ナマズ釣りの基本である、効率的に岸と平行にリトリーブするためにはどうすればいいのか? そこに焦点を当ててご説明したのが、前回のアプローチ編[PART1]。では…極力、岸と平行にリトリーブすることを前提として、そのリトリーブは下流に向かってキャストするのか? それとも上流に向かってキャストするのか? 今回のアプローチ編[PART2]では、”アップ”or”ダウン”に焦点を絞り、松本幸雄氏が徹底解説する!
ナマズを釣るにはアップストリーム? ダウンストリーム?
長年、松本さんのナマズ取材に同行しておりますと、ひとつの法則が見えてきます。松本さんは多くの場合(例外もありますが…)、最初に下流に向かって釣り下りながらダウンで攻めます。そして同じ流れ(同じ場所)を、今度は上流に向かって釣り上がりながらアップで攻めます。さらに、アップで攻め終わった後に、まれに同一ポイントを再びダウンで攻めることがあります。
要約すると、ダウン→アップ→そしてまれに再びダウン。
これが松本さんのナマズ×流れ×アプローチの基本軸です。では、以下でなぜそのような順番になるのか、その理由に迫りたいと思います。

最初にダウンで攻める理由は何か?
例えば「壁」+「エン堤」+「反転流」さらに、夜という条件が加算されていれば、そのポイントには「エサを食べたい!」と強く思っているナマズがいる可能性が高い。
松本幸雄さん(以下、松本)「そうした場合、下流に向かって投げた方が、流れを利用してルアーを一ヶ所で止めながらアピールさせやすいです。つまり、活性の高いナマズをミスなく拾っていく釣り方です。これで釣れてしまえば何の問題もないのですが…(笑)」
だが、ナマズブームが過熱している現在のフィールドはそこまで甘くはない。
松本「アピール過多のダウンの釣りでは、現実的には見切られることも多いです。ですから、釣り下りながら見切ったナマズを同時にチェックしています。そして、見切ったナマズが居る場所を覚えておいて、次のアップの釣りのときに本格的に攻略します」

そうなのだ、松本さんのナマズゲームの主流は、アップの釣りが占めている。それは、デイゲームが多い松本さんが自然と到達した領域といえる。
松本「ダウンの釣りはナイターや、状況がいいときには凄く有望です。ですけど、タフなデイゲームではダウンでは見切られることが多いです」

松本幸雄のナマズゲームのキモはアップの釣りに隠されている!
ナマズに限らず、魚は流れの上流に対して頭を向けている。上流から流れてくるということは、長い時間、魚の視界に入ることになる。
松本「つまり、変な動きのルアーをアップで投げると、すぐに見切られちゃいます(笑)」
だが、その一方で流れに乗って流下しているモノは、違和感を与えにくいという現実もある。
松本「その分、アピール力も減るのですが、アピール力が違和感に変わってしまっているナマズに対しては有効です。自然界に存在する流れを上手に利用して、アングラーが操作する違和感を減らす考え方です。プレッシャーがかかりにくいので、結果的にナマズが嫌がるマイナストリガーを引きにくいです」
デイゲームが主体で、いかにナマズに嫌がられないか? というマイナストリガー理論でゲームを組み立てている松本さんの、ナマズ釣りの大半が「アップストリーム」の釣りで構築されている。

そして再びダウンで攻略…することもある!!
最初のダウンと、この段階から繰り出される最後のダウンでは、同じダウンでも意味と攻め方がまるで違う。
松本「前々段階のダウンも含め、前段階のアップまではあくまでも喰わせ要素の釣りになります。ちなみに前段階のアップはブラックバスでいうところのワームの感覚に近いかもしれません」
要するに、前段階までのスタイルにはリアクション要素が含まれていないことになる。
松本「ただ、ナマズはバスやトラウトなどの他魚種ほどリアクションが効く魚ではありません。ナマズはびっくりさせてしまうと逃げてしまうことが多々ある魚です。
ここで重要なのは、逃げてしまうことが多々ある、ということです。つまり、すべてのナマズが逃げるワケではありません(笑)」

では、具体的に最初のダウンと、この段階でのダウンでは何が違うのか?
まず、攻めるスピードが変わる。ダウンでナマズの死角にルアーを着水させて、死角から高速で一気にルアーを通す。考えるスキを与えずにリアクションで反応させる方法。
松本「このときのナマズの反応は、超逃げるか、まったく反応しないか、釣れるか、の3方に向分かれます。ここが最終手段なので、コレで釣れなかったら諦めます(笑)」

次回は「松本流ダウン→アップ→ダウンのルアー&タックル理論」とその具体的なルアー操作法をお伝えします。
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