ルアーマガジン本誌「陸王2017」の舞台で、「初代陸王」川村光大郎さんと激闘を演じて大きなインパクトをもたらした松本幸雄氏。ルアーマガジンムービープロデューサー「マシモ」が、その松本幸雄さんとの釣行秘話を公開する。今回はその後編。
房総リザーバーに松本幸雄さんと釣りに来たマシモ。50アップは釣れるのか!?
さぁ、お待たせしました。前回の続きです。【前編】はコチラ ↓
陽もすっかり上がり暑さを増して来た房総リザーバー。松本幸雄さんが55.5センチを釣り上げ、マシモもテンション上がりまくりで50アップを狙います! 果たしてマシモにも”ビッグブラック”は釣れるのでしょうか!?
ちなみに投げまくっているルアーはコチラ。もちろんバーブレス仕様です。
ってワケであんまり引っ張ってもアレなので結論から行きましょう!
そう、幸雄さんのレクチャー通りに狙い続けたマシモにもついにアタリが! 、というかラインに違和感。
ブン・ボカン!
アワせた瞬間、ほとんど動かない手応えに、アレ? 潜られた? と感違いするほどの重さのヌシは!?
ドーン!
なんとマシモの関東レコードを更新する、55センチの立派なノーザンラージマウスバスさん降臨です!
驚くべき事に、バーブレス効果なのか針は上顎の硬い部分をガッツリ貫通。抜く際にも「アレ? バーブ潰すの忘れたっけ? 」と思ったくらいガッチリかかっておりました。
てなワケで、ヘタレなマシモにも50アップ釣らせる幸雄さんのハンパ無いハナシ
幸雄『いやー、よかったですねー』
マシモ「はいいいいいい、ありがとうございますうううう!!!」
とちょっと思わず感極まって弊社ルアマガモバイルのニッシーっぽくなってしまいました。w
いや、しかし待ってくださいよ幸雄さん。なんですのこの竿! このリザーバーのバスはめっちゃ強烈なファイトで有名なのですが、55センチのビッグブラックの引きも余裕でいなしてくれましたよ、っていうかクラッチ切って指ドラグの準備をしてたマシモですが、この竿のお陰でほとんど糸を出されませんでしたよ…。
幸雄『いやいや、そりゃそうですよマシモさん。僕達はコスト関係なく自分で使いたい最高の竿を作ってるんです。そして会社ですからソコにちょっぴり利益を乗せて売ってます。気づきましたか?僕一回もファイト中にクラッチ切ってないんですよ。それはつまり糸を出されるっていう事ですから、キライなんです。僕の竿ならソレができます。
この竿でトラウトから海のサカナ、クエとかマグロまでなんでも釣っちゃいます。一本単価は高いと思われるかも知れませんが、この竿でいろんなサカナが釣れますから、魚種によってそれぞれ専用竿で揃えるより安上がりなんです』。
ぬぬぅ…。マジスカ。なんというかスゴイ自信です。いや、しかしホントこの竿いいなぁ…。と、思いながらビッグバスを掛けたばかりなのでラインチェック。立派な歯だったので、さぞやラインも傷ついてるだろうなぁ…。
ってアレ? さっきから何尾も釣っててずーっと不思議だったんですけど、糸がほとんど傷ついてません。てか下手くそマシモがバックラッシュしまくっていたのに、キンクができる気配も皆無なんです。ちょっと幸雄さん、なんですのこの糸?
幸雄『マシモさんやーっと気づきましたか。その糸はモーリスのガノア・アブソルートです。いいでしょ?(笑)管釣りでトラウト相手に無数の糸を試して辿り着いた糸です。トラウト用の細い番手でイイんですから、バスに使う番手で悪いワケ無いですよね』。
いや、マジでいいすね…。マシモはいつも300m巻きのバルクラインとかなのですが、糸ってこんなに違うんだ…、とちょっとビックリです。
さあ、後はアナタが釣るだけです!
って事で、とりあえず更に釣りまくります! ちょっと気分転換に数釣り。っていっても40アップなんですけどね…。ブレーバーをベイトフィネスタックルでカバーにぶち込んでドーン! フォール中でもテールが動いてくれるので使いやすくてよー釣れますねー。
こんなサイズが、ハンツやらブルフラットやらブレーバーやらでドーン、ドーン!
幸雄『どうです? そんなバレないでしょ?』
と言われて初めて気づいたのですが、この日マシモは20本くらい40アップを釣る事になるのですが、意図しないバラシは皆無。最初の数本を除いて全てバーブレスフックを使用したのに、です。
そして中盤からはバスに触れずにノータッチリリース。確かに竿を立てれば魚がバレるのがわかったので、ファイトして最後だけ意図的にバラす、という事を繰り返します。なるほど確かにバラす方法を分かっていれば、反対に言えばソレをしなければ魚がバレない、という幸雄さんのオハナシが実感として理解できました。
しかしてクライマックスは夕方ラスト一時間に訪れました!
『さぁ、じゃラスト一時間くらいですかね。そろそろガイドモード終了して釣らせてもらいますねー。ここらへんに動いてるサカナが溜まってると思うんですよ。』と幸雄さん。
よっしゃ、じゃあ俺も釣ったるでー! と二人でブルフラットを投げまくるのですが…。
あ、幸雄さんが釣った…。よっしゃ負けへんでー!
あ、幸雄さんが釣った…。よっしゃ負けへんでぇ!!
あ、幸雄さんが…。(涙
そしてついに、
釣ってる場所は二股の分岐で、マシモが先に投げた場所でも幸雄さんが投げると釣れます。マシモは無…。そして更に…。
たった小一時間で幸雄さん50アップ2本を含む10本ほど。マシモゼロ。
ちょっとナニコレどーいう事なんですの!?
とマシモが取り乱していると、
幸雄『マシモさんきっと竿の差ですよ。また僕の竿使ってみてください。』と今度はプロトのホワイトウルフを貸してくれました。
竿の差??? 確かにマシモが使っていたのは八千円で買ったアメリカンな竿ですが、この時の釣りは3.8インチのブルフラットをライトテキサスで使い、岩盤際で糸ふけを竿で”さびき”ながら、なるべく同じレンジを引いてくる、という釣り。糸ふけが出てるなら竿の差なんて関係無いんじゃねーの?とか思った馬鹿なマシモ。そう、今はそんな過去のマシモをグーで殴りたい! 君が泣くまで、殴るのを止めないッ!
!?!?あれれ! ルアーが今どうなっているかがメッチャ良く分かります!
幸雄『どーですマシモさん、ぜんぜん違うでしょ? さっきのマシモさんは竿の感度が悪すぎて、何をやっているか分からないから、つい糸を張り過ぎちゃってたんですよ。だから結果的に釣れなかったんです。その竿なら糸を張って無くても感度がイイから、ルアー操作のし易さが格段に変わるんです。』
なんてこった…。もちろん釣れる釣れないは、竿の差だけでは無かったでしょうけど、それにしてもこんなに違うなんて…。
残念ながら、ココでタイムアップ。そしてラーメン食べながら聞いたコト。
この日、幸雄さんは55.5センチ筆頭に50アップ3本、そして40アップはぶっちゃけ軽くドン引きするくらい釣り、このマシモですら55をアタマに20本程の釣果。この房総リザーバーを昔から知ってるマシモとしては、ちょっとバグったような釣果ですが、幸雄さんには普通の事のようです。
通い始めてわずか一週間足らずで、バスとこの湖のパターンをコレだけ把握する幸雄さん恐るべし。思わず夜にラーメン食べながら聞いてみました。
マシモ「幸雄さん、ブラックバス釣る上で大事なコトってなんですか?」
幸雄『場所ですね。その湖のエリア選び。その次はレンジ。居るレンジと、エサを食うレンジです。そして次は魚の状態を判断して、どうアプローチするか。そしてそのアプローチの為のルアー選び、最後はカラーです。まぁ、でもこれは優先順位だから、どれも重要じゃないワケでは有りません。あとデカバスを釣るには、レギュラーサイズを釣っていって、そこからズラしていく事です。
この湖に一週間ほど通って、55までは釣れるパターンを見つけました。でも更にその上はまた違ってきます。今はそのパターンを探しているのですが、やっぱり難しいです。もし見つけたら気が向いた時に公開しますね。(笑)』。
ぶっちゃけマシモには全て理解できませんが、なんとなくなるほどなぁ、という幸雄さんの言葉でした。たぶん達人の皆さんなら、「あぁ、やっぱそうなのか」と理解して頂けるのでは無いでしょうか。
まぁ、という真夏の夢のような一日を経験させて頂いたマシモは、すっかりフォーナイン・ホワイトウルフとガノア・アブソルートが使いたくて堪らない日々を過ごしております。いやしかし、でももし使い始めたら今までの自分の道具が使えなくなってしまうのでは無いか? とまで考えてしまう、そんなレベルの恐ろしい道具たちでした。
そして幸雄さんは今までマシモが見てきたアングラーとは全く違う、恐ろしい釣り人でした。奥田さんやキムケンさんを初めて見た時も「異質だなぁ」と思ったモノですが、そんなカンジです。かならずや今後も恐ろしい釣法と釣果でメディアを賑わすに違い有りません。
ルアマガにもどんどん登場すると思いますので、皆さま方も要チェックして頂けると、ご自身の釣りのレベルが上がる事間違いなしかと思う今日この頃でございます。
後日談ですが、すっかり房総リザーバーの虜になったマシモは、一人乗りゴムボートとエレキを買い込んでしまいました。いやまぁ、その後まだ結局は一回も行けてないんですけどね。orz