
ルアーマガジンのロゴにもなっているバスフィッシングの象徴的ルアー・クランクベイト。そのクランクベイトが近年、米国トーナメントを中心に急速に存在感を失っているという聞き捨てならない情報をキャッチ。その真相を突き止めるため、藤田京弥さんと清水盛三さんに考えを伺ってみた!
●文:ルアマガプラス編集部
『最近は米国トーナメントでクランクを使っている人はほぼいないです』 藤田京弥
藤田京弥
ふじた・きょうや/2019年・2021年JBトップ50年間優勝をはじめ、国内のビッグタイトルを総なめにして2022年より米国B.A.S.S.トーナメントに参戦。エリートシリーズで2勝を上げ、25シーズンは年間3位(日本人初)の好成績を収めている。1996年生まれ、埼玉県出身。
近年、米国トーナメントシーンにおいてクランクベイトがブレーデッドジグに置き換わっている傾向があるとのことですが?
「あくまで試合で使うならという前提ですが、実はここ半年でさらに状況が進んで、そもそも巻物自体が…。いきなりテーマから逸れてしまうのであとで話しますね(笑)。まず、ブレーデッドジグのほうが様々な状況で使いやすくて便利なんです。ブレーデッドジグはガード付きならほぼ根掛からないし、ウィードにも強い。水押しが結構強いので気づかせる能力が高いし、ワームがロールしているようなものなので食わせ能力もある。巻きスピードも速くできるから、トーナメントでは広大なエリアを流していて様々な状況が現れても、ルアーを変えずにそのまま投げられるっていうのが使う選手が多い理由だと思います」
クランクベイトに精通している選手が昔と比べて減ってきているという要因は考えられないでしょうか?
「それは違うと思います。若手選手がクランクベイトに精通していないわけではない。ただ、クランクベイトなどで広く探って魚を拾っていく釣りでは勝てない状況を知っているからやらないだけ。今の若手と言っても幼少期からライブスコープがあったわけではないので、クランクベイトも含めいろんな釣りを経験してきているわけです。クランクベイトが最強だと思ったら巻く。そうじゃないから巻かない。アメリカ人って本当に合理的なので」
いきなりシビアな現実を突きつけられた思いですが、藤田さんがブレーデッドジグやクランクベイトを投げる状況はないのでしょうか。
「最近はどちらも試合中に投げることはほぼありません。プラクティスではブレーデッドジグはよく投げます。広範囲を手早く流せるので。クランクベイトは限定的で、早春(3月頃)の低水温期や、フィールドの特性やそこにいるエサとか効くルアーのスピード感によっては使うことはあります。それとディープクランク。これは永久不滅ですね。僕がよく使うのはスティーズクランク700。水深7~10mといったディープをスピードを出して浮き上がらせずに横に引けるルアーはディープクランク以外にない。唯一無二です。クランクベイトの中でもディープクランクだけは上位者トップ10ルアーにいまだに入って来ますね。ただ、食わせ能力は低いので、先にミドストとかを入れてから最後にディープクランクを入れてみる、といった使い方がメイン。それにしか反応しない魚が最後に食ってくる可能性があるので。サイトフィッシングで何をやってもだめなときに、最後にビッグベイトを入れたら食うことがあるのと同じ考え方です」
クランクベイトの優位性はないのでしょうか?
「クランクの波動だけに反応するバスっているのかなあ? 僕はそこにほかのルアーを入れても食うと思ってしまうのですが…。例えばサイトをしていて最後にクランクを入れたら食うかというと難しい。ただ、クランクベイトのいいところは速く引いても決まった水深を通すことができることですね。それを活かして釣るのがクランクベイトの釣り方だと思います」
「あとは水が濁ったとき。僕はそういうときにマグナムクランクはけっけう使いますよ。マグナムクランクも唯一無二です。とくにクリアレイクが急に濁ったときに強い。河口湖でも台風のあとはよく釣れますし、流れに負けないので雨後のインレットもいいですね」
水質的にはブレ―デッドジグはどういてたタイミングが得意だと思いますか?
「ブレーデッドジグに関しては濁ってもクリアでも両方使えます。でもアメリカでブレーデッドジグが上位に入ってくるのは濁っているフィールドですよ。僕がよく使うブレーデッドジグは、濁っているときはラピッズブレード、クリアではブレイクブレードウイニングスペックです。ブレーデッドジグはサイトでも釣れます。ウイニングスペックはラバースカートが長いのでトレーラーワームなしでもよく釣れる。高速で横に動くスモラバみたいなイメージかな(笑)? あと、知っておいたほうがいいこととして、水温が下がるタイミングはハードルアーでしか食わせられないことがあるんですよ。3月の早春とか晩秋の10~11月とか。バサーオールスタークラシックのタイミングもそうですね。あの時期の霞ヶ浦水系でブレーデッドジグを使おうとは思わない。冷え込んだときはハードルアーが強いです。クランクベイトやシャッドなどの硬いルアーじゃないと釣れない。低水温期のさらに冷え込んだタイミングでは、理由はわからないけどワームは食わないときがあります。そう言う意味で、限定的にはブレーデッドジグよりもクランクベイトが優位になることはある。ただ、アメリカは秋に試合がないんですよね…。もしそういう時期に試合があればクランクベイトがウイニングルアーになる可能性はあると思いますね」
クランクベイトは必要ないジャンルのルアー、というわけではないですよね!?
「はい。大前提として、この世に必要ないルアーはないです。どこかに必ず出しどころはあります。あとはその使用頻度の話なんです。だからクランクベイトが死んだわけではない。クランクベイトの使用頻度が下がっているのは、みんなのバス釣りの理解度と精度が上がってきているからです。もちろんクランクベイトが好きで、いつもクランクベイトの釣りをするのは、それはそれでいい。でも、トーナメントはバス釣りの究極の場所です。選手全員でブラックバスの生態を検証し合っている場です。そこでの結果というのは、実際にブラックバスはそういう性質の魚なんだ、そういう生き物なんだっていうことを証明しているんです。釣りは趣味なので自分が好きなルアーを使うのはもちろん自由だけれど、それはそのときのバスが本当に求めているものじゃないかもしれませんよね。上位者トップ10にワームが入ってくる確率は高い。そもそもバスはワームが好きなんです。中にはライトリグをせこいと言う人もいるけど、そもそもバスは小さいものが好きなんです。クランクは浮かせておくだけじゃ釣れないけど、ワームは放置していても釣れますよね。物体として、バスはそういうものが好きなんです」
バスの性格を変えることはできないので。ただ、クランクベイトなどのハードプラグにできることは、スピードを出せることと、硬い水押しを出せること。それでしかスイッチを入れられない状態のバスも存在する。だから不要ではないのです」
藤田京弥の意見
・ブレーデッドジグのほうが根掛かりせずに様々な場所で使えて食わせ能力も高い。
・クランクベイトは早春や晩秋など効果的な時期が限定的。
・ディープクランクとマグナムクランクは唯一無二で使いどころが明確。
『一理あるけどNO!』清水盛三
清水盛三
しみず・もりぞう/国内トーナメントで数々の成績を残したあと、02年から単身渡米、以来18年まで米国トーナメントで活躍した。クランクベイトをはじめとした巻きの釣りを得意とするパワーフィッシャーマンで、その知識と経験は自身のルアーブランド『モード』に注ぎ込まれている。2006年バスマスターエリート・ケンタッキーレイク戦優勝、2022バサーオールスタークラシック優勝など。1970年生まれ、大阪府出身。
米国トーナメントでクランクベイトがブレーデッドジグに取って代わられている現状があると藤田さんは感じているそうですが、その点をどう考えますか?
「ブレーデッドジグというかジャックハンマーやろ(笑)。アメリカの選手の大半が使っている。先日のバスマスターオープン・チェサピークベイ戦でも上位10人中7人がジャックハンマーやからな」
そのような状況になってきているのはなぜでしょう?
「僕がアメリカの試合に出ていた頃もジャックハンマーが発売されてからは、クランクベイトよりもジャックハンマーを使う選手は増えつつあったよね。もっと言うとリップレスクランクベイト(バイブレーション)を使う場面も減った。同じような状況で使うそのあたりのルアー達は完全にジャックハンマーに飲み込まれたよね。ブレーデッドジグのほうが使えるシチュエーションが多いからちゃうかな。グラス(ウィード)エリアでも使えるし、レイダウン、ウッドカバー、バンク、リップラップ…どこでもいける」
「単純にジャックハンマーで事足りるとアメリカ人は思ってるんちゃう? ライブ配信で最近の試合を見てても、確かにクランクベイト自体を投げることが少なくなってきていると思う。早春の試合とかはクランクが入ったりするけど、それ以外はクランクがマネーベイトになる回数は減ってきている。ディープクランクはたまに見るけど、近年はそれで釣る魚をライブスコープで釣っているシーンが増えているよね」
そもそもクランクベイトとブレーデッドジグは守備範囲というか使うシチュエーションは似ているのでしょうか?
「被っている部分は多いかもわからんな。でも、この状況ではどっちのほうが釣れますかっていう考え方があかんねん。実際のところ、どっちも使ってみんとわからんのや。だから僕は今でも両方試す。ジャックハンマーだけではなくて、ワイルドハンチもゼルクもフラットフォースも使う。アメリカ人はジャックハンマーがよう釣れるからジャックハンマーでいいかってなってるんちゃうかな(笑)? 俺はもう今のアメリカのことはわからんからな。でも、現役選手の藤田京弥がそういうふうに感じているんやったら、クランクベイトを使わなくてもよくなってきているのかもしれない」
盛三さんは現在、日本のフィールドで釣りをしている中で、クランクよりもジャックハンマーでいいと思うことはありますか?
「めっちゃありますね(笑)。でもシーズンにもよる。とくに関西がそうなんやけど、日本のリザーバーって急深でクリアウォーターでしょ。岸についているバスが多かったりする。そういうクリアな水質の浅場に向かって投げるなら、クランクよりブレーデッドジグやスピナーベイトのほうが有利なんちゃうかな。水質がクリアならベイビージャックとかステルスブレード(SB)もあるしね。あとは、オーバーハングがいっぱいある増水したリザーバーは、ジャックハンマーの出番。なぜならスキッピングがめっちゃしやすいから。クランクベイトを入れられないところにも入れられる。だから日本のリザーバーで釣りをしていたらジャックハンマーのほうが必然的に多くなる」
どちらが魚を呼ぶ力が強いかではなくて、バスの近くにルアーを通せるということやね」
クランクは浮いて、ブレーデッドジグは沈む。クランクのほうがカバーに当てて浮かせたり、シェイキーなどのテクニックがあったりいろいろと小技が効くイメージもありますが?
「それはないです。両方とも小技は効く。クランクベイトもブレーデッドジグも基本はストレートリトリーブ。クランクはものに当てて止めて浮かせて食うこともあるし、逆にブレーデッドジグはフォールで食わせられることもあるからさ。ジャックハンマーの1.2ozでボトムをリフト&フォールさせる技がアメリカや琵琶湖で流行ったこともあるんやで。レンジに関しても、ジャックハンマーの3/4ozを使って水深3~4mの深いところを釣ることはある。まあ、今ではDD-Xオーバーっていう武器があるからそっちを投げることが増えたけどね」
ブレーデッドジグについてはトレーラーワームをつける点もクランクベイトとの大きな違いのように感じます。
「そうやね。トレーラーワームがあってはじめてブレーデッドジグはひとつのルアーになる。ワームの艶かしさが食わせ能力を引き立てるし、何をつけるかでそのルアーの特徴も変わるからね。基本的にはピンテール、ダブルテール、シャッドテールの3つをみんな使い分けているんちゃうかな」
リザーバー最上流のクリアウォーターに行ってブレーデッドジグで釣れたりするのは、クランクではあまりないことなのかなと思います。
「クランクだと残念ながらあまりないですね。上流だったら俺も絶対クランクではなくジャックハンマーを投げる。それは水がクリアやから。動きの質とトレーラーワームの効果やね。とくにそういう場所では、オリジナルよりもSBとかベイビージャックのほうが釣れる」
逆にクランクベイトが優位になる季節やシチュエーションはあるのでしょうか?
「まずはものが多いところ。引っかかりやすいところ。クランクはリップと浮力でかわしていけるからね。経験上、早春もクランクベイトのほうが強いことが多い。フラットフォースとかXオーバーとかね。ポンプリトリーブやストップ&ゴーはブレーデッドジグにはできない技でクランクならではの使い方だよね。あとは濁りが入ったときもクランクのほうがブレーデッドジグよりも強い。ジャックハンマーの色をチャートリュース系とか目立つようにする手もあるけど、どっちかっていうと僕はクランクにするほうが多いかな。水を動かす力というか、全体的に動いている量はクランクのほうが強い。ただ、いつも言っているようにどっちも試すからね。でも、今言ったような状況においてはクランクベイトを使っている時間のほうが長くなると思う」
そしてディープクランク。クランクベイトの中でもディープクランクは別物ですね。ディープクランクでしか釣れない魚がいっぱいいることを知らない人は多いんちゃうかな」
それでは今回のテーマの総括をお願いします!
「俺の解答としては『一理あるけどNO! 』やな。クランクベイトがブレーデッドジグに完全に取って代わられることはない! 俺はジャックハンマーを作ったけど、クランクでしか釣れない魚もいると思っている。それを言うたら俺、バサーオールスタークラシックでジャックハンマーで優勝してるって(笑)! でも実際は、ワイルドハンチSRとフラットフォースで優勝したやんか。練習中はジャックハンマーも当然投げてたからね。でも、あのときはクランクのほうが釣れたからクランクを使ったわけで。それがファクト(事実)や! 」
清水盛三の意見
・ブレーデッドジグのほうが使える状況の幅が広い。
・濁ったときと早春はクランクベイトを投げることが多い。
・クランクベイトにしか反応しない魚は存在する。
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