すぐにスローダウンするな!清水盛三の『瞬間』を釣る方法論

すぐにスローダウンするな!清水盛三の『瞬間』を釣る方法論

“Fish the Moment”
その『瞬間』を釣れ。それは、日本を代表するパワーフィッシャーマン、清水盛三さんの信条にして目標。今回盛三さんは、自身がプロデュースするバスロッド『デパシオン』の新作「パワーストライカー」を携えて、季節狭間の『瞬間』を捉えるため七川ダムにやってきた。

●文:ルアマガプラス編集部

清水盛三

しみず・もりぞう/国内トーナメントで数々の成績を残したあと、02年から単身渡米、以来18年まで米国トーナメントで活躍した。クランクベイトやブレーデッドジグをはじめとした巻きの釣りを得意とするパワーフィッシャーマンで、その知識と経験は自身のルアーブランド『モード』に注ぎ込まれている。2006年バスマスターエリート・ケンタッキーレイク戦優勝、バスマスタークラシック出場3回、2022バサーオールスタークラシック優勝など。1970年大阪府生まれ。

七川ダム(和歌山県)

紀伊半島の南端に位置し、古座川(こざがわ)と平井川、それらの支流からなるリザーバー。レンタルボート店はないので、スロープからマイボートを降ろすか、オカッパリでバス釣りを楽しむことができる。湖畔沿いは桜の名所としても有名。

「釣れないからと言ってすぐにスローダウンすると本当にいい場所に辿り着けない」

一日巻き切らないと辿り着けない瞬間がある

「まずはざっくり全体を見てバスがいるところを探す。そこから絞り込む」

そう言うと、清水盛三さん(以下、盛三さん)はまずはダムサイトがある下流方面へ、それから平井川を上流に向かって釣り上がっていった。その間、何度かショートバイトやチェイスがあるもののキャッチには至らない。ルアーはジャックハンマーを中心にDゾーンやゼルクプティ、DDエックスオーバーなども試しながら巻き物でテンポ良く探っていく。

「全然釣れへんなあ。え? まだ1時間も経ってない? 僕の釣りは速いやろ。こんな感じでええねん。たぶんすでに普通の人の4時間分くらい広くエリアを回ってると思うで(笑)」

その言葉の裏には盛三さんの信条である“Fish the Moment”、つまり、釣れる絶好のときと場所を捉えたいという意味が込められている。実釣開始から2時間が経過し、まだノーフィッシュだった盛三さんだが、すでにもう一方の川筋である古座川の上流域にいた。厳しいコンディションの日に当たってしまったことは、これまでの豊富な経験から盛三さんはすでに理解している。だからこそ、来たるべきチャンスタイムまで今は“Wait the Moment”。だが、その待つ間も巻き続け、探り続けなければその瞬間は掴み取れない。

「巻き物で釣れなかったらすぐにライトリグとかのフィネスの釣りにスローダウンする人がおるやろ。それだと一気にエリアをチェックするスピードが遅くなるから、本当にいい場所とタイミングにはなかなか辿り着きづらいねん」

時刻は9時半、場所は古座川上流域。ついにその瞬間は訪れた。

この魚も美しい魚体。「ファイト中に『危ない』って言ったのは、バイトしたときにロッドからくる感触で反転して食ったのがわかったので、下顎にかかっている可能性があったから。グラスロッドにも感度は必要なんやで」2年半の歳月をかけて完成したパワーストライカーが最高の仕事をした。

「黒い弾丸」がすっとんで来たわ! 余裕の50up!

岸に沿ってジャックハンマーを平行に通していくと、フッと振動が消えた。「めっちゃでっかいと思うで」でかバス特有のバイトだという。

これが“Fish the Moment”清水盛三の真骨頂。

それまでの沈黙が嘘のような1時間だった。

その間、55cm、50アップ、40アップ2本を含む6本ものバスをジャックハンマーで次々とキャッチしていった盛三さん。時折、岸際でボイルしたり見えたりしていたバスは小さく、一方で盛三さんが釣っていったグッドサイズのバスは全て一段深い場所から食い上げてきたようだ。

まさに、釣れなかった時間帯に盛三さんが言っていた「大きいバスは見えないところ(水深)で餌を探していると思う」という言葉を裏付ける結果となった。

「どこでも釣れそうでどこでも釣れないのがバス釣り。ときを捉えたね。一応言っておくけど、僕は本当はアシなんかのシャローカバーをテキサスリグやジグで撃つ釣りが一番好きなんやで。巻きは釣れるからやるけどね」

そして、今回の釣行で、デパシオンの新作グラスコンポジットロッド『パワーストライカー』の信頼度はさらに高まった。

「ジャックハンマーやDDエックスオーバーのような比較的重量があるルアーを一日中ストレスなく遠投したり巻いたりし続けられるロッド。ルアーアクションを100%引き出せるしなやかなティップに遠くのバイトでも口の中の深いところに掛けられるバットパワー。超軽量グラス素材を使用していて軽く、バランス設計も突き詰めている。2年半を費やした甲斐があったね」

ゼルクプティ[モード・EG]

ゼルクプティ軍団でもグッドサイズを追加。ロッドはクランクベイトに最適なファストスターFS70XFTGC(デパシオン)。

クラッチヒッター[モード・EG]

ボイル撃ちではシャワーブローズ、午後~夕方のタイミングではクラッチヒッターが活躍。今釣行ではハードルアーのみで15本ものバスをキャッチした。

シャワーブローズ[モード・EG]

「魚を見るのも大事だけど、水中のものを見ることが重要」

「クリアウォーターだと肉眼でも水中が見えるけど、特に水に色がついているときは、偏光グラスによって水中のものが見えやすくなる。白っぽく見えるのが石だったり、茶色っぽく見えるのが木だったりね。魚自体を見ることも大事だけど、水中に沈んでいるものを把握することはとても重要。バスはものにつきやすい魚だからね。僕は目で水中のものを見て、ルアーを入れていくことが多いから偏光グラスは欠かせない武器やね。

僕は最近はずっとこのデヴォンというモデルを使っている。レンズが大きくて視界が広く、軽量なので1日中掛けていても疲れない。1番いいのはカーブが緩やかでより平面的な4カーブレンズが使われていること。視界の歪みが少ないので、体調が優れなくても気持ち悪くならないし、目の疲れも軽減されるので集中力が持続する。それでいて、フレームは顔に沿ってフィットするようにデザインしてもらっていて遮光性も高い。細かい部分すべてに僕のこだわりが詰まっています」

デヴォン DEVON[ゼクー]

盛三さんはトゥルービュースポーツ(上、ローライト用)とトゥルービューフォーカス(下、晴天用)の2種類の偏光レンズを使い分けている。

●フレーム:ナイロン&βチタニウム
●レンズ:タレックス CR-39 Polarized /4カーブ
●価格:2万8600円(税込み)

ルアーやロッドデザインと同様、偏光グラスにも清水盛三のこだわり抜いた機能美が凝縮されている。

「巻きはジリオンの6.3が基本」

清水盛三の巻きを支える「6・3」

ボートデッキにずらりと並ぶ盛三さんの右腕、デパシオン。そしてそのロッドにセットされているリールは、すべてジリオン SV TW 1000(DAIWA)。そしてすべてギア比が6.3:1のモデルだ。それらのタックルからは『これが正解だ』と言わんばかりの確信めいた重厚なオーラが発せられている。

「僕が行き着いた巻きの基本はジリオンのギア比6.3。もちろんアングラーによって慣れたギア比はあると思うけど、僕はこれが1番釣れるアクションを出せるギア比だと思っている。そもそもモードのルアーは6.3のギア比でテストしてるからね。少なくともモードのルアーを使うときは6.3を使ってほしい。冬にスロークランキングをするときは5.5のローギアを使ってゆっくり巻く。あとは、バズベイトとスイムジグを巻くときだけは例外で、ギア比7.1を使っているね」

巻き物を極めるためには、「巻きスピード」は釣果を直接左右する重要なファクターだ。この日の夕方に有効だった水面直下を引くクラッチヒッターの釣りでは、ゆっくり引くと活性が低いスローなバスをバイトさせられるがショートバイトになりやすく、速く引けば本気食いさせることができるがバイトが減るという試行錯誤の時間帯もあった。実に奥が深い。

ずらりと並んだリールのギア比は全て6.3:1。「一番釣れるアクションが出る。バズベイトとスイムジグだけは7.1やね」例外的に冬のスロークランキングは5.5を使用。

「カラーチェンジの効果は実在する」

ホームページや釣具店などで盛三さんがプロデュースするモードルアーを見れば一目瞭然だが、そのカラーラインナップには盛三さん独自の世界観が感じられるはずだ。米国トーナメントでの経験に基づいているであろうアメリカンなテイストに加え、それぞれのカラーに盛三さんが必要不可欠だと考えるエッセンスが取り入れられている。

「な、言うたやろ! 今回はもう少し目立たせるほうに色を寄せたら数投で答えが返ってきた」

モードルアーの魅力のひとつは個性豊かなカラーラインナップ。そのどれもが盛三さんにとって必要不可欠な超実践的カラーだ。

しばらく投げ続けて反応が薄かったミラーアユからシークレットゴーストチャートに変更。するとわずか数投で答えが返ってきた。

今回活躍した「キングシャッド」はやや濁りが入った状況で強いカラー。ブラックバックによる明滅効果も高い。「今回の大正解カラーやったな」

「ロングロッドのメリットは圧倒的に多い」

盛三さんが使うロッドは長い。米国トーナメント時代に共に戦ってきたロッドもそうであったし、現在の相棒であるデパシオン2モデルも7ft以上のいわゆるロングロッドだ。

「僕はロングロッドでいろんなことができることを経験的に知っているからね。ショートロッドにもメリットはあるけど、それを上回るメリットがロングロッドにはある」

ロングロッドのメリット

●左右に捌いてカバーをかわしたり、ルアーを通すコースを調整したりしやすい。
●上に捌いてルアーを倒木や枝などにスタックさせずに乗り越えさせる。
●飛距離を出せる。
●ニーリングでルアーをより深く潜らせる。
など

「僕のシステムクランクはすべて形状が違う」

①[クラッチヒッター用]●ロッド:ファストスター FS70XFTGC ●リール:ジリオン SV TW 1000 ●ライン:ソラローム ビッグバスナイロン 16lb
②[ゼルクプティ用] ●ロッド:ファストスター FS70XFTGC ●リール:ジリオン SV TW 1000 ●ライン:ソラローム ポリアミドプラス 16lb
③[ゼルク用]●ロッド:パワーストライカー PS73SPTGC ●リール:ジリオン SV TW 1000 ●ライン:ソラローム ビッグバスナイロン 16lb
④[ワイルドハンチ8フッター用] ●ロッド:パワーストライカー PS73SPTGC ●リール:ジリオン SV TW 1000 ●ライン:ソラローム エクスレッドtype NS 10lb
⑤[DDエックスオーバー用]●ロッド:パワーストライカー PS73SPTGC ●リール:ジリオン SV TW 1000 ●ライン:ソラローム エクスレッドtype NS 10lb
⑥[ジャックハンマー用]●ロッド:パワーストライカー PS73SPTGC●リール:ジリオン SV TW 1000●ライン:ソラローム エクスレッドtype NS 16lb
※全てロッドはデパシオン、リールはDAIWA、ラインは東レ

「僕のシステムクランクはぜんぶ形がバラバラ」

上の写真は盛三さんのタックルがルアーのタイプ別、深度別に並べられたものだ。

「システムクランクっていう言葉があるやろ。(ほぼ)同一形状のボディでリップの長さを変えてそれぞれのレンジ(深度)をクランクベイトで攻略できるっていう考え方やな。でも見ての通り、僕が作ったクランクベイトの形状は全部バラバラ。各レンジで使うクランクベイトはそれぞれ用途が違ってくるから、僕の中ではごく自然なこと。これが僕のシステムクランクです」

水面直下を攻めるクラッチヒッターから、水深1m強を潜行するぜルクプティ、1.5m弱を潜行するゼルク、2~2.5mを攻略するワイルドハンチ8フッター、そして最大5.5mまでをカバーするディープクランク、DDエックスオーバー。

開発期間が長いことで知られる『モード』のルアーたち。そのこだわり抜かれた道具があるからこそ、“Fish the Moment”を掴むまで信じて投げ続けられるのだ。

みんなも巻き切ってみてや!

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。