【堤防のアイドル! 手軽さが魅力の万能フィッシュ】“イワシ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方〈初心者釣り知識〉

●文:ルアマガプラス編集部

イワシとは?

イワシは、ニシン目ニシン科に属する魚の総称。日本近海では「マイワシ」「カタクチイワシ」「ウルメイワシ」の3種類が代表的で、古くから日本の食文化に深く根付いている大衆魚だ。沿岸域を大群で回遊するため、堤防からのサビキ釣りで手軽に狙うことができ、子どもからベテランまで幅広い層の釣り人から親しまれている。釣りの入門魚として、またファミリーフィッシングの対象魚として絶大な人気を誇る。

ファミリーフィッシングの代表格。

イワシの生態

イワシは、沿岸の表層から中層域にかけて、数千から数百万匹にもなる巨大な群れを形成して回遊する。この群れは「イワシボール」とも呼ばれ、外敵から身を守るための戦略。主食は動物プランクトンや植物プランクトンで、海の生態系において、より大きな魚/海鳥/海生哺乳類の餌となる重要な役割を担っている。成長がとても早く、種類にもよるが一年で15cm程度にまで成長し、寿命は4年から8年ほどとされている。

イワシは群れで行動する魚。一匹釣れれば続けて釣れる可能性が高い。

イワシの釣りシーズン

イワシはほぼ一年中日本のどこかで釣れるが、堤防などから手軽に狙えるベストシーズンは、水温が上昇し、群れが沿岸に接岸する時期だ。

堤防や漁港で手軽に狙えるイワシ。

春(4月~6月)

産卵を終えた群れや、北上を開始する群れが沿岸に寄り始めるシーズン。本格的なシーズンインを告げる時期であり、日ムラはあるものの釣れ始めると楽しい。

夏~秋(7月~11月)

イワシ釣りの最盛期。水温の上昇とともにイワシの活性も最高潮に達し、日本各地の堤防で安定した釣果が期待できる。とくに朝夕のマズメ時には、足元で入れ食い状態になることも珍しくなく、数釣りをもっとも楽しめる。この時期のマイワシは脂が乗ってきており「下りイワシ」とも呼ばれ、食味もとても良い。

冬(12月~3月)

水温の低下とともに多くの群れは沖合の深場や南の海域へ移動するため、釣果は落ちる傾向にある。しかし、温暖な地域や水温が安定している湾奥などでは、冬でもイワシの回遊が見られることがある。

イワシの釣り方

イワシを釣る方法はいくつかあるが、もっとも手軽で一般的なのが「サビキ釣り」だ。

簡単かつ手軽なサビキで釣れるイワシ。

サビキ釣り

撒き餌(コマセ)でイワシの群れを自分の足元に引き寄せ、魚の皮やビニールなどが付いた擬餌針(サビキ仕掛け)をコマセの煙幕の中に同調させて釣る方法。特別なテクニックは不要で、初心者でも簡単に数釣りが楽しめる。イワシの群れに当たれば、仕掛けを投入するだけで次々と針かかりしてくる。

仕掛け例

  • 竿:磯竿1.5~2号(4.5~5.3m)/コンパクトロッド
  • リール:小型スピニングリール(2000~2500番)
  • 道糸:ナイロン2~3号
  • 仕掛け:市販のサビキ仕掛け(ピンクスキンやハゲ皮など。針のサイズは釣れているイワシの大きさに合わせるのが重要で、2~5号を複数用意しておくと良い)
  • カゴ・オモリ:仕掛けの一番下に付けるコマセカゴ。プラスチック製や金属製がある
  • エサ:アミエビ(冷凍ブロックを解凍して使用するのが一般的)

イワシの食べ方

イワシは「鰯」の漢字が示す通り、とても傷みやすい魚なので、釣った後の鮮度管理が重要。新鮮なイワシは絶品で、さまざまな調理法で楽しめる。

傷みやすいイワシは氷で締めるなどの処理が必須。

刺身/なめろう

釣りたてで、鮮度が抜群に良い場合にのみ味わえる最高の食べ方。マイワシは脂の乗りが良く、とろけるような食感が楽しめる。ショウガ醤油/味噌/ネギなどと叩いた「なめろう」も絶品だ。

塩焼き

シンプルながら、イワシの旨味と脂をもっとも堪能できる定番の調理法。焼きたてに大根おろしと醤油を添えれば、ご飯のおかずにも酒の肴にも最高。

煮付け

醤油/みりん/砂糖/酒/ショウガなどで甘辛く煮付ける家庭料理の定番。骨まで柔らかく煮込めば、子どもからお年寄りまで安心して食べられる。

天ぷら/フライ

開いたイワシを天ぷらやフライにするのも人気。サクサクの衣とフワフワの身のコントラストがたまらない。大葉や梅肉を挟んで揚げると、より風味豊かになる。

オイルサーディン

たくさん釣れた時におすすめの保存食。下処理したイワシを塩水に漬け、ニンニク/唐辛子/ハーブなどとともにオリーブオイルでじっくり煮込む。パスタ/アヒージョ/そのままおつまみにと幅広く活用できる。

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