
「トップは出ればでかい」
昨年7月のルアマガロケで新作クローラーベイト・オッタークローラーを武器に64cmをキャッチした菊元俊文さん。釣れるルアーとしてトップウォーターを手にする際に大切なこととは?
●文:ルアマガプラス編集部
profile
菊元俊文(きくもと・としふみ)
記憶に残るビッグバイトを求め、ダイナミックなバスフィッシングを世に伝える魂の伝道師。ジグ番長の異名を持ち、日本のビッグベイトブームの火を付け役でもある。勿論トップウォーター系にも明るい。1997年初代JBワールドシリーズチャンピオン。
トップで状況判断力を身につける
「例えば試合になると、キーパーサイズでも釣らなあかんとか、見えたやつは全部釣りたいとか、あの手この手で食わせにかかる。けど、それだとホンマの正解パターンがぼやけてくると思うんですよね。トップで釣れるときって状況が合っていないと食ってくれないので、状況を読む力が身に付く。場所、タイミング、プレゼンテーションが全てが決まらないと釣れへんからね。こういう状況ではこうすればいいっていう経験を積めるのがトップなんちゃうかな」
掟その1 「いい濁り」を味方にせよ!
「濁流はあかんけど、程よい濁りは魚をだましやすい。使うルアーは強い水押しや存在感があったり、ワイドウォブルのアクションやラトルサウンドのものがいいね。コンバットラットはかなり強いルアーやと思うわ。普段クリアなところが濁ったとか、カレントが増したとか、強い流れのところで使いたい」
ロケ初日、前夜からの大雨で濁流と化した白川筋。菊元さんはひとつのワンド内に入った。
菊元「このワンドだけ濁りがマシ。いい濁りやな。こういう状況で強いワンドや」
宣言通り、コンバットラットを張り出しに通すとすぐに答えが返ってきた。



上の魚をキャッチしたワンド内から外の白川筋を見た様子。ワンド奥からのクリアな水が白川筋との合流点で境目を作っている。
掟その2 アキュラシーとディスタンス
「キャストアキュラシー(正確さ)が1番大事。それがトップウォーターの一番ゲーム性が高い部分と違うかな。あとはディスタンス(距離)。水質がクリアで浅く、カバーが少なかったらディスタンスが必要。逆に風や雨粒、マットカバーなどは距離を縮められる要素になる」
ロケ2日目の最後にオッタークローラーを襲った50アップ。前鬼筋上流のフローティングカバー沿いを引いてくると水面が割れた。
2日目は完全にクリアアップした白川筋の最上流部。クリアウォーターほどディスタンスを取ったキャストが重要になる。目で見つけたバスを狙うのではなく、バスがいると思う場所にロングキャストでアプローチする。
掟その3 変温ラインを意識せよ!
「冷たい水と温かい水の境目が変温ラインでそこにゴミだまりができやすい。それを境目として、上流に行ったらだいたい水質がクリアになって水温も下がる。周辺にベイトフィッシュも溜まりやすいな」
菊元さんは変温ラインに浮かぶマットカバーのキワと平行にオッタークローラーを引いたり、マットカバーの中にフロッグを入れてたりして探っていた。



池原ダムでは①のように濁りが入った筋と澄んだ水の筋が合流して、境目ができることがよくある。今回ロクマルが釣れたのは右側の濁った筋だった。また、水温の変わり目である変温ラインにはゴミだまりができていることが多く(②)、ベイトフィッシュも溜まりやすい(③)。
掟その4 マットカバーを利用して飛んでくるルアーの存在を消す
菊元「池原などのクリアウォーターでは、飛んでいくルアーどころか、釣り人が竿を振る動作だけで魚が逃げることがある。そこに、ウッドチップなどの水面を覆うマットカバーがあると、飛んで来るルアーをバスは認識できない。だから今回のロケではフロッグで何回もバイトが出たよね」


このような景色ではフロッグの出番。菊元さんはあえて岸の上にキャストしてから水面に落としていた。
菊元「この落とし方が1番! バンク蛙落としや」
ポッパーフロッグ
[エバーグリーンインターナショナル]
掟その5 流れがある場所ではドリフトを活用せよ!
菊元「『トップが流れを教えてくれる』っていう言葉があってね。水面に浮かぶトップウォータールアーなら、流れが強い場所と弱い場所を教えてくれるから、その経験を積んでいくと食う場所がだんだんわかってくると思うよ」
流れが強いバックウォーターでは、流れの弱い浅瀬側にボートを寄せてポジションを固定し、ドリフトを試みる。
菊元「ドリフトはオカッパリのほうがやりやすいと思うな」


菊元「ウェイクマジックは流れが強い場所なら、ドリフトで流して、狙いの場所で止めてペラだけを高速回転させるっていうこともできる。シャワーブローズは手持ちのトップウォーター軍団の中で1番飛ぶ。ボイルが遠くで起こっても届くよね」
掟その6 岩越しブラインドアプローチ
菊元さんは張り出し地形の先端付近などでは、イラストのように、陸地をまたいでルアーをキャストし、ラインメンディングして、ボートや釣り人が魚から見えない状態を作り出してトップウォータープラグを引いていた。
菊元「こちらの存在感を消せるおすすめの方法やね」
濁りを味方にするコンバットラットの水押し!
こちらも前鬼筋上流にてドッグウォークさせたコンバットラットをかっさらった50アップ。
菊元「アピール力があるトップは出ればデカい!」
掟その7 お弁当釣法!? 「観察」の重要性
菊元さんは休憩中もボートを固定して、お弁当を食べながら常に周囲を観察していた。
菊元「どんなベイトがいるかとか、新しいバスが回遊して来ないかとか、観察することは大事。休憩は場を休ませることにもなるからボイルが起きたりもするよね」
写真は正に休憩直後に発生したバックウォーターでのボイルを捉えた1本だ。
掟その8 菊元流・ハネモノチューニング
菊元「クローラーベイト(ハネモノ)はミスキャストで岸に当てたりしてしまうと、ハネやヒートンが変形してアクションが悪くなることがあるから、こまめにチェックして調整したほうがいい」
また、菊元さんはオッタークローラーのハネを取り除いて、代わりに腹部のアイにブレードを装着した通称「モスラの幼虫」も試しに投げていた。菊元「けっこうバスが寄って来るな」



掟その9 バズベイトで効率アップ!
今回のロケで菊元さんはバズベイトも多用していた。
菊元「バズベイトは、魚が浮いている状況で、どんな場所に魚がおるのかっていうのを探りたいときに使う。エレキを踏みっぱなしでキャストを繰り返せるからテンポがいい」
ペラが大きいラウドバズは音が大きくゆっくり引ける。一方、バブルトルネードは飛距離が出て速いスピードで引くのに適しているバズベイトだ。


掟その10 壁当て音出しメソッド
菊元「バズベイトやクローラーベイト、コンバットラットなどを岸に平行に引くときに、わざと壁に当てて音を出したり姿勢を崩したりすると、それがトリガーになってバスが食ってくることはよくあるな」
正確なキャストとロッドワークによるラインメンディングで、きっちり岸と平行に引く練習をしてみよう。


トップウォーターの強みとは
「トップの強みはデカいのを釣りやすいこと。もうひとつは『トップでしか釣れない状況』があるな。ほかの釣り方やルアーよりもトップのほうが釣れるっていう表現のほうが正しいかな。特に池原ダムみたいなジンクリアの水質でクセが強いフィールドは糸を水中に入れたくないことがある。僕はよく『壁』を使えって言っている。岸という壁、ボトムという壁、そして水面の壁。水面という壁を使うことが有利に働く。池原の魚は特に目が良くてめっちゃ見てるんでね(笑)。糸を沈めたら釣れへんやんってことはよくある。糸の存在感は使うルアーによっても変わる。例えば、コンバットラットはシルエット、水押し、音、すべてのアピール力が強いんで、糸が太くても関係ないんちゃうかな」
菊元俊文トップウォーター用タックル
コンバットラット用
ロッド:オライオンOCSC-71H+ ブラックローズ(EG)
リール:アンタレスHG(シマノ)
ライン:バスザイルフレックスハードHD 20lb(EG)
ポッパーフロッグ用
ロッド:オライオン
*ヘビーアクションプロト(EG)
リール:スティーズA TW (DAIWA)
ライン:バスザイルPEフリップ&フロッグ 55lb(EG)
バズベイト用
ロッド:オライオン OCSC-68M スカイソード(EG)
リール:Z PRIDE 7.1(ZPI)
ライン:バスザイルマジックハードR 14lb(EG)
ウェイクマジック用
ロッド:オライオン OCSC-67ML+ ライトニングストライク(EG)
リール:Z PRIDE 7.1(ZPI)
ライン:バスザイルフレックスハードHD 14lb(EG)
シャワーブローズ用
ロッド:オライオン OCSC-67MH ユミハリ(EG)
リール:メタニウムMGL リバイブチューンXG(シマノ)
ライン:バスザイルマジックハードR 16lb(EG)
取材協力ボート店
Y企画
白川筋下流にあるレンタルボート店。様々なタイプのアルミ艇を取り揃えている。スタッフもロクマルクラスのデカバスの生態に詳しい。
●〒639-3703 奈良県吉野郡上北山村白川1340-4
●TEL:090-7612-0379
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