〈初心者の釣り〉“ヤマメ”の生態/釣りシーズン/釣り方/仕掛け/食べ方【渓流の女王を追え! 森と水の宝石】

●文:ルアマガプラス編集部

ヤマメとは?

ヤマメは、サケ科サクラマス属に分類される淡水魚。その美しい姿から「渓流の女王」と称され、多くの釣り人を魅了してやまない。体側にある小判型の模様“パーマーク”が最大の特徴だ。

渓流の女王・ヤマメ

一生を河川で過ごす河川残留型(ヤマメ)と、海に下って大きく成長し、産卵のために川へ戻ってくる降海型(サクラマス)が存在する。釣りの対象となるのは、おもに河川残留型のヤマメだ。

ヤマメの生態

水温が年間を通して20℃以下の清冽な渓流や河川の上〜中流域に生息。肉食性で、おもに川の中を流下する水生昆虫や、陸から落下する昆虫を捕食する。ときには小魚やカエルを捕食することもある。縄張り意識が強く、好ポイントには優位な個体がついていることが多い。とても警戒心が強く、物音や人影に敏感に反応するため、釣り上げるには高度な技術と自然への配慮が求められる。

ヤマメの釣りシーズン

ヤマメは漁業資源保護のため、多くの河川で禁漁期間が設けられている。釣りを楽しむ際は、必ず各漁業協同組合が定めるルール(遊漁期間/遊漁料/体長制限など)を確認し、遵守する必要がある。

解禁期(3月~9月)

一般的に、多くの地域では3月上旬頃に解禁し、9月末に禁漁となる。

シーズン初期(3~4月)はまだ水温が低く、ヤマメの活性も低い。水生昆虫の羽化(ハッチ)が盛んになる時期から、徐々に活発に餌を追うようになる。

最盛期は水温が安定する5月から7月にかけてで、ルアー/フライ/エサ釣りなど、さまざまな釣り方で楽しめる。

シーズン終盤の8月から9月は、産卵を意識した大型のヤマメが狙える時期であるが、同時に警戒心も最高潮に達するため、より繊細なアプローチが必要となる。

ヤマメの釣り方

ヤマメは警戒心がとても強いため、ポイントへのアプローチが釣果を大きく左右する。川下から川上へ釣り上がるのが基本。

ネイティブトラウト

ルアーやフライを用いてヤマメを狙うゲーム性の高い釣り。ルアーフィッシングでは、上流に向かってキャストし、流れより速くルアーを引いてくる“アップストリーム”の釣りが基本となる。ピンスポットを正確に撃ち抜くキャスト技術と、多彩なルアー操作が魅力だ。

仕掛け例

  • ロッド: 4ft後半~5ft台のトラウトロッド(ウルトラライト~ライトクラス)
  • リール: スピニングリール 1000番~2000番
  • ライン: PEライン 0.3号~0.6号/ナイロンライン 3lb~5lb
  • リーダー: フロロカーボン 4lb~6lb(PEライン使用時)
  • ルアー:
    • ミノー: 40mm~60mmクラスのシンキングミノー/ヘビーシンキングミノー
    • スピナー: 2g~4g
    • スプーン: 2g~5g

ミノーやスプーンなどさまざまなルアーで狙える。

渓流ミャク釣り

竿/糸/目印/オモリ/ハリというシンプルな仕掛けで、自然の餌を使いヤマメを狙う伝統的な釣り方。川の流れに餌を乗せて自然に流し、繊細なアタリを“ミャク”のように感じ取って合わせる。ポイントを直撃する正確な投入と、自然な餌の流し方が求められる。

仕掛け例

  • ロッド: 5.3m~6.1m程度の渓流竿(硬調または超硬調)
  • ライン: ナイロン 0.4号~0.8号の通し仕掛け
  • 目印: 蛍光色の目印を3~4個
  • オモリ: ガン玉(流れの速さに応じてB~5Bを使い分ける)
  • ハリス: (道糸と分ける場合)フロロカーボン 0.3号~0.6号
  • ハリ: ヤマメ針 6号~8号
  • エサ: 川虫(キンパクやヒラタカゲロウ幼虫)/イクラ/ブドウ虫など

ヤマメの食べ方

上品で癖のない白身は、淡水魚の中でもとくに美味とされる。ただし、天然のヤマメは寄生虫(アニサキスなど)を持つ可能性があるため、生食は絶対に避け、必ず加熱調理する必要がある。

ヤマメの生食は寄生虫などのリスクが高い。できるだけ火を通してから食べよう。

塩焼き

ヤマメの味をもっとも堪能できる、定番にして最高の食べ方。ヒレに飾り塩をしてじっくりと焼き上げることで、皮はパリッと香ばしく、身はふっくらとジューシーに仕上がる。焼きたてにカボスやスダチを絞れば、その風味は格別だ。

唐揚げ

小型のヤマメは、頭から骨まで丸ごと食べられる唐揚げにするのがおすすめ。低温でじっくり揚げた後、最後に高温で2度揚げすると、骨までサクサクになる。子供から大人まで楽しめる一品。

甘露煮

数が多い場合や、長期保存したい場合に適した調理法。醤油/砂糖/みりんなどでじっくりと煮詰めることで、骨まで柔らかくなり、日持ちもする常備菜となる。

ムニエル

三枚におろしたヤマメに塩コショウで下味をつけ、小麦粉をまぶしてバターで焼き上げる洋風料理。淡白な白身にバターのコクと風味がよく合う。レモンバターソースなどでいただくと、本格的な一皿になる。

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