
DAIWAフィールドテスターの渡邉長士さんの連載企画「今日もいいチョーシ」。今回はロケで訪れた「北海道」のアジング事情について解説してくれたぞ。
●文/写真:渡邉長士
遠州サーフアジングで動画撮影!
こんにちは。ダイワフィールドテスターの渡邉長士(たけし)です。いつも「今日もいいチョーシ」を読んでいただきありがとうございます。
まずはいつものように近況から報告すると、8月末と少し前の釣行になりますが静岡県西部の遠州サーフでアジングをしてきました。
遠州でのサーフアジングは昨年の冬に初めてチャレンジしたのですが、その時は20cm台のマアジやメアジは釣れたものの、前情報では40cmクラスのデカアジが狙えると聞いていただけに消化不良の釣行でした。
その時に現地でリサーチしたところ、デカアジのハイシーズンは初夏から夏ということがわかり、今年の夏にリベンジに行ってきたわけです。
ポイントは大型河川の河口から1kmほど離れた小石混じりのサーフで、今回は動画ロケでもあります。
実釣は夕マヅメの少し前からスタートし、強めの横風があったためリグは飛距離が出せて沈みの速いダウンショットリグを選択。シンカーは約15gで、ワームは「月下美人アジングビーム バチコンカスタムSTG2.3」を「月下美人バチコンジグヘッド 0.5g#6太軸」にセット。
沖にフルキャストし、着底したらシェイキングしながらリトリーブをしてボトムの少し上を攻めると、まずは幸先良くブリの幼魚ワカシがヒット。
陽が落ちてくると今度はサバがヒットし、魚っ気はムンムンです。これらの回遊魚がいるということはベイトもいるでしょうからアジも期待できます。
次にヒットしたのは期待通りのデカアジ。
計測すると38cmと、わずかに40cmには届かなかったものの、狙っていたサイズのアジです。
その後も30cmオーバーのアジが連発し、ロケも無事に終了。
こんなに釣れるのなら・・・と1人で残って翌朝はプライベート釣行。
そして本当の衝撃はここからでした。
居残り釣行でまさかの連発劇が…!
朝マヅメは大勢の釣り人がサーフに入っていたため、人が切れたサーフの端の方でキャストするも不発で、午前7時過ぎに諦めて車の方向へ戻っていきました。
すると、車の目の前でショアジギングをしている方がメタルジグでデカアジをヒットさせているのを目撃。午前7時過ぎといっても夏のこの時間はすっかり昼のような時間帯。それなのに、まだデカアジが回遊しているのにまず驚きました。
今から自宅方面に戻れば東京湾で午後船のバチコンに間に合うので帰るつもりでしたが、もう一度サーフに降りてキャストを再開。
最初はキャロで攻めるも、手前の50mほどは濁りがあり、その中で20~40cmほどのニベが連続ヒット。
そこで昨日使ったダウンショットで濁りの沖にキャストすると、リグの着底直後にヒット。
これは・・・やはりアジ!それも良いサイズ!
「これは・・・デカアジの群れがいる」
そう確信し、同じように攻めると30~36cmほどのアジが連続ヒット!繰り返しますが、真昼間のような時間帯ですよ!?
この釣果にも驚きですが、さらに驚いたのは、周囲の釣り人が無反応ということ。
デカアジがこれだけ連発していれば「スゴイですね!」と声をかけてきそうなものですが、まわりの釣り人は気にする様子はありません。
つまり、ここではこれくらいの釣果は日常ということです。
あっという間に10匹ほどキャッチし、続ければまだ釣れそうですが10リットルのクーラーボックスにそろそろ入りきらないので納竿としました。
おっと、軽い近況報告のつもりが衝撃の体験だったので、つい文字数が増えてしまいました。ここからが今回の本題です。
アジの北限を求めて…?
今回のテーマは「北海道アジング」です。
アジングのメインターゲットとなるマアジは、どちらかといえば温かい海域に多い魚のため、南は九州から北は関東、北陸あたりまでが魚影の濃いエリアとされています。
しかし、近年は温暖化や黒潮の大蛇行の影響か、北日本にもアジングフィールドが拡大し、当連載でもこれまで東北地方のアジングを何度も紹介してきました。
ライトゲームマスターとして活躍するアングラー、渡邉長士さんによる隔月連載。今回は、アジングのポテンシャルが高く、注目度の高いフィールド、東北での実釣がテーマだ。果たして、どのような展開が待ち受けていた[…]
北日本でのアジングは個人的に気になっていますが、数年前にはさらに北の「北海道でアジが釣れている」という情報が入ってきました。
本州最北の青森県でもアジは釣れるし、北海道南部であればアジが釣れるのも不思議ではありませんが、北海道の最南端から直線距離で約200km北にある余市でも釣れているらしいのです。
200kmというと東京駅から福島県の郡山駅までほどの距離があり、関東と東北と地方が変わるほどの距離です。
そこまでアジが北上しているのであれば、北海道でもアジングが成立するはず!と思っていると、釣り番組「The・フィッシング」のディレクターさんから「何かアジングのネタありますか?」と聞かれたので、「北海道アジング」を提案しました。
すると、北海道アジングのネタが番組会議で通り、先日放送されたので見てくれた方もいたかもしれませんが、結果から言ってしまうと、ゲストは色々釣れたもののアジの釣果は微妙でした。
当初の番組の企画は、「アジングの北限を探す」というテーマで、北海道の最南エリアからスタートし、釣れたら北上しながらアジの北限を探していくプランでした。しかし、最初の最南エリアでもアジが少ないことが判明してしまったのです。
現地の釣り人への聞き込みやネットなど様々な情報をかき集めても最近のアジの釣果がほとんどなく、実際に釣り場にもアジの気配はありません。
それでも、初日にアジを2匹キャッチできたため、番組のボツは回避できそうなのと、“アジの北限を探す”という企画のため日本海側を北上してアジを探しますが、当然北に行くほど望みは薄くなります。
最終的には余市の西側にある積丹半島まで北上しましたが、やはりアジはキャッチできませんでした。
そこで“アジの北限を探す”というテーマを捨て、“北海道のアジング”にテーマを変更。となれば、向かう先はアジの釣れた最南エリアです。
5時間のドライブで最南エリアの漁港に戻り、常夜灯周辺とスロープの切れ目で2匹追加でき、何とか番組は成立できました。
実はカメラの回ってないところでも1匹釣れましたが、全体的にアジの数は少なかったです。
と、ここまでなら「やっぱり北海道のアジングはムリゲーだね」と思われるかもしれませんが、実はそうでもなさそうです。
二つの誤算と北海道のマアジ事情
北海道の各地で現地の釣り人や漁師さんに話を聞きまくったおかげで、北海道のアジ事情がわかったのですが、今回のロケは大きな誤算が2つありました。
中でも最大の誤算が“時期”です。
番組のラインナップの都合で、今回のアジング回は9月中に放送というのが決まっていたため、ロケは9月前半におこないましたが、時期が少し早かったんです。
当初、北海道のアジングで一番気にしていたのが水温。そこで水温の上がる夏~秋ごろがベストだろうと考え、9月前半にロケをしても釣れると思っていました。
というのも、この頃の北海道南部の水温は23℃ほどで、まさにマアジの適水温に入っているためです。
では、ベストな時期はいつかというと、10~11月のようです。
この時期は水温も下がるのでイメージ的には厳しくなりそうですが、北海道南部ではまだ15~18℃ほどはあるため水温は問題ありません。
では、水温以外に何が問題かというと、北海道のアジの多くは恐らく死滅回遊魚だということです。
日本近海のマアジの主産卵場は東シナ海で冬頃が産卵のピークといわれていますが、今年生まれた0歳魚が対馬海流に乗って北海道に到達するのが10月頃になるようで、ロケをおこなった9月前半はまだ大きな群れが到達していなかったと考えられます。
死滅回遊魚という憶測の理由ですが、もし、越冬していれば水温の上がる春や夏に釣れるはずですですが、その時期にほとんどアジは釣れていません。つまり、昨年の秋に回遊してきたアジは残念ながら越冬できなかった可能性が高いのです。
死滅回遊魚といえばヒラアジ類の幼魚のメッキが有名ですが、関東だとメッキのハイシーズンは秋から初冬頃になります。夏にも小型のメッキは少しいますが、数も少なく狙って釣るのは大変で、今回の北海道ロケは関東でメッキを6月頃に狙うような難易度だったと思います。
北海道の南西にある上ノ国漁港で話を聞いた漁師さんによると、11月頃にはサビキで小アジがたくさん釣れ、それを飯鮓にして正月に食べると言っていました。
つまり、それが風習になるほど、時期によってはアジの群れが普通にいることが分かります。
そして2つ目の誤算がエリアの選択。
これも本来やりたかったエリアの撮影許可が下りないなどの大人の事情があり、最終的には日本海側を北上するプランにしましたが、アジの供給源となる対馬海流は、その多くが津軽海峡を流れていくようで、今回釣行した北海道の西岸や積丹半島に流れる割合は比較的少ないようです。
つまり、ロケをした9月前半の時点だと、より釣果を望めたのは対馬海流が流れる津軽海峡側や内浦湾側だったということになります。
津軽海峡。対岸にうっすら見えているのは本州・青森県
とまぁ、最後は結果論になりますが、今回の北海道ロケでは得るものがたくさんありました。
ロケの前も当然アジのリサーチをしましたが、ネットには北海道のアジの情報は少なく、実際に行って、釣りをして、現地の方と話をしてみないと分からないことだらけだったのでとても良い勉強になりました。
以上のことから結論付けると、「北海道アジングは成立します」。
ただし、時期は10~11月頃で、エリアは北海道南部から東は襟裳岬周辺、北は石狩湾周辺。工業が盛んな苫小牧や石狩湾などは温排水もあるでしょうから、越冬アジがいる可能性もありますし、さらに北や東でもアジが釣れるところがあるかもしれません。
今回のようにアジングの未知なるフィールドを開拓するのも楽しいですが、アジングタックルで釣りをすると様々な魚がヒットするのも楽しみの1つだと思います。
本州では出会えない魚種や、ソイ類などの魚影も濃いため多魚種を狙えるのも北海道アジングの魅力でもあるので、北海道の方や北海道に旅行や仕事で行く方もタックルを忍ばせてアジングにトライしてみてはどうですか?
使用タックル
ロッド:月下美人 MX アジング 66L-S
リール:ルビアス STSF2000SS-H
ライン:UVF月下美人デュラセンサー+Si2 0.15号
リーダー:月下美人フロロリーダー 3lb
ジグヘッド:月下美人アジングジグヘッドTG
ソフトルアー:月下美人アジングビーム、月下美人ブレーキンビーム2インチ、月下美人ブレーキンビーム1.3インチ、月下美人ピンビーム
※すべてDAIWA
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