
村上が監修する新たなロッドが完成間近だ。2026年度はベイトタイプのフルソリッドモデルをラインナップする予定。この時点でハートランドシリーズの往年のファンは、すぐに気付くだろう。そう、1998年に発売された名竿「スモールプラグスペシャル」の進化版なのか?と。今回は、ベールに包まれたプロトロッドの村上的なアソビドコロを実釣を交えて存分に語ってもらった。
●文:ルアマガプラス編集部
profile
村上晴彦(むらかみ・はるひこ)
独特かつ自由な発想で、数々の釣法を生み出し世に広めてきた稀代の天才釣り師。その自然体で釣りを楽しむ姿がファンの心を惹きつけている。DAIWAや自身のブランドで釣り竿やルアーなど、数多くのヒットアイテムをプロデュースしてきた。
村上晴彦、さかなの聲をきく
フルソリッドの歴史的名竿 四半世紀の時を経て生まれ変わる
ハートランド初期の名竿が、熟成された現代の技術と思想によってリビルドされる。大きな特徴はマテリアルがカーボンソリッドであるということだ。
「ハートランド創世記、ソリッドパワースリム・コンセプトのもと『スモールプラグスペシャル』という、6ft7inのベイトロッドをリリースした。竿全体を曲げて楽しもうというモデルやね。ベイトフィネスの走りではあるんだけど、今のベイトフィネスとは考え方がまったく違う。ロッド自体はフニャフニャしていて柔らかいんだけど、ソリッドなので大きな魚を掛けても大丈夫。巨大な鯉がヒットしても、全然びくともしない。今回、そのスモールプラグスペシャルの後継機種⋯というよりも、アドバンス的な竿が、26年モデルとして登場の予定ですね」。
村上のなかで、なぜこのタイミングでフルソリッドが再熱したのか。
「順番が回ってきたっていうんかな。高弾性カーボンやAGSガイド、グリップのCGSなどの開発がより進化して、ロッドがさらに軽量化していく流れの中で、久し振りにフルソリッドの竿を手にしてね。最初は重いかなって感じていたんだけど、今まで忘れかけていたエエところがどんどん見えてきた。そのうち、フルソリッドを今の技術で進化させたらどうなるんやろ⋯って、テンションが上がって創作意欲が湧いてきたという。僕自身、最近は海の釣りをよくやるようになったこともあって、海では効果的な場面が多いフルソリッドをもう一度バス釣りで見直しても面白いよね、と」。
フルソリッドは中身が詰まっている分、開発は重さとの戦いでもある。
「とはいえ、やっぱりソリッドは構造上どうしても重い。ということは、相反作用でバランス調整が難しいということ。それでいて、グリップエンドのバランスウエイトを入れるのは個人的には好きじゃないから、納得のいくバランスにまで持っていくのに大変やった…。その苦労もあって、今回は特にエエ感じに仕上がってると思う。手に取ってみると、実重量ほどの重さを手首からは感じないくらい、負担が軽減されている…というか、単純に軽く感じるハズです」。
ハートランドZ 671MLFB-ST スモールプラグスペシャル
1998年、ソリッドパワースリムのポテンシャルが開花!!
1998年にラインナップされた、各コンセプトをもとにして作られた6ft 7inの3本のロッドのうち、ソリッドパワースリムの「スモールプラグスペシャル」として世に放たれた逸品(他2本はマグナムテーパーデザインの「ハマスペシャル」、チューブラーパワースリムの「ツネキチスペシャル」)。このモデルは、小型プラグの使用を想定して制作したオールソリッドモデル。時代を先取りしたフィネススタイルのコンセプトは、のちのベイトフィネスの流れにも繋がる、日本のバス界における歴史的にも重要な一竿となった。
2026年新生ソリッド ベイトモデルは柔と硬の2本
当初は1本のみのリリース予定だったが、よりアソビの幅を広げるために柔らかいモデルと硬いモデルの両方を発売することに。使用できるルアーウエイトの範囲は被る部分あるのだが、大事なのはアングラーがどちらのフィーリングで遊びたいかという点なのだ。
完成に辿り着くまでの「⋯この感じがたまらんねぇ」
過程を愉しむことの心地良さ
プロトロッド【硬】でキャッチした霞ヶ浦水系のバス。「カスミのバスはやっぱり特徴的な格好やねぇ。このソリッドで、もうちょっと竿曲げて遊びたいナ。遠投しないスタイルやったら、むしろこのモデルはカスミ水系にもピッタリな気がするね」。
甲乙付け難かった柔・硬『2本』のソリッド
長さはスモールプラグスペシャル同様の6ft7in。
「最初は7ftにしようと思ってたんやけど、止めた。長くなる分、ソリッドロッドは結局、竿の一番重い部分が増えてしまう。5in分、重くなるのはよくないなと思って、6.7にしたんやね。昔のモデルが好きな人もいることを考慮して、それに合わせたというところもある。ただひとつ、今回のモデル自体は、初代スモールプラグスペシャルとは似て非なるものですよ」。
そして今回は、フルソリッドモデルが『2本』登場する。
「実は今回も例によって何本もプロトを作ってもらい、その中から中間的な1本を選出しようと思ってた。でも、柔硬それぞれピックアップしてみると、さらに後からもっと柔らかいモノ、もっと硬いモノ⋯って、ほしい欲求が膨らんできてね。それやったら、2本を一度に出そうってなった.。疾風72のイースト・ウエストで2本出したようにね。柔らかいソリッドと硬いソリッド。皆さんがどちらで遊びたいか。フィッシングショーなどで触ってみて、気に入ったほう⋯気持ちエエほうを使ってみてください」。
使い込んでいくうちにその良さに気付く一生モノの竿
今夏のテスト釣行で、プロトのフルソリッドロッドの全体像が、村上のなかで明確になった。詳細スペック等はまだ明かせないが、ハートランドファンをワクワクさせる驚きの仕様も隠されているとのことだ。
「どうせ作るなら、一生モノの竿を作りたい。僕の根底にあるのは『このロッドはいいですよ! 買ってください!』ではなく、買って使ってくれた人が、このロッドに秘められた良い部分に気付いて嬉しくなるような、そんなモノ作りを目指してる。使い込んでいくうちに、だんだんジワっていく。そうやって使い込んで、この竿のことを理解してくれた人が、また他の方々にその良さを伝えていってくれる。それが理想ですね。エキスパートロッドじゃなくて、スペシャリティロッドなんです」
勢いで買ってしまったけど、使い方がわからない。けれど、使っていくと、徐々にその竿の新たな一面が見えてくる。その気付きの過程にこそ独自の面白さがあり、釣り本来の喜びをより深いものにしてくれる。これは、自由な発想を持つ村上が作り上げるロッドすべてに言えること。モノ作りの根底は、ハードランドが生まれた四半世紀以上経っても変わることはない。
「エエ竿の曲がり方したね。やっぱり、竿は曲げてナンボのものやから」
まさに、一魚一会。
釣り場に着いて一投目。流心に沈み蟲3.2のネイルリグを投げてズル引き、程なくして魚信が。「今日はこのパターンが釣れる釣り。沈み蟲のスタイルはフルソリッドの釣りにはちょっと合わない気もしたんだけど、そんなことはなかったね。むしろ投げやすいし、フルフッキングもエエ感じに決まるしね」。ちなみに、この中国地方リザーバー釣行で、6本のプロトロッド候補のうち、製品版に向けて柔・硬それぞれ2本を絞り込むことができた。
力を入れず、ロッドの反発力に乗せてスローに投げるのがキャストのコツ。このロッドを使いこなせれば、どのタックルでも飛ばせられるようになるはず。
キャストは力を入れないほうがむしろよく飛ぶ
フルソリッドモデルのキャスティング方法は、カーボンチューブラーのそれとはまったく異なる。
「振りかぶって竿を曲げて、そのまま前にまっすぐ伸ばしてあげるイメージ。その動作をうまくこなすことができれば、気持ちよく飛びます。一番アカン投げ方は、スピニングにありがちな、素早くピュッと振る投げ方。キャストの最後でロッドティップが反発でブレるため、ここでブレーキが掛かり、バックラッシュします。慣れないうちはモノフィラ系のラインでコツを掴むのがおすすめやね」。
リールやラインのチョイスがバチっと決まれば、3g以下のルアーだって気持ちよく扱えるようになる。
「軽いルアーは力を入れないほうがよく飛びますよ。普通の竿はロッドのキャスト時のハニースポットが狭いんだけど、フルソリッドは竿全体が曲がってくれるから、その幅も広い。リールの限界以上の軽さのモノも投げられる。要するに、よく曲がるから軽いルアーも飛ばせられるんやね。竿が曲がった反発力でリールのスプールが回って、それでルアーが飛ぶというメカニズムを体で理解できれば、この竿のポテンシャルを最大限に活かした飛ばし方ができるはず。フルソリッドのベイトシステムでうまく投げられるようになれば、どんな竿でも投げられるようになってるはず。力を入れなくてもちゃんと飛ばせられることのできる技術やね。タックルバランスがバシッと決まれば、ハード、ソフト問わずいろんな遊び方ができますよ」。
フルソリッドはテクトロにもマッチ
霞ヶ浦水系ではテクトロも多用した村上。フルソリッドの柔軟性があれば、足元で急にバイトしてきてもフックアップさせやすい。護岸の多いフィールドでぜひ試してみてほしい。
村上的、新生ソリッドベイトのトリセツ。
ベイトPEシステムが楽しい
飛距離や感度を 重視するならPEライン
フロロカーボンやナイロンラインでも、もちろん気持ちよく使うことはできるが、ロッドの更なるポテンシャルを引き出すならPEラインでの使用がおすすめ。ちなみにトラブルを考慮すると、PEの号数は1号以上を推奨。
PEバックラッシュの直し方
バックラッシュしたら、無理に ラインを引っ張らない!
PEラインでのバックラッシュの直し方のコツは、まず何はなくともラインを強引に引っ張らないこと。さらにラインを食い込ませてしまったら取り返しがつかなくなる。「ラインが束になっているところを、とにかくほぐしてやる。このときにラインが乾いていたら熱が生じてキレやすくなるので、湿らせてあげるとより良いですね。バックラッシュを直したあとは、リールを下向きにしてラインを巻き取りましょう。緩んだラインがハンドルなどに巻き込まないのでおすすめですよ」。
フルソリッドのメリットとは?
ソリッドはブランクスが潰れずパワーロスが少ない
フルソリッドはブランクスの芯が詰まっていて、チューブラーのように曲がったときにつぶれない。「つまり、曲がったときのパワーロスがない。そして、綺麗なグラデーションで滑らかに穂先から胴まで曲がってくれる。また、フルソリッドは独特の釣り味があるのがいい。詰まっているから重いんだけど、その重さで竿自身が曲がっていく。アクション時もキャスト時も、曲がりはじめがナチュラルで気持ちエエね」。
フルソリッドベイトのキャストのコツ
スローに曲げ込みながら、まっすぐルアーを放出すること
ソリッドロッドはスローに曲げ込みつつ、ルアーをまっすぐに放出しよう。素早くピュッと投げると、その勢いで最後にロッドティップがブレてしまい、ラインの放出を妨げることに。これがバックラッシュにつながる。慣れないうちは、フロロカーボンやナイロンラインで練習するのがおすすめ。
ガイド数は13個に増量
ラインの接地点を多くし 反発力をより引き出す
もともとのスモールプラグスペシャルはガイドが9個だったが、今回は13個。ガイドが増えることで、仮に同じブランクスだったとしてもパワーロスが少なくなる。「竿の反発力を最大限に引き出せるんですよ。柔らかいんだけど、想像以上のパワーを感じるはず」。ガイドマテリアルはチタン。これにももちろん理由はあるが、それはまた追々、公開していく。
フルソリッドでしか味わえない釣り味は確実に存在する。このロッドで魚を掛けてみれば、きっと誰もが村上の「エエ感じ」を共有できるはずだ。
バーサタイル ロッドにも通じるフルソリッドの奥深さ
フルソリッドのベイトロッドは、スモールプラグスペシャルの名前がそうであったように、小型プラグを使うのに適したロッドだ。しかしながら、それに収まらないほどポテンシャルは奥深い。
「スモールからミドルクラスのトップウォータープラグはめちゃくちゃ相性がエエね。プラグなら軽いものは2g台から、キャスト時に抵抗を受けにくいモノならヘビーウエイトでもいける。飛距離を出さないメタルバイブでの釣りにもいい。掛けたあとはバラしにくいし、アクションのリズムも取りやすい。フッキングしたときのアワセ切れもない。ワームも全般的にOK。今回は高比重ノーシンカーやダートヘッドタイプのルアーでエエ釣りができたけど、リグを選ばず扱える。本当に幅広いよ。スピニングよりも手返しがいいしね」。
大事なのは重さではなく、巻いたときの抵抗感。抵抗感が強いルアーだと、竿が曲がりすぎてフィーリングがよろしくないのだ。
「その昔、スモラバブームの先駆けとなったハンハンジグというルアーを作ったときに、それを使うのにソリッドのベイトを使ってた。ハン、ハン、ハン⋯って、ジグをリズミカルに揺すっていくのに、ちょうどよかったのね。それに、6〜8lbの太めのモノフィラを使って、小さなスモラバを投げるのはベイトのほうがやりやすかったし。そこからプラグとか他の釣りに派生していったんやね」。
今回の釣行では、小型プラグ以外にも、高比重ワームのネイルリグ、ライトキャロライナ、ライトテキサス、スモラバなど、あらゆるソフトベイトを駆使してバスをキャッチ。このプロトソリッドでどこまでやれるのか、その限界点を見極めているようにも感じる。
「今回の竿は、関わるスタッフも含めて、今まで以上にかなり熱がこもったモデルになってる。こういうモノが出来上がると、それに付随して副産物のように次々とアイデアが湧いてくる。時としてそれはルアーであったり、リールのセッティングであったり⋯。それらを同時進行でいろいろ試行錯誤しながら形にしていく過程が、また楽しいね」。
コイのパワーに負けず、 ロクマルクラスを余裕で取り込み!
スモールプラグスペシャル発売時の広告を想起させる、コイとのパワフルなファイト。「曲がり切った状態からさらに、急激かつトルクフルな首振りにも追従してくれるから魚がバレない。バットからティップまですべての箇所でフル稼働してくれるのがソリッドの特徴です」。ハネエビに喰らいついた巨鯉。フックは曲がっていたが無事にキャッチ。「ハリは曲がっているけど、竿が追従してくれるから獲れるんやね。さて、ブラックバス釣ろか(笑)」。
ハス
熱のこもった竿ができると、副産物のようにいろいろな 釣りのアイデアが湧いてくる。
リザーバーの川筋にエントリーし、沈み蟲のネイルリグで次々とバスをキャッチ。「掛けたあとはバレる気がしない。竿が勝手にいなしてくれるのがわかるから、ヤバイなって思う瞬間がないのがエエね」。
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