
瀬戸内海と聞いて、どんな海を思い浮かべるだろうか。穏やかな波、静かな入り江。だが、そのイメージを根底から覆す修羅の海がある。大分県と愛媛県の間に広がる「豊後水道」。その中心に浮かぶ無人島・高島に、Youtuberのヨネスケ氏が挑んだ。
●文:ルアマガプラス編集部
瀬戸内海と太平洋がぶつかる激流の十字路
瀬戸内海の穏やかなイメージを覆す海域がある。
大分県と愛媛県の間に広がる「豊後水道(ぶんごすいどう)」だ。
干満のタイミングによっては、海は突如として牙をむく。
海水が一気に押し寄せ、まるで川のような激流に変貌するのだ。
流速は5ノットを超えることもあり、複雑な海底地形とぶつかり合う潮が、反転流や渦を次々に生み出す。
そんな海峡のど真ん中に浮かぶのが無人島「高島(たかしま)」。
地図で見ると小さな点だが、その周囲は青物アングラーにとって憧れのフィールド。
ブリ、ヒラマサ、カンパチなど大型回遊魚が回り、タイミング次第では瀬戸内では想像出来ないようなサイズと出会える。
YouTuberヨネスケ氏がこの島に立つのは、かねてからの夢だったという。
「ずっと来たかったんですよね。狙える魚種も多いですが、青物中心に狙っていきます。」
今回の釣行は、潮を読む力を磨く挑戦でもあった。
1日目:手探りのスタート、未知の潮を探る
初日の朝。磯に立つと足元から、すでに潮の匂いが濃い。
ヨネスケ「風強いなぁ・・・でもこの流れは悪くない。」
ルアーはクロスダガーの80g。イワシカラーでサーチしていく。
水深も流れも未知の状態で、まずはキャストして沈降カウントをとる。
ヨネスケ「カウント30・・・・思ったより深い。」
潮の流れと予想以上の水深に苦戦。
瀬戸内といえど、豊後水道の底は別世界だ。キャストを繰り返すうちに、潮が走り出す気配がした。
海面の泡の動きは速くなり、潮目はくっきりと浮かび上がる。
ヨネスケ「来たな、これ」
その瞬間を逃さず、ヨネスケ氏はルアーをトップに切り替えた。
釣りを始めて少し時間が経過すると潮が流れ始めた。
激流を読み切って手にした、価値ある1本
潮の勢いが一段と強まった午後。波間に一瞬、銀色の閃光が走る。
ヨネスケ「出たっ!」
ロッドが弓なりにしなった。水面を割って姿を現したのは、ハマチ。
サイズこそ小ぶりだが、この潮で食わせた1匹には大きな意味がある。
ヨネスケ「渋い状況の中でも、群れは入ってきてたんでしょうね。」
笑みを浮かべながらも、次の潮に照準を合わせていた。
この釣行、狙いは“群れを呼び込む潮”を掴むこと。
そのためには、ただ投げ続けるだけではなく、風向き・潮の速さ・ヨレの位置、すべてを見極める必要がある。
初日の手応えを胸に、翌日はさらに強流の聖地と呼ばれる磯へ向かう。
2日目:名称アシカ瀬。釣りにならないほどの潮
夜明け。船が波を切って進む先に巨大な潮のヨレが見えた。
上陸したのは通称「アシカ瀬」。足元を見下せば、潮が左右からぶつかり合い、白い泡を立てて渦を巻いている。
ここは、釣り人でも立つことをためらう超上級者フィールド。
ヨネスケ「普通の磯と違って、ルアーを投げても沈む前に流されるんですよ。」
そう言いながらも、ヨネスケ氏はキャストを始めた。
最初はトップに反応なし。すぐにジグへ変更し、クロスダガー100gゼブラグローを投入。
ヨネスケ「カウント40・・・・まだ沈む。深い!」
潮の厚みを感じる、まさに水の壁。
流れの変わり目を読む
このエリアの難しさは、潮の早さよりも変わり方だ。10分前まで左へ流れていた潮が、急に右へ転じる。まるで別の川が流れ始めたように水面が反転する。
ヨネスケ「潮が生きてるなぁ・・・・」
その変化の瞬間、海がざわつく。ベイトが集まり、潮のヨレに泡が立つ。
ヨネスケ「こういうところに魚が入ってくるんです。」
潮の切れ目に狙いを定めメタルジグを通す。狙い通り魚から反応があったが、惜しくもフックアウト。
ヨネスケ「惜しかった・・・でも、これで確信しましたね。魚は確実にいる。」
潮止まりの一瞬を狙う
以前の釣行後、少し期間を空けて再度リベンジに臨む。
午後になると、潮が走ったり止まったりを繰り返す。
ヨネスケ「3時に船が迎えにくるけど、その前後が潮止まり。絶対そこでチャンスがある。」
潮が緩んだ瞬間、海は静寂を取り戻す。だがその静けさは、次のドラマの幕開けだ。
水中のベイトがざわつき、わずかなタイミングで魚が動き出す。
ヨネスケ「よし、いまだ」
ポイント移動を繰り返し、いろいろなルアーで探るも反応は無くタイムアップとなった。
ヨネスケ「自然は甘くない。でも、これだからやめれない。」
かろうじて捕まえたカニでボウズを免れる。
激流に立つ理由
この釣行での釣果は決して派手ではなかった。たが、それ以上に濃密な海との対話があった。
強流の中で立ち続ける時間こそが、自分を研ぎ澄ませる。
「釣れない時間も、全てが経験になる。多種多様な魚が生息し、こんないい環境に巡り合えただけで感動しました。またリベンジします。」
そう語るヨネスケ氏の表情は、充実そのものだった。
豊後水道という場所は、単なる釣り場ではない。そこは、自然と向き合い、自らの感覚と経験を研ぎ澄ます場だ。
ヨネスケ氏の表情は充実そのものだった。またリベンジを誓う。
豊後水道が教えてくれること
魚を釣る。その行為の裏には、潮を感じ、風を読み、変化に気づく鋭敏な感覚がある。
釣れた魚よりも、潮と交わした静かな対話こそが、釣り人の魂を揺さぶる。
激流に立つヨネスケ氏の姿は、釣りが「結果」ではなく「過程」を楽しむものであることを教えてくれる。
豊後水道・・・そこは、釣り人の本能を目覚めさせる舞台。この海との対話は、きっとまた次の一投へとつながっていく。
Youtubeのコメント欄では「水中映像がすごすぎる」「釣りをしてなくてもわかる映像美」などと反響多数。気になる方は動画を要チェックだ。
ヨネスケ
兵庫県出身。日本一周車中泊釣り旅を経て、現在は磯釣りのメッカ、長崎県五島列島在住の釣り三昧YouTuber。2024年から2度目の日本一周釣り旅を再開。最新の動静はYouTube「突撃!ヨネスケの釣り旅ch」をチェック。
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