
今や国内外のビッグベイトシーンで圧倒的な存在感を放つ、クラッシュシリーズ。当初はシャロー攻略のために開発がスタートした。発売後も追加パーツを含めた多機能化が進み、新たなテクニックも登場。今なお成長し続けている稀有なルアーなのだ。そんなクラッシュシリーズの開発秘話とビッグベイトテクを大公開!
●文:ルアマガプラス編集部
既存のルアーへの「差別化」ではなく、「必要性」からクラッシュは生まれた
国内外のビッグベイト市場に突如現れ、たちまち超人気ブランドへと成長したDRTとクラッシュ。その制作秘話や釣れる理由、期待の新作まで…ビッグベイトにまつわるあれこれを白川友也さんにインタビューした。
profile
白川友也(しらかわ・ともや)
若かりし日から琵琶湖に通い、岸釣りでビッグバスを狙い続けた。30歳で滋賀県へ移住し、DRTの前身となるディビジョンを立ち上げる。クラッシュシリーズは世界的に有名。三重県出身。
——白川さんがクラッシュを作った際に、求めていた性能は何でしたか? また、既存の他社製品への差別化など意識されていたことはありますか?
「差別化をしようと考えていたわけではなく、自分が行っていた釣り場にフィットするものがクラッシュ9でした。当時はオカッパリだったんで、水深50cmとかのスーパーシャローでも使えるようなルアー。それまでのようにトロトロ巻いても食わない魚だったので、高速リトリーブにも対応できるようなあの形状になりました」
——クラッシュシリーズは既存のビッグベイトとは違って90度に近い角度に折れ曲がるジョイントも特徴ですよね。
「線の釣りだけではなく、点の釣りを求めた結果、ああいうジョイントになりましたね。以前はV字型のジョイントが主流だったんですが、クラッシュはそれを折れ曲がるようにして、結果的にキャスト時にくるくる回転しづらくなって、飛距離も出るようになりました」
——制作の過程で苦労したこと、試行錯誤などはどんなものがありましたか?
「リップ着脱だったり、テールの上下を付け替えられたり、そういうアイデアは工場の方からの提案もありました。接着よりも脱着式にしたほうが、作るほうも作業性がいいじゃないですか。テールも上下差し替えできるという機能は元々自分が持っていた権利でしたが、それはネジで脱着するものでした。そこで、ジョインテッドクロー開発者の平岩孝典さんの許可を得てああいう差込式にすることができました。それで完成したのがクラッシュ9やタイニークラッシュなんです」
——なるほど。では、クラッシュ9やタイニークラッシュがもともと目指していたアクションというのはどういうものでしたか?
「もとはシャローでダダダーっと逃げ切るハスのアクションだったんです。あとから出てきたデッドウォークや水面で操作するグライドはテストをしていくうちに段々と出てきたアクション。ここまで多彩なアクションをするルアーは見たことがなく、未知なアクションが生まれて自分も驚きました。これができるなら…と、そのアクションを追求してウエイトの位置を変えたり、アップデートしていき、自分の中での究極として出せたと思います」
——他メーカーにはないクラッシュ系ビッグベイトの特徴を挙げるなら何がありますか?
「当時、有名メーカーから出ているリップ付きビッグベイトに浮力を抑えているものはあまりなかったです。高浮力で、トップウォーター、ウェイクベイト的なものが多かった。クラッシュはグライドベイト的な比重で、水に馴染むというのが特徴だと思います」
——水に近い比重の方が釣れる、という判断でしょうか?
「そうですね。ビッグベイトとはいえ繊細に扱わないと釣れない状況だったので、自分としてはそのほうが扱いやすいです。浮力が高いと糸をガンガン引っ張るような感じになる。サスペンドに近い浮力だと糸の存在感も消せる感覚があります」
——では、発売後、白川さんの想定を超えた使い方、あるいは最近何か面白い使い方などはありましたか?
「自分がびっくりしたのは、当時のスタッフがやっていたずっと左に進み続けるアクション。ルアー自体の性能というよりは竿さばきのテクニックですね。ほかには國澤高士さんがやっているラインを沈めてルアーも深く潜らせるような釣り方。あれは結構衝撃でしたね」(編集部注:ルアーマガジン2025年5月号参照)
——クラッシュ9が10mくらい潜ってましたね。
「そんなふうに使えるルアーもなかなかないと思うんですよね。リップだけじゃなく、上もフラットにしていたのが効いているのかもしれないし、テールも横向きなので水を抑え込みやすいです。いろいろ重なった奇跡のように感じますね」
「自己記録は更新しましたけど、全然満足してなくて」
「創造・破壊・再構築」
——DRTの開発哲学とは?
——DRTのキャッチコピーに「クリエイト、デストロイ、リビルト」というのがありますが、そのポリシーについてお聞かせください。
「直訳すると、創造、破壊、再構築なんですが、開発はまさにその繰り返しですね。ライフスタイルのような感じで。でも、モノを作っている人は同じだと思います」
——創業以来いろいろと創造と破壊、そして再構築をされてきたと思いますがその動機は何でしたか?
「殴り込みじゃないですけど、自分が考えていることを形にできたら勝負できるんじゃないかという、変な自信がありましたね」
——おお…その自信の根拠は何かあったんでしょうか?
「隙間産業じゃないけど、自分が思っているようなことを考えている人はあまりいないんじゃないかと思っていました。僕は業界の人間ではなく無名の一般人だったので、ただ生意気で舐めていただけです。例えば、ウチのロッドデザインも元々はもっと派手だったんですよ。自分がデザインに落とし込んだようなグラフィックのものは世の中になかったです」
——なるほど、確かにデザイン面でもバスフィッシング業界に与えた影響は大きかったですね。では、今後の展望もお聞かせください。
「この前、自己記録のバスがプロトルアーで釣れたんですけど、僕はまだそのルアーを疑っているんですよ。もっとデカいのが釣れるんじゃないかという期待もあるので、全然満足はしてなくて。十分実績は出ていますが、これで終わりじゃないかもしれませんね」
まだ発売前のスイムベイト、RICEの使い方とは?
RICE(プロト・DRT)
白川さんがテストで巨大なバスを次々に仕留めている新型スイムベイト。
ルアーについて詳しくはまだ公開できないが、今回はその使い方を解説してもらった。
白川「さっきの話のスイムベイトなんですけど、ネタバレになってしまうかもしれないですが…投げて巻くだけです。でも普通のスイムベイトより速いです」
——投げて巻くだけで、あのビッグバスを連打していたんですか!? どんな場所を?
白川「普通ですよ。取水塔だったり、誰もがやるような場所です」
——そのスイムベイトはフローティングですか?
白川「調整可能なフローティング…ですね。ぶっちゃけ言うとウェイトはチェンジ方式です。これは書いてもいいですよ。スイムベイトって壊れやすいじゃないですか。それを克服して、ほぼ壊れないと思います」
——なるほど、ハドルトラウトなんかは同じサイズでウエイトが4種類くらいありますよね。
白川「あれが1個で済みます」
——めちゃデカいバスを何匹も釣ってますよね?
白川「オスっぽいのは1匹だけで、あとは全部4kgオーバーでした。アメリカのスイムベイトも併用しているんですが、スローに使えるんでバイトはめっちゃあるんですよ。でも、RICEのプロトはバイトは少ないんですが、ガーン!ときたらそれが4kgオーバーのメス。不思議ですが、琵琶湖に合っているんだと思います」
——結構速巻きですか?
白川「速いですよ。スイムベイトの巻き方ではないです」
——素材が違うんですかね?
白川「よくあるスイムベイトの素材ではウグイやハスの動きが出せなかったので硬くしています。竿と一緒ですね。今までのスイムベイトが低弾性だとしたら、これは高弾性。ハードルアーに近いです。そもそもアメリカのスイムベイトは放流トラウトの弱々しい動きなんですよ。ニジマスとハス、ウグイでは泳ぎ方が全然違いますからね」
白川さんのパーソナルレコードとなる6300gのウルトラモンスター。かつてやっていた1ozのスコーンリグ(スピードスコーン)が今に生きているという。
早春の琵琶湖で炸裂したK9のデッドウォーク
クラッシュ9(DRT)
2015年の発売から10年が経過したが、今もまだ新しいメソッドが開発され続けている、進化するビッグベイト。琵琶湖でも早春のデッドウォークは近年になって流行した。
米山「早春から春にかけて効くのがデッドウォークです。要はビッグベイトのミドストみたいな感じですね」
——リップ付きでテールもそのままの状態ですよね?
米山「箱から出したそのままの状態で使うときもありますし、深く潜らせたいときはリップの後ろにウエイトを貼ることもあります」
——どんな場所でやるんですか?
米山「ウィード、ロックエリア、ブレイクなど春に向けてバスが上がってくるようなところ。水深10mもやりますよ。そういう場所は、さらに深いところから上がってきたコンタクトポイントですね」
——では、キャストから順を追ってテクニックの解説をお願いします。
米山「基本はフルキャストです。通したいスポットよりもだいぶ遠くに投げる。リーリングとトゥイッチで首を振らせながらラインを沈めて、ミドストみたいに中層を引きます。浮いているバスの上を通すイメージですね」
——もう少し、詳しくコツを教えていただけると…(笑)
米山「イメージでいうと、リーリングで巻いたときにティップが入るじゃないですか。それを戻す感じでラインスラックを作ってあげる。ロッド固定ではなく、リーリングで入り込んだティップを戻すイメージ。ちょっとスラックを作ってあげたほうが綺麗に横を向くので、移動距離を抑えながら首を振らせることができます」
——引く層はどれくらいですか?
米山「僕は水深の真ん中くらいから始めます。それで反応しないなら、次はもう少し沈める。近づけすぎるとアタリが弱くなる傾向があります」
profile
米山 悟(よねやま・さとる)
DRTがサポートする琵琶湖プロガイド。ビッグベイトで北湖のビッグバスを釣らせる凄腕の持ち主。PEラインを使用した重めのミドストやビッグベイトのデッドウォークなど革新的なテクニックを広めたことでも知られる。鳥取県出身。
クラッシュ9でキャッチしたビッグバス。写真はVテールだが、デッドウォークで使うときはノーマルリップ、ノーマルテールのいわゆるモードAが基本。それにウエイトを貼って浮力を調整する。
池原の立木をアメモノスイムベイトで攻略
タイラント10in(ワーキングクラスゼロ)
リッジテールの中空スイムベイト。売られている状態ではフックも付いていない。オプションで
ボディ内部に入れるコア、フック、ウェイトなどのリグパーツがあり、浮力などを自由に調整できる。
オカピー「僕はタイラントが好きで、以前から個人輸入して使っていました。池原には冬と春をメインに通っているので、サスペンド、スローシンキングにして使うことが多いです。スローから速巻きまでいろいろ使えます」
——内部に入れるコアがないと使えないんですか?
オカピー「使えます。日本にはあまりないシステムで、純正がステンレス線のワイヤーにフックをつける仕様です。サイズも10inあるので、コアを入れるとボディが硬くなってフッキングの問題が出てくるので…自分はコアなしに落ち着きました」
——フックシステムはどうされていますか?
オカピー「僕は今トレブルフックを2本、腹下に付けています。バランスも含めて腹下に付けるのが一番しっくりきていますね」
——では、このビッグスイムベイトの使い方を教えてください。
オカピー「時期は冬から春にかけて、スポーニングに入るまで。場所は岩盤、立木。特に立木が多いですね。立木の向こうに投げて、上を引くイメージです。レンジもそんなに入れない。中層を引いて、浮かせて食わせる釣り方です」
——引き方は特別なものはあるんでしょうか?
オカピー「デッドスロー引きです。リールはノーマルかローギアで、普通にゆっくり巻きます。レンジは入れても3mくらい。セッティングもいろいろで、シンキング、スローシンキング、サスペンドを1個ずつ作っています」
——なるほど。キャストはどれくらい飛ばしますか?
オカピー「基本は遠投です。立木に対してのアプローチなので、ポートポジションも距離をとって、40mくらい投げていますね」。
profile
オカピー
もっぱら池原ダムにて釣りをしている。得意な釣りは巻きモノとビッグベイト。釣り以外にも外遊びが好きで、登山、アユ釣り、渓流釣りなども趣味。好きなDRTルアーはタイニークラッシュ。和歌山県出身。
スイムベイトの釣りが好きだが、クラッシュ系も得意なオカピーさん。
池原ダムではマイボートで釣りをしている。
アカメにはフレンジーでさえ「ビッグベイト」とは言えない
クラッシュゴースト(DRT)
全長33〜37cm、8.8ozのジャイアントベイト。クラッシュ9以上に多様なセッティングが可能なトリプルジョイントタイプで、アカメにも実績が高い。
クラッシュ9(DRT)
アカメ釣りにおいて、最も多くのシチュエーションで効果を発揮するというビッグベイト。ルアー1個だけならコレ、とのこと。
濱口「アカメに関しては、ゴーストを基準に僕は考えています。DRTのビッグベイトだと、皆さんフレンジー(約43cm)で釣りたいと言うんですが、アカメにとってはフレンジーも全然ビッグでもジャイアントでもない。普段食べているベイトが40〜50cmあるので。とはいえ、一番ど真ん中はゴーストです。アカメの好きなサイズ感で釣りやすい。より飛距離を出し たい、繊細に使いたいときはクラッシュ9。存在感を出したい、もしくは一発勝負でインパクトを出したいときはフレンジーですね」
——ではまず、時期と場所からお願いします。
濱口「基本的には年中釣れます。5月から10月くらいがハイシーズンと言われてますが、冬でも全然釣れます。場所は基本的にシーバスと一緒なんですよ。夜なら橋の明暗だったり、橋脚周り。あとは、オープンのシャローフラットを狙ったり、水路とかでも釣れます。琵琶湖と一緒ですね」
——では、アカメビッグベイティングのご教授をお願いします。
濱口「代表的なのは、日中のオープンとナイトのシェード撃ちのふたつ。橋脚でいうと、シェードの中に魚が並んでいて、頭を潮上に向けてステイして待っています。そこを、例えばクラッシュ9の射程が50mだとしたら、一気に50m通すのではなく、手前10mから探っていくのが効率がいいと思います。いきなりシェードの奥に入れすぎてしまうと手前のエリアがダメになってしまう。手前から、表側から、レンジは上から、というのがアプローチの基本です」
——アクションはどのように?
濱口「クラッシュ9ならデッドウォーク、あるいはモードBで横っ飛びさせてシェードから出し入れしてリアクションで狙う。それで反応がなければ、浅めのリップ、ウォブリングかローリングでテールも変えて、ただ巻き。ルアーは絶対にラインの通りに帰ってくるので、アカメの鼻先をかすめるイメージでメンディングして準備をする。流れの上にラインを置いて、今から巻き始めたらアカメの鼻先をかすめてくるな…というところで巻きを開始します」
profile
濱口良太(はまぐち・りょうた)
アカメ釣りをメインに、バス、シーバスも楽しむ。アカメは一番よく釣れるという理由でビッグベイトを多用する。バス釣りはビッグベイターではなく、何でもやるそうだ。高知県出身
ゴーストでキャッチしたミノウオサイズ。バス用と同じアーテックスのベイトタックルを使っている。
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