7月7日〜9日に奈良県七色ダムで開催されるJBTOP50第3戦。年間タイトル争いでも重要な試合となるこの一戦で、釣りPLUS編集部が注目した選手に直撃インタビューを敢行した。<前編>の山岡計文選手につづいて、<後編>で登場する2人とは?
<前編>はこちら↓
年間ランキング暫定2位! 北陸のSuper High Utility-player・市村修平
釣りPLUS編集部が第3戦で注目するアングラーの二人目は、現在ポイントランキングで暫定2位という好位置につける市村修平選手だ。
鬼形毅氏(以下、鬼形解説者)「元々、奇抜なフィッシングスタイルで知られる選手。近年の戦いぶりや練習方法を見ていると、いつ勝っても不思議ではない存在」。
そんな前フリで登場するのは、第2戦終了時点でA.O.Y.(アングラーオブザイヤー)レース暫定2位を走る市村修平選手。かつて河口湖や山中湖においてビッグベイトやプロップベイトを軸に幾多の戦いを制して、その名を馳せたトリックスターの先駆。2010年にはマスターズ年間10位を獲得して、翌11年に悲願のTOP50昇格。以来、年を追う毎に安定した戦いぶりを魅せ、一昨季15年は北浦戦第3位、昨季は野村ダム戦で準優勝を獲得して表彰台の階段を1つ1つ上っている。
市村修平選手(以下、市村)「え? いやいや(鬼形解説者と)仲がいいからきっとリップサービスですよ、ワハハハハハ」。
そう自嘲するが、昨季の野村ダム同船時に魅せた鋭い読みと技を振り返ると、記者自身も鬼形解説者の意見に賛同できる。その試合では1本、そしてまた1本と数を重ねて5本を揃え、キッカー獲りに向かった下流域のクリーク。狙いすました1投で見事に! …が、しかし。
市村「あー…あの1本。1500くらいありましたね。優勝の北(大祐)に1032グラム差で負けて…獲っていれば優勝でしたね」。
その一戦、市村選手は狙いのエリアを日替わりで選んでいった。デッキに載せたタックルの数、実に17セット。全ての可能性を確かめ2日目を乗り切り、最終日は下流域を軸に戦略を立てたのだという。
市村「全ての釣りの考え方は、僕の地元(=石川県)で覚えた。バス釣りはもちろん、海の釣りも。どちらの釣りも基本的な考え方は一緒です」。
圧倒的な釣りの幅の広さが市村選手の強みでもある。タイダル(=潮の干満の影響を受ける)フィールドの河北潟や周辺の野池や水路で覚えたバス釣り、日本海の荒海に潜むあらゆるフィッシュイーターの釣り、そして名ライギョガイドとしても知られる彼だけに、度々常識外れの奇策が奏功するのだろう。
市村「今季で参戦6年目ですが一昨季から、改めて試合で釣るための練習が大切なことに気づいた。プリプラで2週間後を想像して釣りをするんです。当然、全く釣れない(笑)。でも、その時の妄想が必ず試合で生きてくる。キーですか? それは…」。
驚くべき発想を耳にしたが、現時点では伏せておく。市村選手自身も近年の練習で独自の工夫を取り入れてきたことが結果に繋がっている、と薄々気づいているようだ。
市村「以前は強い釣りじゃなくちゃ勝てんとか、独りよがりな試行錯誤をしていましたね。それだけじゃダメ。自分のスタイルが何となく仕上がって来たような気がしています」。
今戦の表彰台、それも頂点で、そのスタイル、そして釣りのキーを聞けることを期待したい。最後に予想優勝ウェイトを。
市村「『5・4・3.5』の12.5キロ。初日は飛ばさないと、後がきつい。弥栄湖でも毎日20〜30本くらい釣っていましたけど、全然サイズが上がらなくてキツかったですね」。
最後の最後に前戦の話題が出てきたが、なっ、何と30本!? 市村選手、恐るべしだ。
今こそマークせよ! 温故知新のオールドルーキー・小林明人
最後に登場するのは、今季TOP50初挑戦となる小林明人選手だ。
鬼形解説者「おっ、いいとこ突きますね! 彼はひとことで言うと『Mr.パワーフィネス』です」。
第2戦終了時点の暫定順位を見ると、6位に今季ルーキーの名が刻まれていた。表彰台にこそまだ上ってはいないが2戦目まで安定した成績を残していることは明らか。編集部はその選手について興味を持ち、鬼形解説者に尋ねると返ってきたのがそのキャッチフレーズだった。
小林明人選手は、昨季マスターズで年間13位を獲得してTOP50昇格権利を得た2017ルーキー。開幕戦遠賀川で15位、前戦弥栄湖で8位と堅調な成績を続けている原動力は、おそらく自身が得意とするパワーフィネスなのではないか尋ねてみた。
小林明人選手(以下、小林)「あ、パワーフィネスと言っても僕の場合、スピニングロッドにPEラインではありますけど、リールは…」。
上プロフィールを読んだ方は既にお気付きだろう。そう、なっ、何と、小林選手のメインリールは今やなかなかお目にかかる機会もないあのリールなのだ!!
クローズドフェイス、またはスピンキャストとも呼ばれるリールを組むのが小林選手のスタメンタックル。メイン機の1つであるオメガ154に関しては今や入手困難な廃盤モデルで、オークション等で見つけては購入して「部品取り用」に10台ほどストック。506MK2はEU圏では現行品として販売されるモデルで個人輸入して使用しているのだという。なぜ今クローズドフェイスなのか? そこが知りたい。
小林「まず重量が重いために、ピッチングしやすく手返しも良い。さらには、これだからこそできるシェイクもあるんです。ロッドのバランサーと同じ役割かもしれません。それと何よりトラブルが少ないのが決め手です」。
クローズドフェイスタイプのリール構造をご存じない方のために、オメガ154を例に解説すると、フロントカバー内部にあるスプール上部にある1本の細いピンが、いわばスピニングのラインローラーの役割。ローターが回転するのではなく、スプール自体が回転してラインを回収する仕組みだ。キャスト時はレバーを握ってピンが内部へ収納されると同時に独自の内部構造でラインを押さえ、ロッドを振り込むと共にレバーを離すことでリリース。かつてナイロンラインが主流の時代は消耗が激しいとされ、世から姿を消していったリールだが、どうやらPEラインでは使い勝手が向上するらしい。
小林「実は17歳で一度バス釣りをやめて30歳で復活したもので、中断期間が長くその間にバス釣り業界が大きく進化していたんですよ。フロロカーボン? ダウンショット? いったい何って?(笑)」。
13年のブランクは小林選手を浦島太郎状態に陥らせた。最新のバスフィッシングに対応すべく、日々様々なルアーにタックル、そしてテクニックと吸収していったがある時、転換期が訪れた。
小林「元々、中〜高校生の頃、スーパーカップ(*タックルボックス誌主催)とかに出場していたんですが、30代でトーナメント熱が再燃。でも、なかなか成績が出ない時代が続いて…。一時は諦めようと思っていたんですが、5〜6年ほど前に原点回帰してみると意外にも成績が出始めたんです」。
それがまさかのクローズドフェイス主軸のパワーフィネス。小林選手まつわるストーリーは実に聞き応えがあり「実は30年前にパワーフィネスは存在した」など驚くべき話も聞いたが、それはまたの機会に残しておこう。
タックルの話に終始してしまったが、最高峰のトーナメント、いわばバス釣りの最先端とも言える場でオールドタックルが機能するとは実に興味深い話ではないか。
最後は、優勝予想ウェイトを聞いておこう。
小林「『5・4・3』の12キロ。最終日は水位が低くなることを考えると、かなり厳しい。雨でも降ってくれない限り…」。
…ということは、小林選手の軸はサイトフィッシングではないのか!? 雨粒が水面にフィルターをかける雨天を望むとは実に意外な回答だった。
全5戦の折り返し地点、七色ダムの結果が後半戦に勢い
リザーバー2連戦目の紀伊ラウンド、第3戦七色ダムは明日6時半、スロープロクマルをメイン会場にキックオフ! 帰着は14時半〜、デッドラインは15時。
はたして初日はどの選手がスタートダッシュを図るのか。今戦は特に、初日に見応えがあることだけは伝えておこう。
釣りPLUSでは明日、試合終了直後に現地からDAY1速報をお届けする予定だ。
【大会情報はJBNBC公式サイトでご確認ください】
<関連記事>
2017TOP50プレビューの最終回は、いよいよTOP50最多A.O.Y.ホルダー”V3チャンプ”の小森嗣彦選手が登場。ここまでの2回( その1 ・ その2 )も歯に衣着せぬ舌戦が繰り広げられてきたが、今回はさらに濃厚なコメントが各所で飛び出すので心して読んでいただきたい。
まずは小森選手のこれまでの華やかなる戦績を振り返ろう。
こもり・つぐひこ 1998東北プロA.O.Y.、2002JBⅡ三瀬谷ダムA.O.Y.、08クラシックウィ…
いよいよ明日に迫ったJBTOP50第2戦in弥栄湖(広島県・山口県)。国内バストーナメント最高峰50人の精鋭たちは、本戦2週間前までのプリプラクティスで得た情報を糧に、試合直前の2日間で現時点のフィールド状況を把握。今頃は明日のスタートダッシュに備え、その牙を磨いている頃だろう。
トップ画像は弥栄湖レンタルボートの桟橋沖から、同湖のシンボルとも言える弥栄大橋を臨んだ風景。優勝レースを牽引してチェッカーフラッグを最初に受け…
「暫定トップ更新! 5本6630グラム!!」
弥栄湖初日ウェイイン、興奮まじりなMCのコールで場内を沸かせたのが、TOP50最強の男の一人、青木大介選手。
7キロをわずかに切る圧巻の数字で、大会初日から頭1つ抜けてのリード。開幕戦遠賀川での「不釣」を払拭して、今戦では本来の強さを魅せつけたと言ってもいいだろう。
写真を見てもわかるように、青木選手の記録的スコアを後押ししたのはプリスポーンの個体・2226グラム(=左手)。多くの選手が長さは…
4月初旬に福岡・遠賀川で開催された開幕戦から、約2ヶ月の中断期間を経て再び始動! バスフィッシングにおいて国内最高峰の50人の手練が、熱き闘いを繰り広げるJB TOP50シリーズの第2戦が、いよいよ週末に迫った。
開催地は広島県と山口県のボーダーライン上に位置する弥栄(やさか)湖。10年ぶりとなる久々の最高峰戦開催地にして、エレキ限定戦としても実に8年ぶり。近年、TOP50開催地が半ば固定化しつつある中で、フィールドのポテンシャルは未知数かつ普段のバ…
[釣りPLUS]>> HOME