
国内バスフィッシングアングラーの聖地・琵琶湖北湖。梅雨明け直後の急激な天候変化と、大雨による水温低下という極端な状況下、ビッグバスハンター・奥田学は「フェイサー85+SF」の遠投ゲームを展開する。さらに2日目のベイト消失とクリアアップという絶望的な水況激変に対しては、ディープでの「ニャン(ネコリグ)」へと瞬時にシフト。緻密なアジャスト能力と執念で、実測58センチのジャイアントを捕獲するまでの知略のプロセスを追う。
●文:ルアマガプラス編集部
【奥田 学/おくだ・まなぶ】ビッグベイトやジャイアントベイト、そしてアンブレラリグなどストロングスタイルを主軸に、常に現場最大級を仕留めるBIG BASSハンター。愛称は誰が呼んだか“ロボ奥田”。直立不動かつ精密機械の如く隙のない動きで狙った獲物を仕留めるのがその名の由来。近年は国内のみならず世界へと繰り出し、淡水海水の大物ゲームに挑んでいる。
梅雨明けの琵琶湖北湖、急変する天候と「浮かないアユ」
「一昨日まで相当な雨量だったんやわ。気温は5度下がって冷え込んで、水温も3度下がってる。で、いきなりこの暑さ…」。
琵琶湖北湖に降り立った奥田学の口から、フィールドの過酷さが語られた。取材初日は近畿地方の梅雨明けが発表された猛暑日。強い日差しが照りつける一方、直前までの大雨による水温急低下が水中に残存する。容易には判断に苦しむ激しい天候変化の中、奥田の闘いが幕を開けた。
さらに初日は北寄りの強風予報を避けるため、出船場所を長浜港から奥琵琶湖のファイブオーシャンへと変更。風裏エリアを探して移動を終え、湖上に浮いたのは昼過ぎであった。半日という非常に短い実釣時間でのスタートとなる。
湖上に浮かぶや、奥田は即座に大型バスの魚影を発見した。レイダウン周辺に潜む個体に「産卵から回復して捕食し始めたバスやね。ただベイトがいないせいで活性が低い。光量待ちかな」とフェイサーでアプローチする。
本来、この時期の北湖はアユボールが各所の水面に視認できるハイシーズンである。そのアユを追うバスをシャローで狙撃していくのが初夏のセオリーだが、この日はアユボールが全く浮いていない。急激な水温低下の影響で、ベイトは深いレンジに留まっていると奥田は即座に推測し、シマノの新作タイニー・スイムベイト「フェイサー85+SF」を取り出した。
「フェイサー85+SF」の遠投&テールチューンで50UPを2連打
奥田がセレクトしたのは、ナチュラルな透け感を持つ「STチアユ」である。「サイズもカラーもマッチ・ザ・ベイト。ブレイク沿いをシャローからミドルへトレースしたらピックアップ。ひとことで言えば『投げて巻くだけ』」。
フェイサーのセッティングは、水面下約20〜50センチを引く「ショートリップ」、ジョイントの可動域を抑える「ジョイントパッドなし」、左右へワイドに動く「スライステール」の組み合わせである。これを用いた一定速度のストレート巻きだけで、深いレンジに身を潜めるバスを誘い出す戦略をとった。
この戦略は見事に功を奏した。最初のバイトを誘い出した瞬間、奥田は悔しくも凄まじい光景を目撃する。「最初に追ってきたのが明らかにロクマル超えの魚。徐々に巻き速度を遅くして距離を詰めていた瞬間に、後ろからゴーマルが現れてズボッと食ってしまった。まぁサイズを選べない釣りだから仕方がないね」。
想定外の「横取り」に苦笑いしつつも、50UPを確実にキャッチ。この時使用したフェイサーには、プレッシャー対策としてスライステールをひと回り小さくカットする独自のテールチューンを施していた。あえてアピール力を弱めてテールのピッチを速くし、プレッシャーを躱して食わせる工夫が功を奏したのである。
その後、日差しで水温が上昇し始めると、ブレイク上のウィード周りで停滞するアユボールを発見する。「もしや下にバスが?」とその直下にフェイサーを通すと再び猛烈なバイトが発生し、54センチの美事なビッグバスを追加した。
この釣りを支えたのは「キャプチャー2711M+-2」である。銘竿「274M-2」をロングレングス化したシューティングモデルであり、フェイサーの「アーマブースト」機構による高い飛行性能と相まって、圧倒的な飛距離を叩き出す。気配を消した超遠投アプローチが、タフな北湖のバスを攻略する絶対的なアドバンテージとなった。
クリアアップとベイト消失、ディープの「ニャン」で仕留めた58センチ
強風予報が解除された釣行2日目、奥田は長浜港から北湖へと漕ぎ出した。しかし、フィールドは前日とは一変する。あれほど浮き始めていたベイトの姿が完全に消え去り、水が激しくクリアアップしてしまったのだ。フェイサーの届く水深にはベイトもバスも皆無という、最悪の状況に陥る。
「うわ、完全に水がクリアアップしとるわ…こうなるとなかなか手に負えん」。
過酷な水況激変に苦悶しながらも、奥田は狙いをディープ(深場)へとシフトさせた。「これは『ニャン』やるしかない」。
「ニャン」とは奥田流ネコリグの呼び名である。この日は湖流が速く、通常使用する3.5グラムのネイルシンカーに、状況に応じてさらに0.9グラムを追加した。ワームは6.5インチのストレートワームにガード付きマスバリをセットし、ベイトが溜まりやすいディープの地形変化を、ボトムで転がし続けるイメージでアプローチする。
ロッドには「キャプチャー264L/M-2」を使用し、エキサイトトップの超繊細な振動を活かして「ボトスト(ボトムストロール)」を展開。すると、激しく弧を描くキャプチャーに強烈な重量感が乗った。
ディープで掛けた獲物に対し、奥田は焦らず、実に5分以上もの時間をかけて慎重にファイトを続けた。
理由は2つある。 1つは、上部の温かい水を嫌ってディープに留まっている魚は非常に体力があり、強引に浮かせようとすると躍層下で激しく抵抗するため、十分に泳がせて疲弊させる必要があったため。もう1つは、食いが浅く、強引なファイトは身切れによるバラシを誘発するため、ドラグを極限まで緩めていなす必要があったためである。
この極めて冷静な読みを経てランディングされたのは、実測58センチ、当連載最大となるジャイアントバスであった。
撮影後、口の皮1枚に掛かっていたフックがポロリと外れた。まさにロボ奥田の執念と、タックルへの信頼性がもたらした紙一重の完全勝利である。状況激変の琵琶湖をハードとソフトの二重奏で制し、でかバスハンターとしての絶対的な存在感を再び証明してみせた
※本記事はWEB向けのダイジェスト版です。フルバージョンは『ルアーマガジン2026年9月号』に掲載されています。
※本記事はWEB向けのダイジェスト版です。フルバージョンは『ルアーマガジン2026年10月号』に掲載されています。
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