。ある日、先輩に誘われて初めて乗った船釣りにドハマりしてしまい、それから吉田船長にお世話になること8年…。気がつけば、「釣る」側から「釣らせる」側になっていました。
私たちのホーム、仙台湾は本当に豊かな海です。
真鯛、ヒラメ、青物、アジ、ホウボウ、アイナメ、タチウオ、シーバス、メバル、カレイ…季節ごとに色々狙える魚が変わります。最近ではケンサキイカ、アオリイカ、クエ、マハタ、そしてクロマグロやキハダ、カツオまで回遊してくるようになり、年々“夢”が広がっています。
釣れる魚が豊富な仙台湾。
その中でも、私たちの船が一番追いかけているのは「真鯛」です。仙台湾では、水深25〜40mの遠浅なサーフ地形に点在する粒根や岩礁を「ドテラ流し」で狙います。タイラバはもちろん、ジグも“ただ巻き”で通用。
日によって釣れるパターンが変わるので、ルアーチェンジが釣果アップのカギ。うちの船はテンヤもOKです。「今日は何が釣れるかな?」とワクワクする反面、海が気まぐれな日も多く、毎回が真剣勝負です。
船釣りを始めたきっかけは、職場の先輩のお誘い。飲食店で働いていたので「釣って提供できるなんて最高じゃん!」と一石二鳥の気持ちで参加。しかし、現実は想像以上にガチ。
道具選びも、針外しも一苦労。リーダーを組むのに30分かかったこともありました(笑)。先輩もほぼ素人で全然魚が釣れない…やめようかなぁと心が折れそうになった時に出会ったのが、予約困難な人気船「ノーザンポセイドン」。
運命の出会い!
当時は真鯛よりボートロックが流行っていて、丁寧にフォローしてもらい魚が釣れてくれやめずにすみました(笑)
3年前、飲食店を閉めるタイミングで吉田船長から「中乗りやってみない?」と声をかけてもらい、即OK。東北では女性や初心者のお客様はまだ少なく、「私がいることで来やすくなるなら」と全力でサポートを始めました。
ただ、女性が男性に釣りをアドバイスするのは、正直緊張もありました。歓迎してくれる方もいれば、そうでない方もいます。だからこそ「誰よりも釣る」ことを意識して、サポートの合間に竿を出し、結果を出し続けました。
ある日、「予備船の2号船でいいから出してほしい」という依頼が。
実は釣りを始めた年に一級船舶免許を取っていて、“なんちゃって船長”経験はあったのですが、お金をいただきお客様を乗せる責任はまったく別物。そこで改めて操船やポイントの勉強を本格的にスタート
そして迎えたデビュー戦。
募集をかけるとなんと満席に!船長デビュー戦は無事真鯛が釣れてくれて、感動と同時にホッとしたのを覚えています。
今では1号船が満船の際に船長として出船。
中乗りの日は魚探とにらめっこしながら、魚の動きを勉強。
吉田船長の釣果とプレッシャーに悩みつつも、自信を持って操船できるようになりました。
お客様も海も毎日違うからこそ、「今日もなんとか釣らせたい」という気持ちは変わりません。連続出船でヘトヘトな日もありますが、魚がかかった瞬間の笑顔や歓声、初めての1匹の感動は、疲れを一瞬で吹き飛ばします。
これからも、女性や初心者の方がもっと気軽に船釣りを楽しめるように。そしてベテランアングラーさんからもしっかり任せてもらえるように。仙台湾で最高の1匹を一緒に笑顔で手にできるように。そんな想いを胸に、釣りの楽しさと、船長や中乗りという仕事の魅力を発信し続けていきたいです。
高橋 美来(たかはし・みく)
宮城県・閖上港発の遊漁船「ノーザンポセイドン」で中乗り兼船長として活動中。元料理人の経験を活かし、“釣って楽しい・食べて美味しい”釣りの魅力をSNSや現場で発信。初心者や女性アングラーのサポートにも力を入れており、仙台湾の真鯛を中心に、旬のターゲットを追いかけて日々出船中。
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