〈初心者の釣り〉“小アユ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【琵琶湖からの春の使者、手軽に楽しむ川の幸】

●文:ルアマガプラス編集部

小アユとは?

小アユは、アユの若魚、または琵琶湖で一生を過ごす陸封型のアユ(コアユ)を指す呼称。とくに、滋賀県の琵琶湖から河川へ遡上してくる10cm前後のアユを釣る文化が根付いており、これを「小アユ釣り」と呼ぶ。縄張りを作って石のコケを食べる成魚のアユとは異なり、群れで行動し、動物プランクトンや水生昆虫などを捕食する。そのため、友釣りではなく、撒き餌を使ったサビキ釣りのような独特の釣法で狙うのが特徴だ。手軽な仕掛けで数釣りが楽しめるため、ファミリーフィッシングとしても人気が高い。

30センチほどになる一般的なアユと違い、琵琶湖由来の小アユは成魚でも10センチ前後にしかならない。

小アユの生態

小アユの多くは琵琶湖で生まれ、湖内で成長する。そして春、水温が上昇し始めると産卵やエサを求めて、琵琶湖に注ぐ多くの河川へ大群をなして遡上を開始する。この遡上のタイミングが、小アユ釣りのシーズン開幕となる。河川では川底の石についたコケなども食べるが、基本的には流れてくるエサに反応するため、撒き餌を使った釣りが有効となる。夏をすぎると成長して一般的なアユのサイズに近づいていく。

小アユの釣りシーズン

地域によって多少のずれはあるが、琵琶湖周辺の河川では春から夏にかけてがメインシーズンとなる。

遡上シーズン(4月~8月)

琵琶湖からの遡上が本格化する4月頃からシーズンインする。とくにゴールデンウィーク前後は遡上の最盛期にあたり、数釣りがもっとも期待できる時期で、梅雨明け頃までは安定した釣果が見込める。真夏になると水温が上がりすぎて釣りにくくなることもあるが、夕涼みを兼ねて楽しむことができる。

小アユの釣り方

小アユ釣りにはさまざまな釣法があるが、ここではもっともポピュラーで撒き餌と擬餌バリで寄せて釣る「底ずるラセン仕掛け」について解説する。

琵琶湖では小アユ漁が風物詩とされている。

底ずるラセン仕掛け

撒き餌(シラスなど)を詰めたラセンカゴと、複数の擬餌バリが付いたサビキ仕掛けを組み合わせたもの。川の流れを利用して、ラセンからこぼれる撒き餌の帯の中に擬餌バリを同調させて流し、小アユを釣る方法である。竿先に付けた目印のアタリを見て合わせる。

仕掛け例

  • 竿: 4.5m~5.4mの渓流竿や万能竿(硬調または超硬調が扱いやすい)
  • 道糸: ナイロン 0.6号~1.0号
  • 目印: 渓流釣り用の目印(複数個つけるとアタリが分かりやすい)
  • 仕掛け本体: 市販の小アユ専用ラセン仕掛け
    • ラセン: 撒き餌を詰めるためのカゴ
    • ハリス: 0.4号~0.6号
    • 針: 小アユ用サビキ針 2.0号~3.5号(金袖/秋田狐など。スキンやウイリー付き)
    • 針の数: 5本~10本
  • オモリ: 丸オモリ/ナス型オモリ 1号~3号(川の流れの速さに応じて調整)
  • エサ: 釜揚げシラスやシラスのミンチ(撒き餌用)

小アユの食べ方

小アユは骨が柔らかく、頭から丸ごと食べられるのが魅力。独特の風味があり、さまざまな料理で美味しくいただくことができる。

天ぷら

小アユ料理の王道。揚げたてのサクサクとした衣と、ふっくらとした身のコントラストが絶品。アユ特有のほろ苦いワタの風味も楽しめる。塩や天つゆでいただく。

甘露煮/佃煮

醤油/砂糖/みりんなどで甘辛く煮詰めた保存食。骨まで柔らかくなり、ご飯のお供や酒の肴に最適。山椒の実などを加えるとさらに風味が引き立つ。

唐揚げ

片栗粉をまぶしてカラッと揚げたもの。天ぷらとはまた違った香ばしさと食感が楽しめる。手軽に作れるおつまみとして人気が高い。

南蛮漬け

一度揚げた小アユを、唐辛子/玉ねぎ/ニンジンなどが入った甘酢に漬け込んだ料理。酢の効果でさっぱりと食べられ、暑い夏にも食が進む。作り置きも可能だ。

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

釣魚一覧