カンパチジギングを始めるためのロッド選び。現役船長が初心者向けに解説! ハイエンドモデルとの違いは…? 船長の右腕ロッドもご紹介。

奄美大島で遊漁船業を営む長尾康平さん。Youtubeチャンネルの運営やオリジナルジグの販売など精力的に活動をしている長尾さんがドハマりしているカンパチジギングだが、今回は初心者に向けたロッド選びを解説。また、長尾さんの右腕とも言えるロッドについても語ってくれた。

●文/写真:長尾康平

カンパチジギングのポイントについて

こんにちわ。11年前に釣り好きが昂じて東京から奄美大島に移住した長尾康平と申します。現在は孤高のスロージギングというyoutubeチャンネルを運営したり、カンパチジギングをメインとした遊漁船業を営んだり、オリジナルジグの販売も行っております。

今回はオフショアカンパチジギング歴、12年を超えた私がこれからカンパチジギングを始めたい方に向けて初心者向けのおすすめタックルを紹介いたします。

まずはタックル紹介の前に、カンパチという魚がどんな場所に生息し、どういう習性を持っているのかをご説明します。

カンパチとはどんな魚?

基本的にカンパチは四国、九州以南の南西海域に多く棲息しています。関東地方でも伊豆諸島、小笠原諸島といった南方の離島周辺では釣れますが、基本的には九州以南、奄美、沖縄海域でジギングのターゲットになっています。

カンパチがジギングで釣れるほど大きい群れになっている水深は大体100mから200mあたりで、本州周辺のジギングとはかなりポイントの水深が深いことが大きな特徴です。

そのため、同じ青物でも100m未満の浅場がポイントなるブリとは全く異なるタックルが必要になってきます。

また、ブリと違って、ピンポイントの根や人工魚礁等にカンパチの群れはついていることが多く、ヒットすると根に向かいラインを切ろうとする習性が強いので、その突進を止められるだけのドラグを掛けられるリール、そのドラグ力に耐えられるライン、フック、リング等が必要になってきます。

上記のカンパチジギングに必要な要素を満たした初心者向けのおすすめタックルをまずは、今回、ロッドから紹介していきます。

カンパチロッドの選び方

カンパチジギングにおいては、ポイントの水深が100mから200m程度のことが多いです。そのため、その水深で使用するジグを操作できるロッドが必要になってきます。

使用するジグの重さに関しては夏場の二枚潮がきつい時期を除くと、大体200gから400gまでのジグが必要になります。夏場(8月9月)では潮の状況によっては、400g以上のジグがないとジギングが成立しない状況も発生しますので、初心者の方はできるだけこの時期は避けたほうが無難と思います。

初心者の方はこの時期はライトキャスティング等で南国の多種多様なカラフルな魚を狙いましょう!

ロッドに関しては、使用するジグが比較的重いことからこれから始める方はまずは、体力的に楽なベイトのスロー系ジギングタックルをオススメします。もちろん体力に自信のある方はスピニングタックルでも全然大丈夫です!というよりもむしろヒットまではスピニングタックルの方が有利な場面が多いと思います。

上記を踏まえ、私が初心者の方におすすめするロッドはこちらです!

●シマノ 25グラップラー タイプスローJ B66-5

とりあえずこの1本があれば400gまでのジグに対応していますので基本的なカンパチポイントは全て対応可能です。

実績として最大、33キロのチャイロマルハタを釣っております。

長尾さんが釣り上げた33キロのチャイロマルハタ

また、遊漁船のお客様用でレンタルタックルとしてもご利用いただいておりますが10キロオーバーが釣れた実績も多数あります!

レンタルタックルで使用したグラップラータイプスローでGT15キロ。

12キロのヨコフエダイも!

実売価格23000円代でこんな魚が釣れればもう十分ではないでしょうか?

私がシマノ 25グラップラー タイプスローJ B66-5をおすすめする理由はコスパ以外にも、色々あります。

・スロー系ロッドの中では比較的丈夫

スロージャーカー等上級者向けロッドは竿を立ててファイトすると折れやすいものが多いですが、このロッドは比較的折れにくいです。実際33キロのチャイロマルハタをカヤックで釣った際は結構竿を立ててファイトしています。

初心者の方にこの丈夫さは心強いのでは?

基本的にはこの1本でどのポイントも対応可能なのですが、慣れてきてジグを上手に操作できるようになると、もう少しパワーの低いロッドが欲しくなると思います。

そうすると、B66-2かB66-3辺りをもう一本追加すると良いです。

この辺りのロッドで水深100mちょいの浅場で200g前後のジグを使用して、B 66-5で水深150mより深場で300g以上のジグを使用するようにするとより戦略の幅が広がります。なお、この辺りの低い番手は本州のブリ、太刀魚あたりにも使えると思います。

そんなわけで初心者におすすめの1本を紹介してきたのですが、一応、中級者、上級者向けのロッドも軽く紹介しておきます。

ちなみに私はポセイドンのスロージャーカーの4oz,6ozを愛用しております。

何と言っても元祖スローピッチジャーク用の竿ですし、もう10年以上愛用している関係上、腕の延長にような感じで馴染んでしまっております。

竿に関しては、性能というよりも自分の好みのアクションが人それぞれあると思いますので、ご自分の好みに合った竿を使い続けると良いと思います。

スロージャーカー以外にも最近はSFC,DEEPLINER等、様々なメーカーから色んなアクションの竿が発売されていますので、色々使って自分好みの竿を見つけると良いと思います。

シマノ 25グラップラー タイプスローJのような入門用の竿とスロージャーカー等の様な5万円以上するような高価な竿の違いは車に例えて分かりやすくすると…。

入門用:オートマ 国産軽自動車
上級用:マニュアル ポルシェ、フェラーリ等高級外車

といったイメージになると思います。

人間を運ぶ(魚を釣る)といった最低限の性能はいずれでも十分有しています。より自分の思い通りにマニュアル的にジグを操作したい!ただ魚を釣るだけではつまらない!

といった上級者になれば必然的にそういう竿が欲しくなるでしょう。

次回以降、初心者におすすめのリールや、ライン、フック等小物類について紹介していこうと思います。

再現性のある釣りをするためには…?

以下少しだけマニアックな話をします。興味のある方だけお読みください。

私は理系学部出身ということもあり普段から釣りに関する諸現象に関しても極力、数字で把握、理解するようにしています。

例えば…。

上潮が何ノットでどちら向きに流れていて

着底まで何gのジグが何秒かかって

魚がボトムから何m上でヒットして

ラインシステムの破断強度が何キロなので

ドラグ設定を何キロにして

ドラグ何キロでファーストラン何m走られた

とかですね。

何のためかというと簡単に言うと再現性のある釣りをするためにそうしています。この辺についても改めて記事にしたいと思います。

ここから先はそんな私がスロージャーカーも関して感覚的にも好きな理由を説明していきます。あくまで私個人の感覚によるものです。

PSLJ 603-4 スロージャーカー603-4(エバーグリーン)

スロー系のジグの操作としてロッドを曲げ、復元するその振幅エネルギーをラインを通して100m以上先のジグに伝え一気にそこで振幅エネルギーを爆発させてジグを飛ばす。

さらにロッドの振幅リズムとタイミングを合わせてリーリングすることで振り子の原理で徐々に振幅エネルギーを増幅させていったりできる。

感覚的にこの動作を一番心地よくできる再現できるロッドが私にはスロージャーカーであるということです。

フライフィッシングをやる方ならわかると思うのですが綺麗なループが作れたらキャストしているだけで楽しいですよね。

この綺麗なループやフォルスキャストにおける振り子の原理にあたるものがスロージャーカーのロッドの曲がり方、振幅力に近いです。

なので気持ちよくジグを操作しているだけで魚が釣れなくても楽しいです。

マニアには当然スロージャーカーは欠かせない!

カンパチでは4oz、6ozがあればOKです。

また、次回の記事でお会いしましょう!

長尾康平(ながお・こうへい)

都会暮らしを捨てて、奄美大島で遊漁船を営む孤高のジギンガー。他にもYoutubeチャンネルの運営やオリジナルジグの販売など精力的に活動する。

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