天才アングラー・松本幸雄氏がナマズを爆釣できるワケとは? そのひとつのテクニックとして、岸を利用した必釣アプローチ術を明かす。ルアーを岸から離さないための超ロングキャストが重要だ!
取材時に「動画班があるorなし」でキャスト距離が変わる?
釣りライター…などという謎のお仕事をやらせて頂いておりますと、仕事の視点だからこそ見えることがあります。
そのひとつが松本幸雄さんのナマズゲームの特殊性です。
取材時にいつでもナマズを爆釣する松本さんですが、実はスチール撮影のみの取材と、動画撮影が入る取材では微妙に釣りのスタイルが異なっています。
動画撮影が入るときにはスタッフ陣に気を遣って、バイトシーンが撮影しやすいように、ロングキャストは極力避けてくれているように思えます。松本さんのナマズゲームはトップウォーターオンリーなので、実際この気づかいにスタッフ陣はすごく助けられています。
一方、動画撮影が入らないスチール撮影オンリーのときには、対岸を打つ際に、ロングキャストの割合が極端に多くなります。この場合、「対岸を打つときに…」というのが重要なキーワードになります。
対岸を打つときにロングキャストが多くなる!
その事実の中に、松本さんのナマズゲームのヒミツが隠されています。
岸を利用した必釣アプローチ術!
ナマズに限らず、あらゆる対象魚の取材中に松本さんが頻繁に口にする言葉があります。
それは、「困ったら、水面かボトムか壁…」というセリフです。
松本幸雄さん(以下松本)「フィッシュイーターは捕食するときに、本能的にどこかに追い詰めたいと思う習性があります。水中で現実的に追い詰める場所とは、ボトムか水面か、壁です。壁とは、つまり岸です」。
ボトム、水面、壁(岸)。その中で今回は、岸を利用した松本流のアプローチ術を解説させて頂きます。
ルアーを岸から離さないための超ロングキャスト
ナマズが潜んでいる場所…さらには捕食の際に追い詰めたい…と思うナマズ本来の本能。これら2つの要素から考察しても、岸を利用したアプローチの場合、岸からなるべくルアーを離さない状態で攻略することが大切。
松本「例えば河川で行うナマズゲームの場合、自分が狙いたいと思うカバーなどがあったら、そのカバーがある岸側に立ち位置を確保して、岸と平行にキャストする方法がベストです。そうすることによって、岸と平行に長時間リトリーブが行えます」。
問題は、状況的にそれができない場合。
現実のフィールドでは片岸が濃いブッシュに覆われていて、立ち位置が確保できないことが多々ある。そんなときには対岸から狙うことになる。
松本「そのときに、狙いたい対岸ポイントの正面に立ち位置を取ると、キャスト距離は短かくて楽ですが、例えば岸から15センチ離れたら反応しなくなるような場合だと、岸のキワキワに落としたとしても、着水後リトリーブを開始すると約3アクションで岸から15センチは離れてしまいます。これだとチャンスがあまりにも少ないです(笑)」。
ここからが松本さん独自の考え方。
松本「対岸のカバーを狙いたい場合、自分はなるべく狙いたいポイントから遠くの立ち位置を確保します。そしてロングキャストで対岸の狙いたいカバーの少し奥に着水させます。そうすることによって、対岸の狙いたいカバーに対して、浅い角度でアプローチすることが可能になります。
結果的に、岸から15センチ離れたらアウトという条件下でも、侵入角度にもよりますが、6アクションくらい動かせることが多いです。
すべては狙いたいポイントへの侵入角度を浅くするためのロングキャストです。ちなみに理論上はキャスト距離が長くなるほど、侵入角度は浅くなりますよね」。
岸からなるべくルアーを離さない!
たったこれだけのことで釣果は約1.8倍を増えると松本さんは言う。
松本「さらに対岸の壁にルアーを当てて落とすことを考慮に入れると、やわらかプップ(ロデオクラフト)のような中空ボディのルアーを使用することによって、釣果は約2倍にアップします。対岸へのロングキャストはやわらかプップの能力を最大限に引き出すためのメソッドでもあるんです」。