松本幸雄がナマズを爆釣できるワケ【上流に投げる時と下流に投げる時で、ルアーの操作法が変わる|アプローチ編#03】



スロー方向に「全振り」したプップはオールラウンダータイプ

まず「ダウンストリーム」→次に「アップストリーム」→まれに再び「ダウンストリーム」。

流れに対してこの順番でアプローチして、ナマズを狙うことが多い松本幸雄さん。

まつもと・さちお ロデオクラフトプロスタッフ。繊細さの極みであるエリアトラウトの世界でトップを疾走し続けるプロアングラー。トラウトに限らず、ソルト、バス、ライギョ、ナマズとルアーで狙えるターゲットをこよなく愛し、全ての魚種に対して高次元のゲームを構築する天才アングラー。

前回のアプローチ編PART2では、なぜこの順番でアプローチをするのか?という理由をご説明させていただきました。

そして、今回の[アプローチ編PART3]では実際に攻略するときに、松本幸雄さんがどんなルアーを、どのように使っているのか? また、どんなタックルを使っているのか? を解説して頂きます。

ダウンにしても、アップにしても松本さんが全状況に対して幅広く使っているルアーはプップ(ロデオクラフト)。弱い流れやデッドスローでもしっかり動くように設計されているルアーだ。

松本さんのメインルアーとなるプップ(ロデオクラフト)。巻き方と使い方を変えるだけで無限の表情を繰り出すことが可能と言われる。

松本幸雄(以下、松本)「前提としてプップはスロー方向の動きに全フリして開発しました」。

デッドスローでも動く…ということは単純明快によく動くルアーということになる。

動くルアーの動きを抑制する方法は簡単。フェザーやブレードといった抵抗となるパーツを付けるだけで、ルアーの動きは容易に制御できる。どの部分に、どの種類の、どのサイズのパーツを付けるのかによって、動きの制御率を自在にコントロールすることも可能。だけど、逆に動かないルアーを動くようにするのは大変。

松本「その場合のチューンはカップを変える…とかのレベルになってしまうので、もう開発の領域ですよね。一般アングラーの方には現実的ではないと思います(笑)」。

使い方次第で対応領域が無限に広がるプップを松本さんは、ダウン→アップ→まれにダウンという実践の中で、どのように使い分けているのだろうか?

ロッドを上げるか?ロッドを下げるか?

厳密に言うとプップの場合、パーツを付けなくてもアクションの強弱をコントロールできる。その現実も関係しているのか、松本さんが取材中にパーツを付けるシーンを目撃したことはあまりない。

実は、パーツのチカラを借りないで行う、アクションの制御方法は至って簡単だ。

それは…

ロッドを下げ気味にする。

たったこれだけでカップがしっかりと水を噛み、大きく動くようになる。それがプップなのだ。

【ロッドを下げた時のアクション】

ロッドティップを下げ気味にして、水噛みをよくした状態で、超デッドスローで動かしたプップ(ロデオクラフト)。

一方、「ロッドを上げ気味にする」と水噛みが弱くなりアクションが優しくなる。その動きの違いは誰が見ても一目瞭然。

【ロッドを上げた時のアクション】

ロッドティップを上げ気味にして、さらに抵抗パーツを付けて、動きを抑制した状態で、デッドスローで動かしたプップ(ロデオクラフト)。

松本「最初のダウンストリームのときには、ロッドを下げてしっかり水を噛ませて使います。自分の中ではナイターの釣りか、もしくは恵まれた状況のときの釣りスタイルです」。

この場合、ロッドはねっとりと水に絡む、柔らかめが向いている。

松本「やわらかいロッドの方が、水が絡んでルアーがゆっくり動きます」。

だが、松本さんのメインロッドであるフォーナインホワイトウルフ(ロデオクラフト)シリーズは、張りの強い硬めのロッド。今でこそナマズゲームでも硬めのロッドが普及したが、松本さんはナマズブーム黎明期から一貫して張りの強いロッドをたった一人で使い続けていた。

松本「自分の釣りの主体はあくまでもデイゲームです。デイの場合は、アップの釣りがメインになります(アプローチ編PART2参照)。張りの強いロッドは、アップの釣りとの相性抜群。ちなみにナイターや状況に恵まれてダウンで釣る場合は、硬めのロッドを使って無理して頑張っているイメージですね(笑)。まぁ~今ではほぼナイターはやらないし、そんなに状況のいいときに当たることも無いですけど…(笑)」。



アップストリームのときのルアー操作術とは?

松本「アップストリームのときにはロッドを上げて、あまり水を噛ませないで優しく見せて喰わせることが多いです」。

デッドスロー、もしくは弱い流れでも動くプップはアップで使っても、速くなり過ぎない特徴がある。

ちなみに泳がないルアーをアップで使って、最低限のアクションを出そうと思ったら、流れよりもリトリーブ速度がだいぶ速くなってしまう。それでは狙いたいポイントを一瞬で通過してしまうことになる。

松本「アップで速くなり過ぎずに、アクションを効かせられるルアーのカギは、デッドスローへの対応度、さらには立ち上がりの速さが握っています」。

ちなみに、アップの場合はどうしもラインに弛みできる。そのため糸フケ処理を迅速に行えるハイギアリールと硬めのロッドがマストになる。つまり松本さんの釣りスタイルは、最初からアップの釣りを想定して構築されていることになる。

そして、もうひとつ松本さんがアップで多用するルアーにやわらかプップがある。やさしく見せて喰わせる能力に長けるやわらかプップは、真夏のタフコン時のピン打ちに限らず、松本流のアップの釣りでも頻繁に登場するマストアイテムといえる。

現在人気過熱中につき品薄状態が続いている、やわらかプップ(ロデオクラフト)。ソフト素材なので、指で押すと簡単にボディがへこむ。その実力は先ごろ発売された、ルアーマガジン特別編集の「鯰王ムック」と「鯰王DVD」で実証済み。
プップとやわらかプップは同じカップを使用している。その現実の中にも、やわらかプップの爆発的ポテンシャルのヒミツのひとつが隠されている。

最終段階のルアー操作術

最後に最終段階の「まれに再びダウン」。

高速で使うことが前提(アプローチ編PART2参照)の最終段階ステージではメインルアーも変わる。

松本「それでもプップは使いますよ。最終段階でプップを使うときには、ロッドを下げて水面直下まで潜らせます。そして、激しく動かして泡と飛沫の中にプップを隠して高速で一気にナマズの近くを走らせます。考える間を与えずに喰わせる作戦です。ロッドは硬めがいいですね」。

また、この段階の釣りではフラットアンカニー(ズイール)などのダーターや、ウィズペンシル(ロデオクラフト)などのペンシルベイトも頻繁に登場する。

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