
H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は『H-1GPX キングオブキングス』に出場した際の新しい発見をレポートしてくれた。
●文:ルアマガプラス編集部
H-1GPX キングオブキングス
さて、今回は『H-1GPX キングオブキングス 長門川将監川』のお話しです。
長門川
いろいろテストしつつのプラクティスです。プラは26・27日。天気はあまり良くなく雨のち曇りといった感じ。26日は終日雨、風速4メートルから5メートル。
27日は朝は晴天、10時過ぎより強風と厚い雲、急激な冷え込みの一日でした。水温に関しては26日:朝12.5度、日中13.5度。27日は将監川本流域13度、将監川最奥部14度以上。
MB1
結果としてはMB-1 150Fのリップレスチューンで1本!なかなか厳しい感じですね・・・。ただ、利根川系の春は天候によって大爆発したりもする。厳しい日は厳しい。また、「掴んでいないと完全に空振り」となってしまう。
3月26日は久しぶりの終日雨釣行。気温は12度前後とグローブなしでも耐えられるものの、インナーダウンとハイドロマスターの着用が必須となる寒さ。水温は12度を超えたことでエビの活性が非常に高く、キャスト後、跳ねて逃げる様子が確認できました。
バスたちはベイトフィッシュ系を捕食する個体もいると思いますが、このタイミングならばおそらくエビ食いバスも動き出しつつあると思います。一方、3月27日は天候が目まぐるしく変化!
朝は暖かかったものの、午前10時を境に北風が強まり、厚い雲に覆われると急激に体感温度が低下。前日に見られたエビの気配は完全に消失し、魚の浮き具合も悪化・・・。春の典型的な「防寒着を脱げないタイミングは釣れない」という経験則を体現する状況でした。
クランキーダーター50R
結局、26日にキャッチしたバスのヒット時刻は午後。「重量級ハードルアーによるカバー攻略」が炸裂!
当初はミノーやクランキーダー50R、ステルスペッパー6.5S-MWでカバー際を狙いましたが反応がなく、この日はバスはカバーの奥にじっとしているのでは?と判断した結果が結びついた感じでしたね。
なお重量級ルアーの利点ですが、雨風の中で直径30センチメートルほどの小さなカバーポケットに正確にキャストするためには、MB-1 150FやブラストボーンJr.のような重量のあるルアーが最適!軽いルアーでは風に流され、水面のゴミを突破して中に入ることができないからです。
その後のアクションは放置!
カバーの最奥に投げ入れた後、そのまま放置して食い上げさせる「ほぼトップウォーター」の釣りで43センチメートルをキャッチ。ルアーの重量がカバー突破力とキャスト精度を両立させ、「そこに居る魚」に口を使わせる方法です。
27日に関しては色々やりつつも全くの空振り。ただしこの日も釣っている人は釣っています。「掴んでいないと完全に空振りにある」という春の状況を見事に体現している状況です・・・。
そして唯一パターンらしきものを掴んだのは将監川最奥のワンド状エリア。ここは北風を遮り、午後3時頃の晴れ間には防寒着を脱げるほど温かくなりました。そんなタイミングで入ったこともあり、ステルスペッパー65S-MWを沖まで伸びる木の枝にゆっくりと漂わせるアプローチでワンバイト。
下から突き上げてくるような反応でしたが、残念ながらフッキングには至らず!その中で唯一、北風をプロテクトする将監川の最奥どん突きエリアだけは、水温が1度以上高く維持されていました。
春の釣りにおいて「防寒着を脱ぎたくなる、グローブを外したくなる」と感じるエリアやタイミングは、確実に良い場所で、しかも最高のタイミングでした 。
ただ、大会当日は将監川最奥はプレッシャーが極限まで高まるため、「誰が見ても良い場所」に固執せず、水温上昇の恩恵を受ける他の要所をランガンする勇気を持つことが重要かなぁと思いプラクティスは終了となりました。
そして当日
当日朝
とりあえず順番も良かったので将監川最奥に直行!朝からワームを投げていた方は2本釣っていたとのこと。期待してキャストを続けましたが残念ながらバイト無し。シャローに鯉が増加しており、「これを嫌がっているのかな?」と考えました。
この判断が結局最悪の結果となってしまいました。もしこのときワンバイトでもあったり、他人が釣っていればこの場所で心中する覚悟もできたのですがそうはならなかった。バス釣りは難しいですね・・・。
結局、このエリアでタコ粘りした櫻井選手が3本釣って2位。ルアーはホバリン70とクランク。私がステルスペッパー65S-MWメインで投げていたにもかかわらず全くバイトがなかったのに・・・。
試合後、話を聞きましたが、やはりタイミングが重要だったようです。10時に時合いが来て周囲のアングラーもキャッチ。バスも目視で来たようで、完全にタイミングの違いでした。
私の経験則で、「鯉が入り始めるとバスは逃げてルアーを食わない」という考えは完全に間違っていましたね。勉強になりました、反省。鯉がいるナガエ周辺はダメだったようですが、そこからちょっと外れた沖めの障害物が良かったようです。
しかしながら、このエリアでタコ粘りしていたところで優勝には全く届かなかったことを思うと、気持ちが楽になりました。
優勝は金子選手。
金子選手
3本で145.5cm。
もう圧倒的過ぎて話にならない私はレベルでした。
金子選手はこの場所に相当通いこんでいるようで、冬から春にかけての場所を徹底的に攻略、戦略も完璧でもう私は土俵にすら立ってないレベルです。以下、優勝である金子選手のコメント(音声データ)をAIでまとめてみました。
ぜひ参考にしてください!
★戦略詳解★
【1. エリア選択と時合】金子選手がメインエリアに据えたのは、長門川と旧長門川の合流周辺です。
ここは単に合流しているだけでなく、周辺にゴロタエリアが広がり、水門も絡む極めて複雑なストラクチャーが形成されています。
当日は下流側のゴロタの方が水深があり(2.5mから2mへと変化するブレイク)、一見魅力的に見えますが、そこには大量のボラがストックされており、バスがルアーを見つけるのが困難、あるいはボラの存在を嫌っていると判断。
そこで金子選手は、より上流側に位置するゴロタのエンド(末端)に狙いを定めました。ここには「水が当たる角」が存在し、カレントが発生したタイミングで最初の一歩として魚が入ってくる場所です。
釣果のタイムラインとしては、朝8前後の早い時間に2本目、その後11時半頃にキッカーとなる51.5cmを仕留めています。朝の時合で魚のポジションを確認し、水温が上昇しカレントが再始動したタイミングで正確に最大魚を狙い撃った、計算し尽くされたエリア管理と言えます。
なお、その後ハイカットSRで1本追加でキャッチしています。
【2. ルアーセッティング:物理的チューニング】
使用ルアーはハイピッチャー(11gおよび14g)ですが、そのセッティングは極めてテクニカルです。最大の特徴は、市販のダブルウィローを「シングルウィロー」に変更している点です。これにより、リアブレードのみに全ての振動を集中させ、より明確なバイブレーションを発生させます。
さらに重要なのが、ブレードそのものへの加工です。
金子選手はブレードの「R(カーブ)」を指で潰して平らに近づけていました。これにより、ブレードが綺麗に回転するだけでなく、回転が不安定になる瞬間の「揺らぎ」や、より広角なフラッシングを生み出すように調整されています。
スカートはティンセルを自ら追加しており、春の濁りが入り始めた水中で、視覚的なアピールを増強。ベイトのサイズ感に合わせるのではなく、リアクションを誘発する「強い波動とフラッシング」を優先させています。
【3. 攻略メソッド:25メートルのドラッギング】
キャスティングでピンポイントを狙うだけではなく、あえて「ドラッギング」を選択したことが勝因の核心です。ボートからルアーを約25メートル流し、エレキで移動しながら一定の速度で引き続けます。
この際、エレキダイヤル設定を「2から3」という、速度にしている点がキモです。これは、ルアーを弾ませずにゴロタの隙間にコンタクトさせ続けるためです。
狙ったレンジは1.5mから2m。ゴロタの「山」を越える際にルアーが浮き上がらないよう、ニーリング(ロッドを水中に突っ込む動作)を織り交ぜ、常にボトムスレスレをトレースし続けました。
【4. 現場での気づきと未来への指針】
金子選手のボイスログから抽出された最も重要な気づきは、「誰かが釣れると、その周囲の魚は一瞬でプレッシャーを感じて沖へ沈む」という事実です。当日は他の選手が51cmを釣った直後、そのエリアの反応が消えました。
しかし金子選手はそこでエリアを捨てるのではなく、魚が一段深い場所、「ゴロタの末端(エンド)」に移動したと判断。事実、そのエンドのピンスポットから51.5cmを引きずり出しました。
また、「ボラが多すぎる場所は避ける」という判断も重要です。ベイトの気配は重要ですが、それが過剰な場合はバスがルアーを視認できないノイズと判断していました。
この戦略は、ティムコでの今後のルアー開発において、ブレードの回転効率だけでなく「あえて回転を乱す、あるいは特定のレンジで強く揺れるブレード」というコンセプト、およびそれを活かすための柔軟なロッドアクションの重要性を示唆しています。
まぁ完敗ですな。
★タックル★
ロッド:フェンウィック ACES 76CMLP+J フリッピンスティック
リール:SLX BFS XG
ライン:アブソルートAAA 14lb.
ルアー:ステルスペッパー 65S-MW
ロッド:フェンウィック プロト 69CMJ
リール:SLX BFS XG
ライン:アブソルートAAA 16lb.
ルアー:MB-1 150F(リップレス)
★タックル★
ロッド:フェンウィック ACES 76CMLP+J フリッピンスティック
リール:SLX BFS XG
ライン:アブソルートAAA 14lb.
ルアー:ステルスペッパー 65S-MW
ロッド:フェンウィック プロト 69CMJ
リール:SLX BFS XG
ライン:アブソルートAAA 16lb.
ルアー:MB-1 150F(リップレス)
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
- 1
- 2












