『ライブスコープ』のメリットは失われた?それでもFFSが必要不可欠なのは変わらない理由とは?

『ライブスコープ』のメリットは失われた?それでもFFSが必要不可欠なのは変わらない理由とは?

2018年にガーミンのライブスコープが登場し、トップトーナメントシーンではすぐさま「これがなければ戦えない」と言っても過言ではないゲームチェンジャーとなった。一般アングラーへも徐々に普及が進んだ現在、僕たちはFFSとどう付き合えばいいのだろうか? 最先端の使い手たちにとってのFFSの現在地を聞いてみた。

●文:ルアマガプラス編集部

profile

宇佐見素明(うさみ・もとあき)
専門学校卒業後はケイテックに就職し、富士河口湖町で暮らしながら河口湖、相模湖などで釣りの腕を磨いた。2021年にライブスコープを手に入れる。その年、相模湖の日相カップに出場し、年間優勝を達成。翌年の2022年はチャプター東京で2勝、2023年はJB入鹿池年間優勝、ジャパンバススーパークラシック優勝。2024年はJBトップ50桧原湖戦優勝…など書ききれないほど。1994年、東京都出身。

FFS
フォワードフェイシングソナーの略。ガーミンのライブスコープをはじめ、ローランスのアクティブターゲット、ハミンバードのメガライブイメージングなど、前方方向の水中をリアルタイムで画面上に映し出せる魚探の総称。ライブソナーと同意。

ライブサイトの全盛期は終わった

『逃し』テクは効きにくくなった

2023年のジャパンバススーパークラシックで突如優勝し、メジャーシーンに頭角を現した感のある宇佐見さん。相模湖の日相カップで腕を磨き、2019年頃から徐々に成績を上げていった。

「2021年頃からライブスコープを導入しました。でも日相カップやチャプター東京に出ていたころのスタイルは普通のサイトやカバー撃ちだったんですよ。でも、2023年のJB入鹿池、河口湖はバリバリのライブスコープフィールドでしたね」

——そのころはどういうテクニックで使ってましたか?

「いわゆるサイブサイトで、魚とルアーを映して釣る釣り方ですね。沖の回遊もモノに付いているバスもそのときに居るほうを狙っていました。テクニックはミドストが基本でしたね。3〜4inくらいのワカサギ系のワームにジグヘッド。動いてる魚に合わせて、気づかせて、そこからはその時々によります。当時は気づいたら『ビューン!』って飛んできてくれましたね」

——ということは今はそう簡単に釣ることはできなくなった…と?

「相当効かなくなりましたね。気づいて、ビューンと来たときに逃して食わせるというテクニックがあるんですけど、FFS登場以前は、バスが中層で見つけて追いかけたら逃げる、そんなルアーなんてなんてなかったじゃないですか。だからすごく効いたんです。でも今ではもうバスも見慣れて食わなくなりましたね」

——その後もライブサイトに特化したような釣り方がいろいろ出てきましたよね。

「マイクロホバストとかスイベルキャロとかコイケとか…ライブサイトで使いやすいリグがいろいろ出てきました」

——それでもFFSの全盛期は終わったと考えていますか?

「FFSというかライブサイトの全盛期は終わったと思います。前方がリアルタイムで見えるFFSは、それまでの魚探に比べてめちゃくちゃ情報量が多いんですよ。だから不要にはならないし、トーナメントをやるなら付いてて当たり前なデバイスなんですけどね」

——日本のトップトーナメントシーンでは付いてない人はいないですよね。

「トップ50の開催場所でライブサイトが生きるフィールドってそこまで多くないんですが、それでもかつてはFFSで魚を見つけたら釣れる、みたいなところがあったんです。効率と確実性が今までのブラインドの釣りよりも圧倒的に高かった。でも今は誰もがそれをやるし、バスも学習して、メリットは失われつつあります」

しかし、FFSは必要不可欠。今後の役割はどうなる?

——今後の日本のトーナメントシーンにおいて、FFSの役割はどう変わっていくのか、またどのような釣り方が今後台頭してくるのでしょうか?

「例えば、今年のJBトップ50の野村ダム戦を優勝した梶原智寛選手はブラインドでした。バスがそこにいるのがわかっても食わせられないと意味がない」

——では古典的なシャローだだ流しとかが釣れるようになる…とか?

「なると思います。FFSに映らない魚はいっぱいいるので。無理にライブサイトをしなければ、ディスタンスをしっかり取れたり、アプローチの精度が逆に上がったりすることもあると思います」

——ほかにも昔ながらの釣り方が復活する可能性はありますか?

「それはフィールドにもよりますね。ちなみに、明後日(8月31日)はJB河口湖Aなんですよ。プリプラをやった結果、沖でワカサギを食べているバスは狙わないかな、っていう感触です。沖ばっかりやっていたころはほかの場所にもバスがいることに気づかなかったんです」
(※なお、インタビュー直後の河口湖A戦では見事優勝を飾った)

——なるほど。では、今後の宇佐見さんのスタイルはどう変わっていきそうですか?

「バスがカバーに居たら撃ちますし、ボトムに居たらボトムを釣りますし、ライブサイトだけに囚われた釣りはしないです。沖でもシューティングはするかもしれませんが、ライブサイトだけでなく、地形や魚の動きだけを画面で確認してリグは映さないで釣るかもしれません。今までは、ライブスコープシューティング一辺倒だったのが、ルアーをあえて外したり、魚の回遊ルートを読んだり、これからはFFSとの付き合い方が変わってくると思いますね」

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