テナガエビ釣りに初挑戦した我が子と僕。そこにミラクルコーチ登場!?[少年釣り師育成ものがたり|11話]



釣りを通して子どもを教育する「釣育」をテーマに掲げ、釣り初心者の編集者とその子どもが、体当たりで釣りに親しんでいくセルフレポート「少年釣り師育成ものがたり」。今回は東京都内で初めてのテナガエビ釣りに挑戦する。

オファー from 釣りプラ編集長

「息子さんの今週末のご予定は?」

7月のある日のこと、社内で「釣りプラス」の安倍編集長から声をかけられたのです。

「実はですね。お子さんでも簡単に釣れる、ある釣りモノがいるんですよ。竿だけ持って来てください」

三日後、東京——

「着いたよ。起きようか」

その週末、僕と息子は地元の千葉から、東京都江戸川区にある葛西臨海公園にもほど近い、新左近川親水公園にやって来ました。車内でお昼寝中の息子を揺り起こして、編集長に指定された場所に向かいます。

「ここはどこ?」と寝ぼけまなこの息子が聞きます。

「東京だよ」と僕は答えます。

「あめりかとどっちがとおい?」と息子。「アメリカの方が遠いよ」と僕。

さて、ここが今日の会場です。「少年釣り師育成ものがたり」としては、記念すべき東京初進出となります。

新左近川親水公園内を流れる幅20メートルほどの川。すでに釣りに興じるファミリーが多数いる。水深が浅く子どもにとっては理想的な水場だ。

ごあいさつ、できるかな

さっそく安倍編集長に息子をご紹介します。

僕「安倍さんは釣りのとっても上手なおじさんだよ。さあ、ごあいさつして」

息子「こんにちわ」

安倍編集長「はい、こんにちは!」

僕「で、安倍編集長、今日は一体何を釣るんですか?」

安倍編集長「テナガエビです。ボク、エビってわかる?」

息子は「コクっ」とうなずきます。エビは釣ったことがあるのです。それもとびきり大きなエビを。(下リンク参照)

テナガエビ釣りの仕掛け

今回安倍編集長が用意してくれたのは、テナガエビ専用の仕掛け。竿と同じくらいの長さの仕掛けを選ぶのがポイントなんだそうです。

説明はわりとしっかり聞ける子だ。

今日は子どもが釣りやすいように、リールを使わずに仕掛けの釣り糸を竿先のガイドに結びつけることにしました。本来はのべ竿で釣ることが多いんだそうです。

やり方をしっかり覚えておこうね。

ウキとオモリ。これもニジマス釣りのときに見覚えがあります。でも息子にはまだ使い方がよくわかりません。

編集長の実技指導にも熱が入る。

釣り針はこんな感じです。

ニジマス用の釣り針よりは一回り小さなサイズだ。

エサは「アカムシ」を使います。エサが虫となると、息子のテンションはがぜん高くなります。

アカムシは金魚のエサとしてもポピュラーらしい。

ひとまず、頭の先端に針を通したら準備は完了。テナガエビは、流れのある川の中で、こんなに小さなエサを見つけることができるのでしょうか?

テナガエビ釣りのポイント

それではプレイボール! 今日も元気に頑張ろう。

釣り界のケイ・ニシコリと(手前)と「マイケル・チャン」コーチ(奥)。

安倍編集長にコツを教わりながら、釣りは進んでいきます。

写真左/安倍編集長「こんなふうにエサを投げてね」 写真右/安倍編集長「釣り好きなの?」 息子「うん」

今度は息子が一人でチャレンジしてみます。水面から少し沈んだくらいでウキをキープするのが、今回のテナガエビ釣りのポイントです(写真の水色で囲んだ部分を見てね)。

子どもは釣りに集中し始めると、水辺にグイグイ近づいていく。保護者は決して目を離さないようにしたい。

テナガエビが針先のエサをつつくと、「ビクビクっ」と連続した手ごたえがあります。でも、ここで慌てて竿を立ててはいけません。テナガエビは、①ハサミでエサを挟む、②隠れ家にエサをバックで引き込む、③食べる、という習性があるんです。

つまり、「ビクビクっ」が収まったあと、「釣り糸が、ススーッと横に引っ張られたタイミングで合わせる」。これが正解なんですね。

とはいえ、言うは易し、行うは難し。僕は、1回目のアタリに慌てて合わせてしまい、あえなくバラしてしまいました。



ハゼを観察

しばらくすると、安倍編集長がハゼを釣りました。

「さわりたーい」と息子が駆け寄ります。

魚全般は必ず手づかみする息子。

透明のケースに入れてもらって、じっくりとハゼを観察。こうしてみると、お魚がどうやって泳いでいるのかがよくわかります。

あ!えさをはきだしたー

岩場アタック

安倍編集長がテナガエビの潜んでいそうな岩場を重点的に探っていると…

狙ったポイントにエサを落とす編集長の技を食い入るように見つめる。

テナガエビが釣れた! と思ったら、カニさんでした…

体長3センチほど。モズクガニだろうか。

マイケル野村P、まさかの親子参戦!

ここでなんと、午前中は都内某所の釣り大会に参加してきたというマイケル野村『ルアーマガジン』総合プロデューサーとその娘さんが、親子で合流。

ルアーマガジンの名物プロデューサー「マイケル・野村」。

2つ年上の面倒見のよいお姉ちゃんの登場に、息子の釣行にもいっそう力が入ります。父親的には、まさかの“双頭(ダブルヘッズ)そろい踏み”の状況に、逆の意味で力が入ります。

「わたしのお父さんはプロデューサーなの。釣り大会で6尾も釣ったのよ。わたしは2尾。全部で8尾」

この日も絶好調のお父さん(マイケルP)がカニを釣りました。うちの息子も、ものすごく盛り上がっています。

まるで釣り版「奇跡のレッスン」。

負けじと息子もカニを釣り上げます。

釣るといっても、目の前に垂らしたエサをカニがハサミで挟んだら、引き上げるだけなんですけどね。息子にはこれが楽しくてたまらないようです。

釣ったカニはケースに入れて集めます。

マイケルPが釣り上げた、体調6センチほどはあろうかというカニ(上)。ハマガニだろうか?

バイバイ、またね!

この日の熱戦は、3時間ほどで終了。連日の猛暑で活性がイマイチだったのか、本命のテナガエビは終始かくれんぼのままでした。残念ながら、“2人の”マイケル・コーチのガッツポーズはおあずけです。

でも、みんなと楽しく遊べて息子はご満悦。最後は釣ったハゼとカニを川に帰してあげて、みんなとお別れします。

「バイバーイ!」

テナガエビは釣れなかったけど、たくさん魚やカニに触れてよかったね。

初夏の週末の何気ない昼下がり。

水辺ではしゃいで遊び疲れた息子が、後部座席ですやすや寝息を立てています。その満たされた寝顔をミラー越しに眺める父は、家路をたどりながら、なんとなく思案をめぐらせるのでした。

「次はどこ行こう?」

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