
トラウトキングで11年連続、トップカテゴリーで試合に参加し続ける中山晋一さんは、スプーンだけを武器に釣果を出し続ける『スプーン』の達人。そんな達人がどのように、エリアのトラウトを攻略しているのかを解説します!
●文・写真:ルアーマガジン鱒王編集部
◎釣り人:中山晋一
中山晋一(なかやま・しんいち)。フォレストのテスターでもあり、トラウトキングのエキスパートシリーズに11年連続で出場。お立ち台にも何度も上がるエキスパート。特筆すべきは、その試合をスプーンだけで完結させていること。中部在住ということもありMID・FORESTというチームのメンバーでエリアトラウトの釣りを盛り上げている。
基本を抑えればビギナーにとっても大きな武器になる!
スプーンというルアーは刻々と変わるパターンにスピーディーに対応しやすいという利点がある。
今回は先鋭化するトーナメントシーンで、スプーンだけを使い続けている中山晋一さんに、その基本を解説していただいた。
中山さんは特に、マイクロスプーンの達人としても知られており、スレているエリアでもそれらを駆使してコンスタントに釣果を重ねるアングラーだ。
中山「一般的に1g以下はマイクロスプーンと呼ばれているようですが、僕的には0.9gぐらいの釣り方は、まだ一般的な重さのスプーンという認識。0.6g前後のスプーンを使いこなすことでグンと戦術の幅が広くなります」
スプーンの釣りと聞くと、しっかりと使いこなせないと釣果を出しにくいルアージャンル、エキスパートの武器なんて思われがちだが、中山さんの釣りを取材してビギナーの記者が感じたのは、この釣りは基本を抑えてしまえば、ビギナーにとっても大きな武器になることだ。
パイロットパターンで魚の反応を見る
「普通に巻いてみて、ルアーの周りじゃなくもう少し広い範囲の魚が、ルアーに対してどんな反応をしているのかをまず観察します」。
まず、中山さんはわかりやすく、パイロットパターンを設定し、そのスプーンへの反応を見て、使用するスプーンの種類、重さ、巻き方(スピード)、アクションを絞り込んでいく。
中山「スプーンといえば、基本、巻きのルアーです。状況にはよりますが、例えば表層直下を巻いてみます。で、狭い範囲を見るのではなく、広い範囲のそのルアーを見つけたと思われる魚の反応を観察してみてください。思ってもいない遠目の魚がルアーに反応して追尾動作を見せた。直線的に追ってくるけど寸前で見切る。もしくは結構、距離を空けて見切る…等。また、同レンジの目線に捉えた魚だけ反応する。深めから突き上げるようにバイトしようとする魚がいる。途中、止めてみたらスプーンを追尾する。バイトがあったにせよ、反転してフッキングする魚だった。ついばむようにバイトしてこちらがアワセをいれなきゃフッキングしない…。数例ですが、こういったトラウトの動きをよく観察してみてください」。
こういったパイロットパターンに見せる魚の反応から、スプーンの種類、アクションなどを細かく絞り込み、最適を絞り込んでいくのが、中山さん流だ。
漠然と釣れた、バイトがあったと完結するのではなく、どんな釣れ方だったのかを考えることでコンスタントな釣果を持続させることができる。まずは、反応を見て絞り込んでいく『軸』を決める。アクションかスピードか、カラーか。そこから次の釣り方を変化させていく。
例えば、1尾目。中山さんはスプーンを投げてみて、魚の反応の具合から思っているよりも高活性と考えた。なおかつ、最初に引いたレンジよりも上の目線で魚が反応していると判断して、2投目からは、ロッドをやや立てて、同じスプーンでも表層直下をリトリーブする方法に変えてヒットさせた。
一聞すると、そんな複雑な判断、ビギナーにはできないと思うかもしれないが、簡単にいえば、一投目で釣れなかったから、アプローチの方法を少し変化させた、というだけだ。
中山さんは流石にエキスパートということでその変化のさせ方が効率化されているが、最初の使い方を小さく変えていくことで、反応を探っていくという考え方は誰にでも応用できるはずだ。
この小さく、細かく変化を刻んで、魚の反応の正解を見つけていきやすいのがスプーンというルアーの特徴でもある。
では、具体的にどのように変化させていくと良いのかを学んでいくことにしよう。
パイロットルアーにおすすめ! ファクター1.2g(フォレスト)
ファクター1.2g(フォレスト)
中山さんがお勧めする、パイロットルアーのひとつがこれ。ベーシックなアクションで安定した泳ぎ、レンジキープ力が高く、使いやすいスプーンになっている。
「アクションか、スピードか、カラーか」。反応を見て絞り込んでいく『軸』を決める。
中山さんはフォレストのスプーンで試合を完結させる。基本、そこで勝負になるだけのラインナップもされている。
中山さんがテスターを務めるフォレストにはすでに、形状や動き、サイズ、カラーなどの特性が異なる複数のスプーンがラインナップされている。
その性能を把握しておくことで、戦略の幅はグンと変わってくる。前述もしたが、まずは魚の状況を探るパイロットルアーを選定する。中山さんはファクターの1.2gをお勧めしてくれたが、これがいきなりマイクロスプーンのM2であっても間違いではない。
基準となるスプーンよりも大きく動く、よりナチュラルに動く、スプーンの特徴を掴んでおく?
フォールの姿勢が変わる、巻き向きである、フォール向きである、はたまたアクションに特徴がある…など、パイロットとなっているルアー、軸を定めることで変化の方向性に幅が広げられる。
「スピードを重視するか、カラーを重視するか、動きを重視するか。状況次第です」。
そうはいっても中山さんが持っている変化・調整の軸を知ることで、指標になることは間違いない。
中山「状況は分単位で刻々と変わっていきます、それに対応するためのルアーはいくつか持っておくといと思いますよ。ただ、僕はウォブが強い弱いだとか、ロールが強い弱い的な要素はあまり気にしていなくて、そのスプーンの持っているスピード感を把握しているというか。言葉にすると難しいのですが、このルアーは構造的にスピードを抑えられるとか、抵抗を逃す動きだとか、そういった性格を把握していることが大事だと思っています」
中山流のローテーションはあるが、見習って欲しいのは『考え方』。なので、1度に明記されているルアーを揃えなければダメだというわけでもない。自分自身で、ルアーの個性を見抜いて、武器を増やしていく。そのルアーが生きる状況を把握しておくのが大事との話だった。そういってことを意識しながら、スプーンの数や種類を増やしていって欲しい。
【基本】パイロットルアー
①ファクター1.2g(フォレスト)
ファクター1.2g(フォレスト)
サイズ感、アクションなどバランスがよくベーシックなスプーンであることから中山さんもパイロットルアーとして活用しているスプーン。
中山「0.9gは表層から中層に魚がいるときに良いことが多いですね」。
②M2 0.6g(フォレスト)
M2 0.6g(フォレスト)
中山さんが得意とするマイクロスプーニングの軸とするルアーがM2。トーナメントでウイニングルアーになるほどの実力を秘めている。0.4gと0.6g、0.8gがラインナップされている。
中山「魚がM2の動きを好きと判断したら0.6gを軸に0.4gを使うことがあります」。
①と②から次の一手:フィックス0.7g(フォレスト)
フィックス0.7g(フォレスト)
中山「M2を使っていて、スピードをよりゆっくり見せたければフィックスの0.7gを使うローテーションをすることが多いですね」
②から次の一手:チェイサー(フォレスト)
中山「フィックスを使っていて、さらにゆっくり、魚にヨセていく展開ならば、これの0.6g、さらに0.4gと変化させて反応を見ていきます」
上記に挙げた調整が、比較的幅広く行えるのがスプーンの強みだが、ある程度はそれぞれの個性を把握し、適切に釣りを組み替えていくことも大事だ。
状況反応を見ながらさまざまなスプーンの個性を活かす
MIU3.5g、2.8g、2.2g、1.5g、1.4g(フォレスト)
MIU(フォレスト)
放流のサカナの動きが良いようならば、MIUをパイロットの軸にすることもあるという。幅広いウエイトがラインナップされている。
ファクター1.8g、1.2g、0.9g(フォレスト)
ファクター(フォレスト)
MIUでの反応を見てファクターにチェンジ。因みにファクターのは0.9g、1.2g、1.8gの3種類がラインナップされている。このチェンジはカラー重視、スピード感重視など状況を見極めながらの選択になるとのこと。
クローザー1.1g、0.8g(フォレスト)
中山「因みに早めの動きに反応する魚がいる場合はこの1.1gか0.8gをローテションに挟むことがあります」
マーシャルトーナメント1.5g、1.2g、0.9g(フォレスト)
クローザーの対として、同じく早めの動きの魚がいる場合には、このスプーンの動きが効くことがあるとのこと。
釣るためのもうひとつの調整『タックル』を考える:ロッド編
ULTIMA POLE POSITION-61UL-E(フォレスト)カリカリすぎる高弾性素材、ファストテーパーというわけでもないので、扱いも比較的柔軟。ピーキーさもないので初心者でも扱いやすい『尖っている』1本。
中山さんは最近、マイクロスプーン専用という、かなり尖った仕様のロッドをプロデュースしていた。アルティマ・ポールポジションという6フィート1インチ・ウルトラライトアクションのロッドだ。
中山「自分、年齢も若者というわけじゃないので、超高感度というよりは、スプーンを使った時に、操作する、魚を掛ける、ファイトするという要素を楽にこなせるロッドというのを作りました。実は、活性の高いバイトの時はどんなロッドでもいいのですが、今日の取材の後半のように、エリアの魚がスレてきだすと、スプーンを摘むようなアタリが増えてきますよね。それをとるには(フックを貫通させるには)、ある程度の強さがいります。でも、巻いているスプーンを追いかけてきたサカナのバイトをうまくフッキングさせるには、フックが口に残るような柔軟さが必要になります。この相反する性能をうまくテーパーに落とし込んだのが僕のロッドです。まぁ、わがままを聞いて設計してくれた人がすごいのですが(笑)」
スプーニング専用機として開発された1本【ULTIMA POLE POSITION-61UL-E】(フォレスト)
6ft1inウルトラライトアクションのスプーニング専用機。価格:59,565円(税込)。
中山さんが専用ロッドとして開発した1本。エステル専用機と謳われているが、フロロカーボンなどでの使用も想定されている。リールは22イグジストLT2000S-P(DAIWA)、23エアリティLT2000S-P(DAIWA)を使用。メインラインは0.3-0.2号エステルで0.25号を軸にすることが多い。リーダーは0.3号は0.5号、0.25号と0.2号の場合は0.4号ですべてフロロカーボン。フロロカーボンをメインラインにする場合は0.3号がキモ。
釣るためのもうひとつの調整『タックル』を考える:ライン編
中山さんが愛用しているフロロカーボンライン「シーガー・グランドマックス」(クレハ合繊)。「エステルとフロロを使い分けたり、
魚の反応でフックを変えたりと複合的な調整でヒットに確率を上げていくという『思考』が大事」。
マイクロスプーンという軽量のルアーをキャストするためのマイクロガイドの採用や、あまり高弾性にしすぎないといった、素材感へのこだわりもしっかり中山さんにはあるのだが、聞いていて印象に残ったのは、スプーンに反応のあったサカナのバイトをしっかりとフッキングに持ち込むためのアクションにかなり注力しているというところだろうか。話を聞いていると、「フックを立てる、残す」というキーワードがよく登場した。
しかも、中山さんはスプーンの使い方のなかで、タックルのセッティングに関しても、その「フックを立てて、残す」という部分にこだわりを見せていた。そのこだわりのひとつがラインだ。
中山「基本、エステルラインを基準にしていますが、魚の反応具合では、フロロカーボンを使うこともあります。先ほどいった、より魚の口にフックを立てて残す必要があるときには、フロロカーボンをメインラインにします」
このフロロカーボンを使うというセッティングは中山さんの中ではかなりフィネスより。読者も、機械的にスレてきたらフロロカーボンを使うという思考ではなく、状況で『合う』方を選択するという思考でいたほうがよいかもしれない。
タックルのセッティングで調整もしていく中山さん。当然ながら、フックも複数用意して、当日のアタリを探しあてていく。
実釣エリア:恵まれた湧水に育まれた元気マスがウリの「すそのフィッシングパーク」
取材をしたのは静岡県の湧水エリアにある老舗管理釣り場。水質はクリアで放流量も安定しており、初心者でも楽しめるエリアになっている。メインで楽しめるエリアは3つあるのでスタイルに合わせて選べるのも嬉しい。中山さんもその放流の豊富さ、魚のコンディションの良さに大満足。お勧めできるエリアのひとつだ。
■住所:静岡県裾野市富沢589-1
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