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【新たな境地のベイト主軸主義とは?】「ツヤツヤの太いサカナ」を求める田辺哲男の現在地

【新たな境地のベイト主軸主義とは?】「ツヤツヤの太いサカナ」を求める田辺哲男の現在地

昨年11月、千葉の戸面原ダムからビッグニュースが飛び込んできた。
田辺哲男が57センチと59.5cmを連発――。
多くのアングラーが日々キャストを繰り返すメジャーレイクにも、まだまだ無限の可能性がある!
そんなことを教えてくれるビッグフィッシュハンターたちの姿を追いかけてみよう。

●文:ルアマガプラス編集部

「ツヤツヤの太いサカナ」を求めて

ビッグフィッシュを定義づけるのは難しい。そもそも場所によっても違うじゃない。エサや環境が整っていなくて、バスの育ちが悪いところもあるし、寒い地域との差もあるだろうし。

それでも日本の釣り場であれば、50cmを超えるものはビッグフィッシュと呼んでいいと思う。琵琶湖や池原ダムのように、フロリダ種がごまんと生息しているレイクでは、話が違ってくるけれど。

1日の釣りのなかで50アップが獲れたら、それはそれで嬉しいよ。だけど俺の場合は、サイズの問題じゃないんだよ、今は。単なるでかバスの枠じゃなく、もっとクオリティの高いサカナをねらいたい。俺なりの表現でいえば「太くてツヤツヤ」な個体だね。これがいちばんわかりやすいワードだと思う。

動体視力がよくて、健全で、賢くて。普通のルアーなんかは完全に見破ってスルーしちゃってるんじゃないの、っていうタイプのサカナだね。

なぜそういうことを考えるようになったのか。結局、今の日本はどこへ行ってもプレッシャーが高い。特にレンタルボートレイクでは毎日のようにルアーを見せつけられていて、ライブ系ソナーの登場でさらにいじめられるようになった。「太くてツヤツヤ」に出会う確率も、昔に比べればどんどん下がっている。だからこそ、こういう1尾には価値があると思うんだよ。
(田辺哲男・談)

昨年11月の戸面原ダムで、シングルコントロール+フリップギル5inを襲った「太くてツヤツヤ」な57cm。低水温期でも落とし込むのではなく、あえて表層を速引きするというアプローチに開眼した1尾。 [写真タップで拡大]

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アカガエルパターンが教えてくれたこと

――「太くてツヤツヤ」に焦点を絞りはじめたのは、いつですか。
田辺 デカいサカナを釣りたいという思いは、ずっとあった。ただ、昔は釣りの中心がトーナメントだったから、ビッグフィッシュばっかり追いかけてもいられない。キーパーを揃える釣りもやっていかなきゃだし、しょうがないな、と思っていた。だから実質的には、アメリカでのトーナメント活動を終えて日本に帰ってきてからだね。

――田辺さんのバスマスター最後の年は2005シーズン、かれこれ20年前ですね。
田辺 そこから今のスタイルに至るまでに、ひとつ大きなきっかけがあった。2010年ごろだったと思う。場所は千葉の亀山ダム。真冬なのにデカいトップウォーターで釣れてる、という噂が広まっていた。写真を見ると、それこそ真っ黒で「ツヤツヤ」の、ぶっといサカナばかりだった。「やっぱり水面だからサカナもデカくなるんだろうな」と、最初のころは思い込んでいた。

―― そうではなかった?
田辺 違ったね。何度も亀山へ通って試行錯誤するうちに、徐々に釣れる要素が見えてくる。「こういう日は釣れるけど、こういう日は釣れない。こんな場所がよくて、この条件が連動するとドハマリする」みたいな。もちろんルアーも気になるから、トップをやってる人がいれば話しかけて、釣れる傾向を調べたりもした。で、結論を言っちゃうと、わりとなんでもよかった。

―― なんでも?
田辺 ある程度のボリュームがあって、平べったいもの。もしくは丸っこいもの。共通するのはそれぐらいで、いろんなジャンルで釣れてた。そんなことをやってるうちに、ある日、ふと気づいたんだよ。「アカガエルを食べに上がってきたバスが釣れてるんだ」って。アカガエルは冬場に産卵するんだけど、足が滑って湖に落ちてきたりして、バスはそれをねらって食ってるんだ、と。いろんな条件と照合すると、そう考えるのが自然だった。

―― 重要なのは「トップ」ではなく「アカガエル」だった。
田辺 たとえば、スピナーベイトでも食うんだけど、意外にサイズが伸びない。力が足りないなぁと思ってた。当時は「具付き」(ビッグトレーラーを付けたシングルコントロール)を使ってなかったしね。でもフラチャットを使って、FGダディのようなボリュームのあるワームを付ければ「食うサカナが一気にデカくなるのね」と、わかってくるわけだ。

――アカガエルパターンといえば、冬や早春の大雨の日を示す「Xデイ」というフレーズも流行りました。
田辺 ただ、実は「Xデイ」のタイミングで上流に突っ込むと、たしかに連発はするんだけど、なかなか55cmを超えてこない。そんなことも理解できるようになった。今日はあえて一歩手前でやってみよう、とかね。そんなことをやってるうちに、新しい道が開けた気がした。「あぁ、こういうことだったのか」って。ビッグフィッシュが我を忘れて狂うようなタイミングが、たしかに存在する。じゃあ、それはいったい「何」によってスイッチが入っているのか?それを理解しながら、あるいはイメージしながら、釣りをする。それを繰り返していたら自然と今のようなゲームになったんだよ。

2024年にリリースされた「シングルコントロール」は、ビッグトレーラーの装着を前提としたアイテム。田辺を支えてきたスピナーベイトの釣りを大きくアップデートする作品になった

シーズナルパターンと「ベイト主軸主義」

田辺 レンタルボートでやってると、出会った人に「50アップが釣れないんです」と言われることがよくある。たいてい「普通の釣り」をしちゃってるんだよね。巻きモノだろうがフィネスだろうが、みんなと似たようなことを繰り返しても、「太くてツヤツヤ」は出てこない。じゃあどうするか。「そういうサカナが出てくるべき時を、出てきそうなルアーで捉えていく」というのが、ひとつのヒントになるんじゃないかな。アカガエルの話と一緒だよ。

――バス釣りの基礎知識は不要ですか? 「シーズナルパターン」も、でかバスのためには逸脱すべきでしょうか。
田辺 少なくともスポーニングシーズンに関しては、昔からのシーズナルな動きは、今でも変わらない。プリスポーンなら、まだ寒いころから釣れるほうがデカいし、ポストスポーンも走りのほうがサイズが大きい。場所によってタイムラグはあるけどね。この時期にロケや取材で初場所に行くときは、今、そのレイクがどういう状態なのか、まずコンディションを探るようにしてる。まぁ、結局は「ベイト至上主義」なんだけど。

―― というと?
田辺 スポーニングでどのシャローに入るのか、どういうルートなのか。ステージングの場所はどこで、産卵が終わって向かうのはドシャローか、それとも沖か。「シーズナルパターン」を知っていても、具体的にどうバスが動くのかは、レイクによってかなり違う。そこで手がかりになるのは、やっぱりエサ(ベイト)なんだよ。スポーニングに入る前も、入ったあとも、すべてエサに左右される、それが俺の今の結論。ほかの時期もね。シーズナルパターンとエサは密接に絡み合っているし、どちらも無視できない。

――エサを重視する一方で、田辺さんのスタイルはいわゆる「食わせ系」とは一線を画していますよね。フカベイトやヒラトップ、そしてシングルコントロールなど、手掛けるルアーも年々大きくなっています。
田辺 必然的にそうなっちゃうんだよ。「太くてツヤツヤ」なサカナが食べてるエサは、やっぱり普通のサカナとはとちょっと違う。

――アカガエルパターンでルアーが強くなるのは飲み込めますが、たとえば「瀕死のワカサギパターン」ならどうでしょう。
田辺 「i字系を浮かせて、放置して」みたいな釣りが強力になるタイミングがあるのは、わかるよ。でもそういうルアーは作らないし、ありえるなと思っても、今の俺はやらない。死にかけのワカサギを食べているバスを、別の釣りで探しにいく。ガンガン動いて、ヒラトップでバンバン呼んでいく、とかね。

――i字系が絶対」だと言われていても、そうじゃないサカナもどこかに?
田辺 いる。たとえば去年、BASSFLIXの撮影で訪れた入鹿池で、こんなことがあった。初日はローライトで、タダマキ132JPのジャークでたくさん反応がもらえたんだけど、翌日はピーカンで風もないタフな状況。入鹿池はワカサギレイクだから、エサに寄せるなら2〜3inのワームとか、そっちになっちゃう。でも結局、ツヤツヤの太いサカナが食ってくれたのはマグナム5だった。そういうゲームは忘れられないよね。

――そういうゲーム、をひとことで表現すると?
田辺 「サカナから来い」だね。バスの近くへルアーを寄せるのとは真逆だよ。これを成立させるには、サカナのほうからルアーに突っ込んできてくれるような条件を、見つけなくちゃいけない。それが見つかれば簡単だし、ダメなら「ズレてるね、あんた」ってことになるだけ。

――思えば、平面で強い反射を生み出すクリスタルSのVブレードは、まさに「サカナから来い」ですね。
田辺 そうだよ。俺は昔からそういうヤツなんだよ。根本的に惹きつけるのが好きなんだね。目立ってないなぁ、っていうのが好きじゃない。

202510月の入鹿池でマグナム5の中層ジャークが炸裂。厳しいコンディションのなかで、エサのワカサギとは似ても似つかないルアーが活躍した。田辺の繰り出す繊細なアプローチの詳細は、BASSFLIX『まさかのマグナムかよ!』で。

「全部見えてたら、デコらないよ(笑)」

――エサのことを考えながら、エサに寄せるわけでもなく、ビッグフィッシュを追っていく。ハードコアな世界観ですね。
田辺 誤解しないでほしいんだけど、これはあくまで俺のイメージ。
アカガエルの話だって仮説にすぎないし、科学的に正しいかどうかはわからない。それでも仮説を立ててやっていく、それだけだよ。別に「釣れる方法をみんなに教えてあげるね」ってことじゃない。今話しているのは、フィッシャーマンとしての俺のアイデンティティー。みんなが同じやり方をする必要はないし、ほかにもっといい方法があるかもしれない。

――あえて聞きますが、どうすれば田辺さんみたいに釣れますか。
田辺 わからないよ。みんな勝手に探せ! って感じ(笑)。これまでの経験でかろうじて言えるのは、「根本的にはシャローだよ」ってことかな。水深8mとか10mで、ベイトの存在がリンクして、ルアーがドンピシャでデカいのが連発、みたいなことを語るには、まだ経験値が足りないと思ってる。一昨年の秋に、釣りビジョン『Go for it !』のロケで愛媛の玉川ダムに行ったときは、ディープでTACジグ+フラッグツインマグナムのヘコヘコが強烈に効いた。58cmを筆頭にでかバスが連発してくれた。それだって、理由はぜんぜん解明できてない。ディープにゴリやカニがいたのか、それとも別の理由があったのか。要するに、俺にもぜんぜん見えてないんだよ。見えてたらこんなにデコらない(笑)。「こっちかな? あっち方面か? これもあるんじゃないの?」って、確率の高そうなほうに動いてるだけ。

――ルアーを強めにして「サカナから来い」を真似すれば、突破口は開けるでしょうか。
田辺 「強い」とか「大きい」って簡単に言うけど、そんなに単純じゃない。シングルコントロールはよく釣れるルアーだけど、じゃあ、もっとでっかいブレードをブルンブルンさせればさらによくなる? 違うよね。そういうのもプロトの段階では試したけど、ハマらなかった。そのへんのバランスも考えて作ってるんだよ。けっして恵まれた環境とは言えない、日本の内水面にいるバスが相手だから。アメリカのことを考えればわかるよ。シャッドスポーンでペンシルベイトをガッコンガッコンやってると水面が割れるとき、「フカベイトならサイズアップするよ」なんてことは、ぜんぜん起こってないじゃん。ストーミーマグナムだって、よく見れば泳ぎは「ブルンブルン」じゃないよ。そうしないと来るサカナも来なくなっちゃう。そういうことまで考えて作ってるんだということが、伝わると嬉しいんだけどね。

――最後に個人的な質問です。田辺さんのルアーをがんばって投げてますが、「太くてツヤツヤ」はなかなか釣れません⋯。
田辺 あのね、そもそもこれは、いつもボッコボコに食う釣りじゃないんだから、1日数回あるかどうかのチャンスを拾っていかなきゃいけない。ルアーを強めにすれば、サカナに気づいてもらえる可能性は高くなるけど、チェイスだけで終わったら二度とチャンスはない。追わせたら、食わせなきゃいけない釣りなんだよ。

――何度も追わせているのに、食わせられてない
田辺 そうかもね。ってことは、細かなアジャストに失敗している。
「そこ違うんだよ、もうちょい深く入れよう」「あと30cm向こうから引いてこないと」「レイダウンの右じゃない、左に入れなきゃ」。そういうのがズレてんじゃない?

――意外に、と言うと失礼ですが、とっても繊細なことをやってるんですね。
田辺 いつのまにか繊細になってきてるんだろうな。バンバカ投げて巻いてるように見えるかもしれないけど(笑)。でも、俺は昔から「テンション抜かないと食わないよ」とか、繊細で大切なことをちゃんと教えてきたんだよ。なのにみんなはすぐ「ランキング1位のルアーは!?」みたいな話に飛びつく。何が本質的なことなのか、みんなが見落としてるだけじゃないかな。

――BASSFLIXで勉強しなおします!

BASSFLIX
日米のレイクで繰り広げる魅力的なバスフィッシングを、ほぼ週一ペースで公開しているYouTubeチャンネル“BASSFLIX”。ELITEシリーズで活躍中の伊藤巧さん、そしてますます円熟味を増した田辺さんのリアルな姿を目撃できる貴重なコンテンツだ。ショート動画も大充実!

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