
H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回はあの名作ルアーがさらにパワーアップしてリニューアル!ステルスペッパー70SF-Rについて解説します。ルアーの特徴はもちろん、制作のこだわりまでたっぷりお届けします!
●文/写真:大津清彰
待望のリニューアル!ステルスペッパー70SF-R
さて、先日のH-1GPX芦ノ湖戦でも大活躍したステルスペッパー70Fですが、 2026年ステルスペッパー70SF-Rとしてリニューアルします。
ステルスペッパー70SF-R
ステルスペッパー70SF-R(スローフローティング ライオットシールド)は、その構想自体は5年以上前からありました。もともとステルスペッパーのキャロライナリグは野尻湖や河口湖で生まれたテクニックです。
本当にタイミングが合えばワームをはるかに凌駕するスーパーテクニックとして存在していました。ただ、従来のステルスペッパー70S(シンキング)でこの釣りをやると、ボトムのごみを拾ってしまう・・・そのためその後、フローティングモデルが開発されました。
野尻湖や河口湖ではこのフローティングモデルであればほとんどごみも拾わず、根掛かりもしないので問題ないのですが・・・これがリザーバーとなるとそうもいきません。もちろんシンキングモデルよりもフローティングモデルのほうが数倍根掛かりはしません。
しかし、リップ構造が無いダブルスイッシャー系の宿命で、オダ等にぶつかると、とにかく引っ掛かってしまうのです。もともと前方にワイヤーを設けた構造で根掛かり回避するアイデアは、ライオットブレードで採用しており、実は一時期ステルスペッパーでも自分でチューニングして使用していたこともありました。
ただ、そんな中で「ライブスコープ」という革命が起きてしまったのです。ステルスペッパーのキャロライナリグを行うときも、ライブスコープがあれば根掛かりを回避できるので、ガードの必要性が自分の中でなくなってしまったのです。
テスト中の50アップ
しかし、なんと今年からH-1GPXではライブスコープが禁止に・・・。ラインを太くして使用すれば回収は可能になるのですが、結局ストラクチャー周りという絶好の場所で根掛かりしてしまっては本末転倒となってしまうため、やはり根掛かりしないスイッシャーの存在が必要不可欠となってきたのです。
プロトルアー
実は安易にライオットブレードのワイヤーガードを付けるというアイデア以外に、「クランクベイトやシャッドにペラを搭載する」というアイデアも進んでいました。
プロトルアーでの一本
プロトルアーでの一本2
リップ構造でシンプルにストラクチャーをかわしていく方法です。正直、これはこれで良かったのですが・・・。やってみると問題点も多数存在し、こちらはお蔵入りに。
結局、ステルスペッパーにワイヤーガードを取り付けるというシンプルな方法に行きつきました。ただ、ワイヤーガードを付けるにあたって、その位置と長さは徹底的に煮詰めました。
ストラクチャーの回避能力だけでなく、魚のフッキング性能、破損の可能性の排除、それらをテストする中で確認していきました。従来のフローティングは浮力を強めに設計し根掛かり回避能力を高めていたのですが、その必要もなくなったので安定した姿勢を重視したスローフローティングにしています。
ガード付きに関しては表層で使用する可能性が低くなるのでルアー自体の姿勢も変更しています。(70Fのほうが後方重心。そのほうが後方ペラが表層で良く動くため。)フックも仕様変更しています。
もともと根掛かりしても伸びて回収できるフック、カルティバST26TN#10を使用していたのですが、その心配がなくなるためやや太軸に。ステルスペッパー70Fのキャロライナリグはビッグフィッシュも平気で食ってくるため、前側のフックサイズも#10→#8に変更しました。
ステルスペッパー70SF-R2
ただ、何もない芦ノ湖のようなフィールドでは従来のステルスペッパー70Fのほうがメリットも多いのですが・・・こちらはまぁ必要に応じて発売することにしましょう。このワイヤーガード、全くといって良いほど根掛りしません!
クランクベイトを引くよりも根掛りしないので、オダの中にぶち込んで引いてきてもOK。従来、オダに当てるときはクランクベイトを使用していましたが、SF-Rを作ってからというものほとんど使用しなくなりました。
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
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