【身近な川のファイター、美しい婚姻色に魅せられる】“ウグイ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方〈初心者釣り知識〉

●文:ルアマガプラス編集部

ウグイとは?

ウグイ(鯎/学名Tribolodon hakonensis)は、コイ目コイ科ウグイ亜科に分類される淡水魚。沖縄県を除く日本全国の河川や湖沼に広く分布しており、釣り人にとってはとても身近な存在だ。ハヤ/アカハラ/イダなど多くの地方名を持つ。流線型の体に銀白色の鱗を持つのが特徴だが、繁殖期になると雄の体側には鮮やかな橙色の3本の縦縞(婚姻色)が現れ、その美しさから釣り対象としての人気も高い。

ウグイの生態

河川の上流域から下流域/湖沼まで幅広く生息し、環境への適応能力がとても高い。強い酸性の水質にも耐えることができるため、他の魚が住めないような環境でもその姿を見ることができる。食性は雑食性で、水生昆虫や付着藻類、さらには小魚や魚の死骸まで何でも食べる。この貪欲さが、釣りの対象としての面白さにも繋がっている。産卵期は春から初夏(3月~7月頃)で、この時期になると雄は鮮やかな婚姻色をまとい、浅瀬の砂礫底に集団で産卵する。この時期の雄の頭部や背びれには「追い星」と呼ばれる白いブツブツとした突起が現れるのも特徴である。

婚姻色のオスのウグイ。 [写真タップで拡大]

メスや産卵期を除いたオスのウグイは銀色がギラギラと目立つ。 [写真タップで拡大]

ウグイの釣りシーズン

ウグイは基本的に1年を通して釣ることが可能。しかし、とくに釣りやすいベストシーズンが存在する。

春(3月~5月)

産卵を意識したウグイが浅瀬に集まり、積極的にエサを捕食するため、数釣りがもっとも期待できるシーズン。美しい婚姻色をまとった雄が釣れるのもこの時期ならではの魅力だ。川の水温が上昇し始めるとともに、ウグイの活性も一気に高まる。

秋(9月~11月)

越冬に備えて荒食いを始めるため、食いが立ち、良型のウグイが狙えるシーズン。夏場の高水温期を乗り越えたウグイは体力を蓄えており、力強い引きを楽しむことができる。水温が安定し、気候も良いため、快適に釣りを楽しめる時期でもある。

ウグイの釣り方

ウグイはさまざまな釣り方で狙うことができるが、ここではもっとも手軽で代表的な釣り方を紹介する。

ウキ釣り

川の流れを利用してエサを自然に流し、魚に食わせるウキ釣りは、ウグイ釣りのもっともポピュラーな釣法。ポイントは、流れが緩やかになる淵やカーブの外側、障害物のまわりなど、ウグイが潜んでいそうな場所を狙うこと。仕掛けを投入したら、道糸を張りすぎず緩めすぎず、エサが自然に流れるように操作するのがコツだ。

仕掛け例

  • 竿:4.5m~5.4m程度の万能竿や渓流竿
  • 道糸:ナイロン 0.8号~1.5号
  • ウキ:玉ウキやトウガラシウキなどの小型のウキ
  • オモリ:ガン玉(ウキの浮力に合わせて調整)
  • ハリス:ナイロン 0.4号~0.8号
  • ハリ:袖針 4号~6号
  • エサ:川虫(キンパクやヒラタ)/ミミズ/サシ/練りエサなど

ウグイの食べ方

ウグイは小骨が多く、生息する環境によっては泥臭さがあるため、一部では敬遠されることもある。しかし、適切な下処理と調理法でとても美味しく食べることができる。とくに、綺麗な水で育った冬から産卵期前のウグイは味が良いとされる。生食は寄生虫のリスクがあるため、必ず火を通して食べるべきだ。

塩焼き

もっともシンプルで、ウグイ本来の味を楽しむことができる調理法。ウロコ/内臓/エラを丁寧に取り除き、臭みの原因となるぬめりを塩で揉んで洗い流す。全体に塩を振り、ヒレには化粧塩をしてじっくりと焼き上げる。香ばしい皮と、ほっくりとした白身が味わえる。

甘露煮

小骨が多いウグイを骨まで柔らかく食べられるようにする調理法。素焼きにしたウグイを、醤油/砂糖/みりん/酒などを合わせた煮汁で、圧力をかけたり、長時間煮込んだりする。山椒の実などを加えると風味が良くなり、臭みも消える。日持ちもするため、常備菜としても優れている。

唐揚げ/南蛮漬け

比較的小型のウグイにおすすめの調理法。頭と内臓を取り除き、低温の油でじっくり揚げ、最後に高温で二度揚げすると、骨までサクサクと食べることができる。下味にショウガやニンニクを使うと臭みが和らぐ。揚げたウグイを香味野菜とともに甘酢に漬け込む「南蛮漬け」にすれば、さっぱりと食べられ、保存性も高まる。

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