DRT琵琶湖裏対談 ぼくたちが琵琶湖を目指した理由

クラッシュシリーズ、アーテックスシリーズなどで琵琶湖を席巻したDRT。その代表である白川友也さんと琵琶湖のカリスマガイドである米山悟さんの対談インタビュー。

●文:ルアマガプラス編集部

白川友也(しらかわ・ともや)

三重県出身。ハタチごろから琵琶湖に通い始め、30歳で滋賀県へ移住。手始めにカスタムロッド工房から釣具業界へと参入した。2007年にディビジョン(DRTの前身)を立ち上げ、市販ブランクスをカスタムしたフリクションシリーズを製作。その後、オリジナルブランクスのクライムシリーズやルアーデビュー作となるワープ90などを世に送り出した。2010年にスイムジグのシャトルがヒットし、琵琶湖周辺での知名度を獲得。2015年にクラッシュ、2016年にタイニークラッシュを発売し…ビッグベイト界隈だけでなく、世界のバス釣りシーンに衝撃を与えた。

米山 悟(よねやま・さとる)

鳥取県出身。小学校2年生くらいからバス釣りを始める。地元や岡山県の野池で腕を磨いた。初めて琵琶湖を訪れたのは中学生の頃。21歳で滋賀県へと移住。一度鳥取に帰ったが、再び滋賀へと戻ってきた。午前中は釣り、午後は仕事という暮らしを数年続け、27歳ごろにガイド業を開始。PEラインを使用した重めのジグヘッドのミドスト(いわゆるパワーミドスト)やディープレンジでのクラッシュ9のデッドウォークなど、センセーショナルなテクニックの始祖とする声も多数。得意な釣り方はクランクベイト。VTS5とポリスの開発に関わった。

琵琶湖に惹かれたふたりの移住物語

日本バス釣り界最大のパワースポット、琵琶湖。世界的なビッグバスレイクであり、湖、山、街が融合した「普通の生活ができる大自然」という日本では稀有な場所でもあったりする。そんな琵琶湖周辺には日本各地からバス釣り熱に浮かされた数多のクレイジーな釣り人たちが集まっている。白川さんも米山さんも他県から覚悟を決めて移住し、琵琶湖でサバイブしてきた。どうしてそうなったのか、いろいろ話を聞いていこう。

——なぜおふたりは琵琶湖を目指したのでしょうか?

白川「僕は琵琶湖に住む前から通っていました。ブラックバスはいろんなところにいましたが、釣り場的にも琵琶湖が自分には一番魅力的だった。いつか住みたいな、と思っていたので、本当に住んじゃった」

米山「僕も18歳で鳥取から大阪に出てきたときからずっと通っていました。親の仕事を手伝うために地元に一旦戻ったのですが、親が亡くなってしまって。もう一度地元から琵琶湖に出たいな、と。元々ガイドをする気はなくて、ただ釣りがしたいがために出てきた感じですね」

白川「最初の出会いは澤井さん(※Fish!tackle shopの澤井昌之さん。琵琶湖バス釣り界隈のキーマンである)とご飯を食べに行ったときやったな」

——そのときのお互いの印象は?

白川「生意気なヤツでしたね」

米山「そうでしょうね(笑)。僕は敬語を使わなかったんで」

白川「まずは敬語を使おうか、から入って(笑)。でも釣りがうまい子なんやな、って見ていました。自分は当時まだボート釣りを始めたころで、まだオカッパリ主体。ボートでテストをする人が全然いなかったんです」

米山「僕もまだレンジャー(最初のバスボート)も買ったかどうかというころでした。でも、バックシートでローカルトーナメントを優勝しまくってました」

白川「サカマタの重いジグヘッドとかをやり出したのも悟だったよな」

——そのころのDRTの印象は?

米山「知ってはいたけど、ゴリゴリのファンではなかったですね。もうクラッシュやタイニーは出ていて、カッコいいモノを作るなーって言うのと、なんでこんなことを考えつくのかと思っていました。10年くらい前ですが、エイトボールジグのプロトとロッドを貸してもらいましたね、テスターより先に」

白川「全然覚えてない(笑)」

米山「その後、ガイドを始めるなら契約するという話になって」

白川「大した契約もしてないけど、仲間としてね」

——ガイドを始める前はどれくらい琵琶湖へ釣りに出ていたんですか?

米山「週5くらい午前中はボートで釣りして、夕方は配達の仕事をしていました」

——岸釣りならまだわかりますが、お金がかかるボート釣りをそこまでする人ってなかなかいないですよね。何を目指していたのでしょうか?

米山「単純にめっちゃ釣れるから出ていただけで、ガイドをするようになるなんて思ってなかったです」

白川「どれくらい釣ってたの?」

米山「出れば3kgが4〜5本釣れるくらいです。今では有名ですが、野洲の沈船で3kgが20本に4kgも混じったり。ミドストやキャロとかで釣ってましたね」

白川「悟はセンスはあるんで。自分がやらない水深をやってる。年間を通して僕より深い」

米山「そのときはそうでしたね。今じゃみんなやってますけど。でも、大きいバスが釣れるのは18mくらいまでですね。20mを超えると小さいのばかりです」

2025年の琵琶湖バスフィッシング

——では、今年の琵琶湖の釣りを振り返ってみましょう。

米山「僕は毎年冬になると絶対釣れる感じがあったんですけど、今年の冬は初めて難しかった。春になったらまあまあ釣れたんですけど、みんながクラッシュ9を投げてて流行りすぎていた。夏は暑くなりすぎて…7月の終わりまでは釣れたんですけど、8月になって高水温で安定してからはダメでした。9月になると最初は釣れたんですけど、日に日にバイトが減ってきていますね」

白川「夏になってからあまり出られていないんですけど…僕は一年間通して同じポイントしか行かないんですよ。それで思うのが、バスが選ぶルアーがちょっと変わったんちゃうかな? それが新しくなったというよりも、すごく昔の琵琶湖に戻っているかな、という印象です」

——ほう…それはどんなものですか?

白川「今作っているモノでいったらリッジテール系スイムベイトのライスですね。それが使うたびに反応があって、毎週のように10lbが釣れている。あちこちどこでも。強波動なモノが効いている気がする。サイズが小さくても大きくても。クラッシュ9でも逃し的なバンバンっていうアクションで食う。よりダイナミックなことで釣れ出してるんちゃうかな。ポリスとかも相当強いやん? 往年の琵琶湖的な感じがあるなあ、って思う」

——去年はモロコが多かった記憶がありますが、今年のベイトフィッシュは何が多いのでしょうか?

米山「モロコもハスも多いですね。ただ、北湖はウィードがヤバいですね。多すぎる。マット状になっていて、川に入れないくらい。そこでフロッグをやれるけど、釣れてませんね。でも、今はちょっと涼しくなったので、バズベイトとかが釣れてます。でも、安定して釣れる感じではない」

白川「夏の河口のハスパターン(※ここ数年クラッシュ9のクランキングで釣れていたパターン)は今年あった?」

米山「なかったですね。いいタイミングで雨が降らなかった。ビッグベイト以外はハスが絡むパターンで釣れましたけど、クランキングはせずに終わった」

白川「なんやろな。結局、水が悪くなったんかな?」

米山「水はずっと悪いですね」

——でも小バスはよく釣れていますよね?

米山「小バスは変わらないです。でも去年はこの時期にデカいのも釣れていたんですよ。例えば、僕だけしかやらないような、2日おきに行ったら1本は必ず釣れるような場所があるんですが、そんな場所も今年は食わない。バスはいるんですが、逃げもしないし、避けもしない、反応すらしない、微動だにしない」

——小バスは釣れるのに30〜40cmくらいのバスは釣れないですよね。

米山「なかなか釣れない。25cmまでか45cm以上という感じ」

白川「でも、そのサイズを狙う釣りをやっていないからじゃないの?」

米山「トーナメントで狙っても釣れないんですよ。釣れても27cmくらいまでとか」

白川「なんでやろ。確かにチェイスしてくるのは50アップやな」

米山「なんでですかね。30〜40cmがそんなに賢いとは思えないので、何かしらの要因で死んでいるのでは」

——近年はウが増えているようです。

白川「確かにウがめっちゃ沖で群れになってない?」

米山「北湖西岸とか日野川沖とか多いですね。あとは、今の時期はターンオーバーで深場の小さいバスが酸素がなくて死んでしまうのもありますよね」

——では、そんな今の琵琶湖でデカいバスを釣るための、それぞれの必殺技を教えてください。

白川「俺はライス(※白川さんが開発中のスイムベイト)しかないわ。使い方? 中層をただ巻くだけ」

米山「自分が釣るならゴーストを使いますね。ただ巻きと、魚が見えたら逃しとかを使う」

「バスに限らず多くの人にまずは『釣り』をしてほしい」(米山)

「競技志向が強すぎるバスフィッシングの現状をぶち壊したいですね」(白川)

次世代ビッグベイト、ライスとピギー

——注目している未発売のDRTルアーを教えてください。

米山「僕はピギーという体高のあるフナ型のビッグベイト。今年の春にプロトをお客さんに投げてもらったら、すごかったです。クラッシュ9には掛からないのがめっちゃ掛かる。後ろを吸い込むのかリアフックに掛かるんですよね。これはアリだな、と」

白川「僕はライスとピギーです。僕が作ってるんで本当は全部なんですけどね(笑)。まあ、色々控えているヤツはありますよ」

——では、既存のDRTルアーで最近見つけた新しい使い方はありますか?

米山「おっさんなんであんまり新しいことはできませんね(笑)」

白川「これは人から聞いた話ですけど、ポリスのサイトフィッシング。魚がいたら投げて急激に潜らせる。ガガーン! と。それで食うらしい」

米山「なかなか僕らはやらない釣り方ですね」

白川「オカッパリならではやね」

——米山さんがこれまで開発に関わったDRTルアーは何ですか?

米山「VTS5とポリスくらいですね。VTS5はそれこそサカマタでやってたミドストの流れで、違う機能のものを作ったという感じ。誰が使ってもロールさせやすいです。逆にロールをさせないようにもできる。お尻のフィンのおかげでレンジキープもしやすい。ポリスはもともと白川さんがクランクベイトを作りたいって言ってて、それなら誰もやっていないレンジを当てたいと。最初のプロトからずっと釣れてましたね」

白川「どれでも釣ってたな。ミドストもクランクベイトも琵琶湖では王道でベーシックなものなんですけど、いい魚を釣りたいので、小さくても水を押す力が強いとか、巻き方でアクション変化が出るようにするとか、僕のアイデアと悟の意見を聞きながら形にしていきました」

——現在おふたりで開発中のモノは何かありますか?

白川「今は竿をやってます」

米山「スピニングのミドストロッドとベイトロッドですね。ベイトはDRT以外のルアーを投げるときの汎用性も持たせています」

——では最後に、DRTのこれからについて、思い描いていることを教えてください。

白川「まだ言えないことがいっぱいあるなー。デカいプロジェクトもあるし。でも、琵琶湖だけじゃなく世界の人が待っているようなものを作ろうと頑張っています」

米山「僕はそれについて行くだけです」

白川「日本はマーケット自体が縮小しているので、なんとかしないといけない。釣り場の問題やマナーは当たり前なんですけど、もっと人が興味を持ってくれる何かをしないといけないですね。例えばラジコン業界もそうだったんですけど、衰退していくと残るのは本当にコアな人。その人たちがレースなど競技しかしていない。バス釣りもそうなっているかな。オカッパリでも競技をし始めたりとか。釣りをしない人からしたら敷居が高く感じてしまいますよね。そんな競技志向やSNSで広まったモノしか売れないとか、その状況はぶち壊したいですね」

米山「バスだけでなく、まず釣りをやってもらいたいですね」

ピギー(DRT)

DRTの次なるビッグベイト、ピギー。体高のあるフナ型で、サイズ感はクラッシュ9とほぼ同じ。だが、フッキングがすこぶるよくなっているという。

琵琶湖とDRTと森羅万象のQ&A

Q学生時代の部活は?

米山「中学はサッカー。高校からバイク(笑)」

白川「バスケットボール。エアジョーダンが欲しくて」

Q琵琶湖で好きなラーメン屋さんは?

白川「俺は和邇のラーメン藤が好き。あとは焼肉バンバンのラーメン。ちょっと甘い味の昔ながらの中華そば。焼肉屋のラーメンが好きなんです」

ラーメン藤 わに店

米山「僕は麺屋聖(きよ)。雄琴に支店を出す前から京都のお店に行ってました」

麺屋聖 雄琴店

Q好きな釣りの時期は?

米山「冬から春。1月から4月1週目くらい。夏は嫌いですね。台風後のクランキングはめっちゃ好きなんですけど」

白川「僕も寒い時期、冬、春。大きいのが釣れやすいから。夏嫌いとか言ったらダメかもしれんけど、熱中症で亡くなっているプロもいるんでね」

Q琵琶湖の好きな場所は?

米山「湖上なら外ヶ浜ですね」

外ヶ浜

白川「ボートから見る景色なら安曇川河口かな。大自然を感じる。オカッパリなら湖北の海津とか。奥琵琶湖のビッグフットとかに行くとドキドキする」

海津大崎

Qお気に入りの釣り便利グッズは?

米山「スタジオオーシャンマークのハリ外しです。13,000円くらいしますが、2本買いました。ペンチよりも穴が広がらないです」

HR230S/SB(スタジオオーシャンマーク)

白川「スミスのスプリットリングオープナー付きプライヤー。ウチのルアーにマッチするんです」

スーパーマルチ プライヤージュニア(スミス)

Q好きなルアーカラーは?

バスカラー

白川「プラグならバスカラー。プロブルーとかも好きだけど、総合的に好きなのはニジマスかバスカラー。理由はカッコいいからです」

クラッシュ9のバスカラー

ホワイト系

米山「プラグは白系ですね。トップならボーン、クランクベイトも白ベースが好き。ビッグベイトも僕のオリカラは白でした。バスの反応がいいというのが一番の理由です」

米山さんオリカラのVENOM

Q好きなルアーベスト3は?

白川「DRT以外でいこう」

1位 DD22(ノーマン)

「1位はDD22かカスカベル。
でもDDかな。僕の中であれがビッグベイトに繋がっていきました。オカッパリでナイロンラインを使ってするとタテのウィードが攻めやすかった」

2位 コンバットクランク250(エバーグリーン)

「オカッパリナイトのワーミングクランク。スピニングタックルのPEラインでやってました。小粒なのによく飛んで、ボーンモデルが特によかった」

3位 スイングインパクトファット(ケイテック)

「シャトルを作っているころによく使っていて、すごく思い入れがある。唯一無二だと思う。サイズは5.8inやね」

米山「僕もクランクが好き」

1位 10XD(ストライクキング)

「ポリスが出てからはあまり使わなくなったけど、今でも8mより浅いところは10XDを使います。
シルエットもポリスより小さいですね」

2位 ショットオーバー5(ノリーズ)

「これは琵琶湖以外のリザーバーには必ず持っていきますね。琵琶湖でも秋に使います。普通に投げて、モノに当てたりしながら巻きます」

3位 バルビュータ(デプス)

「最初は薄っぺらくてなんだこれって思ったんですけど、琵琶湖でも釣れます。ジグトレーラーにするのが好きでめっちゃ使ってました。初めて釣った5kgオーバーがエイトボールジグとのセットでした」

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